超絶ゴミ恩恵『消毒液』で無双する

びゃくし

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第四十四話 オークションは変人ばかり

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あけましておめでとう。

大変長らくおまたせしてしまい申し訳ございません。
お正月なのでストック分だけになりますが、七話分を七日間投稿させていただきたいと思います。
実はカクヨム様にも投稿させていただき、そちらでは毎週木曜日に投稿予定となっております。
最新話がすぐに読みたいと思って下さる方がいらっしゃればそちらもどうかよろしくお願いします。





 ミクラ婆さんから聞いたランクルの街で開催されるオークションの話。
 都合のいいことにその開催は話を聞いた二日後のことだった。

 オレたちは大急ぎで出品の手続きを済ませ、ギリギリ滑り込みで間に合った。

 そして、オークション当日。

「レディース・アンデェ・ジェントルメェーーン!! ボー……えっ!? あっ、はい。配慮が足りない? 仕切り直しで? 失礼しました。ハローフレンズゥ!! ここモンテリオール王国の端っこで今日開催されるのは空前絶後の第一回ランクルの街大っオークション! 司会を務めるのは国家を問わず数多のオークションを取り仕切ってきたこの私! ジーエックス!!」 

「ジーエックスぅ~~!!」

「ジーエックスッ! ジーエックスッ!」

 会場はランクルの街郊外をまるごと区切る形で設営されている。
 どうやってこんな巨大な設備を短期間で整えたんだと疑問に思うほどの巨大円形会場。
 客席は一段高く見たことはないが闘技場ってやつに近いんだろう。

 そこで会場中から割れんばかりの拍手喝采で迎えられる派手な白スーツ姿のジーエックスと呼ばれる男。
 手には音声を拡大する魔導具らしきものを携えて一身に歓声を浴びている。
 いや、もしかしてあれがアイツの恩恵か?

 そんなことよりもっと気になる疑問がある…………なんでこんなに人気なんだよ。
 
「ジ、ジーエックス! ジーエックス!」

 隣で恥ずかしそうにしながらもラーツィアが観衆たちの音頭に乗る。
 こんなに人がいっぱい集まっていて体調を崩していないか心配だったが、これから起こることにワクワクしている様子にも見えた。

 まあ、ラーツィアが楽しいならそれでいいか。

「では! 解説を務める御三方を紹介しよう! このオークションに出品された品々はこの御三方が事前に鑑定を済ませている。そんな彼らには出品物の詳しい鑑定結果を一品ごとに紹介してもらおう!」

「ジーエックスッ! ジーエックスッ!」

 ……それにしても、熱狂しすぎだろ。

「まずは古今東西の武器、防具、魔導具、果ては魔法具まで一目見ただけでその性能を見破ると言われる伊達男! 魔導具鑑定界の至宝! アレイサー・シングバール!」

「毎度毎度盛り上げるためとはいえ誇張は感心しないんだが……。しかし、民衆の声に応えるのも私の仕事、か。鑑定士のアレイサーです。皆さんどうぞよろしく」

「アレイサー!」

「きゃ~、渋いおじ様! 素敵ぃ~」

「アレイサー様ぁ~、結婚してぇ~~!!」

 片眼鏡をかけたそれこそナイスミドルな紳士。
 苦笑いしつつも観衆の声に手を振って答える。

 オレも歳をとったらあんな風になりたいと思ってしまうくらいいい歳の取り方をしている。
 女性からの黄色い歓声も多いし、人気なのも頷ける。

「お次は審美眼に長けた新進気鋭のデザイナー。王都でも最近何かと話題なファッションブランド『オーガセンシティブ』のトップ! ワイルドファッションの先駆け! グラール・ビードル!!」

「……今日はお招きいただきありがとう」

 いや、山男みたいな奴じゃねぇか!

 因縁か?
 オーガを倒したオレの因縁なのか?

 あれだけあった歓声がなくなって葬式みたいなんだけど!?
 本人だって厳つい風貌なのに涙目だぞ!
 『やっぱり嫌われてるのかな……』なんて小声で呟いた声が静かになった会場中に反響してる。

 し、師匠を見ろよ。
 会場に死闘を繰り広げた因縁のオーガみたいな山男が現れて、感情がなくなった目になっちまったぞ!

 師匠になんの恨みがあるんだ!?

「最後は天才魔法士の名を欲しいままにする才媛。王都国立魔法学園を主席で卒業した『虹の魔女』ステリラ・ハーヴィ。普段はモンテリオール王国の魔法研究機関で働く彼女が緊急参戦だぁ!!」

「うぉおおお! ステリラちゃあああん!!」

「因みに彼女は二十ウン歳だが、まだ独身だぞ~!」

「うぉおおおおおおおお!!!」

「この野郎……」

 おい、配慮はどうした!?
 虹の魔女の眉間にシワが寄ってるぞ!

 明らかに本意ではない顔で解説員席に座っている水色長髪の虹の魔女。
 
 というかあの女、結構態度が悪いんだな。
 
 机に肘はつきっぱなしだし、司会のジーエックスを物凄い鋭い目で睨んでる。

 会場の歓声は最高潮に達していた。
 娯楽のない辺境というのもあるが、噂でしか聞いたことのない大規模なオークション。
 それが自分たちの街で開催されるとは思いもよらなかったことがこんな事態を引き起こしたのか。

 すると突然ラーツィアとは反対側の隣の席から不気味な笑い声がする。

「ぐふっ、ぐふふふふ。」

 オレの隣に座った小太りの男。
 会場の熱狂的な様子を見ながら売店で買ったのか大盛りのフライドポテトを頬張る姿は……おい、随分と美味そうに食うな。

 なんだか眺めていならハラが減ってきた。
 オレも買ってくれば良かったな。

「ぐふ?」

 気遣いはありがたいけど自分で食えよ。

 小太りの男が差し出してくれた大盛りフライドポテトの巨大バケツカップをやんわりと押し返しながら思う。

 ランクルの街ってこんなに変人ばっかりだっけ!?
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