義妹が勝手に嫉妬し勝手に自滅していくのですが、私は悪くありませんよね?

クレハ

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義母と義妹

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 正式に再婚の手続きが終わり、公爵家へやって来た新しい母と連れ子。
 連れ子はティアと同じ年齢ではあるが、数ヶ月だけティアが先に産まれたので連れ子は妹になる。


 新しい義母のレジーは、平民ということから身なりは質素であったが、愛嬌のある顔立ちをしていた。

 少し居心地悪そうにしつつも、ティアを前にして精一杯の笑顔を浮かべている。


「ティア、この人がレジーだよ。レジー、私の娘のティアだ。とても可愛い子だろう?」


 最近では見ないほど上機嫌の父親が、紹介をする。

 ティアはレジーの前に行き、スカートの裾を軽く掴んで綺麗にお辞儀をした。


「サルディア公爵の娘、ティアと申します。新しいお母様にお会いするのを心待ちにしておりました」

「ま、まあ。ご丁寧に。こちらこそよろしくお願いします。あ、私は貴族の方のご挨拶はよく分からなくて、失礼があったら申し訳ありません」


 貴族の礼はできなかったが、必死に頭を下げて挨拶をするレジーに、ティアは好印象を抱いた。

 マナーも何もないが、素朴で真摯な気持ちが伝わってくるようだ。


「あの、こっちは私の娘のアニスです。お嬢様と同じ年齢ですので仲良くしてくださると嬉しいです。……アニス、ご挨拶を」


 アニスと紹介された新しい義妹は、ぽかんとティアを見つめていたかと思ったら、レジーに肘で突かれてハッと我に返ったようだ。


「はじめまして、アニスです」

「はじめまして」


 ティアはアニスに優しく微笑みかけた。
 けれど、どうしたことだろう。
 アニスはぎゅっとスカートを握り締めると、悔しそうに唇を噛み締めている。

 なにか自分に粗相があっただろうかと心配したティアはアニスに声を掛ける。


「アニスさん、どうかなさいましたか?」


 もしや体調でも悪くなったのかと手を差し伸べると、その手をパシンと叩き落とされた。

 じんじんと痛む手に、最初は理解が追い付かなかった。


「アニス! 何をしているの!?」


 レジーがすかさずアニスを叱る。
 そして、父であるダンテルもティアの手を取り心配そうにする。


「大丈夫かい?」

「ええ。私は大丈夫です。それよりアニスさんになにか気に障ることをしてしまったのかもしれません」


 その場にいた者の視線がアニスに集まる。


「アニス!」


 レジーが叱るが、アニスは無言を通す。
 さらにレジーが口を開こうとしたのをティアが止めた。



「お待ちください。急に環境が変わり、アニスさんも動揺してらっしゃるのかもしれませんわ。いったんお部屋でお休みになってはいかがでしょう。私、お二人のためにお父様と協力してお二人の部屋を用意しましたのよ。気に入っていただけると嬉しいのですが」

「まあ、そんなことまで。ありがとうございます、お嬢様」

「レジーさん、どうぞティアとお呼びください。お父様の奥様になられたのです。私にとったらお母様も同然ですから」


 そう言うと、レジーは頬を染めて嬉しそうにはにかんだ。


「で、では、ティア様とお呼びさせていただきます」


 父と再婚したとは言え、レジーは公爵夫人ではなく、平民であることに変わりはない。
 公爵令嬢であるティアに敬称を付けるのは当然で、レジーはきちんとそれを分かっていた。



「お二人を部屋にご案内して」


 執事長に命じ、レジーとアニスは部屋を出て行った。

 アニスは最後まで不貞腐れたような顔をしていて、ティアに謝罪の言葉一つなかった。





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