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第十四話 エイルさんの御屋敷
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応援ありがとうございます!
大変、励みになっております!
これからもよろしくお願いします!
本文↓
「ここが、私の家になります」
そう言って立ち止まった場所は、ドデカイ屋敷が建っていた。
屋敷だと聞いていたが、ここまでとは。賢者って儲かるの?この規模は、貴族と言っても不思議ではない。
堅牢な煉瓦造りの二階建て。
お庭も広く、中庭を囲む様に、コの字に建てられている。
「旦那様!おかえりですか?」
私たちがいる門から遠く離れた玄関で、誰かの声が聞こえた。旦那様って、エイルさんかな?
「なにを騒いでいるのですか?ゼフ」
おぉ!この人がゼフさんか。ローハン隊長が言っていた、エイルさん家の執事さんか。
シルバーグレイの髪を後ろに撫でつけ、オールバックだ。出来る執事みたいでかっこいい。日本で見たことがある執事服を着ているが、私は不思議な点に気づく。前から見ただけであるが、服にシワが一つもない。
(すげぇ!髪型もそうだけで、服からもやり手の匂いがする!)
(ふむ、隙がないからな。戦闘も得意だろう。しかし、良い家だな。結界も張ってあるし、セキュリティはバッチリだ。庭も広そうだし、ストレスなく過ごせるな)
前脚で顔を拭いながら、満足そうに念話で話すジョウ。チャリチャリと、首元に掛けられた従魔の印が鳴る。東門の詰所を出る際に渡された従魔の印は、水色のガラスで出来ていた。長方形の形をして、真ん中には✡の金色のマークが彫られている。
「お日様にょ光に輝いて、キラキラしてるよ。きれぇにぇ」
(ふんっ!邪魔くさくて敵わん!)
そっぽ向いてるけど、尻尾は嘘つけないからね?無駄な抵抗は止めて、素直に認めたまえ。
「ルイ様から連絡を受けまして、準備は整えてございます」
「ありがとうございます。詳しいことは中で話しますか。ミオさんたちもどうぞ」
「お邪魔します!」
「ガゥ!」
「ようこそ、マグワイア邸へ」
アプローチの部分を歩きながら、庭に咲くたくさんの花を見る。
きっと腕の良い庭師さんが手入れしているんだろう。花と花が喧嘩すること無く、程よい位置に植えられている。
「花が気になりますか?」
「はい。とてもいい香りで癒されます」
「ふふふ。まだ四歳なのに、既に疲れているんですか?」
「ここ三日程は野営だったので、フカフカお布団が恋しいです。お庭の芝生に転がりたいです。お日様ポカポカ」
お布団のフカフカ手触りを想像して、手がワキワキと動いちゃう。
「ふふっ。では今日は、ぐっすり寝る前にお風呂に浸かって、疲れを取って下さいね」
「はい!ありがとうございます!」
「さぁ、こちらからお入り下さい」
開け放たれた玄関を潜ると、そこは別世界。メイドさんが両脇に並び「おかえりなさいませ」と一糸乱れぬ洗練された動きに、私は見惚れてしまう。
「うわぁ~」
玄関ホールから二階へ続くのは、優雅な曲線を描いたサーキュラー階段。この階段は、広い敷地があるからこそできる設備。
玄関も広く、ヒールでコツンっと鳴るだろう床は、大理石が一面に敷かれている。中二階から降り注ぐ日光を浴びて、燦然と輝きを放っている。
「うひょ~」
中二階にある踊り場は、多角形の形をして両側の建物と繋がります。
天井までを吹き抜けにしており、とても開放感がある造り。
「綺麗な所ですにぇ」
「ふふっ、ありがとうございます。元々は、誰も住まなくなって放置されていた邸宅なんですよ?頑張って、リフォームしたかいがありました」
「ほぉ~!ではこのお屋敷のセンスは、エイルさん好みにゃんですね!私は好きです」
「ふふっ。庭の花同様、屋敷も気に入っていただけてなによりです。後ほど、皆を紹介しますね」
「ありがとうございます!」
庭にある東屋とか、正に貴族って感じ。お茶会とか楽しそうだ。
「ミオ様の専属メイドを任されましたララと申します。お部屋の前に浴実へご案内致します」
玄関で出迎えてくれたメイドさんが一人前に出てきた。どうやら彼女が私のお世話役さんらしい。
「お願いします、ララさん」
「ララとお呼び下さい」
「歳上の方ですし、私はさん付けが安心です」
「畏まりました」
私は小心者の庶民ですからね。初対面の人を呼び捨ては無理。出来るだけ、ララさんの仕事を奪うことはしないように心掛けよう。
♢
「ふぅ、さっぱりした」
お風呂を終えた私は、ララさんに髪を乾かしてもらっている最中だ。
ララさんは、朱色の髪に茶色の瞳の女性だ。髪は腰まであると思う。
今は、ポニーテールにしているから、束の先は肩甲骨辺りだ。
それにしても、魔道具のドライヤーって素敵!電気代の変わりの魔石だけど、一度購入すれば、後は自分の魔力を補充すれば良いんだもんね。魔道具代はお高めだけど、維持費がかからないのは魅力的。初期投資だけでいい。
(我輩も洗われてしまった)
暗いオーラを漂わせて、力なく項垂れるジョウに、私はにしし…と手を口に翳す。
(ララさんが、ジョウの人化を見れば赤面ものだね)
(なにを言う。使用人というのは、それが仕事だ。裏で恥ずかることはあっても、仕事中にそれはない)
先ほどのオーラを一転し、真面目くさった顔で話すジョウ。まぁ確かに、人の仕事に茶々を入れては失礼か。
(あまり憶測で物を言うものではないぞ、ミオ。自身の評価が下がるだけでなく、場合によっては、信頼関係がこじれるぞ)
(分かったよ)
世界は広いようで狭い。縁とは不思議なもので、どう繋がっているか、予測がつかないんだ。口は災いの元。どこでどう転がり巡ってくるか、本当に分からない。
(全く……ふぅ)
私の返事を聞いたジョウは、呆れながら息を吐いた。
(ねぇ。そのクッションは、どうしたの?)
