64 / 93
Change
しおりを挟む
千晶は起き上がると服についた土埃を手で払う、その悠然とした態度に鬼頭は不思議そうな表情を浮かべた。
鬼頭が千晶の顔を見ると殴り飛ばしたはずの頬に跡も腫れもなく、千晶の足下には薄い岩の破片が落ちていた。
(なるほど、岩の魔力を鎧のように纏ったのか。)
千晶の様子を見るに鬼頭があれだけの猛攻を仕掛け、千晶に与えたダメージは無に等しいものであった。
しかし鬼頭は落胆することなくファイティングポーズをとる。
(なら何度でも拳を叩き込んでやる、今は俺が圧倒してんだ。この勢いで行けば・・・!)
そう思った鬼頭は大地を蹴り一瞬で千晶の目の前に迫る、しかし千晶の表情に焦りはなかった。
「それだけか?」
突然、千晶に問いかけられるが構わず鬼頭は正拳突きを放つ。が、岩の壁に阻まれ千晶が杖で地面を叩くと鬼頭の脚が砂に捉えられ、そのまま投げ飛ばされる。
そして受け身をとった鬼頭に千晶は上空を指差し、次のように言った。
「他になにかあるのなら、出し惜しみはやめておけ。でなければお前は次の俺の攻撃で負ける。」
鬼頭が上を見上げると空には公園で最初に戦った時に千晶が作ったものと同じ岩のピラミッドがあった。
以前は脚を砂で捉えられ回避することが出来なかった、しかし今は先程のように闘気で砂を吹き飛ばすことができる。
鬼頭はそう思い黒い闘気を膨張させる、しかし突然身体がガクッと下に沈み足下を見ると地面に沼が形成されていた。
脚からゆっくりと沼に沈んでいき、慌てる鬼頭を見て進は驚愕の表情を浮かべた。
「バカな、ここに沼なんてなかったはず───」
進はまさかと思いながら千晶を見ると、千晶は笑みを浮かべ右手を空高くかざしていた。
千晶は戦いの中で自分の繰り出す攻撃に対して鬼頭がどういった反応を起こすのかを観察していた。
そして以前とは違い、鬼頭は脚を砂で拘束してもそれを解く術があった。そこで千晶は砂よりも拘束力があり、尚且つ鬼頭の機動力を奪うのに適した"沼"に彼の足下の地形を変えて拘束したのだ。
「俺の魔力の属性は岩じゃない、大地そのものだ。地形を変える程度のこと、造作もないんだよ。」
そう言って千晶が右手の指をパチンと鳴らすと頂点を下に向けたピラミッドが鬼頭に向けて落下していく。
(またなのか・・・!また俺は、凡人は、天才に負けるのか・・・!)
無理に抜け出そうともがいた結果、腰の高さまで沼に沈んだ鬼頭は身動きが取れず、落下してくるピラミッドをただ睨みつけることしかできない自身の無力さを恨んだ。
「おおおおおおおおぁぁ!!!」
ついには怒りの咆哮をあげ涙を流す、次第に鬼頭のあげる咆哮が人外じみたものへと変わっていく。
『あああ⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎!!!』
黒い闘気が鬼頭の感情の昂りに呼応するかのように急激に膨張しはじめる、そして右腕にはまるで異形が持つ巨大な爪を形成し、左肩からは不気味な肌色の長い腕が生える。
そして膨張した闘気は鬼頭を拘束する沼を地面ごと抉り取ると辺りへ吹き飛ばす、沼から脱出した鬼頭は再び上空のピラミッドを睨みつけると大地を蹴り飛翔する。
下を向いているピラミッドの頂点を右腕の巨大な爪で鷲掴み咆哮をあげながら力を入れ握りしめる、するとピシピシと音を立てながらピラミッドにヒビが入りはじめ、鬼頭の右腕の爪がピラミッドの頂点を握り潰すと同時に轟音をたてながらピラミッドは崩壊した。
ピラミッドの残骸は辺りに落下していき砂塵を巻き上げる、千晶は桐江のもとへと瞬時に駆けつけ彼女を守った。
ピラミッドの崩落が止みやがて砂塵も晴れると桐江の無事を確認し千晶はその場から離れた。
千晶はピラミッドの残骸が散らばる戦場に戻り、そこに佇む鬼頭と再び対峙する。
そして鬼頭の姿を目にした千晶はそのあまりの変化に驚きの表情を見せた。
「おいおいマジかよ・・・お前、その姿はまるで・・・」
右腕の巨大な爪、左肩から生える不気味な肌色の長い腕、そして臀部からは長い尻尾が生えていた。目つきも人間のそれとはかけ離れており、まさに"異形"と呼んでも差し支えないほどの禍々しい姿へと変容を遂げていた。
この鬼頭の予期せぬ変化に進も驚き戸惑う。
「なんだ、この変化は・・・私はこんなの知らないぞ・・・」
そして鬼頭は千晶を視界に捉えると口角を上げてニヤリと笑いながら大地を蹴り、真っ向から千晶に突進する。
右腕の爪を無造作に振るうと千晶は岩の壁で防ぐが、爪は岩の壁を簡単に砕き千晶を襲う。千晶はギリギリ回避するが鬼頭は身を翻し尻尾を鞭のようにしならせて振るう。
尻尾の打撃を杖でなんとか防ぐがあまりの衝撃に後ずさる。
(パワーもスピードも、"人間離れ"なんてレベルじゃねぇな。とんでもねぇもん作りやがってあの親父・・・!)
