超絶ゴミ恩恵『消毒液』で無双する

びゃくし

文字の大きさ
32 / 52

第三十一話 第一層の冒険

しおりを挟む

 直径三メートル近い巨石に押し潰されるホブゴブリン。
 
 この巨大な石は明らかにラーツィアの魔力の影響だろう。
 吸魔の指輪の膨大な魔力の元となった彼女の魔力。
 それは本来は拳大の石を作り出し射出するだけの魔法を、圧倒的な破壊力を有するナニカに変貌させた。

 ……ラーツィアを怒らせたらオレもあのホブゴブリンのようにただの赤い染みになるんだろうな。
 気をつけよう。

「ラ、ラーツィア、スゴイ魔法だな。一発で……その……ホブゴブリン? を倒せたな。ほとんど独学なのによく魔法を覚えられたよ」

「はい! アル様。フロイドさんの書かれた魔法書は本当にわかりやすく書いていただいていて、魔法についてまったく知識のないわたしでもなんとか初級魔法を習得できました!」

 初級なんだよなー、あの魔法。
 絶対違うナニカだよなー。

「流石姫様です。ホブゴブリンをたったの一撃。このレオパルラ大変感激いたしました」

 片膝でもつきそうな勢いでラーツィアを崇める師匠。
 周囲に人影がないからか、はっちゃけてるな。

 その後もラーツィアの魔法の練習は続いた。
 そう、惨劇は何度でも繰り返される。

土矢アースアロー!」

 空中に生成される土を固めた矢。
 人の身長より遥かに長い三メートルほどの槍の如し矢は、ホブゴブリン数体を貫通してなおも止まらず、森の木々をも薙ぎ倒す。

「えい! 石棘ストーンニードル!」

 地面に手をつき唱えるは石の棘を生やす魔法。
 突撃してくる豚面の二足歩行の魔物オークを、地面から生える斜め上方に突き上げる石の棘は、まるで尖塔のような巨大さでその厚い脂肪を貫通し串刺しにする。

 見るも無惨な光景だったが、ラーツィアは結果に満足したのか、オレに振り返って満面の笑みを見せてくれる。

 オレは自分の表情が引きつっていないかを心配することしかできなかった。





「それにしても、この森は広すぎるな。ライミーが小さな都市並みの大きさがあるっていってたけど、それより大きいんじゃないか?」

 疑似太陽は天高く存在し、その明かりは地上が昼間だと教えてくれる。
 陽の光に照らされる森の木々。
 歩けども歩けども尽きることはなく、稀に草原のような土地こそあるものの正に大森林の有り様だ。

「魔物も多いな。しかも不意の襲撃が厄介だ。ここでは常の警戒は怠れない」

 これまでも幾度となく魔物の襲撃はあった。
 その度に師匠の剣技とオレの恩恵によって撃破してきたが、視界の悪いところでは暗がりの奇襲が怖い。
 ラーツィアは接近戦は苦手だからな、オレも師匠に剣技と体術を教わっているとはいえもっと頑張らないと。

「だが、魔物の魔石や素材は集まってる。これをマリネッタとやらに渡して換金してもらえば中々の額になるのではないか?」

「ああ、中には弱い魔物もいたけど色々な魔物を二、三十体ぐらいは倒したからな。金貨十枚以上は確実にいくだろうな」

 残念ながらラーツィアが魔法の練習台にした魔物はどれも原型を留めていなかった。
 当然討伐証明、冒険者ギルドに持っていくことで討伐報酬を貰える魔物ごとに討伐した証明部位も潰れてる。
 この分は冒険者ギルドには請求できないな。

「しかし、半日近く戦ってこれか……金貨三千枚は遠いな」

 第一層で戦っているだけでは土地の代金を貯めるのは難しいと改めて思う。
 オレやラーツィアは確実に強くなってる。
 それでもここで稼ぐだけではまだ足りない。

「祭壇でも見つかればな……」

 祭壇。
 それはダンジョン内に稀に見つかる宝の置かれた台座。
 ダンジョン内に落ちた物質が巡り巡って祭壇に辿り着くらしいが、詳しくは解明されていない。
 祭壇に置かれる宝はその大半が魔力を帯びた武器、防具であり、いずれも希少なものばかりだ。
 
 ただ、祭壇が出現する確率はダンジョンの下層の方が高いらしく、第一層にはまず出現することはない。
 あー、祭壇の宝なら高額で売り払えること確定なのにな。

 オレたちはその後も三日ほど連続してダンジョンに潜ることになった。

 奇しくもオレの望んでいたダンジョンというある種の閉鎖された空間で、他者の目を気にせず行える狩り。
 調査依頼扱いなため報告の義務こそあるものの、冒険者ギルドでの魔物素材の買い取りは、ギルド内部の掌握が進んだマリネッタが秘密裏に行ってくれるため周囲には目立たない。

 実践経験も積め、金貨三千枚までには遠いとはいえ金も稼げる。
 理想といえば理想の環境。

 だが、それは嵐の前の静けさだった。

 大規模ダンジョン出現から一週間近くたった現在。

 噂を聞きつけた冒険者たちがこの小さな田舎街に集まってきていた。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

ラストアタック!〜御者のオッサン、棚ぼたで最強になる〜

KeyBow
ファンタジー
第18回ファンタジー小説大賞奨励賞受賞 ディノッゾ、36歳。職業、馬車の御者。 諸国を旅するのを生き甲斐としながらも、その実態は、酒と女が好きで、いつかは楽して暮らしたいと願う、どこにでもいる平凡なオッサンだ。 そんな男が、ある日、傲慢なSランクパーティーが挑むドラゴンの討伐に、くじ引きによって理不尽な捨て駒として巻き込まれる。 捨て駒として先行させられたディノッゾの馬車。竜との遭遇地点として聞かされていた場所より、遥か手前でそれは起こった。天を覆う巨大な影―――ドラゴンの襲撃。馬車は木っ端微塵に砕け散り、ディノッゾは、同乗していたメイドの少女リリアと共に、死の淵へと叩き落された―――はずだった。 腕には、守るべきメイドの少女。 眼下には、Sランクパーティーさえも圧倒する、伝説のドラゴン。 ―――それは、ただの不運な落下のはずだった。 崩れ落ちる崖から転落する際、杖代わりにしていただけの槍が、本当に、ただ偶然にも、ドラゴンのたった一つの弱点である『逆鱗』を貫いた。 その、あまりにも幸運な事故こそが、竜の命を絶つ『最後の一撃(ラストアタック)』となったことを、彼はまだ知らない。 死の淵から生還した彼が手に入れたのは、神の如き規格外の力と、彼を「師」と慕う、新たな仲間たちだった。 だが、その力の代償は、あまりにも大きい。 彼が何よりも愛していた“酒と女と気楽な旅”―― つまり平和で自堕落な生活そのものだった。 これは、英雄になるつもりのなかった「ただのオッサン」が、 守るべき者たちのため、そして亡き友との誓いのために、 いつしか、世界を救う伝説へと祭り上げられていく物語。 ―――その勘違いと優しさが、やがて世界を揺るがす。

ブラック国家を制裁する方法は、性癖全開のハーレムを作ることでした。

タカハシヨウ
ファンタジー
ヴァン・スナキアはたった一人で世界を圧倒できる強さを誇り、母国ウィルクトリアを守る使命を背負っていた。 しかし国民たちはヴァンの威を借りて他国から財産を搾取し、その金でろくに働かずに暮らしている害悪ばかり。さらにはその歪んだ体制を維持するためにヴァンの魔力を受け継ぐ後継を求め、ヴァンに一夫多妻制まで用意する始末。 ヴァンは国を叩き直すため、あえてヴァンとは子どもを作れない異種族とばかり八人と結婚した。もし後継が生まれなければウィルクトリアは世界中から報復を受けて滅亡するだろう。生き残りたければ心を入れ替えてまともな国になるしかない。 激しく抵抗する国民を圧倒的な力でギャフンと言わせながら、ヴァンは愛する妻たちと甘々イチャイチャ暮らしていく。

悪徳貴族の、イメージ改善、慈善事業

ウィリアム・ブロック
ファンタジー
現代日本から死亡したラスティは貴族に転生する。しかしその世界では貴族はあんまり良く思われていなかった。なのでノブリス・オブリージュを徹底させて、貴族のイメージ改善を目指すのだった。

盾の間違った使い方

KeyBow
ファンタジー
その日は快晴で、DIY日和だった。 まさかあんな形で日常が終わるだなんて、誰に想像できただろうか。 マンションの屋上から落ちてきた女子高生と、運が悪く――いや、悪すぎることに激突して、俺は死んだはずだった。 しかし、当たった次の瞬間。 気がつけば、今にも動き出しそうなドラゴンの骨の前にいた。 周囲は白骨死体だらけ。 慌てて武器になりそうなものを探すが、剣はすべて折れ曲がり、鎧は胸に大穴が空いたりひしゃげたりしている。 仏様から脱がすのは、物理的にも気持ち的にも無理だった。 ここは―― 多分、ボス部屋。 しかもこの部屋には入り口しかなく、本来ドラゴンを倒すために進んできた道を、逆進行するしかなかった。 与えられた能力は、現代日本の商品を異世界に取り寄せる 【異世界ショッピング】。 一見チートだが、完成された日用品も、人が口にできる食べ物も飲料水もない。買えるのは素材と道具、作業関連品、農作業関連の品や種、苗等だ。 魔物を倒して魔石をポイントに換えなければ、 水一滴すら買えない。 ダンジョン最奥スタートの、ハード・・・どころか鬼モードだった。 そんな中、盾だけが違った。 傷はあっても、バンドの残った盾はいくつも使えた。 両手に円盾、背中に大盾、そして両肩に装着したL字型とスパイク付きのそれは、俺をリアルザクに仕立てた。 盾で殴り 盾で守り 腹が減れば・・・盾で焼く。 フライパン代わりにし、竈の一部にし、用途は盛大に間違っているが、生きるためには、それが正解だった。 ボス部屋手前のセーフエリアを拠点に、俺はひとりダンジョンを生き延びていく。 ――そんなある日。 聞こえるはずのない女性の悲鳴が、ボス部屋から響いた。 盾のまちがった使い方から始まる異世界サバイバル、ここに開幕。 ​【AIの使用について】 本作は執筆補助ツールとして生成AIを使用しています。 主な用途は「誤字脱字のチェック」「表現の推敲」「壁打ち(アイデア出しの補助)」です。 ストーリー構成および本文の執筆は作者自身が行っております。

異世界ビルメン~清掃スキルで召喚された俺、役立たずと蔑まれ投獄されたが、実は光の女神の使徒でした~

松永 恭
ファンタジー
三十三歳のビルメン、白石恭真(しらいし きょうま)。 異世界に召喚されたが、与えられたスキルは「清掃」。 「役立たず」と蔑まれ、牢獄に放り込まれる。 だがモップひと振りで汚れも瘴気も消す“浄化スキル”は規格外。 牢獄を光で満たした結果、強制釈放されることに。 やがて彼は知らされる。 その力は偶然ではなく、光の女神に選ばれし“使徒”の証だと――。 金髪エルフやクセ者たちと繰り広げる、 戦闘より掃除が多い異世界ライフ。 ──これは、汚れと戦いながら世界を救う、 笑えて、ときにシリアスなおじさん清掃員の奮闘記である。

スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

最強無敗の少年は影を従え全てを制す

ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。 産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。 カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。 しかし彼の力は生まれながらにして最強。 そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。

処理中です...