アテンションプリーズ!ガラポンの特賞は異世界でした!?~アオイ50歳。異世界でエンジョイしろと言われても…若くないので出来ません!~

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エルフの里~リイルーン~

20:アオイのメタモルフォーゼ~究極のアンチエイジング~ ☆

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******


「ほとんど荷物を出してなかったから、すぐにまとまったね……」
「そうですね、ほぼ空間魔法の中でしたからね」


 荷物を取りに戻ったものの、せいぜい小さいボストンバック程度の量しかなかったので、詰め直すといってもすぐに終わる量しかない。


「そういえばアオイ、先ほどは沢山泣きましたし、喉は渇いておりませんか?この里でしか飲めない、門外不出の貴重なお酒があるのです。先程、父上にお願いして一杯分だけ分けてもらったので記念にいかがですか?」

「え、そんな貴重なお酒をいいの?一杯だけってことは相当高価なものなんじゃない?それならルーが飲んだらいいよ、里の味なんでしょ。私が飲んでも利き酒ができるほど舌が肥えているわけでもないから」

「そうですか……それでは共に味わう為にも口移しで…」
「やっぱり頂くからちょうだい」


 全く、さっきまでの余韻っていうかさぁ。まぁルーらしいっちゃらしいし、しんみりとお別れしたいわけじゃないからいいけど。
 
 ルーが行動に出る前に、私はサッとコップを奪い、すぐに飲んだ。とはいってもお猪口一杯程度の量しかない


「んん!?なにこれ、甘くて飲みやすい!梅酒みたいな味で美味しいね!」


 一杯だけなのが残念。でもこれってもしかして度数高いのかな?慌てて一気に飲んだからか、フワフワする……

 ん、あれ?
 周りが光ってる?私が光ってる??眩しくてルーがよく見えないんだけど


 カッ!と辺り一面が真っ白く覆われ、何も見えないほどの眩しい光に身体ごと包まれた






 
『…オイ、アオイ……』

(ん…私を呼ぶのは誰……?)



『もう!あなたって相変わらずよく寝る子ね!』
「うわぁ!また白い部屋!?その声は……やっぱり神様?」


『あなた、魂が定着せずに離れかけていたわよ?お陰でまた担当部下から『なんで若返らせずに転生させたんスか?ありえないっスよ』って嫌味まで言われちゃうし。若返りたいなら言って欲しかったわ』

「あれ?じゃあ私また死んじゃったんですか?」


 ルーの笑顔を最後に見れたけど、結局きちんとお別れを言えなかったのが心残りだし、急に目の前でいなくなっちゃってビックリしただろうな……


『違うわよ!あなたが積立徳を使って、エルフの彼を幸せにして欲しいって願ったでしょ?でもその彼はあなたがいなければ幸せになれないから、あなたを消さないで欲しいって願うんだもの。
 そしたら彼の方が残りのあなたの夢は自分が叶えてみせるって男前発言をするものだから、じゃあせめて後押しくらいはしてあげようかなって思ったのよ。もう特典は使い切っちゃったし』

「やっぱり胃もたれしなかったのは特典だったのかぁ……。確かに願わなかった私が悪いですよね。ただ、【転生】って言われたので、てっきり赤ちゃんくらいからスタートかなって、その……」


『うっ、さりげなく責めてくるわね……部下にも言われたわよ!『ちょっとデリカシーに欠けるんじゃないっスか?』って。ちょっとは反省してるから、こうして危険を冒してまでして干渉しているんじゃない。間違いなく始末書ものよ。
 それでも彼もそれなりのものを賭けているからね……胸アツってやつよね』

「胸アツ?ルーが何か賭けているんですか?一体何を……」


『それは自分で確かめなさい。それに、ここでの記憶はきっとぼんやりとしか覚えていないと思うから意味ないわよ』
「え、覚えていられないんですか!?」


『ええ。でも、あなたが一番強く願ったことは【彼が】叶えてくれるから』
「ルーが、私の願いを叶える……どれだろう?」


『私ができるのは後押しだけ。今度こそなりたい自分になって、エンジョイし…て、ね…』
「なりたい……自分」
 

 もしも、もしも叶うのなら……―――







――――…目を閉じていても瞼越しにもわかるほどだった眩い光が、少し経ってようやく落ち着いてきた


「ルー……ルー……?そこに、いる?」


 目を開けても、まだぼんやりとして焦点が定まらない。手をうろうろと彷徨わせながら、ここが現実世界なのかどうか心配になり、手探りでルーを探す


「ア…ア、オイ…………?」


 多分、彼の指先に触れたのだと思う。良かった、ちゃんと戻ってきたんだ。


「ルー…?良かった、そこにいるんだね。さっきものすごい光に飲まれたせいで、まだ目が見えにくくて。ルーの目は大丈夫だった?なんか神様にまた会ったっぽいんだけど……」