心の中で恨み言を言いながら進を見ると、千晶には父がなぜかうろたえてるように見えた。
「どこで・・・なにを、間違えたんだ。私は、私は・・・」
進は小声でつぶやきながら異形に近い存在へと変異した鬼頭を見つめていた。
『こんなはずではなかった。』
そう心の中で繰り返しながら、進は己の過去を思い返す。
─────
───
─
私の妻は幼い頃から身体が弱かった、幼なじみである私は彼女が他の子達のように元気に外で遊べないのを不憫に思っていた。
幼い頃から彼女に恋心を抱いていた私は他の子達と外で遊ぶことはせず、彼女の家で一緒に本を読んだり彼女が休んでいる間に学校で起きたりしたことを話したりして楽しく遊んでいた。
時折、家の塀の向こうから子供達の元気に走る音や楽しそうな声が聞こえた時、彼女はふと羨ましそうな表情を浮かべ、それを見る度に私の心は締め付けられたように痛んだ。
年月が経ち中学に上がっても彼女の体質は改善されず学校を休みがちになり、彼女自身も半分諦めていたようにも見えた。
中学でも相変わらず私は彼女の家で彼女に勉強や宿題を教えたり、観たテレビ番組の話などをして遊んでいた。
彼女のご両親も幼なじみである私が変わらず娘と仲良く遊んでいるのがありがたかったらしく、そして彼女は私と遊んでいる時が一番元気だと私を歓迎してくれていた。
そんなある日、彼女が突然私に問いかけてきた。
「進くんは、私と遊んでて楽しい?」
「え、当たり前じゃないか、君は僕の一番の友達さ。」
"なぜそんなことを聞くのだろう?"そんなことを思いながら読んでいた本から視線を外し、私が彼女の目を見つめて質問に答えると彼女は安堵の表情を浮かべた。
「私って外に出られないじゃない?千晶くんは男の子だから、外で遊びたいんじゃないかなって。」
彼女の言葉を聞き、私は"そんなことか"とため息をついた。
「僕はあまり運動が得意じゃなくてね、それに・・・僕は君と一緒にいるのが好きなんだ。」
言い終えたあとでなにか恥ずかしいセリフを言ったような気がして私は彼女の顔を見ると、彼女の頬はほんのりと赤く染まっていた。つられて私まで恥ずかしくなり読んでいた本で顔を隠した。
そしてほんの数秒の沈黙のあと、彼女が口を開いた。
「それって、私のことが好きってこと・・・?」
彼女の言葉に返す照れ隠しの言葉も思い浮かばず、私は本を閉じて机の上に置き、紅潮した顔で彼女と向き合った。
「そ・・・そうさ、僕は君のことが前から好きだったさ。」
そしてまっすぐな好意を彼女に伝えた、彼女は一瞬嬉しそうな表情を浮かべたがすぐに顔を俯かせた。
「それって、私の身体が弱くて・・・"可哀想だ"と思ったから?」
「違う!」
彼女の言葉を私は即座に、シンプルに否定した。私は同情や哀れみという、そんな不純な感情で彼女を好きになったわけでは断じてないからだ。
「僕は君の、静かで優しい性格が好きだ!もし君が自分の身体の弱さを負い目に感じているのなら、僕が"変えて"みせる!」
私が彼女の前で声を張り上げたことなどその時まではなかった、彼女の唇が小さく震え両眼から涙を流しながら一言つぶやいた。
「ありがとう。」
その時から私と彼女の関係が親友から恋人に"変わった"。
読んでいた本は漫画から医学書に、そして医学書から科学書へと"変わった"。
そして医者を志していた私は科学者になった。
鬼頭が千晶の顔を見ると殴り飛ばしたはずの頬に跡も腫れもなく、千晶の足下には薄い岩の破片が落ちていた。
(なるほど、岩の魔力を鎧のように纏ったのか。)
千晶の様子を見るに鬼頭があれだけの猛攻を仕掛け、千晶に与えたダメージは無に等しいものであった。
しかし鬼頭は落胆することなくファイティングポーズをとる。
(なら何度でも拳を叩き込んでやる、今は俺が圧倒してんだ。この勢いで行けば・・・!)
