超絶ゴミ恩恵『消毒液』で無双する

びゃくし

文字の大きさ
14 / 52

第十三話 狂騒の冒険者ギルド

しおりを挟む

 その日ランクルの街の冒険者ギルドは、いつになく大混乱に陥っていた。
 
 運悪くその現場に居合わせたオレたちは、嵐を過ぎ去るのをだだひたすら待つことしか出来無い。

「西の森の樹木の広範囲が切り倒されただと!? 信じられない!」

「報告では何者かが高火力の炎で周辺を燃やした痕跡があるとあります。……まさか竜種のブレス!? そんな、こんな辺境に竜種が現れたらどれだけ被害が……」

「貴族の乗るような豪華な馬車がバラバラに破壊されて放置されてたらしいぞ!」

 ある意味熱狂に支配された冒険者ギルド。
 そこでは、いつもはオレを見かければすぐさま罵ってくる冒険者たちも、未知の脅威が身近に現れたことに驚愕し不安がっているのかオレが現れても気づいてすらいない。

 やばいな。
 大混乱じゃないか。
 ……オレがやったってバレてないよな。

「アル様、怖いですね」

「はた迷惑な奴がいるな」

 意味不明みたいな顔で見てるけど君たちも現場にいたよね。
 
「……ツィア、レオ師匠、やっぱり冒険者ギルドに来るのは早かったんじゃないか? もう少しほとぼりが冷めてからにしないか?」

 俺が小声で二人の身元がバレないように偽名というか愛称のようなものを呼び、一旦ギルドから出ようと提案していると、目敏くもオレたちに気づいた受付のマリネッタが声をかけてくる。

「アルコさん! 昨日は西の森に依頼で出掛けていましたよね。何か見ませんでしたか?」

 クソッ、大声で叫ぶから注目がこっちに集まっちまった。

「……昨日は確かに西の森でゴブリンと戦ったけど……その……取り逃してな。その日はすぐに家に帰ったんだよ」
 
 オレの苦しい言い訳にマリネッタは心配そうな顔を見せる。

「怪我はなかったですか? 私西の森が大変なことになったと聞いてアルコさんのことが心配で……」

 な、なんだ?
 瞳の端に涙を浮かべるマリネッタに動揺する。
 いつも心配だ、心配だとは言っていたけど、涙ぐむほどオレのことが気になってたのか?

「マリネッタちゃん、そんな奴気に掛ける必要なんかないぜ。なんたってコイツの恩恵は“ゴミ恩恵”。何の役にも立たないんだぜ? 気に掛けるだけ無駄だよ」

「そうだよ。コイツの恩恵は『消毒液』? だったか? まったくもって何に使うかすらわからねぇ。これだったら『ビール瓶』の恩恵の方が武器なだけ強力だ。『消毒液』? ゴミだよゴミ」

「おい、『ビール瓶』は俺の恩恵じゃねぇか! こんな奴の恩恵と比べるんじゃねぇよ。まったく……」

 相変わらずコイツらは……。
 よく飽きないもんだ。
 オレはもはや慣れた文言ばかりを並べるランクルの街の冒険者たちを無視して冒険者ギルドを後にしようと歩き出そうとした。

 しかし、そんなオレの行動とは裏腹に、オレが罵倒されるのが我慢ならない者がいた。

「なんで……なんでそんなことを言うんですか? アル様は貴方たちよりずっとずっと強いです!!」

 おーい、ラーツィア。
 
 頼むからこれ以上目立つことをしないでくれ。
 ……庇ってくれるのは嬉しいけど、それじゃあすぐに追っ手に見つかっちまうぞ。

「お嬢ちゃん……なんで冒険者ギルドにお嬢ちゃんみたいな娘がきたのかはわからねぇが、ここはあんたが来るところじゃねぇぞ」

「その“万年Dランク”に弱みでも握られてるのか? そいつは長年冒険者として燻ってるんだぞ。強い訳がねぇ」

「そんなことありません! アル様は……アル様は……」

 ラーツィアがオレの弁護のためにこんな田舎の冒険者たちに責められるのは流石に堪える。
 だが……。

「ツィア……いいんだ。オレの恩恵が弱いのは事実だ」

「でも……アル様はご自身の命を危うくしても私たちを助けてくれました。それなのに……」

「……レオ師匠からもツィアに言ってやってくれ。このままヒートアップしたら余計に人の目に止まる。目立ったら不味いだろ」

 オレはラーツィアの困った顔にどうにも弱い。
 彼女が純粋なのがわかっているからこそ、辛い気持ちなのが表情からもわかる。
 ……それでも、ここは我慢しないと。

 しかし、師匠もまたオレの心配や懸念といった負の感情を飛び越えていく。

「お前たち、この男の強さを知らないのか? 今迄一体何を見てきた。この男が弱いと言うなら、自分たちの目が節穴だと証明しているようなものだぞ」

 し、師匠もなのか!?

 あっさりとした口調で言ってるけど、内容は挑発そのものだった。
 冒険者は粗暴な奴らが多い。
 そんな喧嘩を売るようなことを言ったら……。

「ほぉ~、そんなに言うなら久しぶりに俺がお前の腕前を見てやろうか?」

 粗野な冒険者たちの間から現れたのは長身の男。
 年齢は四十代近く、グレーに染まりつつある髪は短く切り揃えられている。

 冒険者ギルドで行われる講習の指導員も務めるギルド職員の一人。

 オレの恩恵がわかった途端、戦闘に関する講習を受けさせようとしなかった奴。

 『ウッドショートスピア』の恩恵を有するその男が、蔑みの視線でオレを睨んでいた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

学年一可愛いS級の美少女の令嬢三姉妹が、何故かやたらと俺の部屋に入り浸ってくる件について

沢田美
恋愛
名門・雄幸高校で目立たず生きる一年生、神谷悠真。 クラスでは影が薄く、青春とは無縁の平凡な日々を送っていた。だがある放課後、街で不良に絡まれていた女子生徒を助けたことで、その日常は一変する。救った相手は、学年一の美少女三姉妹として知られる西園寺家の次女・優里だった。さらに家に帰れば、三姉妹の長女・龍華がなぜか当然のように悠真の部屋に入り浸っている。名門令嬢三姉妹に振り回されながら、静かだったはずの悠真の青春は少しずつ騒がしく揺れ始める。

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

最強無敗の少年は影を従え全てを制す

ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。 産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。 カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。 しかし彼の力は生まれながらにして最強。 そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。

転生したら世界一の御曹司だった〜巨乳エルフメイド10人と美少女騎士に溺愛されています〜

まさき
青春
異世界転生した最強の金持ち嫡男、 専属エルフメイドと美少女騎士に囲まれて至福のハーレム生活   現代日本で「地味だが実は超大富豪」という特殊な人生を送っていた青年は、ある日事故で命を落とす。   しかし目を覚ますと、そこは魔法と様々な種族が存在する異世界だった。   彼は大陸一の富を誇る名門貴族―― ヴァン・バレンティン家の嫡男カイルとして転生していたのだ。   カイルに与えられたのは ・世界一とも言える圧倒的な財力 ・財力に比例して増大する規格外の魔力   そして何より彼を驚かせたのは――   彼に仕える十人の専属メイド全員が、巨乳美少女だったことである。   献身的なエルフのメイド長リリア。 護衛騎士でありながら隙あらば誘惑してくる女騎士シルヴィア。   さらに個性豊かな巨乳メイドたち。   カイルは持ち前の財力で彼女たちの願いを叶え、最高級の装備や生活を与えていく。   すると彼女たちの忠誠心と愛情はどんどん加速していき――   「カイル様……今日は私が、お世話をさせてください」   領地を狙う貴族を金と魔力で圧倒し、 時にはメイドたちの愛が暴走して甘すぎる時間に巻き込まれながらも、   最強の御曹司カイルは 世界一幸せなハーレムを築いていく。 最後までお読みいただきありがとうございました。よろしければ応援をお願いいたします。

ブラック国家を制裁する方法は、性癖全開のハーレムを作ることでした。

タカハシヨウ
ファンタジー
ヴァン・スナキアはたった一人で世界を圧倒できる強さを誇り、母国ウィルクトリアを守る使命を背負っていた。 しかし国民たちはヴァンの威を借りて他国から財産を搾取し、その金でろくに働かずに暮らしている害悪ばかり。さらにはその歪んだ体制を維持するためにヴァンの魔力を受け継ぐ後継を求め、ヴァンに一夫多妻制まで用意する始末。 ヴァンは国を叩き直すため、あえてヴァンとは子どもを作れない異種族とばかり八人と結婚した。もし後継が生まれなければウィルクトリアは世界中から報復を受けて滅亡するだろう。生き残りたければ心を入れ替えてまともな国になるしかない。 激しく抵抗する国民を圧倒的な力でギャフンと言わせながら、ヴァンは愛する妻たちと甘々イチャイチャ暮らしていく。

天城の夢幻ダンジョン攻略と無限の神空間で超絶レベリング ~ガチャスキルに目覚めた俺は無職だけどダンジョンを攻略してトップの探索士を目指す~

仮実谷 望
ファンタジー
無職になってしまった摩廻天重郎はある日ガチャを引くスキルを得る。ガチャで得た鍛錬の神鍵で無限の神空間にたどり着く。そこで色々な異世界の住人との出会いもある。神空間で色んなユニットを配置できるようになり自分自身だけレベリングが可能になりどんどんレベルが上がっていく。可愛いヒロイン多数登場予定です。ガチャから出てくるユニットも可愛くて強いキャラが出てくる中、300年の時を生きる謎の少女が暗躍していた。ダンジョンが一般に知られるようになり動き出す政府の動向を観察しつつ我先へとダンジョンに入りたいと願う一般人たちを跳ね除けて天重郎はトップの探索士を目指して生きていく。次々と美少女の探索士が天重郎のところに集まってくる。天重郎は最強の探索士を目指していく。他の雑草のような奴らを跳ね除けて天重郎は最強への道を歩み続ける。

処理中です...