12 / 13
偽りの兄妹愛
しおりを挟む
「ね? お兄ちゃん! 私も一緒にお茶していい?」
と妹のエルはうれしそうに返事もきかずにオレの左隣りの席に座ってきた。
「あ、いや、なんで王都にいるんだ? エルは」
「えっとなんか、王都に行くと楽しいかなって思ったんだよ。それに……私が一番逢いたい人に会えるような予感がしたんだよね」
「だれだよ? そいつ」
「さぁね? 誰でしょう? ……気になるの? お兄ちゃん」
「ま、いいけどさ……」
……まちがいない。妹のエルは建国姫イリスで聖女ということは、ほぼ疑いようもないだろう……。そうでなければ、こんなにピンポイントで勇者レンであったオレの居場所を当てることなど不可能なのだから。
聖女の勇者を探す能力を無意識につかっていること、本人はどういう認識なのだろうか。
「……あれ? あれあれ? お兄ちゃん……嫉妬してないね? なんで? ……おかしいなぁ」
と不思議がるエル。
「なにがおかしいんだよ」
「いつもならね……これいうとお兄ちゃんのどす黒い感情が感じられるのだけど。今日のお兄ちゃん、なんでそんな余裕なの? ひょっとして……気づいちゃった?」
「オレが何に気づいたっていうんだ」
「私が一番逢いたいひとはね……私と名前がひとつだけ文字がちがうの!」
「エリルか?」
「ふーん……そうきたか……わかっているくせに……」
「まさかオレか」
オレの名前はアルで、妹の名前はエルだ。
「……そう……ストレートにいわれると……照れちゃうじゃないっ」
「え?」
「ん……。なんか今日のお兄ちゃんはおかしいな。いつもなら、こう……もっと甘酸っぱい感じで、顔真っ赤にして、私に怒るクセに……」
「じゃ、いつものように……。おい、エル! いくらもてないオレだからってお兄ちゃんをからかうな!」
「……なんか調子くるうんだよね。感情を感じない……なんでそんな冷静なの?」
「それは……。なあ一つ聞いていいか?」
「なに?」
「もしオレが勇者レンでお前が建国姫イリスだったら……どうする?」
「えええええぇぇええ……。ちょっとちょっと、妹に愛の告白ぅ?」
「ちがう……真面目に答えろ!」
「……どう真面目に応えるのよ? ……お兄ちゃん……妹を娶るのは世界で最も深い罪だよ? ……その覚悟があるなら……私は気持ちに応えてあげるよっ」
「オレとお前が、本当は双子でも兄妹でもないとしたら……どうする?」
「……いやだよっ。今日のお兄ちゃん怖い! なんでそんな事言うの?」
「それは……」
「……あのね……言いにくいんだけど……今日は行きたいところがあったの」
「どこだよ? それなんか関係あるの?」
「イリスとレンの館っていう見世物小屋が王都のここにあってね……そこにいきたいなって思っていたの……できればお兄ちゃんと……」
「あ、ああ。なんだ、それ?」
「カップルでいくところなんだけど……女の子がイリス姫、男の子が勇者レンになって楽しむ、仮装見世物小屋なんだけど……楽しそうだなって」
ストレートな質問は妹のエルを気をわるくしたようだった。その埋め合わせをするためにオレは妹のエルと嫁のエリルと一緒にエルが行きたいという、その見世物小屋にいくことに結局なってしまうのである。
と妹のエルはうれしそうに返事もきかずにオレの左隣りの席に座ってきた。
「あ、いや、なんで王都にいるんだ? エルは」
「えっとなんか、王都に行くと楽しいかなって思ったんだよ。それに……私が一番逢いたい人に会えるような予感がしたんだよね」
「だれだよ? そいつ」
「さぁね? 誰でしょう? ……気になるの? お兄ちゃん」
「ま、いいけどさ……」
……まちがいない。妹のエルは建国姫イリスで聖女ということは、ほぼ疑いようもないだろう……。そうでなければ、こんなにピンポイントで勇者レンであったオレの居場所を当てることなど不可能なのだから。
聖女の勇者を探す能力を無意識につかっていること、本人はどういう認識なのだろうか。
「……あれ? あれあれ? お兄ちゃん……嫉妬してないね? なんで? ……おかしいなぁ」
と不思議がるエル。
「なにがおかしいんだよ」
「いつもならね……これいうとお兄ちゃんのどす黒い感情が感じられるのだけど。今日のお兄ちゃん、なんでそんな余裕なの? ひょっとして……気づいちゃった?」
「オレが何に気づいたっていうんだ」
「私が一番逢いたいひとはね……私と名前がひとつだけ文字がちがうの!」
「エリルか?」
「ふーん……そうきたか……わかっているくせに……」
「まさかオレか」
オレの名前はアルで、妹の名前はエルだ。
「……そう……ストレートにいわれると……照れちゃうじゃないっ」
「え?」
「ん……。なんか今日のお兄ちゃんはおかしいな。いつもなら、こう……もっと甘酸っぱい感じで、顔真っ赤にして、私に怒るクセに……」
「じゃ、いつものように……。おい、エル! いくらもてないオレだからってお兄ちゃんをからかうな!」
「……なんか調子くるうんだよね。感情を感じない……なんでそんな冷静なの?」
「それは……。なあ一つ聞いていいか?」
「なに?」
「もしオレが勇者レンでお前が建国姫イリスだったら……どうする?」
「えええええぇぇええ……。ちょっとちょっと、妹に愛の告白ぅ?」
「ちがう……真面目に答えろ!」
「……どう真面目に応えるのよ? ……お兄ちゃん……妹を娶るのは世界で最も深い罪だよ? ……その覚悟があるなら……私は気持ちに応えてあげるよっ」
「オレとお前が、本当は双子でも兄妹でもないとしたら……どうする?」
「……いやだよっ。今日のお兄ちゃん怖い! なんでそんな事言うの?」
「それは……」
「……あのね……言いにくいんだけど……今日は行きたいところがあったの」
「どこだよ? それなんか関係あるの?」
「イリスとレンの館っていう見世物小屋が王都のここにあってね……そこにいきたいなって思っていたの……できればお兄ちゃんと……」
「あ、ああ。なんだ、それ?」
「カップルでいくところなんだけど……女の子がイリス姫、男の子が勇者レンになって楽しむ、仮装見世物小屋なんだけど……楽しそうだなって」
ストレートな質問は妹のエルを気をわるくしたようだった。その埋め合わせをするためにオレは妹のエルと嫁のエリルと一緒にエルが行きたいという、その見世物小屋にいくことに結局なってしまうのである。
0
あなたにおすすめの小説
魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。
カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。
だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、
ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。
国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。
そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。
勇者の隣に住んでいただけの村人の話。
カモミール
ファンタジー
とある村に住んでいた英雄にあこがれて勇者を目指すレオという少年がいた。
だが、勇者に選ばれたのはレオの幼馴染である少女ソフィだった。
その事実にレオは打ちのめされ、自堕落な生活を送ることになる。
だがそんなある日、勇者となったソフィが死んだという知らせが届き…?
才能のない村びとである少年が、幼馴染で、好きな人でもあった勇者の少女を救うために勇気を出す物語。
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
魔王を倒した手柄を横取りされたけど、俺を処刑するのは無理じゃないかな
七辻ゆゆ
ファンタジー
「では罪人よ。おまえはあくまで自分が勇者であり、魔王を倒したと言うのだな?」
「そうそう」
茶番にも飽きてきた。処刑できるというのなら、ぜひやってみてほしい。
無理だと思うけど。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します
白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。
あなたは【真実の愛】を信じますか?
そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。
だって・・・そうでしょ?
ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!?
それだけではない。
何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!!
私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。
それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。
しかも!
ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!!
マジかーーーっ!!!
前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!!
思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。
世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。
敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される
clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。
状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。
冤罪で辺境に幽閉された第4王子
satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。
「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。
辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる