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「というわけで仕返しをするから、ジャックは協力して。いや、しろ。拒否権ないし、あんたしかできない役割あるし」
「なんで俺が?! というか、命令形!?」
「立ってるものは親でも使えっていうじゃない。よろしくね」
幼なじみのジャックを呼び出したら、お人よしの彼は呑気な顔をしてふらふらやってきた。
私がニコルに対する仕返しの計画を伝えると黒い目をまん丸にして驚いている。昔からそのジャックくんのお人よしさを利用して、色々とさせたものだったが。
私が婚約して、異性の幼馴染と仲良くしていると問題があるということで、あまり家に呼び出すこともなくなったが、彼は私の一番の親友である。
それもあってジャックこと本名ジャクソンくんはニコルが台頭してくるまでは、私の筆頭婚約者候補だった。
……哀れすぎるでしょ。
ジャックは幼なじみの欲目ばりばりを差っ引いて見てもいい男なんだから、こんな女を妻として引き受けるようなボランティアする必要ないっていつも思っていた。金の力で殴る必要もない、それなりに小金持っている男爵家の子だったし。
ニコルやジャックのような上玉をゲットするような高望みをせず、財力格差でそれなりにいう事をききそうな貧乏貴族の男子をひっかけて、結婚まで持ち込めばいいじゃん、ということをマリーに言ったら「この人非人が」みたいな目で見られたのもいい思い出だが。
私がニコルをとっちめる計画をジャックに話していたら、彼の目がきらっと輝いた。
「それが成功すればお前の婚約破棄ができるんだな?」
「そうよ。それも相手有責でね」
「手伝ってやるよ。貸しだからな」
さすが幼馴染、いざとなればノリがいい。
二人でゲスな笑いを浮かべながら計画を練っていたら。
「うら若き乙女がしていい表情ではございませんよ」
そうマリーにまた叱られた。
「もー! マリー、いちいちうるさぁいっ」
ふくれている私を見て、ジャックが指さしてけらけら笑っている。
なんだか昔に戻ったみたいで、その瞬間だけは楽しかった。
***
―― 結論。
一言で言えば、やりすぎた。
「モテる男って情けないわね……」
計画は第五段階まであったのに、たった第一段階でニコルが根を上げて、洗いざらい悪事の計画を白状してまった。あんなにボロボロと余罪まで吐くだなんて思わなかった。
いや、清廉潔白な騎士の家系の人が、余罪があるなんて知らなかったんだもの。
「あっちこっちの女に手を出して貢がせて、しかも孕ませて逃げてるようなサイテー男……お天道様が許しても私が許さないわよ。しかも相手は弱者である平民よ?! 羞恥心や罪悪感っていうものを持ってないの? あの男」
私が手にした扇を折る勢いで憤慨しまくっていると、細かい打ち合わせは聞いていなかったマリーが首を傾げていた。
「お嬢様たちはニコル様に何をなさったんです」
「ニコルがオカルトを異常に嫌うという噂を聞いたから……」
嫌いといっているが本当は怖がりなだけだ、ということは多い。
だから金の力にあかせて、リアリティ満載なお化け屋敷のようなものを作り、そこに放りこんだだけである。
ガードの固い貴族の男のプライドをくすぐらせ、断れないように仕向けて仕掛けてある場所に夜に連れ込む。それこそが同じ貴族で男であるジャックの役目だった。
あとはもう推して知るべし。
確かな実力のある舞台役者を雇い、血のりに本物の血を使ったり、脚本家や小説家のチームを作って、彼が悪さをしていたら自白をするようなストーリーを作ってもらった。
当代きっての演劇を、たった一人の観客相手に見せ、全力で楽しませただけだったのに。
「トラウマになるレベルの本格さだよな」と呆れた顔のジャックのお墨付きまでもらってしまったが。
ちびらせる勢いでびびらせたら、出るわ出るわ、喋るわ喋るわ。
平民の女だからとなめきってやった悪事のオンパレード。内容のひどさに女として許せず、吐き気をこらえてその場で公証人を呼んで誓約書を作ってサインまでさせたのだけれど。