そう思った鬼頭は大地を蹴り一瞬で千晶の目の前に迫る、しかし千晶の表情に焦りはなかった。
「それだけか?」
突然、千晶に問いかけられるが構わず鬼頭は正拳突きを放つ。が、岩の壁に阻まれ千晶が杖で地面を叩くと鬼頭の脚が砂に捉えられ、そのまま投げ飛ばされる。
そして受け身をとった鬼頭に千晶は上空を指差し、次のように言った。
「他になにかあるのなら、出し惜しみはやめておけ。でなければお前は次の俺の攻撃で負ける。」
鬼頭が上を見上げると空には公園で最初に戦った時に千晶が作ったものと同じ岩のピラミッドがあった。
以前は脚を砂で捉えられ回避することが出来なかった、しかし今は先程のように闘気で砂を吹き飛ばすことができる。
鬼頭はそう思い黒い闘気を膨張させる、しかし突然身体がガクッと下に沈み足下を見ると地面に沼が形成されていた。
脚からゆっくりと沼に沈んでいき、慌てる鬼頭を見て進は驚愕の表情を浮かべた。
「バカな、ここに沼なんてなかったはず───」
進はまさかと思いながら千晶を見ると、千晶は笑みを浮かべ右手を空高くかざしていた。
千晶は戦いの中で自分の繰り出す攻撃に対して鬼頭がどういった反応を起こすのかを観察していた。
そして以前とは違い、鬼頭は脚を砂で拘束してもそれを解く術があった。そこで千晶は砂よりも拘束力があり、尚且つ鬼頭の機動力を奪うのに適した"沼"に彼の足下の地形を変えて拘束したのだ。
「俺の魔力の属性は岩じゃない、大地そのものだ。地形を変える程度のこと、造作もないんだよ。」
そう言って千晶が右手の指をパチンと鳴らすと頂点を下に向けたピラミッドが鬼頭に向けて落下していく。
(またなのか・・・!また俺は、凡人は、天才に負けるのか・・・!)
無理に抜け出そうともがいた結果、腰の高さまで沼に沈んだ鬼頭は身動きが取れず、落下してくるピラミッドをただ睨みつけることしかできない自身の無力さを恨んだ。
「おおおおおおおおぁぁ!!!」
ついには怒りの咆哮をあげ涙を流す、次第に鬼頭のあげる咆哮が人外じみたものへと変わっていく。
『あああ⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎!!!』
黒い闘気が鬼頭の感情の昂りに呼応するかのように急激に膨張しはじめる、そして右腕にはまるで異形が持つ巨大な爪を形成し、左肩からは不気味な肌色の長い腕が生える。
そして膨張した闘気は鬼頭を拘束する沼を地面ごと抉り取ると辺りへ吹き飛ばす、沼から脱出した鬼頭は再び上空のピラミッドを睨みつけると大地を蹴り飛翔する。
下を向いているピラミッドの頂点を右腕の巨大な爪で鷲掴み咆哮をあげながら力を入れ握りしめる、するとピシピシと音を立てながらピラミッドにヒビが入りはじめ、鬼頭の右腕の爪がピラミッドの頂点を握り潰すと同時に轟音をたてながらピラミッドは崩壊した。
ピラミッドの残骸は辺りに落下していき砂塵を巻き上げる、千晶は桐江のもとへと瞬時に駆けつけ彼女を守った。
ピラミッドの崩落が止みやがて砂塵も晴れると桐江の無事を確認し千晶はその場から離れた。
千晶はピラミッドの残骸が散らばる戦場に戻り、そこに佇む鬼頭と再び対峙する。
そして鬼頭の姿を目にした千晶はそのあまりの変化に驚きの表情を見せた。
「おいおいマジかよ・・・お前、その姿はまるで・・・」
右腕の巨大な爪、左肩から生える不気味な肌色の長い腕、そして臀部からは長い尻尾が生えていた。目つきも人間のそれとはかけ離れており、まさに"異形"と呼んでも差し支えないほどの禍々しい姿へと変容を遂げていた。
この鬼頭の予期せぬ変化に進も驚き戸惑う。
「なんだ、この変化は・・・私はこんなの知らないぞ・・・」
そして鬼頭は千晶を視界に捉えると口角を上げてニヤリと笑いながら大地を蹴り、真っ向から千晶に突進する。
右腕の爪を無造作に振るうと千晶は岩の壁で防ぐが、爪は岩の壁を簡単に砕き千晶を襲う。千晶はギリギリ回避するが鬼頭は身を翻し尻尾を鞭のようにしならせて振るう。
尻尾の打撃を杖でなんとか防ぐがあまりの衝撃に後ずさる。
(パワーもスピードも、"人間離れ"なんてレベルじゃねぇな。とんでもねぇもん作りやがってあの親父・・・!)
心の中で恨み言を言いながら進を見ると、千晶には父がなぜかうろたえてるように見えた。
「どこで・・・なにを、間違えたんだ。私は、私は・・・」
進は小声でつぶやきながら異形に近い存在へと変異した鬼頭を見つめていた。
『こんなはずではなかった。』
そう心の中で繰り返しながら、進は己の過去を思い返す。
─────
───
─
私の妻は幼い頃から身体が弱かった、幼なじみである私は彼女が他の子達のように元気に外で遊べないのを不憫に思っていた。
幼い頃から彼女に恋心を抱いていた私は他の子達と外で遊ぶことはせず、彼女の家で一緒に本を読んだり彼女が休んでいる間に学校で起きたりしたことを話したりして楽しく遊んでいた。
時折、家の塀の向こうから子供達の元気に走る音や楽しそうな声が聞こえた時、彼女はふと羨ましそうな表情を浮かべ、それを見る度に私の心は締め付けられたように痛んだ。
年月が経ち中学に上がっても彼女の体質は改善されず学校を休みがちになり、彼女自身も半分諦めていたようにも見えた。
中学でも相変わらず私は彼女の家で彼女に勉強や宿題を教えたり、観たテレビ番組の話などをして遊んでいた。
彼女のご両親も幼なじみである私が変わらず娘と仲良く遊んでいるのがありがたかったらしく、そして彼女は私と遊んでいる時が一番元気だと私を歓迎してくれていた。
そんなある日、彼女が突然私に問いかけてきた。
「進くんは、私と遊んでて楽しい?」
「え、当たり前じゃないか、君は僕の一番の友達さ。」
"なぜそんなことを聞くのだろう?"そんなことを思いながら読んでいた本から視線を外し、私が彼女の目を見つめて質問に答えると彼女は安堵の表情を浮かべた。
「私って外に出られないじゃない?千晶くんは男の子だから、外で遊びたいんじゃないかなって。」
彼女の言葉を聞き、私は"そんなことか"とため息をついた。
「僕はあまり運動が得意じゃなくてね、それに・・・僕は君と一緒にいるのが好きなんだ。」
言い終えたあとでなにか恥ずかしいセリフを言ったような気がして私は彼女の顔を見ると、彼女の頬はほんのりと赤く染まっていた。つられて私まで恥ずかしくなり読んでいた本で顔を隠した。
そしてほんの数秒の沈黙のあと、彼女が口を開いた。
「それって、私のことが好きってこと・・・?」
彼女の言葉に返す照れ隠しの言葉も思い浮かばず、私は本を閉じて机の上に置き、紅潮した顔で彼女と向き合った。
「そ・・・そうさ、僕は君のことが前から好きだったさ。」
そしてまっすぐな好意を彼女に伝えた、彼女は一瞬嬉しそうな表情を浮かべたがすぐに顔を俯かせた。
「それって、私の身体が弱くて・・・"可哀想だ"と思ったから?」
「違う!」
彼女の言葉を私は即座に、シンプルに否定した。私は同情や哀れみという、そんな不純な感情で彼女を好きになったわけでは断じてないからだ。
「僕は君の、静かで優しい性格が好きだ!もし君が自分の身体の弱さを負い目に感じているのなら、僕が"変えて"みせる!」
私が彼女の前で声を張り上げたことなどその時まではなかった、彼女の唇が小さく震え両眼から涙を流しながら一言つぶやいた。
「ありがとう。」
その時から私と彼女の関係が親友から恋人に"変わった"。
読んでいた本は漫画から医学書に、そして医学書から科学書へと"変わった"。
そして医者を志していた私は科学者になった。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
クラス最底辺の俺、ステータス成長で資産も身長も筋力も伸びて逆転無双
四郎
ファンタジー
クラスで最底辺――。
