2 / 9
父の老後計画
しおりを挟む基本的にティアの国では、血によって爵位が引き継がれる。
それ故、公爵の入り婿であるダンテルは、公爵の仕事をしているが正式な公爵ではない。
あくまで、公爵の血を引くティアが公爵を継ぐまでの仮の公爵と言っていい。
何故そこまで血にこだわるかというと、世界には魔獣が存在し、貴族には魔獣から護る結界の力を持っている。
それは王家が最も強く、貴族では爵位が上になるほど強い傾向にある。
その結界の力は血によって引き継がれるため、家を継げるのはその家の血を引くものと決まっていた。
万が一直系の血が途絶えてしまった場合に限り、近親者から跡取りをとることができる。
ティアもまた、公爵の娘に相応しい強い結界の力を持っていた。
なので、ティアが公爵を継ぐと父親はティアの父親でしかなく、何の爵位も持たない平民となってしまう。
けれど、すぐにどうこうなるというわけではなく、ティアがちゃんと公爵としてやっていけるように何年か掛けてしっかりと引き継ぎをして、ティアの成長を見届けた後、公爵の領地のどこかに家を用意してもらい余生を平民として穏やかに過ごせればいいとダンテルは思っていた。
それは再婚したい人ができた今では、その日を今か今かと待ち望んでいる。
それというのも、ダンテルが再婚したいという相手であるレジーという女性は、貴族ではなく平民の女性だというのだ。
それを聞いた時にはティアは勿論ティアの祖父母も驚いたが、ティアの母が亡くなってから暗い表情が多くなったダンテルが、それはもう緩んだ顔で再婚相手の女性のことを語るので文句など出ようはずがなかった。
父が母以外の人を妻とするのは不思議な気分だったが、最愛の父が幸せそうにしてティアもなんだか嬉しかった。
本当の公爵ではない父とレジーが結婚しても、レジーは公爵家とは全く関係ない。
公爵夫人になれるわけではないのだ。
もちろんそれは相手も承知の上のようだ。
二人の話し合いで、ティアが立派に公爵となったのを見届けてから、家を出て再婚しようと考えていたようなのだが、ダンテルの方の我慢が限界を突破した。
早く一緒に暮らしたいと思うようになり、そのことを考えては、気がおろそかになり、仕事が手に着かなくなるほど。
それで困ったダンテルは、反対を覚悟の上で前公爵夫妻に許可を得ようとしたようだ。
予想外に賛成されたダンテルは、すぐに再婚相手であるレジーと話し、帰ってからはティアとも話して、ティアが公爵としてやっていけるようになるまでは公爵家で暮らし、以後は公爵領のどこか田舎に家を移して平民としてやっていくと決まった。
元々ダンテルは伯爵の三男で爵位を継げる立場になかった。
平民としてやっていくことに忌避感はなく、ティアとしても公爵を切り盛りしてきたほどの能力があるダンテルを遊ばせる気はサラサラなく、一部の領地の管理を任せようと考えていた。
貴族ではなくなるが、普通に暮らしていくにはじゅうぶんな給金を支払うつもりだ。
そうして今後の方針が決まり、公爵家に再婚相手のレジーと、レジーの連れ子であるアニスがやって来た。
89
あなたにおすすめの小説
義妹の嫌がらせで、子持ち男性と結婚する羽目になりました。義理の娘に嫌われることも覚悟していましたが、本当の家族を手に入れることができました。
石河 翠
ファンタジー
義母と義妹の嫌がらせにより、子持ち男性の元に嫁ぐことになった主人公。夫になる男性は、前妻が残した一人娘を可愛がっており、新しい子どもはいらないのだという。
実家を出ても、自分は家族を持つことなどできない。そう思っていた主人公だが、娘思いの男性と素直になれないわがままな義理の娘に好感を持ち、少しずつ距離を縮めていく。
そんなある日、死んだはずの前妻が屋敷に現れ、主人公を追い出そうとしてきた。前妻いわく、血の繋がった母親の方が、継母よりも価値があるのだという。主人公が言葉に詰まったその時……。
血の繋がらない母と娘が家族になるまでのお話。
この作品は、小説家になろうおよびエブリスタにも投稿しております。
扉絵は、管澤捻さまに描いていただきました。
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
お花畑な母親が正当な跡取りである兄を差し置いて俺を跡取りにしようとしている。誰か助けて……
karon
ファンタジー
我が家にはおまけがいる。それは俺の兄、しかし兄はすべてに置いて俺に勝っており、俺は凡人以下。兄を差し置いて俺が跡取りになったら俺は詰む。何とかこの状況から逃げ出したい。
婚約者が義妹を優先するので私も義兄を優先した結果
京佳
恋愛
私の婚約者は私よりも可愛い義妹を大事にする。いつも約束はドタキャンされパーティーのエスコートも義妹を優先する。私はブチ切れお前がその気ならコッチにも考えがある!と義兄にベッタリする事にした。「ずっとお前を愛してた!」義兄は大喜びして私を溺愛し始める。そして私は夜会で婚約者に婚約破棄を告げられたのだけど何故か彼の義妹が顔真っ赤にして怒り出す。
ちんちくりん婚約者&義妹。美形長身モデル体型の義兄。ざまぁ。溺愛ハピエン。ゆるゆる設定。
知りませんでした?私再婚して公爵夫人になりました。
京月
恋愛
学生時代、家の事情で士爵に嫁がされたコリン。
他国への訪問で伯爵を射止めた幼馴染のミーザが帰ってきた。
「コリン、士爵も大変よね。領地なんてもらえないし、貴族も名前だけ」
「あらミーザ、知りませんでした?私再婚して公爵夫人になったのよ」
「え?」
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる