【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)

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第百二十二話 王都出発までの日々①

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 ❖療養院、開院!

「号外、号外~!タダだよ~!」
「情報誌の特別版だよ~!」
トップニュース新情報だよ~!」
「この手を逃す手はないよ~!新しい紙だよ~!タダだよ~!」

 街の広場では、薬師ギルドや冒険者ギルドのヒヨッコたちが、大きな声を上げながら、一枚の紙を領民たちに配っていた。
 
 彼らは、各ギルドの依頼を受け、ポイント稼ぎをするEランク冒険者・薬師たちである。

「なに?」
「ママ、あれなに~?」
「情報誌だって」
「へぇ…一つ貰おうか?」

 広場に集まった領民の視線を釘付けにしていた彼らだが、一人の領民の声を切っ掛けに、「私も」「俺も」と矢継ぎ早に手が伸びてくることになる。

 その内容は、【療養院、ついに開院!】【アターキル家が新事業開始!内容は、製紙業。従業員、大募集!】【職業相談室を開室!場所は、療養院内!】

 これらは、ミオが商業ギルドで技術登録をしてから、一週間の早業である。
 元々、外装になる外灯を、早めに作製し始めたロレンツォだ。内蔵システムさえ揃えば、直ぐにでも、稼働出来るようにしたかったようだ。

「開院しましたね!」
 興奮冷めやらぬミディに、まぁまぁ…と落ち着かせる私。そんな彼女が、気を引き締めるまで後数分。


「助けてくれ!?依頼でミスっちまった!」
 と、パーティーメンバーである怪我人を背負い、療養院に駆け込む冒険者たち患者第一号

「そこに寝かせて!傷を上向きに!」
「分かった!」

 呻く彼を慎重に寝かせた。その背中には、爪で大きく抉られたような傷があったのだ。

「……っ!?」
「怪我に呑まれちゃ駄目よ!」

 あまりの怪我に息を飲むミディ。そんな彼女の背を叩き、私は発破をかけた。

 ――――――countdown started.

 ❖王都への行程、確認 in 辺境伯邸。

「今年の冬の社交界は、アターキルを宣伝するのに絶好の機会だ。それに誰かさんみたいに、『嫌だから』という理由で、毎年参加を逃れられる楽な身分でもないしね」
 と、肩を竦めながら仰っていたロレンツォ様。誰とは言わないが、途中で皮肉が混じっていた。

「ぐぬぬ…」
 と、反論出来ず、悔しそうに歯噛みする師匠に、『あっ、やっぱり師匠なんだ』と察した私は、無難に乾いた笑いを浮かべた、

♢王都への行程♢
 一日目 アターキル辺境伯領 ダリルの街
 二日目 野営
 三日目 アターキル辺境伯領 ロコンの街
 四日目 野営
 五日目 ロックス伯爵領 ベルンの街
 六日目 スーダレイ男爵領 ポイット村
 七日目 野営
 八日目~十日目 ダナン伯爵領 イーステの街(三連泊) 食料調達・休憩の為 
 十一日目 バックル子爵領 ドナンの街
 十二日目 オーミア伯爵領 ゲーロン村
 十三日目 ガーディー男爵領 ローデルの街
 十四日目 王都到着!

「途中にあるイーステという街で、食料調達ですか?」
「あぁ。アイテムボックスがあるとは言え、限りがあるからね。それに、皆の休養目的もある。特に、護衛を担当する騎士だ。彼らも、疲労が溜まった状態では、護れるものも護れないからね……それに、社交界は身体が資本だ。王都へ向かう途中で、身体を壊しては、もともこもないからね」
「体調管理が肝なんですね!」
 という私の言葉に、「そういうことだ」と頷くロレンツォ様。

 体調管理か……今回は、私や師匠がいるから、外傷や病気については心配いらないけど、精神的な疲れは、休むしかないもんね。只でさえ、馬車移動は大変なんだ。

 ラノベでも、有名だしね。
 元から割れてるお尻が、更に割れる痛みの感覚ってどうなのよ?

 板バネか、皮製バネか。
 出発時期まで時間がないから、あまり凝ったものは作れない。育毛剤や洗髪剤や入浴剤手土産も作製しなきゃいけないし。

 ソファのように、ベルトを幾重にも交差させてトランポリンみたいにするか?台座を少しだけいじらなきゃいけないな。
 いるものは、ゴムと布と鉄(端と結ぶ輪っか用)と……樹脂もいるかな?
 師匠も、馬車を持っていたはず。後で少し話してみようか?

 行程の確認を終えた私は、師匠と御屋敷に戻り、部屋で色々と考えていた。
 
 ❖育毛剤、爆誕!

 まずは、問題の手土産を作製してしまおう!そうすれば、空いた時間を革製バネにつぎ込める。

 まずは、育毛剤。
 ロレンツォ様が、アターキル領を宣伝するのに、絶好の機会というのだ。彼には、更に注目の的になって頂こうではないか。

「グフフ……海藻は、師匠が頼んでくれたものが納品されたけど……他の材料はどうしようかな?流石に、調薬釜のメニューにも載ってなかったし」

 手持ち無沙汰な私は、ポチポチとメニューをスクロールする。

きゅきゅきゅきゅ~僕の出番だよ~!?」と、私の前に飛び出たきゅうちゃんが、必死にアピールを開始する。

「きゅうちゃん?」
きゅきゅやっときゅ僕のきゅきゅ出番だ~!」

 先ほどの言葉を繰り返しながら、羽を羽ばたかせ、左右にジタバタ。なにが僕の出番なんだろう?
 私は首を傾げながら、きゅうちゃんに疑問を質問した。

「きゅうちゃん。僕の出番って、どうゆうこと?」
きゅそれはねきゅきゅ僕の祈りできゅっきゅっ髪がっ生えるようにっきゅきゅきゅきゅっ神様にお願いするからだよっ!」

 小さなお手々を上下に振り振り。
 キラキラと輝く、大きなまんまるお目目で私を見つめるきゅうちゃんに、私は陥落した。

「ぐふっ!……そうなのね?なにが必要かな?」
「容易い奴め」
 ジョウが呆れた顔でなにか言ってるけど、放っておいてちょうだい。

きゅきゅきゅ御神酒が欲しい!」
「お神酒だと!?もしや、以前、調薬釜で作製した神酒ソーマのことを言っているのか?きゅうよ!」
きゅそう!」
 ジョウの焦る声とは裏腹に、きゅうちゃんは太陽のような笑み。

「あれは、神がこの世に権化した姿。それに僕の聖なる祈りを乗せれば、効果は底無し!死滅した毛根もリスタート!」
「「…は?」」『えぇ!?』
「……ん?」

 急に流暢に話し出したきゅうちゃんに、私とジョウとレイラは、固まった。私たちの様子をみたきゅうちゃんも、なにかが可笑しいと気付いたようだ。首を傾げている。

「きゅうちゃん?」 

 恐る恐ると言った体で、私が声をかければ、彼は「なぁに?」と言葉を喋った。

「言葉、喋れるようになったのね」
「え?…僕……僕、喋れてる!?」
「そうだよ、喋れてるよ」

 驚きで瞳を開くきゅうちゃんは、私の言葉を聞いて、飛び上がらんばかりに喜んでいた。

「なにか棒と紙をちょうだい!」
「棒?は、この枝でいい?」
 この世界に来たばかりの頃、深層の森で拾った焚き火用の枯れ枝である。

「ミオ、お前な……」

 胡乱げな表情で見るジョウは、目が据わっている。私は首をひねり、「え、駄目だった?」と、きゅうちゃんに聞いた。

「大丈夫だよ!枝も石も、ガイア様が祝福せし世界のものだもん!ノープロブレム!」
 ちょくちょく地球の言葉が出るのは、私の影響だろうな、ははは。

「よし!準備OK!」

 そう言って構えるきゅうちゃんの手には、紙垂しでを枯れ枝に左右対称につけたものが握られている。手がちっさいから、御幣ごへいも小さい。

「それじゃ、いっくよ~!……きゅきゅきゅ!」
「……」
「……」
『……』
 
 神主様がヴァサ!ヴァサ!とやるアレを、御神酒ソーマに左右に振りながら、「きゅっきゅっきゅっ!」と鳴くきゅうちゃん。

「きゅっきゅっきゅっ!きゅっきゅっきゅっきゅっきゅっきゅっきゅ!」

 祝詞が三三七拍子だし、それに、流暢に喋っていた貴方はいずこに?

 そんなことに呆気に取られたのも束の間。なんと御神酒ソーマが、淡く輝き出したではありませんか。

 ウルシア様から、きゅうちゃんは聖獣だと聞いていた。もしやこれは、聖獣として初のお仕事になるのではないだろうか?

『なんか乗ってきた~!私も祝福あげちゃう~!』
 と、お神酒に向かい飛んでゆくレイラ。

 お神酒に、精霊の祝福は効くのか?と首を傾げる私は、この後の鑑定で、仰天することをまだ知らない。
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