【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)

文字の大きさ
100 / 157

第百一話 デザインコンテスト開催①

しおりを挟む
 ポンッ!
 ポンッ!
 ポンッポンッ!

「さぁ、いよいよ始まります!アターキル領の歴史に残る第一回デザインコンテスト!あちらをご覧下さい!優秀な成績を収めた方には、賞状と銀一封が贈られまぁす!」

 司会担当のリアさんのテンションの高さと『銀一封』という言葉に釣られ、集まった大衆の視線は、彼女に釘付けである。
 そして、リアさんは片腕を思い切り横に向けると、大衆の視線もまた釣られるのだ。

「あちらにある見本の硬貨が、順位に応じて、受賞者に贈られまぁす!」

 ばばん!!っと銀一封を模した黒色の偽の硬貨。しかし、板に嵌められた偽硬貨の枚数が、順位の優位性を物語っている。

「栄えある優勝者には、賞状と銀一封。そして、新商法【商品券】の第一刷、デザイン権利の副賞の獲得でぇす!二位は賞状と銀一封と記念品。三位は賞状と銀一封。四位・五位は賞状と記念品です!」

 噴水と時計がある中央広場には、薬師ギルドも居を構えている。そんな中央広場の横道に少し入れば、市場通りがある。
 そんな市場通りで一番の広さを誇る催事広場。そこではリアさんの声が、風の魔法で拡張され、周囲に届けられている。
 ギルマスが張り切っていた商品券の最終段階が、今始まろうとしていた。

「それでは、コンテストのルールをご説明します!様々な場所に貼られた張り紙でご存じの方もいらっしゃるかと思いますが、今回のデザインコンテストは一風変わった紙を使用します。こちらがその用紙です!」

 リアさんが持っている小さな正方形の紙。100枚入りで売られていた折り紙みたい。あれが、デザインコンテストの紙だ。

「そして参加資格は、アターキル領在住の方は、誰でも参加出来ます!在留資格は、特別に出張して頂いた役所の記録照合で確認を取れますので、ご心配なく!」

 リアさんの掌が動き、大衆の視線はそちらへ。そしてそこにある立て看板には、『アターキル領役所出張所』とある。その看板にギョッとした人もいたけど、はて?

「審査は午後1時~3時まで行い、結果発表は午後3時~4時となります。午前中は応募受付と作画時間になります。応募は、午前11時までとなりますのでご注意下さい!」

「審査基準は至って簡単!こちらで用意した先ほどの紙と筆記を使用し、この場に設営した絵画スペースで書いた紙を提出していただくだけです!紙と筆記の受け渡しは、氏名・住所等の登録を済ませ次第お渡し致します。登録終了の際に渡される木札は、最後までお持ち下さい。それが、参加者を管理する番号になります!紛失されますと、参加資格抹消となりますので、ご注意下さい。絵画スペースは、市場奥にテントを設営していますので、そちらでお願い致します!紙には特別な仕掛けを施してありますので、紙の持ち出しなどの行為は出来ません!発覚次第、要請により待機中の警備隊に連行されますので、ご注意下さい!」

 そう続く説明で、次は絵画スペースの隣に設営されたテントを掌で示す。もはや、大衆の視線を掌握したリアさんに操られ、彼らの視線はそちらに移る。

 そしてやはりというか……そこにある立て看板には『アターキル領警備隊出張所』とある。それらにも、ギョッとする人たちがなん人かいる。

(なんであんなにびっくりする人が多いの?)
(何故だろうな?地球の常識・習慣が当てはまらぬ異世界。ましてや人間の柵など、吾輩にも分からん。ミオのラノベとやらで、分からんのか?)
(う~ん。私は、その辺りの頭の回転は良くないからなぁ。後で、誰かに聞いてみるよ)

 そんな念話をしていると、どこからか会話が聞こえてくる。

「えらい厳重だな、このコンテスト」
「ほら、例の紙を使うんじゃないか?」
「……あぁ、アターキルに来た商人たちが騒いでるあの張り紙か」
「そうだ。なんせ……『仕入れたくても、どこにも情報がない!?』って、酒場で愚痴ってたもんなぁ」
「多分だが、発明したアイディア登録者が開放する時期を指定してるんじゃないか?って噂が流れてるよ」

(仰る通りで……)

「アイディア登録って、何十年も動きがない商業ギルドの化石だろ?……それが動くとなると、なんかあるかもしれんな」
「ははっ!化石とは上手いこと言うよな?でもそれが解けたからって、別になにかあるわけじゃないだろ?利権者は、ギルドが保護してるんだし」
「そうだな……しかし、新紙の開発かぁ。これから左団扇で暮らせるかと思うと、羨ましくもあるぜ」
「確かになぁ…一度は、悠々自適に暮らしてみたいぜ」

(その開発者は利権をタダ・・で辺境伯に譲渡するつもりでいるんだから、真実を知った商人の阿鼻叫喚が目に浮かぶわ)
(ははは……でも、私が開発したものじゃないし。既に他の利権もあるし。多分、これからも増えるし。それより、私の保証人にサインしてくれたロレンツォ様へのお礼が重要!)
(後見人はエイルだけではなく、最終的な保証は辺境伯になるのだったか)
(うん。実質的な保護者は師匠なんだけど、なにか賠償とか発生した時に、師匠がその責を負いきれなかったら、ロレンツォ様に行くみたい)
(なるほどな。だから、身元証明に二名のサインが必要だったわけか)
(そういうこと!だから、恩返しは必須なの!)

 むんっ!と意気込む私に、(なるほどな。ミオなりの考えということか。だが、礼の度合いも考えよ。やり過ぎは却って嫌みになる)
(分かってるけど、その度合いが難しいんだよね。苦手だ……)
 先ほどの気合いはどこへやら。ジョウの忠告に肩をガックシと落としたミオがいた。

 大衆の噂話を盃に、ジョウとミオは、デザインコンテストの開催宣言を待つのだった。

「なにか、質問はありますか?」
 
 リアさんの声に、説明が最終段階に入ったことが分かる。そんな佳境に差し掛かった時に、手を上げる人物が1人。

「ちょっといいかい?」
「はい、どうぞ」

 おおっ!?こんな大衆の中で堂々と質問出来るなんて、肝の座った人だ。現に、大衆の視線を独り占めしている。

「審査員は誰がするのかな?張り紙にも、特に記載はなかったけれど」
「審査員や審査方法は午後1時の発表となりますので、それまでは秘匿情報となります」
「…了解したよ」
 上等な生地を着た裕福そうな男性だ。骨太でしっかりした身体付きだけど、太っている訳でもなく、優しそうな雰囲気だ。被っていた帽子から覗く髪色は、茶色だ。

「他に質問はありませんか?」

 自身の言葉に、誰も反応しないのを見届けたリアさんは、大きく息を吸い、開催宣言をした。

「では!今此処に!栄えある第一回!デザインコンテストを始めます!」
「「「「おぉ~!」」」」

 リアさんの開催宣言と共に、大衆が受付場所へ走り出す。だが、そんな雑踏に紛れて聞こえる大きな声。

「並べ!怪我をしたくなければ、走るな!」
「参加資格を失いたくなければ、大人しく並べ!聞き分けがない奴は、参加資格剥奪だぞ!?」

 この日の為に雇った冒険者らの張り上げた声に、騒ぎ始めていた大衆は、徐々に落ち付き、順番に並び始める。

「あっ!?横入りだ!」
「巫山戯んな!?この野郎!?」

 大人しく並ぶ皆さんの激により、直ぐに捕まったお馬鹿さんは、冒険者により、警備隊の出張所に連行されていく。 

(役所の出張所も来ておるし、記録照合の時間も取られず、資格剥奪も容易い!無駄な抵抗をしている暇さえないな!?カッカッカッ!)
(そんな考えにも及ばないから、単略的行動に出れるんだよ、きっと)

 張り紙の効果は絶大だった。
 集まった大衆は、リアさんの説明中にも増え続け、そんな対象を受け入れる受付のテントは、熾烈を極めた戦場と化していたのだ。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

異世界で目覚めたら、もふもふ騎士団に保護されてました ~ちびっ子だけど、獣人たちの平穏のためお世話係がんばります!!~

ありぽん
ファンタジー
神のミスで命を落とした芽依は、お詫びとして大好きな異世界へ転生させてもらえることに。だが転生の際、またしても神のミスで、森の奥地に幼女の姿で送られてしまい。転生の反動で眠っていた瞳は、気づかないうちに魔獣たちに囲まれてしまう。 しかしそんな危機的状況の中、森を巡回していた、獣人だけで構成された獣騎士団が駆け付けてくれ、芽依はどうにかこの窮地を切り抜けることができたのだった。 やがて目を覚ました芽依は、初めは混乱したものの、すぐに現状を受け入れ。またその後、同じ種族の人間側で保護する案も出たが、ある事情により、芽依はそのまま獣騎士団の宿舎で暮らすことに。 そこで芽依は、助けてくれた獣騎士たちに恩を返すため、そして日々厳しい任務に向かう獣人たちが少しでも平穏に過ごせるようにと、お世話係を買って出る。 そんな芽依に、当初は不安だった獣人たちだったが、元気で明るい瞳の存在は、次第に獣人たちの力となっていくのだった。 これはちびっ子転生者の芽依が、獣人や魔獣たちのために奮闘し、癒しとなっていく。そんな、ほっこりまったり? な物語。

異世界転生旅日記〜生活魔法は無限大!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
☆1/19〜1/27まで、予約投稿を1話ずつ行います。 農家の四男に転生したルイ。   そんなルイは、五歳の高熱を出した闘病中に、前世の記憶を思い出し、ステータスを見れることに気付き、自分の能力を自覚した。  農家の四男には未来はないと、家族に隠れて金策を開始する。  十歳の時に行われたスキル鑑定の儀で、スキル【生活魔法 Lv.∞】と【鑑定 Lv.3】を授かったが、親父に「家の役には立たない」と、家を追い出される。   家を追い出されるきっかけとなった【生活魔法】だが、転生あるある?の思わぬ展開を迎えることになる。   ルイの安寧の地を求めた旅が、今始まる! 見切り発車。不定期更新。 カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。

世界最強の公爵様は娘が可愛くて仕方ない

猫乃真鶴
ファンタジー
トゥイリアース王国の筆頭公爵家、ヴァーミリオン。その現当主アルベルト・ヴァーミリオンは、王宮のみならず王都ミリールにおいても名の通った人物であった。 まずその美貌。女性のみならず男性であっても、一目見ただけで誰もが目を奪われる。あと、公爵家だけあってお金持ちだ。王家始まって以来の最高の魔法使いなんて呼び名もある。実際、王国中の魔導士を集めても彼に敵う者は存在しなかった。 ただし、彼は持った全ての力を愛娘リリアンの為にしか使わない。 財力も、魔力も、顔の良さも、権力も。 なぜなら彼は、娘命の、究極の娘馬鹿だからだ。 ※このお話は、日常系のギャグです。 ※小説家になろう様にも掲載しています。 ※2024年5月 タイトルとあらすじを変更しました。

転生先は海のど真ん中!? もふ強魔獣とイケオジに育てられた幼女は、今日も無意識に無双する

ありぽん
ファンタジー
25歳の高橋舞は、気がつくと真っ白な空間におり、そして目の前には土下座男が。 話しを聞いてみると、何とこの男は神で。舞はこの神のミスにより、命を落としてしまったというのだ。 ガックリする舞。そんな舞に神はお詫びとして、異世界転生を提案する。そこは魔法や剣、可愛い魔獣があふれる世界で。異世界転生の話しが大好きな舞は、即答で転生を選ぶのだった。 こうして異世界へ転生した舞。ところが……。 次に目覚めた先は、まさかの海のど真ん中の浮島。 しかも小さな子どもの姿になっていてたのだ。 「どちてよ!!」 パニックになる舞。が、驚くことはそれだけではなかった。 「おい、目が覚めたか?」 誰もいないと思っていたのだが、突然声をかけられ、さらに混乱する舞。 実はこの島には秘密があったのだ。 果たしてこの島の正体は? そして舞は異世界で優しい人々と触れ合い、楽しく穏やかな日々を送ることはできるのか。

ドラゴンともふ魔獣に懐かれて〜転生幼女は最強ドラゴン騎士家族と幸せに暮らします〜

ありぽん
ファンタジー
神様のミスで命を落としてしまった高橋結衣(28)。そのお詫びとして彼女は、様々な力を授かり、憧れだった魔法と剣と魔獣の存在する、まるで異世界ファンタジーのような世界へと転生することになった。 しかし目を覚ました場所は、街の近くではなく木々が生い茂る森の中。状況が分からず混乱する結衣。 そんな結衣に追い打ちをかけるように、ゾウほどもある大きな魔獣が襲いかかってきて。さらにドラゴンまで現れ、魔獣と激突。数分後、勝利したドラゴンが結衣の方へ歩み寄ってくる。 転生して数10分で命を落とすのか。そう思った結衣。しかし結衣を待っていたのは、思いもよらぬ展開だった。 「なぜ幼児がここに? ここは危険だ。安全な俺たちの巣まで連れて行こう」 まさかのドラゴンによる救出。さらにその縁から、結衣は最強と謳われるドラゴン騎士の家族に迎え入れられることに。 やがて結衣は、神から授かった力と自らの知識を駆使し、戦う上の兄や姉を支え、頭脳派の兄の仕事を手伝い。可憐で優しい姉をいじめる連中には、姉の代わりに子ドラゴンやもふ強魔獣と共にざまぁをするようになって? これは神様の度重なるミスによって、幼児として転生させられてしまった結衣が、ドラゴンやもふ強魔獣に懐かれ、最強のドラゴン騎士家族と共に、異世界で幸せいっぱいに暮らす物語。

できない子に転生しましたが、家族と食卓があれば十分です ―人間不信だった私が、ゆっくり育つ異世界生活―

愛朱ひいろ
ファンタジー
人の顔色ばかり伺い、心を壊した26歳の会社員女性。 彼女は死後、異世界で「できない子」として転生する。 魔法は使えない。 体は不器用で、成長も人より遅い。 前世の記憶のせいで、人と関わることが少し怖い。 けれどこの世界には、 見守り支えてくれる両親と、 あたたかい食卓があった。 泣いて、つまずいて、できないことに落ち込みながら、 彼女は少しずつ「できないままでも、生きていていい」と知っていく。 これは、 最強でもチートでもない主人公が、 家族と食事に支えられながら、ゆっくり育ち直す 生活密着型・異世界転生×成長×グルメファンタジー。 ……の、予定です。 毎日更新できるように執筆がんばります!

モブっと異世界転生

月夜の庭
ファンタジー
会社の経理課に所属する地味系OL鳳来寺 桜姫(ほうらいじ さくらこ)は、ゲーム片手に宅飲みしながら、家猫のカメリア(黒猫)と戯れることが生き甲斐だった。 ところが台風の夜に強風に飛ばされたプレハブが窓に直撃してカメリアを庇いながら息を引き取った………筈だった。 目が覚めると小さな籠の中で、おそらく兄弟らしき子猫達と一緒に丸くなって寝ていました。 サクラと名付けられた私は、黒猫の獣人だと知って驚愕する。 死ぬ寸前に遊んでた乙女ゲームじゃね?! しかもヒロイン(茶虎猫)の義理の妹…………ってモブかよ! *誤字脱字は発見次第、修正しますので長い目でお願い致します。

巻き込まれて異世界召喚? よくわからないけど頑張ります。  〜JKヒロインにおばさん呼ばわりされたけど、28才はお姉さんです〜

トイダノリコ
ファンタジー
会社帰りにJKと一緒に異世界へ――!? 婚活のために「料理の基本」本を買った帰り道、28歳の篠原亜子は、通りすがりの女子高生・星野美咲とともに突然まぶしい光に包まれる。 気がつけばそこは、海と神殿の国〈アズーリア王国〉。 美咲は「聖乙女」として大歓迎される一方、亜子は「予定外に混ざった人」として放置されてしまう。 けれど世界意識(※神?)からのお詫びとして特殊能力を授かった。 食材や魔物の食用可否、毒の有無、調理法までわかるスキル――〈料理眼〉! 「よし、こうなったら食堂でも開いて生きていくしかない!」 港町の小さな店〈潮風亭〉を拠点に、亜子は料理修行と新生活をスタート。 気のいい夫婦、誠実な騎士、皮肉屋の魔法使い、王子様や留学生、眼帯の怪しい男……そして、彼女を慕う男爵令嬢など個性豊かな仲間たちに囲まれて、"聖乙女イベントの裏側”で、静かに、そしてたくましく人生を切り拓く異世界スローライフ開幕。 ――はい。静かに、ひっそり生きていこうと思っていたんです。私も.....(アコ談) *AIと一緒に書いています*

処理中です...