180 / 186
肆章 氷雪の国・スノーメイル
四十三話、優しいんだな、竜は
しおりを挟む
「終わりだああああ!!!」
フェイクガルム達と格闘する事、数十分。漸く全部を燃やし尽くして、大きく息を吸う事が出来た。
「はあ…はっ…風華、ヴィクトール、無事か…」
「俺はな…!」
切羽詰まった様なヴィクトールの声に、ハッと振り向くと、不思議なナニカに包まれた風華の姿があった。
「これは!?」
「フウカはこの土壇場で自然の魔力を使い始めた。本当に末恐ろしい才能だ…」
「瘴気もこんなに…風華は大丈夫なのかよ」
「…分からない」
ヴィクトールの言葉に体中の血の気が引くのが分かった。喉からもヒュッと引き攣った音が響く。
「だが…竜は何とかなりそうだ」
「マジかよ…こんな巨体を…」
「半分以上、フウカがやってくれたよ」
杖に体を預けても尚、風華はずっと竜に魔力を送っている。何なら、意識なんてとうの昔に無くなってるだろうに…何がお前を其処まで必死にさせてるんだ…
「…動くぞ!」
「ッッ!?」
ヴィクトールの声に、反射的に体を動かして竜から距離を取った。酷い地響きに思わず耳を塞ぐ。クッソ、風華回収し損ねた!!
“ありがとう、人の子。貴女達のお陰で、やっと春を呼ぶ事が出来る”
優しい声だった。泣きたくなるくらいあったかくて、母上みたいに優しい声。春告の竜は…女性だったのか…
「はは、何が恐ろしい邪竜だよ。すげえ優しい目してんじゃんか」
「春告の竜。この国は既に災厄に呑まれ始めている。貴殿の力が必要だ。どうか、貴女を命を懸けて助けんとした我が生徒に免じ、人々の行いに今一度目を瞑って頂けないか」
「まだこの国には、春告の竜を信じてる奴も居るんだ。勿論、アンタを陥れたクソ共がいるのも分かってる…でも…」
“分かっています。人の子”
竜は、俺の言葉を遮って、そっと頭を近付けて来た。よく見ると、桜色の綺麗な目だ。体は真っ白で、鱗も所々桜色。さっきまで、黒い体だったのが嘘みたいだ。
“しかし、今国に蔓延っている瘴気の魔獣は、私だけで対処出来ない。後少し、私に力を貸して下さい”
「…嗚呼、勿論だ」
「ライハ。お前は先に行って国を守れ。小さな国だが、あの三人では限界がある。俺はもう少し魔力を回復させてから行く。フウカは…」
“この子は私が護ります。空は一番安全です”
さっき、洞窟に来た奴らをぶっ飛ばしまくったけど、外はもっとヤバいって事だよな。なら、とっとと行かねえと、せんせー達も体力的にキツいか。
「春告の竜。俺の片割れをよろしくな」
“勿論。私の命を助けてくれたこの子は、必ず無傷で帰しましょう”
「ありがとう。俺は先行くぜ。ヴィクトールも早くしろよ!」
ヴィクトールの返事を待たずに駆け出した。さっきからサラマンダーが忙しないって事は、外で火を使ってるんだろう。なら、早く行かねえと防衛ライン突破されかねねえよな!!
フェイクガルム達と格闘する事、数十分。漸く全部を燃やし尽くして、大きく息を吸う事が出来た。
「はあ…はっ…風華、ヴィクトール、無事か…」
「俺はな…!」
切羽詰まった様なヴィクトールの声に、ハッと振り向くと、不思議なナニカに包まれた風華の姿があった。
「これは!?」
「フウカはこの土壇場で自然の魔力を使い始めた。本当に末恐ろしい才能だ…」
「瘴気もこんなに…風華は大丈夫なのかよ」
「…分からない」
ヴィクトールの言葉に体中の血の気が引くのが分かった。喉からもヒュッと引き攣った音が響く。
「だが…竜は何とかなりそうだ」
「マジかよ…こんな巨体を…」
「半分以上、フウカがやってくれたよ」
杖に体を預けても尚、風華はずっと竜に魔力を送っている。何なら、意識なんてとうの昔に無くなってるだろうに…何がお前を其処まで必死にさせてるんだ…
「…動くぞ!」
「ッッ!?」
ヴィクトールの声に、反射的に体を動かして竜から距離を取った。酷い地響きに思わず耳を塞ぐ。クッソ、風華回収し損ねた!!
“ありがとう、人の子。貴女達のお陰で、やっと春を呼ぶ事が出来る”
優しい声だった。泣きたくなるくらいあったかくて、母上みたいに優しい声。春告の竜は…女性だったのか…
「はは、何が恐ろしい邪竜だよ。すげえ優しい目してんじゃんか」
「春告の竜。この国は既に災厄に呑まれ始めている。貴殿の力が必要だ。どうか、貴女を命を懸けて助けんとした我が生徒に免じ、人々の行いに今一度目を瞑って頂けないか」
「まだこの国には、春告の竜を信じてる奴も居るんだ。勿論、アンタを陥れたクソ共がいるのも分かってる…でも…」
“分かっています。人の子”
竜は、俺の言葉を遮って、そっと頭を近付けて来た。よく見ると、桜色の綺麗な目だ。体は真っ白で、鱗も所々桜色。さっきまで、黒い体だったのが嘘みたいだ。
“しかし、今国に蔓延っている瘴気の魔獣は、私だけで対処出来ない。後少し、私に力を貸して下さい”
「…嗚呼、勿論だ」
「ライハ。お前は先に行って国を守れ。小さな国だが、あの三人では限界がある。俺はもう少し魔力を回復させてから行く。フウカは…」
“この子は私が護ります。空は一番安全です”
さっき、洞窟に来た奴らをぶっ飛ばしまくったけど、外はもっとヤバいって事だよな。なら、とっとと行かねえと、せんせー達も体力的にキツいか。
「春告の竜。俺の片割れをよろしくな」
“勿論。私の命を助けてくれたこの子は、必ず無傷で帰しましょう”
「ありがとう。俺は先行くぜ。ヴィクトールも早くしろよ!」
ヴィクトールの返事を待たずに駆け出した。さっきからサラマンダーが忙しないって事は、外で火を使ってるんだろう。なら、早く行かねえと防衛ライン突破されかねねえよな!!
0
あなたにおすすめの小説
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
仕事繁忙期の為、2月中旬まで更新を週一に致します。
カクヨム(吉野 ひな)様にも投稿しています。
『異世界ガチャでユニークスキル全部乗せ!? ポンコツ神と俺の無自覚最強スローライフ』
チャチャ
ファンタジー
> 仕事帰りにファンタジー小説を買った帰り道、不運にも事故死した38歳の男。
気がつくと、目の前には“ポンコツ”と噂される神様がいた——。
「君、うっかり死んじゃったから、異世界に転生させてあげるよ♪」
「スキル? ステータス? もちろんガチャで決めるから!」
最初はブチギレ寸前だったが、引いたスキルはなんと全部ユニーク!
本人は気づいていないが、【超幸運】の持ち主だった!
「冒険? 魔王? いや、俺は村でのんびり暮らしたいんだけど……」
そんな願いとは裏腹に、次々とトラブルに巻き込まれ、無自覚に“最強伝説”を打ち立てていく!
神様のミスで始まった異世界生活。目指すはスローライフ、されど周囲は大騒ぎ!
◆ガチャ転生×最強×スローライフ!
無自覚チートな元おっさんが、今日も異世界でのんびり無双中!
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
無能と追放された俺の【システム解析】スキル、実は神々すら知らない世界のバグを修正できる唯一のチートでした
夏見ナイ
ファンタジー
ブラック企業SEの相馬海斗は、勇者として異世界に召喚された。だが、授かったのは地味な【システム解析】スキル。役立たずと罵られ、無一文でパーティーから追放されてしまう。
死の淵で覚醒したその能力は、世界の法則(システム)の欠陥(バグ)を読み解き、修正(デバッグ)できる唯一無二の神技だった!
呪われたエルフを救い、不遇な獣人剣士の才能を開花させ、心強い仲間と成り上がるカイト。そんな彼の元に、今さら「戻ってこい」と元パーティーが現れるが――。
「もう手遅れだ」
これは、理不尽に追放された男が、神の領域の力で全てを覆す、痛快無双の逆転譚!
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
MP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~
宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。
転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。
良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。
例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。
けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。
同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。
彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!?
※小説家になろう様にも掲載しています。
転生したらスキル転生って・・・!?
ノトア
ファンタジー
世界に危機が訪れて転生することに・・・。
〜あれ?ここは何処?〜
転生した場所は森の中・・・右も左も分からない状態ですが、天然?な女神にサポートされながらも何とか生きて行きます。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
初めて書くので、誤字脱字や違和感はご了承ください。
悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる
竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。
評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。
身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる