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乾杯は、あなたのために
しおりを挟む【ご注意】
本作品には、精神疾患、希死念慮、自傷行為、暴力的描写を含む表現があります。
読者の方の心身の状態によっては、強い不安や動揺を引き起こす可能性があります。
これらの表現に不安を感じる方は、閲覧をお控えいただくよう、お願いいたします。
【乾杯は、あなたのために】
診断書を職場に提出して、二週間が経った。
診断結果は「不眠症」と「双極性障害」。
私は半年の病気休暇を取ることになった。
インターフォンが鳴り、高さ1メートルくらいのダンボールの箱が届く。
中に入っていたのは、無機質な白色の人型ロボット。
私が外出や家事ができないときに、このロボットを使えとのこと。
人事課長からは「復職後、綺麗な形でロボットを返却しろ」と釘を刺されている。
はいはい。言われなくても、分かっていますよ。
今日は特に、気分が重い。
というよりも、何も感じない。
光も、音も、湿度も、何もかも。
いっそ、このまま、自分を葬るのも悪くない。
私は冷蔵庫の中に、100錠の眠剤があることを確認する。当然、主治医には隠している。
人生の最後だ。
華やかに幕を下ろそう。
私は誕生日にもらった赤ワインを手に取る。
まるで、呪文のような銘柄。
今日という記念日にふさわしい。
ワインボトルを持ったまま、私は冷蔵庫に戻る。
衝撃、そして絶望。
白色のロボットが、眠剤を全て破棄してしまっていた。
気がついたら、私はボトルで、ロボットの顔面を殴り続けていた。
何度も、何度も、何度も。
回数なんて数えていない。
ボトルが割れて、ガラスが腕に突き刺さる。
それでも、私は殴り続ける。
ロボットは「あなたのために……」とだけ言い残して、その場に崩れ落ちた。
文字どおり、ガラクタに。
床は一面、赤色に。
私の腕から、血が流れ続ける。
そんな私を嘲笑うかのように、赤い夕陽が窓から差し込んだ。
太陽はすぐに身を隠し、部屋は一面、暗闇に。
赤色の床も、少しずつ黒い影に飲み込まれてゆく。
ゆっくり、ゆっくり、真っ黒に。
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