 薄目でようやく少し見えるようになってきたと思ったら、ルーが放心状態でぼんやりとこちらを見ているようだ。やっぱりルーも私と同じく目が見えにくいのかもしれない。
 それにしても、目じゃなくて口元を押さえているのはナゼ?混乱しているのかもしれない。

 私の目はそれなりに落ち着いてきたので、ヨロヨロと混乱してるらしい、ルーの元へ近づく。
 よく見たら彼は目に涙を溜めていて、小刻みに震えていた。急に目の前から消えたから不安にさせたのかもしれない……


「ルー?大丈夫だよ、ちゃんと戻って来たから大丈夫。びっくりさせたよね?」
「――っ……アオ、イ、アオイ……」


 まずは落ち着かせようと、縋りついてきた彼の手を握ると、片手は握ったまま、もう片方の腕で抱き寄せられた。何度も名前を呼びながら、むしろ感情がどんどん高ぶっていっている様子に見える


「ねぇ、ルー。なんで泣いているのか教えて……?」
「ふっ、うっ…ア、オイ……私は、、、今嬉しいのです。願いの一つが叶ったのですから。これは、アオイ自身の願いと、私が幸せになる為に必要な願いが同じだったということですよね?」

って?私の願いとルーの幸せの為の願いが同じってなんのこと……?」
 

 なんか大事なことを神様が言っていた気がするんだけど、それと関係あるのかな?なぜか……思い出せない。


「……はい。ですから、今すぐ結婚致しましょう……泣いている場合ではありませんよね。
 あぁでも、ウエディングドレスは全てオーダーメイドにしたいので、式はもう少し待って頂いて……もしくは先にこの魔法誓約書にサインだけ済ませて頂いても宜しいですか?」

「は?なにを言ってるの!ねぇさっきのは嘘泣きだったの?全く話が読めないんだけど!確かにルーの幸せを祈ったけど、ルーの幸せになる為の願いって何?」

「もう偶然!たまたま!奇跡的に!私の手元に婚姻の為の魔法誓約書があるのですよ。これはもう書くしかないという神の啓示ではないでしょうか?」
「話を聞けー!!だから結婚云々は仮の話で終わったでしょーが。これからパーティ解散の話をするんじゃなかったの?こら、もうっ!はーなーしーてー!」


 勢いのまま、ガバッとルーが更に抱き着いてきたので、そのままソファにひっくり返る。考え事している時に、いきなり危ないでしょ!!
 
 魔法誓約書は常に空間魔法で閉まってあるの知ってるんだからね!それも予備も何枚かあるし。ハンカチみたいに気軽に出すなっ!
 こっちも必死にもがいているのにっ!!ほんっとビクともしないっ!


「ふふ。アオイ、まだ気づきませんか?
 あなたと私が幸せになる為の第一歩の答えは……鏡を見て下さい」


 そう言って私をバックハグで拘束したまま、泣き笑い状態のルーが、姿見の前に私を誘導した。泣くの?笑うの?どっちなの!?


 鏡を見てってなに?さっき泣いたせいで目が腫れてるとか、化粧がはがれてお化けみたいとか?
 ルーをジト目で睨みを利かせつつ(効果ないけど)、恐る恐る鏡に視線を移した。


「……」
(……ん?)



「………………………は?」
 んん!?は?誰これ?若い頃の私に見えるんですけど!?
 顔をペタペタ触ると、鏡の中の女の子も同様に動く。そして肌はモチモチの艶々ぷるっぷる……


 幻覚魔法がかかってるとか?理解が追い付かない。鏡に映るのはまさに私の一番の全盛期の姿で…


「ね、ねぇ、どういう、こと……?これってルーの、魔法?」
「ふふ、違いますよ。これはエルフの里にのみ伝わるエルフの妙薬【薬用 長命酒】の力ですっ!」


 ジャジャーンって音が聞こえたような……っていうか、めっちゃドヤ顔。
 おいおい……ルティえもん、一杯だけ貰った貴重なお酒だった割に、なぜ瓶ごと四〇元ポケット……もとい、空間魔法から出てきたのかな?