しかし、こんなバリバリモテる悪党なニコルだというのに、驚いたことがあった。
「なんで俺が?! というか、命令形!?」
「立ってるものは親でも使えっていうじゃない。よろしくね」
幼なじみのジャックを呼び出したら、お人よしの彼は呑気な顔をしてふらふらやってきた。
私がニコルに対する仕返しの計画を伝えると黒い目をまん丸にして驚いている。昔からそのジャックくんのお人よしさを利用して、色々とさせたものだったが。
私が婚約して、異性の幼馴染と仲良くしていると問題があるということで、あまり家に呼び出すこともなくなったが、彼は私の一番の親友である。
それもあってジャックこと本名ジャクソンくんはニコルが台頭してくるまでは、私の筆頭婚約者候補だった。
……哀れすぎるでしょ。
ジャックは幼なじみの欲目ばりばりを差っ引いて見てもいい男なんだから、こんな女を妻として引き受けるようなボランティアする必要ないっていつも思っていた。金の力で殴る必要もない、それなりに小金持っている男爵家の子だったし。
ニコルやジャックのような上玉をゲットするような高望みをせず、財力格差でそれなりにいう事をききそうな貧乏貴族の男子をひっかけて、結婚まで持ち込めばいいじゃん、ということをマリーに言ったら「この人非人が」みたいな目で見られたのもいい思い出だが。
私がニコルをとっちめる計画をジャックに話していたら、彼の目がきらっと輝いた。
「それが成功すればお前の婚約破棄ができるんだな?」
「そうよ。それも相手有責でね」
「手伝ってやるよ。貸しだからな」
さすが幼馴染、いざとなればノリがいい。
二人でゲスな笑いを浮かべながら計画を練っていたら。
「うら若き乙女がしていい表情ではございませんよ」
そうマリーにまた叱られた。
「もー! マリー、いちいちうるさぁいっ」
ふくれている私を見て、ジャックが指さしてけらけら笑っている。
なんだか昔に戻ったみたいで、その瞬間だけは楽しかった。
***
―― 結論。
一言で言えば、やりすぎた。
「モテる男って情けないわね……」
計画は第五段階まであったのに、たった第一段階でニコルが根を上げて、洗いざらい悪事の計画を白状してまった。あんなにボロボロと余罪まで吐くだなんて思わなかった。
いや、清廉潔白な騎士の家系の人が、余罪があるなんて知らなかったんだもの。
「あっちこっちの女に手を出して貢がせて、しかも孕ませて逃げてるようなサイテー男……お天道様が許しても私が許さないわよ。しかも相手は弱者である平民よ?! 羞恥心や罪悪感っていうものを持ってないの? あの男」
私が手にした扇を折る勢いで憤慨しまくっていると、細かい打ち合わせは聞いていなかったマリーが首を傾げていた。
「お嬢様たちはニコル様に何をなさったんです」
「ニコルがオカルトを異常に嫌うという噂を聞いたから……」
嫌いといっているが本当は怖がりなだけだ、ということは多い。
だから金の力にあかせて、リアリティ満載なお化け屋敷のようなものを作り、そこに放りこんだだけである。
ガードの固い貴族の男のプライドをくすぐらせ、断れないように仕向けて仕掛けてある場所に夜に連れ込む。それこそが同じ貴族で男であるジャックの役目だった。
あとはもう推して知るべし。
確かな実力のある舞台役者を雇い、血のりに本物の血を使ったり、脚本家や小説家のチームを作って、彼が悪さをしていたら自白をするようなストーリーを作ってもらった。
当代きっての演劇を、たった一人の観客相手に見せ、全力で楽しませただけだったのに。
「トラウマになるレベルの本格さだよな」と呆れた顔のジャックのお墨付きまでもらってしまったが。
ちびらせる勢いでびびらせたら、出るわ出るわ、喋るわ喋るわ。
平民の女だからとなめきってやった悪事のオンパレード。内容のひどさに女として許せず、吐き気をこらえてその場で公証人を呼んで誓約書を作ってサインまでさせたのだけれど。
しかし、こんなバリバリモテる悪党なニコルだというのに、驚いたことがあった。
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