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アンコン前日

夢の続き

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「僕は女の子をやめる」
 また、たっちゃんが言う。あたしは何度も首を横に振って否定した。
「僕らは約束したでしょ」
 浜島の裂けた口から、たっちゃんの何重にも反響する声が生まれる。
「僕らは約束したでしょ」
「僕らは約束したでしょ」
「僕らは」
「したでしょ」
「約束したでしょ」
「したでしょ」
「僕らは約束した」
「僕らは約束したでしょ」
「したでしょ」
「僕らは約束したでしょ」
「僕らは」
「したでしょ約束したでしょ」
「僕らは約束」
「約束僕らはしたでしょ」
「僕らは約束したで」
「したでしょ」
「僕らは約束したでしょ」
 もう、どこから声が出てきているのかわからない。怖くなって、あたしはヒィヒィ言って泣いた。
「明日、宇野くんに告白する」
 反響する声の中に、中崎の声があがった。
「明日、森さんに気持ち伝える」
 今度は宇野の声。
「――でしょ。たっちゃんがそんなふうに言ったら、気持ち悪いよ」
 そして最後に、自分自身の声がした。許されない罪を、あたしに刻み込むために。その残酷な言葉が、この口から出た。
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