魔王討伐戦で亡国の女帝をナンパしたら、めちゃくちゃ重たく愛されている勇者の俺

蒼山りと

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イリス王国義勇軍は帝国領へ

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夜明けと共に牢獄に詐欺師レンが現れた。
「お前に提案がある」彼は冷たく笑った。「俺の影武者として帝国攻めに参加するんだ。断れば、この二人の女は今日中に処刑される」
エリルとリンの命を人質に取られ、俺に選択肢はなかった。
「分かった。だが二人の安全は保証しろ」
「もちろん。お前が大人しく役目を果たす限りはな」
詐欺師レンの計画は明らかだった。俺を最前線に立たせて死なせ、王国の英雄が帝国に殺されたという口実を作り、戦争を引き起こすつもりだ。
俺とナギは義勇軍の装いをさせられ、国境へ向かう行軍に加わった。ナギは監視の目が届かない瞬間に囁いた。
「どうする?」
「今は奴の言うとおりにする。チャンスを待って、エリルたちを救うんだ」
帝国との国境に着くと、詐欺師レンは作戦会議を開いた。
「明朝、夜明けとともに攻撃開始。お前は当然、最前線だ」
作戦は単純だが、俺が犠牲になることが計算されていた。テントに戻った俺たちは、明日の戦いについて話し合った。
「明日の戦闘、生き残る確率は低い」ナギが言った。「でも、あなたの中に眠る力が目覚めれば、状況は変わるかもしれない」
俺は自分の手を見つめた。これまでの戦いで発揮した不思議な力——自動無意識魔法のシールドに「フレイム」の魔法。勇者レンの力なのか、それとも別の何かなのか。
「力が目覚めるかどうかは分からない。だが、何が起きても生き残る。エリルを守るために」
ナギはしばらく黙っていたが、やがて静かに言った。「あなたが本当の勇者レンであるなら、あなたの中には歴戦の魔法戦士としての記憶がある。それが戦いの中で目覚めるかもしれない」
俺の決意は揺るがなかった。どんな危険があろうと生き残り、詐欺師レンの計画を阻止する。そしてエリルの元へ戻る。
それが俺の、いや、勇者レンの使命だった。

早朝、キャンプは活気に満ちていた。兵士たちは武器を手に取り、旗を高く掲げる。「イリス王国義勇軍」「魔王が支配する帝国を倒せ」という文字が朝日に照らされて鮮やかに浮かび上がっていた。
詐欺師レンは大きな黒馬に跨り、義勇軍の中央に位置取っていた。俺は彼の命令で軍の先頭に立ち、白馬に乗せられていた。ナギも近くで馬上の姿勢を正していた。
「行くぞ!」詐欺師レンの声が響き渡る。「勇者レンの下、我らは帝国の魔の手から王国を守るのだ!」
兵士たちから歓声が上がった。彼らは本気で詐欺師レンの言葉を信じている。俺は表情を引き締め、前方の帝国の砦を見据えた。
そして、義勇軍は進軍を開始した。
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