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肆章 氷雪の国・スノーメイル
三十二話、徹夜かなあ…
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兄さんから聞いた夢の内容をメモして、ヴィクトールさんを介抱しながら宿に帰った。寝支度も全て終わらせて、部屋に篭る。
「…これが資料で、こっちが伝記…」
この国の歴史書と伝記を持ち込んで、机のランプへ火を付けた。
「関係ないなら越した事無いけど…万が一…万が一があったらいけない…」
前の国で兄さんは私の為に沢山動いてくれたから…私もやれる事はやりたい。あの夢の内容は私にも無関係じゃ無いんだから。
「精霊が夢を見せる意味は…って、これはシルフ達に聞いた方が早いかな。それか、明日セルシウスの所に行って聞くのも良いかも」
この事は、きっとこの国に長く住んでいるセルシウスの方が知っている筈。明日は春告の竜の捜索だけど、序でに行けたら良いな。
「フウカ、少し良いか?」
「ヴィクトールさん?どうぞ」
「失礼する」
腕を布で固定したヴィクトールさんが部屋に入って来た。成る可く安静にって言ったのに…
「明日、フウカとマキアが二人で調査に行くと聞いてな。俺達が落ちた辺りの事を教えておこうと思ったんだ」
「ありがとうございます。シルフに飛んで貰ったので、その辺りの地理がないんです」
広げていた資料を全部ベッドの上に退かし、魔導地図を広げた。魔導地図は旅をしてる人には便利な物で、自分が歩いた場所が勝手に地図に記される。自分の足でって言うのが少しネックだけど。
「…ちゃんとした地図だな」
「え?あ、そうですね」
「初めてみた時は白紙だったからな。リリーフィエは地図に乗らないから、真っ白で…感慨深いな」
師匠達からみれば少ないかもしれない。でも私達からしたらとても沢山の足跡。いつかこの地図を埋めたいと兄さんと密かな目標も立てているくらい。
「俺達が落ちた場所は…此処だな」
「かなり奥の方ですね…道が崩れたんですか?」
「いや、ライハが傍から落ちた」
「…兄が御免なさい」
本当になにやってんのあの人…危機感はあるのにそう言う時の注意が散漫…!私のこと以外でも、ちゃんとそう言う所を気を付けて欲しいんだけど…
「だが、ライハを見直したのも事実だ」
「見直した?」
「嗚呼。危機的状況でも彼奴は意外と周りを見れている。俺が無謀な事をしようとした時も止めてきたしな」
確かに、最初よりヴィクトールさんが兄さんに向ける視線は柔らかくなっている様な気がする。
「似てるよ。フウカとライハは」
「似てますか?」
「嗚呼。人の為なら自分を顧みない所も、互いを大切に思っている所も。言い出したら聞かない頑固な所もな」
「…そうかもですね」
私の答えにヴィクトールさんも微かに笑い、満足そうに頷いて席を立った。
「俺はもう寝る。フウカも程々にな」
「はい。お休みなさい」
と言いつつ送り出したものの…今夜は忙しくなりそう…
「…これが資料で、こっちが伝記…」
この国の歴史書と伝記を持ち込んで、机のランプへ火を付けた。
「関係ないなら越した事無いけど…万が一…万が一があったらいけない…」
前の国で兄さんは私の為に沢山動いてくれたから…私もやれる事はやりたい。あの夢の内容は私にも無関係じゃ無いんだから。
「精霊が夢を見せる意味は…って、これはシルフ達に聞いた方が早いかな。それか、明日セルシウスの所に行って聞くのも良いかも」
この事は、きっとこの国に長く住んでいるセルシウスの方が知っている筈。明日は春告の竜の捜索だけど、序でに行けたら良いな。
「フウカ、少し良いか?」
「ヴィクトールさん?どうぞ」
「失礼する」
腕を布で固定したヴィクトールさんが部屋に入って来た。成る可く安静にって言ったのに…
「明日、フウカとマキアが二人で調査に行くと聞いてな。俺達が落ちた辺りの事を教えておこうと思ったんだ」
「ありがとうございます。シルフに飛んで貰ったので、その辺りの地理がないんです」
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「…ちゃんとした地図だな」
「え?あ、そうですね」
「初めてみた時は白紙だったからな。リリーフィエは地図に乗らないから、真っ白で…感慨深いな」
師匠達からみれば少ないかもしれない。でも私達からしたらとても沢山の足跡。いつかこの地図を埋めたいと兄さんと密かな目標も立てているくらい。
「俺達が落ちた場所は…此処だな」
「かなり奥の方ですね…道が崩れたんですか?」
「いや、ライハが傍から落ちた」
「…兄が御免なさい」
本当になにやってんのあの人…危機感はあるのにそう言う時の注意が散漫…!私のこと以外でも、ちゃんとそう言う所を気を付けて欲しいんだけど…
「だが、ライハを見直したのも事実だ」
「見直した?」
「嗚呼。危機的状況でも彼奴は意外と周りを見れている。俺が無謀な事をしようとした時も止めてきたしな」
確かに、最初よりヴィクトールさんが兄さんに向ける視線は柔らかくなっている様な気がする。
「似てるよ。フウカとライハは」
「似てますか?」
「嗚呼。人の為なら自分を顧みない所も、互いを大切に思っている所も。言い出したら聞かない頑固な所もな」
「…そうかもですね」
私の答えにヴィクトールさんも微かに笑い、満足そうに頷いて席を立った。
「俺はもう寝る。フウカも程々にな」
「はい。お休みなさい」
と言いつつ送り出したものの…今夜は忙しくなりそう…
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