8 / 9
誰 ベンside
しおりを挟む
不思議だ。
ジャスミンが泣いてる。
それはわかるのにジャスミンのそばにいけない。
「お母さん。お父さん」
一生懸命、涙をこらえようとしてるジャスミン。
それでも、涙は止まらずに頬を流れる。
真っ黒なワンピースが雨に濡れる。
雨が止まることなくジャスミンを濡らしていく。
黒いワンピースに染みができる。
雨音でジャスミンの声が聞こえない。
苦しそうに胸を押さえる姿はいつもとまるで違う。
「ジャス、」
こらえきれなくなったのか、上を向いて。
大きな声で叫ぶように。
でも、その声でさえ雨音に負けてる。
白い髪が濡れて。
「!!!」
そこで、傘を差したマーサがジャスミンを抱きしめる。
マーサは泣いていない。
優しく歌を唄っている。
ジャスミン、泣かないで。
泣かないで、ジャスミン。
どうして、ジャスミンの所へ行けないんだ。
ジャスミン。ジャスミン!!
「行くな、ジャスミン!!」
このままじゃ、ジャスミンが消えてしまいそうで。
雨が強くなっていく。
たくさんの雨がジャスミンの姿を消していく。
「ジャスミン、待ってくれ」
見知らぬ女性と男性がジャスミンの手をとり歩いていく。
このままじゃ、もう二度と逢えなくなりそうで。
もう二度とあの声を。愛しい笑顔を。
優しい温もりを感じれなくなりそうで。
「それ以上、行ってはダメ!!」
後ろから、強く腕を引かれる。
それから、懐かしいにおいと温かい温もりに包まれて。
安心した。
「坊ちゃま~!!」
何だか、うるさいな。
てか、重たい。
目を開くと顔がぐちゃぐちゃの小さな女の子がいた。
「ジャスミン、泣かないの」
メイド長のマーサが何か言ってる。
「あー、重い!!」
勢いよく起きると、体がふらつく。
頭が痛い。
「坊ちゃま!!」
女の子に抱きつかれる。
誰??
「ジャスミン、落ち着いて。ベンが驚いてるわ」
母上?
どうして、母上がここに。
「ベン、どうしたの」
少し、困惑したようなどこか心配そうに母上が俺を見つめている。
母上の目には、俺が映ってる。
「坊ちゃま?」
声のする方をみると、俺よりも小さな女の子が、泣いていた。
誰もこの女の子が誰かなんて考えてない。
誰なんだ、この女の子は。
「本当に、ジャスミンは、ベンが好きなのね」
ジャ、スミン?
「奥様、坊ちゃまの様子が、」
声が遠のいていく。
見えている景色が回りだす。
“キモチワルイ”
頭が痛い。
なんだ、この臭いは。
「坊ちゃま??坊ちゃま!!」
「うるさい!!」
気がつけば、何かを振り払っていて。
「ジャスミン!!」
マーサの叫びで顔をあげると、頭から血を流している女の子が倒れていた。
「はやく、医者を!!」
誰かの声を聞きながら、血だらけの彼女を見る。
何故か、頭がいたい。
顔色が悪くて、このままでは。
なのに、怖い。
「君は、誰」
その言葉で、母上が何かを言っていた。
ジャスミンが泣いてる。
それはわかるのにジャスミンのそばにいけない。
「お母さん。お父さん」
一生懸命、涙をこらえようとしてるジャスミン。
それでも、涙は止まらずに頬を流れる。
真っ黒なワンピースが雨に濡れる。
雨が止まることなくジャスミンを濡らしていく。
黒いワンピースに染みができる。
雨音でジャスミンの声が聞こえない。
苦しそうに胸を押さえる姿はいつもとまるで違う。
「ジャス、」
こらえきれなくなったのか、上を向いて。
大きな声で叫ぶように。
でも、その声でさえ雨音に負けてる。
白い髪が濡れて。
「!!!」
そこで、傘を差したマーサがジャスミンを抱きしめる。
マーサは泣いていない。
優しく歌を唄っている。
ジャスミン、泣かないで。
泣かないで、ジャスミン。
どうして、ジャスミンの所へ行けないんだ。
ジャスミン。ジャスミン!!
「行くな、ジャスミン!!」
このままじゃ、ジャスミンが消えてしまいそうで。
雨が強くなっていく。
たくさんの雨がジャスミンの姿を消していく。
「ジャスミン、待ってくれ」
見知らぬ女性と男性がジャスミンの手をとり歩いていく。
このままじゃ、もう二度と逢えなくなりそうで。
もう二度とあの声を。愛しい笑顔を。
優しい温もりを感じれなくなりそうで。
「それ以上、行ってはダメ!!」
後ろから、強く腕を引かれる。
それから、懐かしいにおいと温かい温もりに包まれて。
安心した。
「坊ちゃま~!!」
何だか、うるさいな。
てか、重たい。
目を開くと顔がぐちゃぐちゃの小さな女の子がいた。
「ジャスミン、泣かないの」
メイド長のマーサが何か言ってる。
「あー、重い!!」
勢いよく起きると、体がふらつく。
頭が痛い。
「坊ちゃま!!」
女の子に抱きつかれる。
誰??
「ジャスミン、落ち着いて。ベンが驚いてるわ」
母上?
どうして、母上がここに。
「ベン、どうしたの」
少し、困惑したようなどこか心配そうに母上が俺を見つめている。
母上の目には、俺が映ってる。
「坊ちゃま?」
声のする方をみると、俺よりも小さな女の子が、泣いていた。
誰もこの女の子が誰かなんて考えてない。
誰なんだ、この女の子は。
「本当に、ジャスミンは、ベンが好きなのね」
ジャ、スミン?
「奥様、坊ちゃまの様子が、」
声が遠のいていく。
見えている景色が回りだす。
“キモチワルイ”
頭が痛い。
なんだ、この臭いは。
「坊ちゃま??坊ちゃま!!」
「うるさい!!」
気がつけば、何かを振り払っていて。
「ジャスミン!!」
マーサの叫びで顔をあげると、頭から血を流している女の子が倒れていた。
「はやく、医者を!!」
誰かの声を聞きながら、血だらけの彼女を見る。
何故か、頭がいたい。
顔色が悪くて、このままでは。
なのに、怖い。
「君は、誰」
その言葉で、母上が何かを言っていた。
0
あなたにおすすめの小説
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
国外追放ですか? 承りました。では、すぐに国外にテレポートします。
樋口紗夕
恋愛
公爵令嬢ヘレーネは王立魔法学園の卒業パーティーで第三王子ジークベルトから婚約破棄を宣言される。
ジークベルトの真実の愛の相手、男爵令嬢ルーシアへの嫌がらせが原因だ。
国外追放を言い渡したジークベルトに、ヘレーネは眉一つ動かさずに答えた。
「国外追放ですか? 承りました。では、すぐに国外にテレポートします」
【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く
ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。
5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。
夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…
無能扱いされ、パーティーを追放されたおっさん、実はチートスキル持ちでした。戻ってきてくれ、と言ってももう遅い。田舎でゆったりスローライフ。
さら
ファンタジー
かつて勇者パーティーに所属していたジル。
だが「無能」と嘲られ、役立たずと追放されてしまう。
行くあてもなく田舎の村へ流れ着いた彼は、鍬を振るい畑を耕し、のんびり暮らすつもりだった。
――だが、誰も知らなかった。
ジルには“世界を覆すほどのチートスキル”が隠されていたのだ。
襲いかかる魔物を一撃で粉砕し、村を脅かす街の圧力をはねのけ、いつしか彼は「英雄」と呼ばれる存在に。
「戻ってきてくれ」と泣きつく元仲間? もう遅い。
俺はこの村で、仲間と共に、気ままにスローライフを楽しむ――そう決めたんだ。
無能扱いされたおっさんが、実は最強チートで世界を揺るがす!?
のんびり田舎暮らし×無双ファンタジー、ここに開幕!
異世界に転移したら、孤児院でごはん係になりました
雪月夜狐
ファンタジー
ある日突然、異世界に転移してしまったユウ。
気がつけば、そこは辺境にある小さな孤児院だった。
剣も魔法も使えないユウにできるのは、
子供たちのごはんを作り、洗濯をして、寝かしつけをすることだけ。
……のはずが、なぜか料理や家事といった
日常のことだけが、やたらとうまくいく。
無口な男の子、甘えん坊の女の子、元気いっぱいな年長組。
個性豊かな子供たちに囲まれて、
ユウは孤児院の「ごはん係」として、毎日を過ごしていく。
やがて、かつてこの孤児院で育った冒険者や商人たちも顔を出し、
孤児院は少しずつ、人が集まる場所になっていく。
戦わない、争わない。
ただ、ごはんを作って、今日をちゃんと暮らすだけ。
ほんわか天然な世話係と子供たちの日常を描く、
やさしい異世界孤児院ファンタジー。
【完結】使えない令嬢として一家から追放されたけど、あまりにも領民からの信頼が厚かったので逆転してざまぁしちゃいます
腕押のれん
ファンタジー
アメリスはマハス公国の八大領主の一つであるロナデシア家の三姉妹の次女として生まれるが、頭脳明晰な長女と愛想の上手い三女と比較されて母親から疎まれており、ついに追放されてしまう。しかしアメリスは取り柄のない自分にもできることをしなければならないという一心で領民たちに対し援助を熱心に行っていたので、領民からは非常に好かれていた。そのため追放された後に他国に置き去りにされてしまうものの、偶然以前助けたマハス公国出身のヨーデルと出会い助けられる。ここから彼女の逆転人生が始まっていくのであった!
私が死ぬまでには完結させます。
追記:最後まで書き終わったので、ここからはペース上げて投稿します。
追記2:ひとまず完結しました!
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる