悪徳男爵はままならない〜転生した気弱な青年はチートで悪を貫く〜

涼月 風

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第9話 街を探索

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捕らえられていた女の子達に説明し、一応の納得を得られた俺は、少し気が楽になっていた。

女の子達には、地下ではなく、2階にある客間以外の部屋に入ってもらう事にした。

それぞれの事情を聴くのは、みんなが落ち着いてからだ。

執事のジギーが街から戻ってきたようだ。

見慣れない華奢な男を連れている。

「旦那様、途中で、服屋のフランに会いましたのでお連れしやした。これが、頼まれてた薬でやんす」

「あ~~、ご苦労」

俺は、その服屋のフランという男を見ると、

「ひっ! こ、これは、男爵様、ご用がおありとお聞きしましたので参りました」

「女性用の服を頼む。使用人用だ」

「わかりました。では、採寸させていただきたいのですが……」

「わかった。呼んでこよう」

俺は、自分で行こうとすると、胸が痛くなり始めた。

これは、せむし男に行かせた方が良さそうだ。

「2階の客間以外の部屋にいる。呼んで来てくれ」

「ヘイ、でも、いいですかい? 部屋を与えても……」

「その方が、いろいろと都合がいいからな」

「……はっ、そうでやんすね。これで、昼でも夜でも、お楽しみ……。呼んでまいりやす」

あいつの勘違いはどうにかならないのかなぁ~~

「男爵様。デザインはお考えがありますか? 」

服屋のフランは、恐る恐る訪ねてきた。

「メイド服で頼む」

「メイド服ですね。スカートの丈は、長い方が主流ですが」

「膝上10センチで頼む」

これに関しては、俺は煩い。
やはり、ミニスカートじゃなきゃダメでしょう? 

「わ、わかりました。膝上10センチでお造りいたします」

話をしていると、ジギーが女性達を連れてきた。
みんな、オドオドしている。

「お前達、服屋のフランだ。採寸して服を作ってもらう」

『はい……』

女の子達の緊張感が伝わり、息が詰まりそうだ。少し、外に行って気晴らしでもしたい。

「俺は、出かけてくる。あとは、頼んだ」

そう言って、俺は、屋敷を出たのだった。




屋敷を出て、街の方に行くと、街の住民達が避けるように俺に道を譲る。

誰も話しかけてくる様子はなく、ここでも、俺は、目を合わせないようにしている住民達の緊張感が伝わり、居場所がない。

(ダメだ……かえってストレスがたまる……)

俺は、屋敷に引き返し、誰もいないところで、透明化を試してみた。

そして、また、街に繰り出す。

今度は、俺が見えてないのか、住民達は、生き生きとしだした。そして

「悪魔男爵が来た時は、心臓が止まるかと思ったぜ~~」
「全くだ。逆らえば殺されるし、たまったもんじゃねぇぞ」

そんな声が聞こえてくる。

(悪魔男爵って呼ばれてんだ……確かに、俺でもそう思うよ……)

しかし、これでは、真っ当に暮らせそうもないぞ。

住民達にこんなに嫌われてちゃ、何もできないじゃんか!

でも、この透明化の魔法は使えるな。

これなら、自由でいられる。

生まれ変わって初めての開放感だ。

俺は、透明になって街を歩いて周った。

すると、表通りから入った路地から声が聞こえる。

誰かが、助けてと言っていた。

俺は、その声の方に行くと、数人の男達が、女性に乱暴しようとしていた。

(ここは、どんな世界なんだ……治安悪すぎだろう……)

俺は、まだ、使ったことのない闇魔法【ブラックアウト】を試した。
女性を含め男達が闇の球体に包まれた。

「へ~~あんな風になるのか……」

俺は、その中に入ると、俺だけは、感覚に変化はない。
術者には、適用がないようだ。

俺は、女性だけを連れ出し、表通りに逃がしてやる。

女性は、目に見えない誰かに手を引っ張られ、驚いていたが、その場にいたら危ないと思ったのか、駆け足で去って行った。

(まあ、良かったよーー)

俺は、ブラックアウトの中にいる男達を殴り、気絶させ術を解いた。

そして、街の探索を再開したのである。


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