この世界の裏側で誰かが何かをしている〜最強のモブと自重出来ない美少女双子妹〜

涼月 風

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第ニ章

第48話 お客

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「ただいま~~」

 家に帰って来たが、誰もいない。
 瑠奈も何処かに出かけたようだ。

 部屋を見渡し、ベランダ脇のサンルームもついでに見ると、まだ、洗濯も干してないようだ。

「掃除と洗濯するか……」

 散らかっている服を片付け、ホコリを吸着性のある拭き掃除用の布で拭き、掃除機をかけて布団を干す。
 洗濯機を回している間に、洗面所と浴室の小さなカビを退治しておく。

 約1時間掃除に夢中になってるとお腹がすいてきた。

「もう、お昼をとっくに過ぎてたのか」

 冷蔵庫に入れてあった残った冷や飯を、油を引いたフライパンで炒め適当な具材を入れて即席のチャーハンを作る。

「まあ、こんなもんかな」

 自分が作った料理は、上手くも不味くもない。
 舌が自分の味に慣れてしまって特別美味しいと感じなくなっていた。

 洗濯物が終わったようで、サンルーム内に洗濯物を干していく。
 こういった高層マンションの場合、規約でベランダには洗濯物や布団を干してはいけないと定められている場合が多い。
 こうした場合は、ベランダ脇のサンルームがあり、そこに布団や洗濯物を干す。
 浴室に乾燥機能があり、そこに干す場合もあるが、俺的には太陽さんの働きの方に軍配が上がっていた。
 勿論、間取りによっては、サンルームがない部屋も多いが、茜叔母さんのマンションには都合よく付いていた。

『ピンポーーン』

 呼び鈴が鳴った。
 誰か来たようだ。

 ここに訪問しに来た人物は、昨夜、金髪お嬢様のパーティーで見かけた人だ。
 どうやら、俺に用事があるようで家に招き入れた。

「やあ、悪いね。昨夜、会ったのに挨拶できなくて、帰ってから親父に怒られたよ」

 頭をかきながら、照れ臭そうに話す人物は、辛  誠治。
 辛家当主、現警視総監の息子だ。

 イケメンオーラが眩しすぎる……

「麦茶しかありませんけど」

 ソファーに座っている辛 誠治の前に麦茶を出す。

「おう、サンキュー」

 こうした嫌味のない言葉を口に出せるのもイケメンだからなのだろう。

「俺に何か用ですか? 」

「あ~~親父も優作、そして麗華も君の事、いや、霞兄妹の事を絶賛してたんでね。同じ男として君と話をしてみたくなったんだ」

 10歳近く年の離れた年上のイケメンに、こんな事を言われれば嬉しいものなのだろうか?
 俺には、面倒な奴だとしか思えないが……

「俺には話す事は何もないですよ」

 戯けた表情から、一転して真剣な眼差しになる。
 怒り、興味?  相手の心情など、俺には関係ない。

「まあ、そんな事は言わないでくれ。そう言えば絵里香と同じクラスだというじゃないか? 」

「ええ、クラスメイトです」

「昨夜の絵里香は、真剣だったぞ。優作や麗華に君の事や『霞の者』の事を尋ねていたよ。君は、絵里香に何も言ってないのか? 」

「庚当主が話すべき内容です。俺の口からは、その事を言うつもりはありません」

「それが、霞家の信条ってわけか」

「そんな大それたものではありませんよ。ただ、この件は庚家の問題かと思っていますので」

「確かに、庚家には絵里香しか跡取りがいない。大事に育てたい庚家の気持ちもわかる。だが、何も知らされてない絵里香が可哀想になってな。あんな真剣になってる絵里香は、剣道の大会でも見たことがなかったよ」

「そうですか。俺としては、庚家が話すのであれば構いませんし、気にもしません」

「そうか、そうか。まずは両親を説得しないと絵里香には、君達のことを知る術はないという話か」

「別にそこまで重い話でもないと思いますが? 人の口はふさぐことができません。いずれ、誰かの口から俺達の事を聞く事もあると思いますよ」

「それが、俺でもか? 」

「俺には関知できない事ですので」

「やめた、やめた。庚家から睨まれるのは御免だ。それに、絵里香は暴走しそうだしな。話して『はい、終わり』ってだけで済みそうにもない。きっと、尾を引く問題になりそうだ」

 確かに、庚 絵里香は暴走するだろう。
 自身の正義感を疑わない彼女なら……
 それに、現に危険な目に遭っているしね。

「それで、最近ではいろいろキナ臭い事になってるようだな? 」

「ええ、影に隠れてた人物達が動き始めたようです」

「親父は来年が危なそうだと言っていたが? 」

「星読みはあまり得意ではないのですが、確かに来年は星が揃います」

 昔からその年の吉凶を占うには星の巡りを重ね合わせていた。
 その星が来年は凡そ800年~850年振りに揃う予定だ。
 正確に、算定できないのは当時の資料不足によるものだ。

「今から、834年前は星読みを得意としていた陰陽師が仕えていた平家が討伐された年だ。関係があると思うか? 」

「わかりませんが、ひとつの氏が滅びる事はどの時代でもある事です。ですが、無関係かどうかは判断は出来ません」

「邪鬼はどうなんだ? 」

「この近辺は低級しか出てません。この間、妹が中級が出たと喜んでましたが、それも1匹です。今のところ、急な変化は無いようです」

「そうか、今度俺も討伐に連れて行ってくれ」

「誠治さんをですか? 」

「ああ、俺にはこれがある」

 ジャケットの内側のホルスターから2丁の拳銃を取り出した。

「この拳銃は、少し加工してある。それに、弾丸は壬家の浄化の術を仕込んであるんだ。俺は剣はあまり好きじゃない。今の時代、格好悪いだろう? だから、俺はこれを撃ちたくてニューヨークを基点にアメリカに渡ったんだ。そういえば、昨夜、壬家の静葉ちゃんがいたからびっくりしたんだぞ。よく聞けば、君と一緒になると言ってるし、更に驚いたんだよ」

 そう言えば、パーティーで、2人は話をしてたな……

「壬家当主から言われているようです。本人の意思を無視して」

「それはどうかな? 君の事を嬉しそうに話してたぞ。あんな、静葉ちゃんを見るのも初めてだ。どうやら、君は、いろいろ特別らしいぞ。それに感情が豊かになった。前は人形のようだったからね」

 それは、俺も感じていた事だ。

「で、いつ行くんだ? 」

「周辺の討伐は、毎晩やってますが、誠治さんの拳銃では都会は音とか流れ弾とか本領を発揮するには少し窮屈でしょうね。今度遠征に行く時でも良いですか? 」

「遠征に行くのか? 何処なんだ? 」

「残念ですが、まだ、決まってません。ですが、前は一月の1回以上は行ってましたし、来月の学校の文化祭が終わった頃、辺りですかね」

「文化祭か~~懐かしいな、じゃあ、ここに連絡してくれ。これが連絡先だ」

 誠治さんは自分の名刺を置いて行った。

 名刺には、FBIと書かれていた。





 夕方、みんなが帰ってきた。
 米は炊いておいたし、オカズは近所のスーパーで魚を買ってある。
 陽奈の好きな唐揚げも忘れてはいない。

 夕食時、今日の出来事をみんなで共有する。

 茜叔母さんは、仕事から帰ってくるなりビールを飲み始め「もう、仕事なんてやってられないわ!」と、上司や同僚の文句を言い出した。

 仕事より、人間関係が面倒のようだ。

 陽奈は、水沢の家で仲良くクッキーを作ったりして楽しんだり、水沢の弟とゲーム合戦をしていたらしい。

 瑠奈の方は、戊家に招かれていたという話をしてきた。

「兄様のお話が出た時は、戊家を滅ぼそうかと思いました」

 何の話をしてきたのかな?
 危ない事はしないでほしい……

 そして、瑠奈は有力な情報を持ち帰ってきたようだ。

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