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3話
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ずっとずっと今まで夏樹は女の子が好きだからと、想いを呑み込んで諦めてきた。
夏樹が振られたり浮気されたりして傷つけられているのを何度も見てきて、その度に僕だったらこんな顔させないのに、と悔しくなった。絶対に僕だったら悲しませないのに、あんな人たちよりよっぽど夏樹を分かっているのに。何度も何度もそう思った。
だけど彼女達は僕とは違う。彼女たちはみんな、柔らかくて甘い匂いがする、女の子だった。
僕が何をしたって得られないものを持っていた。僕がどうやったって夏樹に選ばれない理由を、彼女たちは当たり前に持っていた。
勝負すらできないのが僕だった。
だからせめて友達の座だけは守りたくて必死だった。
夏樹が付き合ったのが男なんだったら、もう、何がなんでも奪えば良いと思った。
こんな風な顔をさせるくらいなら、絶対に奪ってやると思った。
どんなに時間をかけたっていい、どんな手を使ったっていいや。絶対に僕の方がいいって言わせてやる。
口を開けて夏樹の好きなようにキスをさせる。にゅる、と入り込んできた舌は安っぽいレモンの味がした。さっきまで夏樹が飲んでいた甘ったるい酒の味だった。
キスなんかしたことなかったけれど、相手が夏樹ならどうにでもなるな、と思った。夏樹の癖も性格も分かっていたから、最初は何もせず夏樹の舌の動きと呼吸のタイミングに集中した。
夏樹は自分がして欲しいことを先に僕にする。
僕が食べてるお菓子が欲しければ先に自分のを渡してくるし、急に僕の肩を揉み出しす時は大抵キツいバイトがあった日で、自分がマッサージを受けたいからだった。
ならキスも同じだろうなと思った。ねとねと舌を絡ませるのも、上顎を時々くすぐるのも、キツく舌を吸って甘噛みするのも、多分夏樹が好きな事なんだろうな。
くらくらする頭で必死に夏樹の動きを覚える。
くすぐりも確か弱かった。そっと耳に触れて優しく包み込むように撫でると、ひくんと夏樹の肩が揺れる。
…あー、攻めるならいまなんだろうな。
深く唇を合わせて舌を捩じ込む。
夏樹よりずっと丁寧に、同じ動きをなぞった。ざらざらと舌を擦り合わせて、それからそろっと上顎を舌先で撫でる。息が上がって唇を離すたびに、夏樹もふうっと息を吐いた。それが熱っぽくて余計に興奮してしまって、無意識で夏樹の髪を軽く掴んでいた。
「ん、……ふ、んん!」
ぢゅ、と音を立てて舌を吸った時、分かりやすく夏樹の身体に力が入った。
拒絶された気がして焦って、慌てて身体を離す。
自分でも気が付かなかったが、思ったよりも息が上がっていたようだった。こういうのが余裕の無さなんだろうなと悔しくなる。
夏樹も少しだけ息を切らしていた。それよりも、真っ赤な顔をしていることの方が意外だった。
「…ごめん、嫌だった?」
「いや…そうじゃないけど……」
反応を見て嫌悪感があったわけではないと分かって、また黙って顔を近づけた。ちょっとだけ夏樹は身構えたけど、すぐに目を伏せてキスをさせてくれる。
舌を絡めるとくちゅくちゅと小さく音がなった。
そっと夏樹の髪を撫でて、また耳の裏側をすりすり撫でる。
「ん………」
鼻に抜けた甘い声が聞こえる。
夏樹の身体から力が抜けていて、少し肩を押すとそのままゆっくり倒れていった。どうにかキスをしながら追いかけて、床まで追い詰める。
興奮で頭がふわふわしたまま、夢中で舌を絡めてしゃぶった。夏樹の唇も舌も、びっくりするくらい柔らかかった。
一度また唇を離して、じっと夏樹の顔を見た。
瞼がとろんと落ちていて、奥二重のせいで普段あまり見えない二重のラインがくっきり見えていた。まだ赤い顔をしていて、口周りは唾液でベタベタだった。
「…練習台になってくれるんだよね」
「そうだけど…何」
「じゃあ童貞も捨てて良い?」
「えっ、ど、ええっ!それは…」
「ねえお願い、…正直もう童貞拗らせてて、彼女が出来たとしても緊張してできるか分からない。でも多分夏樹とだったら最後まで出来るから。今日駄目だったらもう、一生できないかも」
「うぐ……!」
もちろん彼女なんか作る気無い。全部口から出まかせの嘘だから、自分でもめちゃくちゃなことを言っているのが分かった。
だけど夏樹はお人好しで押しに弱い。今ならアルコールとキスで頭もふわふわだろうし、押せばいけると確信した。
今日を逃したらもう絶対に夏樹が友達の線を超えてくることはないとなんとなく分かっていたから、僕はもう必死だった。
出来るだけ声のトーンを落として、情けない可哀想な男になりきる。
「夏樹しかいないんだよ…こんなこと頼めるの夏樹しかいない。練習だからさ」
「う…そっか……まあ……練習だし………」
勝ったと思った。それと同時に、夏樹の流され具合に心配にもなった。
気が変わらないうちにまたキスをして、それからすぐそばにあったベッドにもつれ込んで、そのまま夏樹を押し倒す。
見慣れた紺色のシーツの上に、僕の下で仰向けになったー夏樹がいる。いつもより余計に肌の白さが目立っていて、痛いくらい下半身が反応しているのが分かった。
「…ありがとね夏樹。絶対その先輩より気持ち良くするから」
「………え?」
夏樹が振られたり浮気されたりして傷つけられているのを何度も見てきて、その度に僕だったらこんな顔させないのに、と悔しくなった。絶対に僕だったら悲しませないのに、あんな人たちよりよっぽど夏樹を分かっているのに。何度も何度もそう思った。
だけど彼女達は僕とは違う。彼女たちはみんな、柔らかくて甘い匂いがする、女の子だった。
僕が何をしたって得られないものを持っていた。僕がどうやったって夏樹に選ばれない理由を、彼女たちは当たり前に持っていた。
勝負すらできないのが僕だった。
だからせめて友達の座だけは守りたくて必死だった。
夏樹が付き合ったのが男なんだったら、もう、何がなんでも奪えば良いと思った。
こんな風な顔をさせるくらいなら、絶対に奪ってやると思った。
どんなに時間をかけたっていい、どんな手を使ったっていいや。絶対に僕の方がいいって言わせてやる。
口を開けて夏樹の好きなようにキスをさせる。にゅる、と入り込んできた舌は安っぽいレモンの味がした。さっきまで夏樹が飲んでいた甘ったるい酒の味だった。
キスなんかしたことなかったけれど、相手が夏樹ならどうにでもなるな、と思った。夏樹の癖も性格も分かっていたから、最初は何もせず夏樹の舌の動きと呼吸のタイミングに集中した。
夏樹は自分がして欲しいことを先に僕にする。
僕が食べてるお菓子が欲しければ先に自分のを渡してくるし、急に僕の肩を揉み出しす時は大抵キツいバイトがあった日で、自分がマッサージを受けたいからだった。
ならキスも同じだろうなと思った。ねとねと舌を絡ませるのも、上顎を時々くすぐるのも、キツく舌を吸って甘噛みするのも、多分夏樹が好きな事なんだろうな。
くらくらする頭で必死に夏樹の動きを覚える。
くすぐりも確か弱かった。そっと耳に触れて優しく包み込むように撫でると、ひくんと夏樹の肩が揺れる。
…あー、攻めるならいまなんだろうな。
深く唇を合わせて舌を捩じ込む。
夏樹よりずっと丁寧に、同じ動きをなぞった。ざらざらと舌を擦り合わせて、それからそろっと上顎を舌先で撫でる。息が上がって唇を離すたびに、夏樹もふうっと息を吐いた。それが熱っぽくて余計に興奮してしまって、無意識で夏樹の髪を軽く掴んでいた。
「ん、……ふ、んん!」
ぢゅ、と音を立てて舌を吸った時、分かりやすく夏樹の身体に力が入った。
拒絶された気がして焦って、慌てて身体を離す。
自分でも気が付かなかったが、思ったよりも息が上がっていたようだった。こういうのが余裕の無さなんだろうなと悔しくなる。
夏樹も少しだけ息を切らしていた。それよりも、真っ赤な顔をしていることの方が意外だった。
「…ごめん、嫌だった?」
「いや…そうじゃないけど……」
反応を見て嫌悪感があったわけではないと分かって、また黙って顔を近づけた。ちょっとだけ夏樹は身構えたけど、すぐに目を伏せてキスをさせてくれる。
舌を絡めるとくちゅくちゅと小さく音がなった。
そっと夏樹の髪を撫でて、また耳の裏側をすりすり撫でる。
「ん………」
鼻に抜けた甘い声が聞こえる。
夏樹の身体から力が抜けていて、少し肩を押すとそのままゆっくり倒れていった。どうにかキスをしながら追いかけて、床まで追い詰める。
興奮で頭がふわふわしたまま、夢中で舌を絡めてしゃぶった。夏樹の唇も舌も、びっくりするくらい柔らかかった。
一度また唇を離して、じっと夏樹の顔を見た。
瞼がとろんと落ちていて、奥二重のせいで普段あまり見えない二重のラインがくっきり見えていた。まだ赤い顔をしていて、口周りは唾液でベタベタだった。
「…練習台になってくれるんだよね」
「そうだけど…何」
「じゃあ童貞も捨てて良い?」
「えっ、ど、ええっ!それは…」
「ねえお願い、…正直もう童貞拗らせてて、彼女が出来たとしても緊張してできるか分からない。でも多分夏樹とだったら最後まで出来るから。今日駄目だったらもう、一生できないかも」
「うぐ……!」
もちろん彼女なんか作る気無い。全部口から出まかせの嘘だから、自分でもめちゃくちゃなことを言っているのが分かった。
だけど夏樹はお人好しで押しに弱い。今ならアルコールとキスで頭もふわふわだろうし、押せばいけると確信した。
今日を逃したらもう絶対に夏樹が友達の線を超えてくることはないとなんとなく分かっていたから、僕はもう必死だった。
出来るだけ声のトーンを落として、情けない可哀想な男になりきる。
「夏樹しかいないんだよ…こんなこと頼めるの夏樹しかいない。練習だからさ」
「う…そっか……まあ……練習だし………」
勝ったと思った。それと同時に、夏樹の流され具合に心配にもなった。
気が変わらないうちにまたキスをして、それからすぐそばにあったベッドにもつれ込んで、そのまま夏樹を押し倒す。
見慣れた紺色のシーツの上に、僕の下で仰向けになったー夏樹がいる。いつもより余計に肌の白さが目立っていて、痛いくらい下半身が反応しているのが分かった。
「…ありがとね夏樹。絶対その先輩より気持ち良くするから」
「………え?」
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