【完結】振られてばかりの幼馴染を寝取って絶対に幸せにします

りちょ

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1話

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出会ってから今日まで、幼馴染の夏樹にずっとずっと恋をしている。

小学生3年生の頃、夏樹が転校してきたその日に一目惚れした。
白い肌も、丸い目も頬も全部タイプで大好きだった。笑った時の顔がサモエドに似ていて可愛いところとか、その辺の女子に負けないくらい涙袋が大きくて可愛いところとか、意外と眉はしっかりしていて前髪を分けると男前なところとか。

たまたま席が隣になり意外と話が合うことがわかって、それからもっと好きになった。
素直な性格でよく笑ってよく拗ねて涙もろいところとか、飄々としているようで意外としっかり自分の哲学があったり、そうかと思えば本当に何も考えなしに行動していたり掴めないところも本当に好きだ。
人懐っこくて、誰とでもすぐに打ち解けるところとか、僕には無い明るさを持っていて、なによりそこが一番好きだった。

根が暗くて卑屈で、他人との間に無意識に線を引いて遠ざける癖があった僕とは、夏樹は真逆だった。真逆だったから僕たちは思いの外相性が良くて、いつの間にかお互いの1番の友人になった。

何年も何年も誰にも悟られず、ずっと片思いを続けていた。

だけどどうにかずっと一緒にいたくて、せめて友達の中では1番でいたくて、同じ部活に入って同じタイミングで辞めて別の部活に入ったり、行きも帰りも一緒に通学してほとんど毎日2人で遊んで週末はどちらかの家に泊まりに行ったりと、とにかく一緒に過ごした。
1番の友達でいるため、あのアイドルが可愛いだのあの子と最近よく目が合うだの、聞きたくも無い話だってずっとうんうん楽しそうに聞いた。

ずっと1番の友達でいれば、もしかして僕のことを好きになるんじゃないのかとか、そこまではいかなくとも僕といた方が女の子と遊ぶより楽しいと思って、彼女を作ったりしないんじゃないのかと思ったりもした。
そんな小さな望みにかけるように、夏樹の好きな漫画を読んで、好きな映画を見て、時々最新刊を先に買ってはそれを餌に家に呼んだりもした。夏樹はいつも呑気で、楓とは話が合う、と嬉しそうにしていた。合わせてるんだよ馬鹿とは思いつつもそれを声に出すこともなく、僕はただ必死だった。なんでも良いから、夏樹と僕だけの話題が欲しかった。
けれどもそんな僕の涙ぐましい努力も淡い期待も、中2の冬に一言「彼女ができた」と言われてズタボロに引き裂かれてしまった。

楓にだけ教えるから、内緒ねと言われた時、ぐしゃぐしゃの心を隠してどうにか静かに頷いた。
ああやっぱり僕には最初からチャンスも無かったんだと分かってしまって、その日はずっと心臓が握り潰されたようにギリギリと痛んだ。でも、夏樹が僕にだけなんでも打ち明けるのはすごく嬉しくって、それが悔しくて悲しくて次の日目がパンパンに腫れるまで1人で泣いた。

一生叶わない恋なんだなと、時間をかけてどうにか飲み込んだ。
それでも夏樹のことがやっぱりどうしても好きだったから、変わらず親友としてそばにいようと思った。

高校も一緒の学校に通ってまた同じ部活に入って、行きか帰りのどちらかは一緒に通学し続けた。相変わらずしょっちゅうお互いの家に泊まって、夏樹の家族旅行になぜか誘われてついて行ったりもした。
なんだかんだで大学も同じ。
実家から少し離れたところに一人暮らしを始めると、夏樹も同じ最寄りに住むことになった。流石に学部は違うため大学の中で顔を合わせることは少なくなったが、しょっちゅう夏樹はうちに遊びに来るので今までとあまり変わらない。 

夏樹は良く言えば人に甘えるのが上手くて、悪く言えばわがままなところがあった。ずっと一緒にいた僕があんまりに夏樹を甘やかしたせいだとは思うが、特に僕に対してはわがままだった。

「楓が作ったご飯のが美味い」とか「楓の家の方が綺麗だから」とか、大学生になって親の目を離れたらそんな理由で殆ど毎日僕の家に入り浸るようになっていて、ついこの前合鍵を渡したくらいには夏樹は俺にべったりだった。
泊まるだけ泊まって家事も手伝いも一切しないでベッドに寝転んでいる夏樹に、文句一つ言わず一から十まで世話を焼いた。
末っ子で長男で、元々家でも両親に姉に甘やかされていた夏樹は、甲斐甲斐しく世話を焼かれている自覚もない。呑気に「自分の家より居心地が良い」と言っていた。

そりゃあお前の好みに合わせて料理も作っているんだし、綺麗好きなのも知っててまめに掃除をしお前の服も一緒に洗濯してあげてて、更には部屋のアロマもクッションの硬さも枕もマットレスもお前が好きそうなのを置いているんだから居心地が良いに決まってる。
ちなみに、敢えて来客用の布団や枕は夏樹の好みと真逆の物を用意した。夏樹にそれを使わせてから自然に僕が使っているベッドや枕を触らせて、夏樹に僕と同じベッドで寝る事を選択させるためだった。
寝具に細かいこだわりがある夏樹はまんまと僕の手のひらの上で転がされ、寝心地が良いという理由だけで今も僕の狭いシングルベッドで一緒に寝ている。

だけどこんな風に僕が夏樹を部屋に呼ぶために何から何まで夏樹仕様にしていることなんてバラしてしまったらこの関係は全部終わってしまうので、僕はどんなに「俺ずっとここに住みたい、自分の家より好き」と能天気なことを言われたって、「なんでだよ、普通の家だよ」と当たり障りない事を答えていた。

こいつが僕にべったり甘えて家事スキルが育たないまま、女に呆れられて捨てられれば良いとも普通に考えている。
だけど結局のところ夏樹は器用だから、僕がどんなに甘やかしたって彼女に求められれば料理も家事も全部そつなくこなすだろうから、こんな事をしたってきっと意味は無い。
1番近くで見ていたから夏樹の器用さは僕が1番よく分かっていた。
それでもあんまり好きじゃない甘い卵焼きを夏樹のためだけに焼くのはやめられなくて、いつまでも悩んで落ち込み続けるのは不毛だと、少しずつ考えるのをやめるようになった。

そんな風に続けていたら、ちょうど20歳をすぎてお酒が飲めるようになった頃、上手くこの恋とも折り合いがつけられるようになった。
必要以上に落ち込まず、この先夏樹が可愛い女の子と付き合ってそれから結婚しても、ずっと友達として近くにいられれば幸せかもなとどうにか思えてきた。
もしも夏樹に子供ができれば、その子には会ってみたいかもなぁだなんて、くだらないことだって考えられる余裕が生まれた。
ようやく恋が終わって、大きな括りで愛に変わったのかなあと安心できるようになったのだ。
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