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勘違い?
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レジーは決意をした表情をしていた。
ダンテルは悲しそうな顔をしていたが、今のままのアニスをここに置いておくのは難しいことも理解しているようで、葛藤が見える。
そんな二人を見ているティアは、小さく溜息を吐いた。
「では、ここにアニスさんを呼んで少しお話をしてみましょうか?」
「ええ。お願いします」
レジーの強い意志が見えた頷きに、ティアはアニスを呼ぶためにベルを鳴らした。
ベルの音を聞いてきた使用人にアニスを呼んでくるように頼む。
しばらくして呼ばれて入ってきたアニスは、朝食時とは別の服と髪形をしていた。
どうやらまた着せ替え人形のように、衣装替えをしていたようだ。
「お父様~。新しい服が欲しいの。買ってぇ」
入ってくるや、ダンテルの隣に座りしなだれかかり、猫撫で声で甘えるその姿はまるで娼婦のよう。
思わずティアは眉をひそめる。
公爵令嬢であるティアは、ほぼ平民と接することはない。
屋敷の者達ですら貴族の子息令嬢であり、そうでなかったとしても身元の確かな富裕層の出だ。
だから本当に平民として暮らしている者のことは勉強の上でしか知らないことだったが、こんなにもティアから見て非常識なものなのだろうかと考える。
しかし、その母のレジーはきちんと身分と礼儀を分かっているのだから、アニスが問題なのかもしれないと思い直す。
こんな貴族の常識が通じない彼女に対して、多少不快に思いつつも、縁があってここにいるのだ。
父のためにもできるだけのことをしてあげたいと思うが、何が一番良いか。
それに考えを巡らす。
そんなティアの目の前では、ダンテルがアニスから静かに距離を取る。
「アニスにはすでに十分な衣服をあたえているはずだ。衣替えの季節でもないのに、新しい服は必要ないよ」
「ええー」
至極もっともなダンテルの返しに、目に見えてアニスは不服そうな顔をする。
アニスのこれまでを思えば、それでも十分すぎるものを与えているはずなのだ。
けれど、アニスは、もっともっとと際限をなく求める。
そんなアニスを見てレジーは目を吊り上げる。
「アニス」
「なによ、お母さん。恐い顔をして」
「アニス。あなたマナーの勉強もせずに部屋に引きこもっては、公爵家で働く方々に迷惑を掛けているそうじゃない」
「迷惑なんてかけてないわよ」
「その方達に上から目線で命令してるらしいじゃないの」
「お父様の娘なのだから当然じゃない! あいつら言うこと聞かなかったりするのよ。お父様、あんな無能な人達辞めさせちゃってよ」
「アニス! あなたにそんな権限はありませんよ!」
「私はここに暮らしているんだから当然の権利じゃない」
「そんなわけないでしょう。置いてもらっている立場でなんです、その言い方は」
話を聞いていたティアはあれ?っと思う。
どうにも、レジーとアニスの主張が食い違っているように感じてならないのだ。
もししたら、アニスは……。
ダンテルは悲しそうな顔をしていたが、今のままのアニスをここに置いておくのは難しいことも理解しているようで、葛藤が見える。
そんな二人を見ているティアは、小さく溜息を吐いた。
「では、ここにアニスさんを呼んで少しお話をしてみましょうか?」
「ええ。お願いします」
レジーの強い意志が見えた頷きに、ティアはアニスを呼ぶためにベルを鳴らした。
ベルの音を聞いてきた使用人にアニスを呼んでくるように頼む。
しばらくして呼ばれて入ってきたアニスは、朝食時とは別の服と髪形をしていた。
どうやらまた着せ替え人形のように、衣装替えをしていたようだ。
「お父様~。新しい服が欲しいの。買ってぇ」
入ってくるや、ダンテルの隣に座りしなだれかかり、猫撫で声で甘えるその姿はまるで娼婦のよう。
思わずティアは眉をひそめる。
公爵令嬢であるティアは、ほぼ平民と接することはない。
屋敷の者達ですら貴族の子息令嬢であり、そうでなかったとしても身元の確かな富裕層の出だ。
だから本当に平民として暮らしている者のことは勉強の上でしか知らないことだったが、こんなにもティアから見て非常識なものなのだろうかと考える。
しかし、その母のレジーはきちんと身分と礼儀を分かっているのだから、アニスが問題なのかもしれないと思い直す。
こんな貴族の常識が通じない彼女に対して、多少不快に思いつつも、縁があってここにいるのだ。
父のためにもできるだけのことをしてあげたいと思うが、何が一番良いか。
それに考えを巡らす。
そんなティアの目の前では、ダンテルがアニスから静かに距離を取る。
「アニスにはすでに十分な衣服をあたえているはずだ。衣替えの季節でもないのに、新しい服は必要ないよ」
「ええー」
至極もっともなダンテルの返しに、目に見えてアニスは不服そうな顔をする。
アニスのこれまでを思えば、それでも十分すぎるものを与えているはずなのだ。
けれど、アニスは、もっともっとと際限をなく求める。
そんなアニスを見てレジーは目を吊り上げる。
「アニス」
「なによ、お母さん。恐い顔をして」
「アニス。あなたマナーの勉強もせずに部屋に引きこもっては、公爵家で働く方々に迷惑を掛けているそうじゃない」
「迷惑なんてかけてないわよ」
「その方達に上から目線で命令してるらしいじゃないの」
「お父様の娘なのだから当然じゃない! あいつら言うこと聞かなかったりするのよ。お父様、あんな無能な人達辞めさせちゃってよ」
「アニス! あなたにそんな権限はありませんよ!」
「私はここに暮らしているんだから当然の権利じゃない」
「そんなわけないでしょう。置いてもらっている立場でなんです、その言い方は」
話を聞いていたティアはあれ?っと思う。
どうにも、レジーとアニスの主張が食い違っているように感じてならないのだ。
もししたら、アニスは……。
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