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第47話 メッセージ
しおりを挟む~倉元リリカ~
私が通う高校は、芸能人が多く通ってる私立高校だ。
シズオカノ県出身の私は、中学を卒業と同時にトウキョウで1人暮らしを始めた。
最初反対だった両親も私達のアイドル活動に人気が出た為、賛成してくれた。
中学生の頃は、シズオカから新幹線でトウキョウに通い、レッスンやミニコンサートをしてきた。
両親も時間がある時は一緒についてきて私達の活動を応援してくれていた。
そんな頃が少し懐かしく思う。
最近は忙しくて学校に行っても眠くなってしまい勉強が疎かになっている気がする。
私が通う芸能人特別クラスは、仕事で学校を休んでも課題を出せば単位をもらえる。
『FG5』の基本方針は、学校も仕事も両立させること。
なので、勉強も疎かにするわけにはいかない。
現在、高校1年生は私と芹沢アヤカの2人。
中学3年生は、栗本ユキナ、関内ミミカの2人。
中学2年生は、柚木カレンの1人だけだ。
アヤカは、私と同じ同学年だが通ってる学校は違う。
彼女は地元ヨコハマのミッション系の高校に通っている。
ユキナとミミカ、そしてカレンも地元の学校に通う。
ユキナは、チバ県のウラヤス。
ミミカは、トウキョウの区内だ。
カレンは、サイタマ県の県庁所在地に住んでいる。
ユキナとミミカは受験が控えており、勉強を頑張っている。
この前、グループチャットでカレンから「サブくんに英語教わちゃった。凄く丁寧に訳して送ってくれたんだあ」と、書いてあった。
カズキが褒められて私も嬉しいけど、なんだろう?凄くモヤモヤする。
そしてミミカからも「サブキに数学教わった。サブキって頭いいから助かる」と書いてある。みんなカズキと上手くやってるみたいだ。
でも、カズキの好感度が上がるたび、私のイライラも上昇するのはなぜだろう。
きっと、あの病院の屋上でカズキの素顔を見たせいだ。
カズキは超絶イケメンだった。
額に傷があるのがワイルドでカッコいい。
普段はダサい眼鏡と長い前髪で隠してるけど、その素顔は反則級のイケメン。
芸能人だってあんなイケメン見たことない。
私はズルいって思った。
だって、あの時から私はカズキのことばかり考えてる。
勉強が手につかないのは、それも原因のひとつだ。
今、私の前には課題が積まれている。
苦手な数学が8枚もあるし、気分は最悪。
一瞬、みんなみたいにカズキに教えてもらおうかと考えた。
でも、なんか悔しい。
偉そうなカズキの口調が耳元で聴こえてきそうだ。
仕方ない、やるか……
私はペンを取って数学の1枚目の問題を解き始めた。
◆
~東藤和輝~
昼休み、今日は穂乃果は仕事で学校を休んでいる。
金堂組の件で聡美姉から頼まれたようだ。
俺は1人で、屋上に続く階段の上で弁当を食べている。
外は大雨になってしまったので、いつもの木陰の場所は使えない。
雨が降った場合は、この場所と決めていた。
学校の屋上は閉鎖されている為、ここには誰も人は来ない。
そんな素敵な場所を発見した俺を褒めてもらいたい。
雫姉のお弁当は相変わらず美味しい。
俺は弁当をパクパク食べていると、スマホが振るえる。
俺は差出人を見て、内容を確かめた。
「この問題教えなさいよね」
差出人は倉元リリカ。
プリントの写真付きで合計8枚もある。
1枚目は途中までやった形跡があるが答えが間違っている。
「はあ~~全く、リリカのやつ、弁当ぐらいゆっくり食わせろ!」
俺は、1枚目から問題を解き始めた。
「これ、結構時間がかかるな」
8枚のプリントの写真を見て、少しうんざりするも頼まれた以上はやるのが俺の任務だ。
結局、弁当は途中になり問題ばかり解いて昼休みは終わってしまった。
リリカにその旨の文句のひとつを追加しながら答えを送ると「今度奢るわ」と素っ気なく返信がきた。
はあ、あいつには「ありがとう」という言葉は存在しないようだ。
◆
~倉元リリカ~
「あ~~課題が終わらない、というかわからない」
昨夜、頑張って終わらそうとした数学の課題は1枚目で挫折した。
途中でメンバー達からグループメッセージがきて、スマホの中でお喋りしてしまったのが原因だ。
今日中に提出しなければならないのに、困った……
私は恥も外聞もなく昼休みにカズキにプリントを写真に撮って送ってみた。
その際、可愛らしく「教えて」と書いておいた。
こんな枚数解けるか!と、怒られると思ったが、いくら待っても返信がこない。
既読はついてるので読んでくれてるのはわかっている。
「なんで返信してこないのよ~~!」
私は、購買で買ったサンドイッチを食べながら、カズキからの返信を待った。
もう過ぐ昼休みも終わりそうだ。
カズキの奴、バックれたと思った瞬間、ノートを写した写真付きで返信がきた。
なんと数学の課題が全て終わってる。
これを写せば、課題はOKだ。
写すだけなら時間もそんなにかからない。
「さすが、カズキね。私が認めた男子だけあるわ」
「弁当が途中までしか食えなかった。どうしてくれるんだ?」
と、カズキのメッセージがおまけに書いてあったけど、仕方がないわ。
私は「今度カズキの好きなものを奢ってあげる。問題ありがとう」と伝えなきゃ。
私はカズキにお礼のメッセージを送った。
◆
~芹沢アヤカ~
最近の『FG5』の活動はうまくいってる。
この前のヨメイリ・ランドでのミニコンサートも大成功だ。
このまま8月の武道館も成功させたい。
特にリーダーのリリカちゃんの頑張りが大きいと思う。
シズオカの田舎から出てきた彼女は、最初、私達とあまり馴染めなかった。
特にダンスが下手で、いつも同じところでつっかえてた。
本人はすごく真面目で頑張ってるのはわかるけど、多分、レッスンに時間をかけられないのが原因だと思う。
中学卒業と同時にトウキョウに出てきた彼女の躍進は凄まじいものだった。
元々、物覚えは良い子だ。
やはり、レッスンの時間が取れなかったのが原因だったようだ。
でも、そんな彼女は、どこか浮かない顔をたまにしてた。
そして、衝撃の事実を知る。
彼女はストーキングされてたらしい。
それも美柑のお兄さんに……
そうげきな事実を聞いて私は驚いた。
こんな問題を抱えながら、レッスンには手を抜かず、みんなの為に頑張ってたリリカちゃんを私は凄いと思う。
そして、新たな事実を聞かされた。
サブマネージャーだったあの男子はリリカの護衛だったという話だ。
高校生なのに探偵事務所の仕事をしてるって聞いてびっくりしたことを覚えている。
それにリリカちゃんの問題を解決してくれたのもその高校生だ。
正直、名前を覚えていない。
サブマネージャーだから「サブちゃん」って呼ぼう。
みんな好き勝手にサブちゃんの事を読んでいる。
リリカちゃんだけは、カズキって呼び捨てしてるけど……
私は思うんだ。
もしかしたら、リリカちゃんはサブちゃんの事好きなんじゃないかって。
ストーカーから助けてくれた存在だし、吊り橋効果みたいな状況になってしまったんじゃないかって。
サブちゃんは、悪い子じゃないってわかるけど、正直ダサいし、暗い。
でも、お仕事はちゃんとしてくれる。
私達を変な眼で見ないところも好印象だ。
だけど、好んで好きになるタイプじゃない。
素顔がよくわからないけど、もしイケメンだったら考えてもいいかも。
私の高校はミッション系の女子高生だ。
男の人は高齢の先生しかいない。
みんなは他の学校の男子と付き合ったりしてるみたいだけど、私には芸能活動があるから無理。
同じ年頃の身近な男子は~~う~~ん、あれ、サブちゃんしかいない。
あ~~最悪だあ~~!
でも、あのリリカちゃんが好きみたいだから、もしかして凄い子なのかも。
そうだ、この間聞いたIDで連絡してみよう。
男子と連絡し合うのは初めてだし、練習にもなるしね。
私は試しにサブちゃんにメッセージを送ってみた。
◆
~東藤和輝~
午後の最初の授業は自習だった。
担当の英語先生が部活顧問をしており、その遠征に行ってるようだ。
プリントが配られており、英単語の書き取りをノートに写して提出するようだ。
俺はさっさと終わらせて本を読み始めた。
その時、スマホが振るえる。
俺はスマホを取り出して内容を確認した。
~~~~
『ヤッホー元気してる?』
なんだ、このバカっぽいメッセージは?
差出人は芹沢アヤカ。『FG5』のメンバーのひとりだ
「元気だけど、お前のあいさつバカっぽいぞ」
返信完了っと……
『バカってなによ!プンスカ!』
おっさんが怒ってるイラストと一緒に送ってきた。
こういうところがバカっぽい。
「今、授業中なんじゃないのか?」
『そうだけど、自習』
奇遇だな、俺と同じだ。
だが、自習なら勉強してればいいはず。
「自習しろっ!バカになるぞ」
『私は勉強できます。成績はいつも上位なんです~ぅ』
『そっちこそ授業中にスマホいじってバカになるわよ。授業聞きなさい』
アヤカの奴、2連続で送ってきた。
「俺のところも自習だ。既に課題はクリアした」
『へ~~自習だったんだ。友達と喋らないの?』
「喋る友達はいない」
『ああ、そうか、サブちゃん、暗いし隠キャのイメージあるし、ぼっちなんだあ』
「悪いか?そっちこそどうなんだ?」
『私はクラスの人気者なんです~~ぅ』
「アヤカ、怪しいぞ。人気者は普通、自習時間に俺なんかにメッセージを送ってこないぞ」
『私ボッチじゃないもん、怪しくないもん』
「語尾にもんを付ける自体怪しい」
『本当だよ。証拠見せてあげるよ』
アヤカは、クラスメイトと仲良くしてる写真を送ってきた。
「いくら払ったんだ?」
『お金払って写真なんか撮りません!この子達は本当の友達なんです~~ぅ』
「わかった、わかった……むりそなくてもいいよ。アヤカは頑張ったんだから……」
「なに、慰めてんの?信じられない!プンスカ!」
また、怒ったおっさんのイラストが届いた。
『今度はいつサブの仕事来るの?』
怒ってたと思ったらまさかの2連続。
「蓼科さんから来てくれと言われてない」
『もしかしてサブちゃんって、いらない子なんじゃないの?うしし』
「そういう時はリリカから来いと強制連行される」
『リリカちゃんの事は言うこと聞くんだあ~~怪しいぞ』
「リリカだけじゃない。もちろんアヤカから言われたら行くぞ」
仕事だしな……
『へ~~そうなんだ。じゃあ、もし今日の放課後迎えに来てって言ったら来てくれるの?』
「確かヨコハマだったな。時間はかかるが来いと言われれば行くぞ」
任務だしな……
『じゃあ、迎えに来てよ。雨だし1人でレッスン行くの憂鬱なんだ』
「わかった。じゃあ、あとで」
仕事なら仕方ないな……
俺はアヤカが通う学校の最短移動距離をスマホで検索していた。
◆
~芹沢アヤカ~
「えっ、マジなの?」
私は冗談のつもりだった。
でも、サブちゃんはマジなようだ。
「どうしよ~~う」
でも、いいか。
サブちゃんとのやりとりは女子とするより楽しかった。
特に気を使わなくて済むから言いたいことが言えた。
放課後、少し待ってみよう。
もし、来てくれたらお礼にバレンタインの時に義理チョコでもあげよう。
私は憂鬱な雨の日が少しだけ楽しくなった。
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