 中身空の見本品じゃないよね?ちゃぽん、ちゃぽん、いってるもんね?


「……え~っと、それが何?これは一過性のものなんだよね?」


 もう少し詳細を話してよっ!
 ちょっと期待してしまったけど、きっとこれは数時間とか、今日一日限りの魔法のようなものなんでしょ?そうだよね?


「いいえ。私のように人族と情を交わすエルフもごくごく稀におりまして。そうなるとやはりアオイも危惧していたように、寿命の問題にぶつかりますよね?」
「そうだね。そういう話をしたし」

「そんな時にこれを飲むと、相手のエルフ族から寿命をわけることができるようになるのですよ!だから見た目も……予想よりも若いですが、私の少し年下くらいの見た目になったようですね。
 これで二人が死を別つ時も一緒になったのです。まさに究極の運命共同体ですよ!」

「え、嘘……ルーの寿命削ったって……。エルフ族って何年くらい生きるの?あとお酒だけでどうやってルーから寿命を……?」

「方法ですが、長命酒に一滴ほど私の血を垂らしただけで、何も影響はないですよ。
寿命はそうですね、魔力にもよるので……平均800年くらい?私は高い方なので最低でも1000年くらいでしょうか」

「血を一滴だけ?他になにも影響ないのならいいけど……でも、それで私はどのくらいルーから寿命を奪ってしまうの?」」


 あれ?待って。1000年って言ったよね……スケールが違い過ぎる。
 それに、思ったよりも若かったって……想定外が起こったってこと?もしかしてここまで若返ったのは、私が望んだから?神様と会ったことも関係しているのかもしれない。


「ですので、今およそ400歳くらい生きているので……最低でも残り約600年として、それをアオイと半分に分けて、300年くらいでしょうか。半分になったからって悲観してはなりませんよ?
 私はアオイがいない、つまらない600年より、共に生きる300年を選びたいのです。あなたなしの600年なんて、生きていても死んだも同然なのですから」

「でも、そんな……半分も削ったなんて……」


「それこそアオイは転生してきたわけですから、今度こそ若い状態から再スタートしたんだと思うことにしませんか?そうすれば、アオイが叶えたかった事がこれからは叶えやすくなるのではないかと思ったのです……さすがに赤子の状態からのスタートは望めませんけど」

「ルーは迎えに来てくれた時にそこまで考えてくれていたの?私の為にそこまで身を削らなくてもいいのに……」

「いいえ、決めたのはアオイの本当の想いを聞いてからですよ。さすがに想い合っていない状態で使うことは中々できませんので。それに、私自身の願いも叶える為ですから、寿命の一つや二つどうってことないですよ」

「どうってこと、あるでしょ」


 でも寿命が十分大きな対価ではあるんだけど、欠損が起きるとか、寝たきりになるとか、魔力失うとか、そういうのがなくて良かった。
 

「これでアオイの憂いも晴れて、何の問題もなくなったわけですよね?それに、もう元には戻せませんので受け入れた方がいいですよ。諦めて下さい」



 目を閉じ、胸に手を当ててみる。私ちゃんとここで生きてる……
 
 ずっと胸につかえていた『しこり』のようなものがスッキリと消え去ったような、まるで悩みなんて最初からなかったんじゃないかってくらい心は晴れ晴れとしていて、ずっと続いていた眠気もすっかりなくなっていた。



 あの白い世界から戻ったあと、なぜか今はこの世界を当たり前のように受け入れられている自分がいる。多分神様の力……そしてルーの力技にきっと救われたんだ



「うん。私は転生して生まれ変わった、そうでしょ?なんだか清々しい気分だよ」


 急に嬉しくなって、満面の笑みでルーにそう返すと、ルーがとても穏やかな顔で私をジッと見つめていた。
 こうやってラズベリー色の瞳に見つめられてしまうと……私は目を反らせない