「笑いもの」として過ごしてきた佐久間陽斗の人生は、ただの屈辱の連続だった。
教室では見下され、存在するだけで嘲笑の対象。
友達もなく、未来への希望もない。
そんな彼が、ある日を境にすべてを変えていく。
突如として芽生えた“成長システム”。
努力を積み重ねるたびに、陽斗のステータスは確実に伸びていく。
筋力、耐久、知力、魅力――そして、普通ならあり得ない「資産」までも。
昨日まで最底辺だったはずの少年が、今日には同級生を超え、やがて街でさえ無視できない存在へと変貌していく。
「なんであいつが……?」
「昨日まで笑いものだったはずだろ!」
周囲の態度は一変し、軽蔑から驚愕へ、やがて羨望と畏怖へ。
陽斗は努力と成長で、己の居場所を切り拓き、誰も予想できなかった逆転劇を現実にしていく。
だが、これはただのサクセスストーリーではない。
嫉妬、裏切り、友情、そして恋愛――。
陽斗の成長は、同級生や教師たちの思惑をも巻き込み、やがて学校という小さな舞台を飛び越え、社会そのものに波紋を広げていく。
「笑われ続けた俺が、全てを変える番だ。」
かつて底辺だった少年が掴むのは、力か、富か、それとも――。
最底辺から始まる、資産も未来も手にする逆転無双ストーリー。
物語は、まだ始まったばかりだ。
無能妃候補は辞退したい
水綴(ミツヅリ)
ファンタジー
貴族の嗜み・教養がとにかく身に付かず、社交会にも出してもらえない無能侯爵令嬢メイヴィス・ラングラーは、死んだ姉の代わりに15歳で王太子妃候補として王宮へ迎え入れられる。
しかし王太子サイラスには周囲から正妃最有力候補と囁かれる公爵令嬢クリスタがおり、王太子妃候補とは名ばかりの茶番レース。
帰る場所のないメイヴィスは、サイラスとクリスタが正式に婚約を発表する3年後までひっそりと王宮で過ごすことに。
誰もが不出来な自分を見下す中、誰とも関わりたくないメイヴィスはサイラスとも他の王太子妃候補たちとも距離を取るが……。
果たしてメイヴィスは王宮を出られるのか?
誰にも愛されないひとりぼっちの無気力令嬢が愛を得るまでの話。
この作品は「小説家になろう」「カクヨム」にも掲載しています。
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
拾われ子のスイ
蒼居 夜燈
ファンタジー
【第18回ファンタジー小説大賞 奨励賞】
記憶にあるのは、自分を見下ろす紅い眼の男と、母親の「出ていきなさい」という怒声。
幼いスイは故郷から遠く離れた西大陸の果てに、ドラゴンと共に墜落した。
老夫婦に拾われたスイは墜落から七年後、二人の逝去をきっかけに養祖父と同じハンターとして生きていく為に旅に出る。
――紅い眼の男は誰なのか、母は自分を本当に捨てたのか。
スイは、故郷を探す事を決める。真実を知る為に。
出会いと別れを繰り返し、命懸けの戦いを繰り返し、喜びと悲しみを繰り返す。
清濁が混在する世界に、スイは何を見て何を思い、何を選ぶのか。
これは、ひとりの少女が世界と己を知りながら成長していく物語。
※週2回(木・日)更新。
※誤字脱字報告に関しては感想とは異なる為、修正が済み次第削除致します。ご容赦ください。
※カクヨム様にて先行公開(登場人物紹介はアルファポリス様でのみ掲載)
※表紙画像、その他キャラクターのイメージ画像はAIイラストアプリで作成したものです。再現不足で色彩の一部が作中描写とは異なります。
※この物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる