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家族会議
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アニスの癇癪により中断してしまった、マナーの講義だが、請け負った以上最後までやり遂げて見せますとナーラが言ってくれたおかげでナーラの続投が決まった。
しかし、アニスに強制するのではなく、あくまで自主的に任せることにした。
そしたら、ナーラ授業にはレジーしか参加せず、アニスはひたすらボイコットを続けた。
それ故に、アニスの所作は平民の時のままだ。
逆に意欲的に参加しているレジーの成長が著しい。
ナーラも、真剣に取り組む生徒ができて満足そうだ。
だが、そうなるとなおさら問題となるアニス。
授業も受けず何をしているのかと思えば、自室で身嗜みを整えたり、日に何度も着替えたりして過ごしているようだ。
大人しくしているなら良いかと思いつつ、別の問題が。
どうやらアニスは公爵家の使用人に尊大な態度で、まるで下僕のように命令するのだという。
公爵家にいる使用人は、誰もが身元の確かな貴族出身がほとんど。
平民に上から命令されることに矜持を傷付けられると執事長に訴えが殺到したらしい。
使用人はあくまで公爵家に仕えているのであって、アニスではない。
しかし、今は公爵家の客人のような立場のアニスに反論していいのか分からず、困っているようだ。
勉強もしない、マナーも覚えない、使用人を虐げる。
そんなアニスに、ティアとダンテルとレジーは集まって話し合いをすることになった。
「お父様、レジー様が一生懸命にされているのは、私を含めこの家の者は皆分かっております。けれど、アニスさんの行いはとても見過ごせるものではありません」
「うーん」
ティアの苦言を、ダンテルもよく分かっているのか腕を組んで難しい顔をする。
「ナーラの授業も受けていないようですし。それによく考えれば平民のアニスさんにナーラが教えるほどの所作は必要ないのでは? 初歩を教えてくださる別の講師をお呼びしたらどうでしょう?」
「そうだな。だが、アニスにはそれなりの教育をして、どこか下位の貴族の家で働いたりできないかと考えていたんだ。公爵家で学んだほどのマナーが身に付いていたら、その後の職にも嫁ぎ先にも困らないと思ったんだが……」
それを聞いてティアも納得した。
ティアと同じ教育がアニスに必要だとは思えなかったが、職や嫁ぐためなら公爵家での教育は、今後のアニスのため大いに役立つだろう。
同じ平民でも、教育を受けているのといないのとではまったく違うのだ。
貴族に嫁ぐことは難しいだろうが、富豪に嫁ぐことはできるかもしれない。
だが、あくまでアニスがマナーを身に着けたらの話だ。
「……やっぱり私達のような者が公爵家にいるのは間違っていたのかもしれないわね……」
突然レジーがそんなことを言いだして、ダンテルは慌てる。
「何を言うんだい、レジー」
「勘違いしないでね。私はあなたと結婚できて本当に嬉しいの。一緒に暮らせてこんなに幸せなことはないわ。けれど、私達はあくまで平民で、公爵家にお世話になるような大層な人間ではないわ。これ以上この家の方々の迷惑になるようなら、ここを出た方が良いのかもしれない」
「そんな、レジー」
ダンテルは縋るような眼差しで、レジーの手を取る。
「少しアニスと話してみるわ」
しかし、アニスに強制するのではなく、あくまで自主的に任せることにした。
そしたら、ナーラ授業にはレジーしか参加せず、アニスはひたすらボイコットを続けた。
それ故に、アニスの所作は平民の時のままだ。
逆に意欲的に参加しているレジーの成長が著しい。
ナーラも、真剣に取り組む生徒ができて満足そうだ。
だが、そうなるとなおさら問題となるアニス。
授業も受けず何をしているのかと思えば、自室で身嗜みを整えたり、日に何度も着替えたりして過ごしているようだ。
大人しくしているなら良いかと思いつつ、別の問題が。
どうやらアニスは公爵家の使用人に尊大な態度で、まるで下僕のように命令するのだという。
公爵家にいる使用人は、誰もが身元の確かな貴族出身がほとんど。
平民に上から命令されることに矜持を傷付けられると執事長に訴えが殺到したらしい。
使用人はあくまで公爵家に仕えているのであって、アニスではない。
しかし、今は公爵家の客人のような立場のアニスに反論していいのか分からず、困っているようだ。
勉強もしない、マナーも覚えない、使用人を虐げる。
そんなアニスに、ティアとダンテルとレジーは集まって話し合いをすることになった。
「お父様、レジー様が一生懸命にされているのは、私を含めこの家の者は皆分かっております。けれど、アニスさんの行いはとても見過ごせるものではありません」
「うーん」
ティアの苦言を、ダンテルもよく分かっているのか腕を組んで難しい顔をする。
「ナーラの授業も受けていないようですし。それによく考えれば平民のアニスさんにナーラが教えるほどの所作は必要ないのでは? 初歩を教えてくださる別の講師をお呼びしたらどうでしょう?」
「そうだな。だが、アニスにはそれなりの教育をして、どこか下位の貴族の家で働いたりできないかと考えていたんだ。公爵家で学んだほどのマナーが身に付いていたら、その後の職にも嫁ぎ先にも困らないと思ったんだが……」
それを聞いてティアも納得した。
ティアと同じ教育がアニスに必要だとは思えなかったが、職や嫁ぐためなら公爵家での教育は、今後のアニスのため大いに役立つだろう。
同じ平民でも、教育を受けているのといないのとではまったく違うのだ。
貴族に嫁ぐことは難しいだろうが、富豪に嫁ぐことはできるかもしれない。
だが、あくまでアニスがマナーを身に着けたらの話だ。
「……やっぱり私達のような者が公爵家にいるのは間違っていたのかもしれないわね……」
突然レジーがそんなことを言いだして、ダンテルは慌てる。
「何を言うんだい、レジー」
「勘違いしないでね。私はあなたと結婚できて本当に嬉しいの。一緒に暮らせてこんなに幸せなことはないわ。けれど、私達はあくまで平民で、公爵家にお世話になるような大層な人間ではないわ。これ以上この家の方々の迷惑になるようなら、ここを出た方が良いのかもしれない」
「そんな、レジー」
ダンテルは縋るような眼差しで、レジーの手を取る。
「少しアニスと話してみるわ」
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