48 / 55
第三章
第38話
しおりを挟む
ルーチェは、3回ドアをノックした。
「入りなさい。」
ルーチェはいつものように椅子に座ると
「どうしたの?」
と、レンディスに訊いた。
するとレンディスは、
「この腕で、騎士団の仕事をするのは困難だと分かった。そして私が眠っていた数日、お前は本当によく仕事をこなしていた。今度の制圧が終わったら、お前に爵位を譲ろうと思う。殿下の婚約者発表の時はチュトラリー公爵として出席しなさい。」
ルーチェは、戸惑った。
「…パパ。私は帝国の守護者にふさわしくない…。」
ルーチェは悔しそうに言った。
「どうしてそう思う?」
レンディスは、ルーチェに優しく問いかけた。
ルーチェはその優しさのおかげで泣きそうになっていた。
「私は隣にいた人も守れなかった。そんな私が帝国の守護者とも呼ばれる、チュトラリー公爵にふさわしいと思う?」
幼い頃、ランデルとセリーナで町に行った時の事だった。
帝国の社交序列トップ3の家門の者が護衛もつけず遊びに行ったのだから、当然と言えば当然。殺されかけたのだ。
目の前に来たナイフを避けきれなくて刺さりそうになった時、ランデルが横から押して守った。おかげで手は血まみれ。
それに脅えて、ナイフを捨てて殺そうと試みた人達は逃げていった。
今は傷跡も残っていないが、今も自分のせいで怪我をした、と罪悪感が残っているのだ。
「…そうか。それなら、私も公爵にふさわしくないな。」
「…え?」
ルーチェは、下を向いていた顔をあげた。
「私も隣にいた、ルーチェの母親を守れなかった。公爵にふさわしくないか?」
ルーチェは激しく首を横に振った。
「ならば、問題なかろう。」
「…パパ。1つ…。」
「なんだ?」
「リンデン侯爵に教えていただいたんだけど、貴族派が私とパパを暗殺しようとしているって。だから、これ肌身離さず持ってて。」
と、ルーチェが差し出したのは、銀色の何も飾りの着いていないネックレスだった。
「これは…?」
「保護魔法と変形魔法をかけてあるの。暗殺者などによって保護魔法が発動した時にこれが剣になるように魔法をかけているの。剣さえあれば勝てるかなって思って。」
レンディスはそのネックレスを首につけながら
「ありがとう。気をつけるよ。ルーチェも気をつけて。」
「うん、ありがとう。」
(今回失敗したから次も何らかの手で暗殺しに来るだろう…。気を引き締めないと。)
「はぁ、あと少しで制圧かぁ…。行事が重なりすぎだよ…。」
「ほんとだよな。」
と、後ろから声がした。
「ラ、ランデル?!」
ランデルは
「読んでも無視するしとも思ったらいきなり喋り出すし、どうしたんだよ。」
(ランデルには刺客のことは言ってない。言わなくてもいいか。)
「ちょっと考え事していて。」
「相談乗るよ?」
と、心配そうにランデルが言った。
「別にそこまで深刻じゃないし、大丈夫よ。」
と、ルーチェは笑顔をつくってみせた。
「…そっか。」
「何か話があって来たんでしょ?」
「まぁ、だけど終わったから大丈夫。」
「え?どういうこと…?」
ランデルは少し小さな声で
「お前の安否を確認しに来たんだ。」
ルーチェはクスッと笑って
「わざわざありがとう。」
と言った。
「入りなさい。」
ルーチェはいつものように椅子に座ると
「どうしたの?」
と、レンディスに訊いた。
するとレンディスは、
「この腕で、騎士団の仕事をするのは困難だと分かった。そして私が眠っていた数日、お前は本当によく仕事をこなしていた。今度の制圧が終わったら、お前に爵位を譲ろうと思う。殿下の婚約者発表の時はチュトラリー公爵として出席しなさい。」
ルーチェは、戸惑った。
「…パパ。私は帝国の守護者にふさわしくない…。」
ルーチェは悔しそうに言った。
「どうしてそう思う?」
レンディスは、ルーチェに優しく問いかけた。
ルーチェはその優しさのおかげで泣きそうになっていた。
「私は隣にいた人も守れなかった。そんな私が帝国の守護者とも呼ばれる、チュトラリー公爵にふさわしいと思う?」
幼い頃、ランデルとセリーナで町に行った時の事だった。
帝国の社交序列トップ3の家門の者が護衛もつけず遊びに行ったのだから、当然と言えば当然。殺されかけたのだ。
目の前に来たナイフを避けきれなくて刺さりそうになった時、ランデルが横から押して守った。おかげで手は血まみれ。
それに脅えて、ナイフを捨てて殺そうと試みた人達は逃げていった。
今は傷跡も残っていないが、今も自分のせいで怪我をした、と罪悪感が残っているのだ。
「…そうか。それなら、私も公爵にふさわしくないな。」
「…え?」
ルーチェは、下を向いていた顔をあげた。
「私も隣にいた、ルーチェの母親を守れなかった。公爵にふさわしくないか?」
ルーチェは激しく首を横に振った。
「ならば、問題なかろう。」
「…パパ。1つ…。」
「なんだ?」
「リンデン侯爵に教えていただいたんだけど、貴族派が私とパパを暗殺しようとしているって。だから、これ肌身離さず持ってて。」
と、ルーチェが差し出したのは、銀色の何も飾りの着いていないネックレスだった。
「これは…?」
「保護魔法と変形魔法をかけてあるの。暗殺者などによって保護魔法が発動した時にこれが剣になるように魔法をかけているの。剣さえあれば勝てるかなって思って。」
レンディスはそのネックレスを首につけながら
「ありがとう。気をつけるよ。ルーチェも気をつけて。」
「うん、ありがとう。」
(今回失敗したから次も何らかの手で暗殺しに来るだろう…。気を引き締めないと。)
「はぁ、あと少しで制圧かぁ…。行事が重なりすぎだよ…。」
「ほんとだよな。」
と、後ろから声がした。
「ラ、ランデル?!」
ランデルは
「読んでも無視するしとも思ったらいきなり喋り出すし、どうしたんだよ。」
(ランデルには刺客のことは言ってない。言わなくてもいいか。)
「ちょっと考え事していて。」
「相談乗るよ?」
と、心配そうにランデルが言った。
「別にそこまで深刻じゃないし、大丈夫よ。」
と、ルーチェは笑顔をつくってみせた。
「…そっか。」
「何か話があって来たんでしょ?」
「まぁ、だけど終わったから大丈夫。」
「え?どういうこと…?」
ランデルは少し小さな声で
「お前の安否を確認しに来たんだ。」
ルーチェはクスッと笑って
「わざわざありがとう。」
と言った。
0
あなたにおすすめの小説
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
弁えすぎた令嬢
ねこまんまときみどりのことり
ファンタジー
元公爵令嬢のコロネ・ワッサンモフは、今は市井の食堂の2階に住む平民暮らしをしている。彼女が父親を亡くしてからの爵位は、叔父(父親の弟)が管理してくれていた。
彼女には亡き父親の決めた婚約者がいたのだが、叔父の娘が彼を好きだと言う。
彼女は思った。
(今の公爵は叔父なのだから、その娘がこの家を継ぐ方が良いのではないか)と。
今後は彼らの世話にならず、一人で生きていくことにしよう。そんな気持ちで家を出たコロネだった。
小説家になろうさん、カクヨムさんにも載せています。
【完結】あなたに知られたくなかった
ここ
ファンタジー
セレナの幸せな生活はあっという間に消え去った。新しい継母と異母妹によって。
5歳まで令嬢として生きてきたセレナは6歳の今は、小さな手足で必死に下女見習いをしている。もう自分が令嬢だということは忘れていた。
そんなセレナに起きた奇跡とは?
【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く
ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。
5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。
夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…
冷徹宰相様の嫁探し
菱沼あゆ
ファンタジー
あまり裕福でない公爵家の次女、マレーヌは、ある日突然、第一王子エヴァンの正妃となるよう、申し渡される。
その知らせを持って来たのは、若き宰相アルベルトだったが。
マレーヌは思う。
いやいやいやっ。
私が好きなのは、王子様じゃなくてあなたの方なんですけど~っ!?
実家が無害そう、という理由で王子の妃に選ばれたマレーヌと、冷徹宰相の恋物語。
(「小説家になろう」でも公開しています)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる