68 / 114
アンコン前日
目覚めとメッセージ
しおりを挟む
目覚めは最悪だった。冬だっていうのに、体じゅう汗びっしょりで、しかも泣いていた。あたしはかけていた布団をはねのけて、ベッドから転げ落ちる。
「ごめんね……ごめんね、たっちゃん……」
床に這いつくばって、無意識につぶやく。自分のしたことがどういうことか、ずっと目をそらしていた罪が背中にのしかかる。あたしがたっちゃんを縛っている。あたしのせいだ。全部、悪者はあたしだった。たっちゃん、ごめん。でも、今はそんなこと考えるなんでつらすぎる。だから、忘れさせて。いつも通りでいさせて。
起き上がり、大きく息を吐く。それから吸う。しばらくそうしていたら、だんだん落ち着いてきた。朝の冷気と、カーテンの隙間から漏れる薄い墨色の光が、あたしの心を滑らかにしてくれる。
スマホを開いて、待ち受け画面の時計を見ると、朝の三時だ。ため息をついて、そのままスマホを閉じようとした時、通知が来ていることに気がつく。宇野からだった。
「色々考えたけどやっぱりそうする
桑田 ごめん
俺のこと許さなくていいから
全部俺が悪いから」
ワケがわからない。メッセージが来た時間を見ると、昨日の夜だった。あたしは昨日のこの時間はもう寝ていた。だから、メッセージに気がつくわけもなかったし、宇野に何かを言う余裕もなかった。
もしあたしが寝ていなくて、宇野に何でもいい、何か言っていたら、あたしたちの崩壊は止められたんだろうか。また、三人で楽しく話しながら家に帰れたのだろうか。
「ごめんね……ごめんね、たっちゃん……」
床に這いつくばって、無意識につぶやく。自分のしたことがどういうことか、ずっと目をそらしていた罪が背中にのしかかる。あたしがたっちゃんを縛っている。あたしのせいだ。全部、悪者はあたしだった。たっちゃん、ごめん。でも、今はそんなこと考えるなんでつらすぎる。だから、忘れさせて。いつも通りでいさせて。
起き上がり、大きく息を吐く。それから吸う。しばらくそうしていたら、だんだん落ち着いてきた。朝の冷気と、カーテンの隙間から漏れる薄い墨色の光が、あたしの心を滑らかにしてくれる。
スマホを開いて、待ち受け画面の時計を見ると、朝の三時だ。ため息をついて、そのままスマホを閉じようとした時、通知が来ていることに気がつく。宇野からだった。
「色々考えたけどやっぱりそうする
桑田 ごめん
俺のこと許さなくていいから
全部俺が悪いから」
ワケがわからない。メッセージが来た時間を見ると、昨日の夜だった。あたしは昨日のこの時間はもう寝ていた。だから、メッセージに気がつくわけもなかったし、宇野に何かを言う余裕もなかった。
もしあたしが寝ていなくて、宇野に何でもいい、何か言っていたら、あたしたちの崩壊は止められたんだろうか。また、三人で楽しく話しながら家に帰れたのだろうか。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
旧校舎の地下室
守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる