ただの遊び相手が欲しくてかまちょしてたら専属メイドになった~ただ、遊んでもらってただけなのに!!!~

陽控優亜

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相手の気持ち

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私は、屋敷の坊ちゃまの遊び相手になった。
勝手に私が遊んでもらってるんだけど。
でも、坊ちゃまは話してくれなくて。
長い髪の毛で遊んだり、1人でずっと話したり。
それだけでも、なんだかんだ相手してくれる坊ちゃまは優しいと思う。
「それでですね、奥様に花冠を渡したら花が好きだから嬉しいと言ってくださったんです」
花冠を坊ちゃまの頭にのせながら私は奥様について話していた。
坊ちゃまは髪が長いからいろいろな髪型にできる。
でも、ここ数日会いに来てるのに声を聞いたことは一度もない。
可愛い髪型にしても怒らないし。
無表情はかわらない。
今だって本を読んでるし。
「できました!!!」
ツインテール!!
顔が整ってるから女性に見える!!
「坊ちゃま!!綺麗です!!」
私は坊ちゃまの膝の上にのってツインテールの毛先を編み込む。
鼻歌交じりに編み込んでいく。
さらさらで、編みにくいけどつやつやの髪はとってもきれい!!
あれ。眠いな。
窓から入る日差し。
坊ちゃまはいい匂いして。
目をこすって眠気を覚まそうとするけど。
頭が重くて。
でも、ここで寝たら。
坊ちゃまの邪魔になっちゃう。
起きなきゃ。起きなきゃ。



ベンside
ここ最近寝むれてないのか、この子は僕に寄りかかるように寝た。
というか、何この髪型。
毎日飽きもせず僕に花を渡したり、僕の髪で遊んだり。
母上が気に入ってるみたいだから僕のところにも気やすく来れるんだろうけれど。
そのまえに、このままじゃ風邪をひく。
軽くため息をついて小さな女の子を抱き上げる。
軽いな。
読みかけの本を片手で持ち女の子を抱き上げたまま寝室へ行く。
ソファで一度下して布団をめくり女の子をソファからベットへと移動する。
布団をかければ少しだけ微笑んで女の子は涙を流していた。
そっと指先で涙を拭う。
すると、女の子は僕の手を掴んで離さなくなった。
離そうと思えば離せる。
だが、僕は女の子の手をそっと握り返してた。
どんな夢を見てるのかわからない。
だけど、僕の手のぬくもりを通して幸せな夢になることを祈って。
あんなにうざかったのに。
毎日来るこの子に。
もっと声を聞きたいと思った。
花冠をもらうたびかすかに喜んでる僕がいた。
こんなに小さくて。
触れば消えてしまいそうなのに。
毎日会いに来て。
ちゃっかし、僕が残した食事を食べてる。
しかも、すごくおいしそうに。
不思議な子だ。
無口で何も言わない、無表情の僕に毎日会いに来るのが。
必ず、花を持ってくるのが。
僕はもらった花を押し花にしてる。
なんとなく。
本当になんとなく残していたかった。
僕の秘密をこの子も知れば、離れていくのかな。
それとも母上や父上のようにそばにいてくれるのかな。
わからない。
ただ、女の子の笑顔をずっと。
近くで見ていたいと願ってしまう。
「うぅ」
うなされてる女の子を見て俺は懐かしい思いを感じた。
「夜空の星 輝く月 見守り包み込むこの両手」
乳母がよく歌ってくれた歌。
「花が咲くとき目覚めるだろう 愛しき子 太陽がでれば闇は消える」
そっと頭をなでる。
「優しい月夜 月は聖なる光 どんな闇も月夜が道開く」
なんで、歌ってるんだろ。
この子は、どうして僕に話しかけるのかな。
わからない。
ただ、この子は僕と同じような気がする。
何かを隠して。
笑って。
僕の場合は隠しながら閉じこもる。
あの時、道を案内しなければ。
この子は僕に会いに来ようと思わなかったのかもしれない。
「坊ちゃま……?」
声が聞こえ顔をあげると眠たそうに目をこすりながら不思議そうに笑っていた。
「どこか痛いの?」
……い、たい……??
何を言ってるんだ。
「痛いの痛いのとんでいけ。遠くへ遠くへとんでいけ。とんでいかないならぱくっと食べちゃうぞ!!」
そういって女の子は僕の頬にキスをした。
……キス……??
「~~~~っ!!!!」
思考停止したあと、思わず身を引く。
とっさにキスされた左頬を押さえて。
「痛いのとんでった??」
無邪気に笑う姿は。
あまりにもまぶしくて。
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