 彼は私に一歩近づき、まるで王子様のように、片膝を床に着け、私の手をとった


「初めまして、私は ルーティエライト=フェルスパー=ルべリウス=トパゾス。あなたの名前を教えて頂けませんか?私の事は……ふふ、お好きに呼んでくれて構いません」


 自己紹介を終えると、私の右手の甲に軽くキスを落とした


 ま、まさかルーがこんなことするなんて……。
 でも、とルーは初対面だから、出会いをやり直そうってこと?
 名前も好きに呼んでって……ふふ、あの日と同じだ


「初めまして、私はアオイ=タチバナです。アオイと呼んで下さい。
今日、転生したばかりで何もわからないので色々教えて下さい……えっと、と呼んでも?」

「は!?え?ル、ルティって……」


 みるみる内に、キラキラ王子は真っ赤な顔になり、耳が高速でピコピコしてる。それって尻尾みたいなものなの?
 ふっふっふ……やったぁ、今回も私の勝ち、だよね?


「ふふふ。びっくりした?好きに呼んでいいって言ってたし、【ルティ】って可愛いかなって」

「ぐぅっ!まさかの、「ルー」ではなく「ルティ」ですか……。完全に油断していました!もう、悶え死にしそうですっ!こんなに可愛いアオイを前に、演技なんてできませんっ!
 やはり、今すぐ魔法誓約書にサインして下さい、アオイ!結婚しましょう!!」


 二言目にはすぐ魔法誓約書で縛ろうとするなぁこの男は……サインはしません!


「若返ったことは嬉しいけど、私に何の相談も同意もなく、騙し打ちをするような人は信用できないなよねぇ。とりあえずこの服汚れていて着替えたいから、部屋から出て行って。
 あ~やっぱり誠実が一番だよねぇ。若返ったなら、今度は素敵な男性を探す旅に出るのもいいかもなぁ~なんて」

「ちょっ、、、そ、そんな~アオイ、待って下さい!騙したのではなくサプライズ……そう、サプライズですよっ!
 魔法誓約書は今度でいいので、それよりもアオイの好きな小物を買いに行きましょう、ね?案内しようと思っていた、良い雑貨店があるのを思い出しました!」


 こらこら、冗談だから本気で泣くのはやめてよ。人族ジョークってやつだから!ホントごめん!


 それにしても、たった半日でものすごく濃い日になってしまった……。でもルーの決断は間違ってなかったんだと思う。あの強引な力技と神様の力がなかったら、きっと今の状態はなかったと思う。
 あんなに悩んでいたことが一気に吹き飛んだくらいだし。まぁ新たに長寿問題は生まれたけど……


 ルーが言うように、今この状態で生まれ変わったのだと思えば、本当にうまくいくような気がしてくる。前世の記憶がある分のメリット、デメリットはあるけれど、せっかく若返って生まれ変わったんだから、三度目の正直で変わってみたいと思う。今度こそエンジョイしてって確か神様も言ってたし


 いや、実際戸惑うほど……私めっちゃ若い。18歳くらいじゃない?私史上、一番スタイル良かった頃だし。今度はかえって若い見た目なのに、話し方がおばさん臭いという違和感……毎日眺めていたら若い方に慣れるかなぁ?


 前世あまり出来なかった青春ってやつも叶うかな?オシャレなんかもしてみたいな……ルーに聞いて美のエルフ族に師事させてもらえないかな。
 うっ、ヤバい……遅れて浮かれてきた。顔のニマニマが抑えきれない。。。えへへ


 釣り合うかはともかく、彼の隣にいても年齢的に不自然じゃなくなったことが、すごく嬉しいって喜んでいる自分がいる。
 若返った瞬間から、ルーへの想いを自覚するなんて……ううん、本当は前から気付いていた。
 でも、もう少し自分を磨いて、恋人と名乗っても不思議に思われないように自信をつけたいな。
 そして、ちゃんとお付き合いするところから始めたいんだ、そういうのが憧れだったから


 ルーはすぐに結婚に持って行きたがるけど、私は愛を育んだ先に結婚はあるって思っていたから、すぐに交際もなしに結婚は考えられない。
 本当に時間がたっぷりできてしまったし、焦らずにいきたいかな……だって倍以上寿命が延びたっていうなら、ゆっくりじっくり楽しめる人生にしなきゃだもんね





 だからもう少しだけ待っててね、。私達にはまだまだ時間があるのだから――――









――って、この時はうっとりと自分に酔いながら思っていたんだけど、ここが美を愛するエルフの里ってことをすっかり忘れていた私は、ゆっくりのはずが、翌日には一つの決断を下すこととなるとは……
 当然、微塵も気付いていない



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