81 / 93
Emergency
しおりを挟む
突如として空に現れた魔法陣、そこから人間が召喚されたことで周囲の人々がざわめきだした。一般人を巻き込むわけにもいかず、千尋たちがこの場から離れる方法を考えていると近くのショッピングモールや辺りに備え付けられているスピーカーからサイレンが響き渡る。
『緊急事態 緊急事態 紫ヶ丘に緊急事態警報。付近の皆様は速やかにこの場から離れてください。これは訓練ではありません。緊急事態 緊急事態───』
聞き慣れないサイレンの音やスピーカーから聞こえてくる警報に辺りの人々はもちろん、ショッピングモールの中からも人々が飛び出してきてパニックになりながらもこの場から走り去っていく。
逃げていく人々とは逆にこちらへ近づいてくる人々もいた。その者たちは黒いスーツに身を包み、映画やドラマで見るような"エージェント"と呼ばれる者達を彷彿とさせる風貌であった。
やがてこの場には千尋たちやイザナミ、天翁とその同志たち、そしてその周りを囲む黒服の集団だけが残った。突然あらわれた黒服たちに千尋たちは戸惑うが集団の先頭に見慣れた顔があった。その人物こそ千歳の父親である長門 玄信であった。玄信も千尋たちに気づき、急いでこの場から逃げるよう促した。
すると突然、周りを見渡したイザナミが大声をあげて笑いはじめた。人間の口から出されたとは思えない不気味な声色で楽しげに笑っている。
「ふぅ、あー笑った笑った。塵芥どもがいなくなって拍子抜けしたが、またゾロゾロと目の前に現れたじゃないか。」
そう言ってイザナミは星霊降臨で召喚した鎧を纏った男の方を向く。
「全盛期の姿で呼んでやったんだ、暴れてもらうぞ。」
その言葉に鎧の男はゆっくりと振り返るとイザナミを睨んだ。
「小娘が、俺の全盛期を知っていると?」
「いや?だからこそ見せてくれ、かつて"双璧"と呼ばれた力を。」
イザナミの物怖じしない態度に鎧の男は小さく微笑み、『いいだろう。』と返しながら千尋たちに歩み寄ろうとするがそれを阻むように周囲の黒服たちが鎧の男の前に立ちはだかった。
「下がっていなさい、君たち子供を守るのが私たちの役目だ。」
そう言って黒服たちは千尋たちを鎧の男から遠ざけるように後ろへと下がらせた、千尋は慌てて前に戻ろうとする。
「無茶だ!星霊の強さは常軌を逸している、それに"双璧"ってことは───!」
「わかってるさ、俺たちが誰を相手にしようとしているのかはな。」
鎧の男の正体に気づいている玄信は覚悟を決めた表情で黒服の仲間たちと共に鎧の男に立ち向かっていく、そして瞬きをひとつすると両眼が霊写しの眼に変異した。
「まったく、いつの世も戦いか・・・」
鎧の男はぼやきながら悠々と歩を進める。その歩き姿からも威圧感が伝わり、黒服たちの中には武器を持つ手が震えている者、恐怖に慄く者、手を合わせて祈る者、励ましの言葉を自身にかけて奮い立たせる者がいた。
そして鎧の男は武器を持つ者もいる黒服の集団の中に素手で飛び込んだ、四方八方から黒服の攻撃が迫るもそれらを全て見切り、躱し、反撃する。背後からの攻撃にも後ろに眼があるかのように身を翻して躱す。視線を動かし、あらゆる方向からのあらゆる攻撃に対応する。徒手での格闘術が得意な者を除き、武器を持った黒服たちが数十人攻撃を仕掛けたが鎧の男は素手でそれらを一蹴していた。
鎧の男は素手で戦うことに飽きたのか1人の黒服から刀を1本奪い、斬りかかると玄信が刀でその刃を防ぐ。鍔迫り合いになりながら鎧の男の星映しの眼と玄信の霊写しの眼、二つの視線が交差する。
「その眼───長門の人間か。」
「長門家現当主、長門 玄信です。」
そこから二人は激しく打ち合い、互角かと思われたが鎧の男の徐々に速度を増す剣筋に反応しきれず玄信は後方へ飛び退いた。
「いい腕だ、貴様が当主であらば長門家は安泰であろう。」
「お褒めに預かり光栄です。」
余裕の笑みを見せる鎧の男に対し、玄信は切迫した表情を浮かべる。そこへ大量の砂が鎧の男めがけて押し寄せ、躱した鎧の男の脚を別方向からの砂が掴み動きを封じた。
「千悟ッ!」
「合点!」
千晶の呼び掛けに千悟が銃を取り出して構えると魔力元素弾を弾倉が空になるまで撃ち出した。しかし鎧の男に迫る銃弾は突如あらわれた巨大な腕によって阻まれ、白銀色の影が巨大な龍の姿を象り鎧の男を覆うように具現化した。
「ナガトが使ってたアレか、なら───!」
千晶は鎧の男の脚を掴んだ砂を操り、鎧の男を阿修羅の外の空中へと放り投げた。その先では既に紫電を纏った千尋が手刀を構えていた。
「いけ、千尋ッ!」
「雷切───紫電!」
千尋が手刀を鎧の男に向けて薙ぎ払うと紫色の稲妻が一閃する、初代有間の帝釈天の鎧すらも切り裂いた紫電の一閃を鎧の男は刀の一振りで消し去った。
鎧の男は地面に着地すると紫電を斬り裂き刀身が灼けた刀を放り投げた、そして楽しげな笑みを浮かべながら空を睨む。両眼の星映しの眼は模様が波紋の模様へと変異しており、その視界に魔力の影は映らなくなっていた。
『緊急事態 緊急事態 紫ヶ丘に緊急事態警報。付近の皆様は速やかにこの場から離れてください。これは訓練ではありません。緊急事態 緊急事態───』
聞き慣れないサイレンの音やスピーカーから聞こえてくる警報に辺りの人々はもちろん、ショッピングモールの中からも人々が飛び出してきてパニックになりながらもこの場から走り去っていく。
逃げていく人々とは逆にこちらへ近づいてくる人々もいた。その者たちは黒いスーツに身を包み、映画やドラマで見るような"エージェント"と呼ばれる者達を彷彿とさせる風貌であった。
やがてこの場には千尋たちやイザナミ、天翁とその同志たち、そしてその周りを囲む黒服の集団だけが残った。突然あらわれた黒服たちに千尋たちは戸惑うが集団の先頭に見慣れた顔があった。その人物こそ千歳の父親である長門 玄信であった。玄信も千尋たちに気づき、急いでこの場から逃げるよう促した。
すると突然、周りを見渡したイザナミが大声をあげて笑いはじめた。人間の口から出されたとは思えない不気味な声色で楽しげに笑っている。
「ふぅ、あー笑った笑った。塵芥どもがいなくなって拍子抜けしたが、またゾロゾロと目の前に現れたじゃないか。」
そう言ってイザナミは星霊降臨で召喚した鎧を纏った男の方を向く。
「全盛期の姿で呼んでやったんだ、暴れてもらうぞ。」
その言葉に鎧の男はゆっくりと振り返るとイザナミを睨んだ。
「小娘が、俺の全盛期を知っていると?」
「いや?だからこそ見せてくれ、かつて"双璧"と呼ばれた力を。」
イザナミの物怖じしない態度に鎧の男は小さく微笑み、『いいだろう。』と返しながら千尋たちに歩み寄ろうとするがそれを阻むように周囲の黒服たちが鎧の男の前に立ちはだかった。
「下がっていなさい、君たち子供を守るのが私たちの役目だ。」
そう言って黒服たちは千尋たちを鎧の男から遠ざけるように後ろへと下がらせた、千尋は慌てて前に戻ろうとする。
「無茶だ!星霊の強さは常軌を逸している、それに"双璧"ってことは───!」
「わかってるさ、俺たちが誰を相手にしようとしているのかはな。」
鎧の男の正体に気づいている玄信は覚悟を決めた表情で黒服の仲間たちと共に鎧の男に立ち向かっていく、そして瞬きをひとつすると両眼が霊写しの眼に変異した。
「まったく、いつの世も戦いか・・・」
鎧の男はぼやきながら悠々と歩を進める。その歩き姿からも威圧感が伝わり、黒服たちの中には武器を持つ手が震えている者、恐怖に慄く者、手を合わせて祈る者、励ましの言葉を自身にかけて奮い立たせる者がいた。
そして鎧の男は武器を持つ者もいる黒服の集団の中に素手で飛び込んだ、四方八方から黒服の攻撃が迫るもそれらを全て見切り、躱し、反撃する。背後からの攻撃にも後ろに眼があるかのように身を翻して躱す。視線を動かし、あらゆる方向からのあらゆる攻撃に対応する。徒手での格闘術が得意な者を除き、武器を持った黒服たちが数十人攻撃を仕掛けたが鎧の男は素手でそれらを一蹴していた。
鎧の男は素手で戦うことに飽きたのか1人の黒服から刀を1本奪い、斬りかかると玄信が刀でその刃を防ぐ。鍔迫り合いになりながら鎧の男の星映しの眼と玄信の霊写しの眼、二つの視線が交差する。
「その眼───長門の人間か。」
「長門家現当主、長門 玄信です。」
そこから二人は激しく打ち合い、互角かと思われたが鎧の男の徐々に速度を増す剣筋に反応しきれず玄信は後方へ飛び退いた。
「いい腕だ、貴様が当主であらば長門家は安泰であろう。」
「お褒めに預かり光栄です。」
余裕の笑みを見せる鎧の男に対し、玄信は切迫した表情を浮かべる。そこへ大量の砂が鎧の男めがけて押し寄せ、躱した鎧の男の脚を別方向からの砂が掴み動きを封じた。
「千悟ッ!」
「合点!」
千晶の呼び掛けに千悟が銃を取り出して構えると魔力元素弾を弾倉が空になるまで撃ち出した。しかし鎧の男に迫る銃弾は突如あらわれた巨大な腕によって阻まれ、白銀色の影が巨大な龍の姿を象り鎧の男を覆うように具現化した。
「ナガトが使ってたアレか、なら───!」
千晶は鎧の男の脚を掴んだ砂を操り、鎧の男を阿修羅の外の空中へと放り投げた。その先では既に紫電を纏った千尋が手刀を構えていた。
「いけ、千尋ッ!」
「雷切───紫電!」
千尋が手刀を鎧の男に向けて薙ぎ払うと紫色の稲妻が一閃する、初代有間の帝釈天の鎧すらも切り裂いた紫電の一閃を鎧の男は刀の一振りで消し去った。
鎧の男は地面に着地すると紫電を斬り裂き刀身が灼けた刀を放り投げた、そして楽しげな笑みを浮かべながら空を睨む。両眼の星映しの眼は模様が波紋の模様へと変異しており、その視界に魔力の影は映らなくなっていた。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
覚悟は良いですか、お父様? ―虐げられた娘はお家乗っ取りを企んだ婿の父とその愛人の娘である異母妹をまとめて追い出す―
Erin
恋愛
【完結済・全3話】伯爵令嬢のカメリアは母が死んだ直後に、父が屋敷に連れ込んだ愛人とその子に虐げられていた。その挙句、カメリアが十六歳の成人後に継ぐ予定の伯爵家から追い出し、伯爵家の血を一滴も引かない異母妹に継がせると言い出す。後を継がないカメリアには嗜虐趣味のある男に嫁がられることになった。絶対に父たちの言いなりになりたくないカメリアは家を出て復讐することにした。7/6に最終話投稿予定。
断罪まであと10分、私は処刑台の上で「ライブ配信」を開始した〜前世インフルエンサーの悪役令嬢、支持率100%でクズ王子を逆処刑する〜
深渡 ケイ
ファンタジー
断罪まで、あと10分。
処刑台の上で跪く悪役令嬢スカーレットは、笑っていた。
なぜなら彼女は――
前世で“トップインフルエンサー”だったから。
処刑の瞬間、彼女が起動したのは禁忌の精霊石。
空に展開された巨大モニターが、全世界同時ライブ配信を開始する。
タイトルは――
『断罪なう』。
王子の不貞、聖女の偽善、王家の腐敗。
すべてを“証拠付き・リアルタイム”で暴露する配信に、
国民の「いいね(=精霊力)」が集まり始める。
そして宣言される、前代未聞のルール。
支持率が上がるほど、処刑は不可能になる。
処刑台は舞台へ。
断罪はエンタメへ。
悪役令嬢は、世界をひっくり返す配信者となった。
これは、
処刑されるはずだった悪役令嬢が、
“ライブ配信”で王子と王国を公開処刑する物語。
支持率100%の先に待つのは、復讐か、革命か、
それとも――自由か。
Chivalry - 異国のサムライ達 -
稲田シンタロウ(SAN値ぜろ!)
ファンタジー
シヴァリー(Chivalry)、それは主に騎士道を指し、時に武士道としても使われる言葉である。騎士道と武士道、両者はどこか似ている。強い精神をその根底に感じる。だが、士道は魔法使いが支配する世界でも通用するのだろうか?
これは魔法というものが絶対的な価値を持つ理不尽な世界で、士道を歩んだ者達の物語であり、その中でもアランという男の生き様に主眼を置いた大器晩成なる物語である。(他サイトとの重複投稿です。また、画像は全て配布サイトの規約に従って使用しています)
冤罪で辺境に幽閉された第4王子
satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。
「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。
辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる