この世界の裏側で誰かが何かをしている〜最強のモブと自重出来ない美少女双子妹〜

涼月 風

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第一章

第11話 爆弾発言

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 新たな転校生みずのえ  静葉しずはの爆弾発言のおかげで、俺のモブ化は頓挫した。

 今や、休み時間のたびに俺と壬の周りに生徒は集まり、罵声やら質問やら投げかけられている。

 俺には、全く意味がわからない。
 壬とは、初めて会ったわけだし旦那様と呼ばれる心当たりがない。

 そんな騒がしい午前中が終わるとお昼の時間になった。
 お弁当を取り出して外で食べようと考えていると隣の席では動かないで固まっている壬がいた。

 その時俺は、声をかけてしまった。
 あとで考えれば魔がさしたと言うほかない。

「お昼だよ」
「うん」
「もしかしてお弁当ないの? 」
「うん」

 お昼のお弁当を用意してこなかったらしい。

「俺の食べる? 」
「くれるの? 」
「ああ、俺は購買で何か買って食べるから」

 俺は、ついそう言ってしまったのだ。

 そして、どう言うわけか校舎の外にある庭園の芝生の上でランチマットを敷いてお昼を食べている。

 しかも、壬と庚達そして俺の双子妹達と一緒にだ。

「さぁ、兄様。説明して下さい。何故、壬さんが兄様の事を旦那様と言っているのかを! 」

「さぁ、全く心あたりがありません」

 当の壬は、俺があげたお弁当を美味しそうにムシャムシャと食べている。

「しかし、時期同じくして2人の転校生が私達のクラスに編入されるとはな。しかも、壬さんは霞君の生涯の伴侶とは驚いたものだ」

「ねぇ、霞君ってもしかして凄いお金持ちとか? それとも、メガネを外したら凄いイケメンとかなの? ねぇ、髪をあげて素顔を見せてよ」

 庚とその友人の結城ゆうき  莉愛夢りあむは、興味深そうに俺の顔をジッと見る。

「私は、陽奈ちゃんや瑠奈ちゃんのお兄さんは素敵な人だと思います」

 そう答えたのは、里にいる子ブタのペロのような胸を持つ双子妹達の友人メグちゃんだ。

「メグってば、可愛いんだから~~」

 陽奈は、またメグの胸を触ろうとしていた。

「凄いねぇ~~、霞君。モテるんだぁ? 意外なところにダークホースがいたのねぇ」

 悪ノリする結城さんは、興味津々といったところだ。

「お兄はねぇ、バカなの。田舎では私達しかいなかったから友達もいないボッチだし、田舎の高校に行ってた時も隠れるように逃げ回って過ごしてたんだよ。本当、意味わかんない」

 陽奈、バラすんじゃねぇーー!
 それは、俺のポリシーなんだから~~!

「そうだったんだ。イジメられて苦労してたのねぇ。じゃあ、私が友達になってあげるよ。スマホ貸して? ID交換しよう」

 それ、勘違いです……

 だが、結城さんの言葉をキッカケに俺のスマホが陽奈に奪われて女子の間を行き来しだした。

 もう、どうにでもして……

 瑠奈は、何故か睨んでるし、そう言えば、みずのえも俺の顔をジッと見つめている。

「ねぇ、旦那様。何でメガネしてるの? 」

「へっ!? 」

「霞の者なのに目が悪いはずがない。何で? 」

 俺と双子妹達は一瞬、固まってしまった。
 空気が張り詰めるとはこんな状況なのだろう。
 ここには、十家以外の人間もいる。
 そんな場所でこの発言は、爆弾を落とされたようなものだ。

「紫外線がキツいというか、スギ花粉が目に入るっていうか……」

「ふ~~ん、そうなの。でも、花粉の時期じゃないよ。それに旦那様には似合わない」

 俺達の様子がおかしかったのか、庚を含めた結城さんとメグちゃんは俺達の様子を不思議がっていた。

「ちょっと、良いか? 『霞の者』ってどう言う意味だ? 」

 庚さんのトマホークが発射された。
 俺達の事は、十家でも当主しか知らないはず。だが、それぞれの家の事情がある。壬が知っていてもおかしくないし庚が知らなくてもおかしくない話だ。

「それは、え~~っと……」

 俺が何と誤魔化せば良いのか言葉に詰まっていると

「庚さん。貴女は十家の庚家ですよね? 『霞の者』を知らないなんてバカなの? 」

 ただの爆弾が水爆になった……

「バカとはなんだ。確かに私は『霞の者』を知らない。だからこそ、尋ねたのだ。それをバカとは、謝罪を要求する。壬 静葉! 」

 何か、雰囲気が怪しくなってきた。

「知らないならいいの。もう私の旦那様に近づかないで! 」

 庚が顔を真っ赤にして怒っている。
 それに加えて、瑠奈の突き刺さるような視線が俺に向けられている。

「みんなどうしちゃったのかな~~なんて」

 結城さんは何とかその場の雰囲気を和ませようとしていた。

 うん、結城さんは、性格の良い子なんだね。

 俺は妙なところで感心していた。

 さて、どうしようか……

 俺は、目で陽奈と瑠奈に合図した。

『撤収! 』

 俺と妹達は、一目散にその場から逃げ出した。



 だって、説明できないしさ……






「お兄、逃げる必要があったの? 」

「陽奈、あの場合は仕方ありません。私達の事は一般人に知られるわけにはいきませんし、あの場で説明できませんから」

「陽奈、瑠奈の言う通りだ。俺達には、敵も多い。余計な事を知れば事件に巻き込まれる可能性がある。メグちゃんを危険な目に合わせたくないだろう? 」

「そうだよね。うん、わかった」

 図書館の裏手にある小さな雑木林の中であの場から逃げ出した俺達は、そう話し合っていた。

「でも、これからどうするの? 」

「あの水爆女は、危険度特Aだ。何故、この時期に霞の者である俺達に近づいてきたのか知る必要がある。調査を頼めるか、瑠奈」

「兄様、調査する以前の問題です。近づいたのは兄様が目的。あの言動と仕草で誰でもわかります」

「そうなのか? 」

「ええ、本当に兄様はご自分の事となると危機感がなってないですね。今の十家は神霊術が衰えた干からびたカエルのようなものなのです。兄様という若くて濃厚な白い液体をかけてもらって瑞々しさを取り戻そうとしているのですよ」

 若くて濃厚で白い液体って……

「わかった。要はお兄の子種が欲しいのね」

「その通りです。種だけではなくて本人もゲット出来たら、と考えているのでしょう」

「意味がわかんないんだけど? 」

「兄様の神霊術は、今の時代それ程貴重なのですよ。陽奈も気をつけて下さい」

「は~~い」

 妹達とこんな会話をするのは如何なものかと思うが、今は緊急事態だ。

「今は時間を稼ぎましょう。メグなら良い子だから私達が話したくない事を無理やり聞き出そうなんて考えませんから大丈夫ですけど、庚さんとその友人についてはお兄様にお任せします」

「まぁ、そうなるよねーー」

「庚さんは十家ですが、現庚当主から私達の事を聞いてない様子でした。私達から話すのは筋違いでしょう」

「何とか誤魔化すよ」

 その後、昼休みギリギリまで粘って、午後の授業に参加した。





 庚 絵里香の視線が怖い……

 授業中にもかかわらず、こちらに圧を送ってくる庚は、相当怒っている様子だ。
 その対象は、壬とあの場所から逃げ出した俺だ。

 早く終わらないかなぁ……

 休み時間になり、速攻でトイレに駆け込む。
 こうすれば、庚は追って来れない。

 隣に座る壬は、俺の行動が気になるのか首を傾げていたが『あんたのせいですから! 』と強く言いたい。

 授業が全て終わり、逃げる様に教室を出た俺の後を追って、庚ではなく壬が追って来た。

 下駄箱の前で俺は、壬に声をかける。

「何か俺に用? 」

「これ」

 壬は、お弁当箱を俺に差し出した。

 そうか、これを渡したかったのか……

「ああ、そうだった」

「うん、美味しかった。ありがと」

 壬は無表情の様だが、少し口角を上げている。

 これが、この子の表現の仕方か……
 表情を上手く表せない程、厳しく育てられたのだろう。

 それは、俺達も一緒だから良くわかる。

「そうか、美味かったか。俺が作ったんじゃないがそう言われると嬉しいよ。またな」

「うん、またね。旦那様……」

 壬の小さな声を聞きながら、俺は靴に履き替え家路に着いた。

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