ジョウの腹の下にある大きなクッション。それに気付い私は、ジョウに尋ねた。
(これか?これは、エイルが用意してれた吾輩専用の寝床だ)
誇らしげに尻尾を揺らし、満更でもない様子で語るジョウ。
(ふぅん、良かったね。まぁ、私にはふかふかベッドが待ってるし!)
こんな豪邸なのだ。ベッドへの期待値も上がるというもの!ジョウに張り合うのもどうかと思うが、悲しいかな。張り合う相手がいないざんす。
大変、励みになっております!
これからもよろしくお願いします!
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「ここが、私の家になります」
そう言って立ち止まった場所は、ドデカイ屋敷が建っていた。
屋敷だと聞いていたが、ここまでとは。賢者って儲かるの?この規模は、貴族と言っても不思議ではない。
堅牢な煉瓦造りの二階建て。
お庭も広く、中庭を囲む様に、コの字に建てられている。
「旦那様!おかえりですか?」
私たちがいる門から遠く離れた玄関で、誰かの声が聞こえた。旦那様って、エイルさんかな?
「なにを騒いでいるのですか?ゼフ」
おぉ!この人がゼフさんか。ローハン隊長が言っていた、エイルさん家の執事さんか。
シルバーグレイの髪を後ろに撫でつけ、オールバックだ。出来る執事みたいでかっこいい。日本で見たことがある執事服を着ているが、私は不思議な点に気づく。前から見ただけであるが、服にシワが一つもない。
(すげぇ!髪型もそうだけで、服からもやり手の匂いがする!)
(ふむ、隙がないからな。戦闘も得意だろう。しかし、良い家だな。結界も張ってあるし、セキュリティはバッチリだ。庭も広そうだし、ストレスなく過ごせるな)
前脚で顔を拭いながら、満足そうに念話で話すジョウ。チャリチャリと、首元に掛けられた従魔の印が鳴る。東門の詰所を出る際に渡された従魔の印は、水色のガラスで出来ていた。長方形の形をして、真ん中には✡の金色のマークが彫られている。
「お日様にょ光に輝いて、キラキラしてるよ。きれぇにぇ」
(ふんっ!邪魔くさくて敵わん!)
そっぽ向いてるけど、尻尾は嘘つけないからね?無駄な抵抗は止めて、素直に認めたまえ。
「ルイ様から連絡を受けまして、準備は整えてございます」
「ありがとうございます。詳しいことは中で話しますか。ミオさんたちもどうぞ」
「お邪魔します!」
「ガゥ!」
「ようこそ、マグワイア邸へ」
アプローチの部分を歩きながら、庭に咲くたくさんの花を見る。
きっと腕の良い庭師さんが手入れしているんだろう。花と花が喧嘩すること無く、程よい位置に植えられている。
「花が気になりますか?」
「はい。とてもいい香りで癒されます」
「ふふふ。まだ四歳なのに、既に疲れているんですか?」
「ここ三日程は野営だったので、フカフカお布団が恋しいです。お庭の芝生に転がりたいです。お日様ポカポカ」
お布団のフカフカ手触りを想像して、手がワキワキと動いちゃう。
「ふふっ。では今日は、ぐっすり寝る前にお風呂に浸かって、疲れを取って下さいね」
「はい!ありがとうございます!」
「さぁ、こちらからお入り下さい」
開け放たれた玄関を潜ると、そこは別世界。メイドさんが両脇に並び「おかえりなさいませ」と一糸乱れぬ洗練された動きに、私は見惚れてしまう。
「うわぁ~」
玄関ホールから二階へ続くのは、優雅な曲線を描いたサーキュラー階段。この階段は、広い敷地があるからこそできる設備。
玄関も広く、ヒールでコツンっと鳴るだろう床は、大理石が一面に敷かれている。中二階から降り注ぐ日光を浴びて、燦然と輝きを放っている。
「うひょ~」
中二階にある踊り場は、多角形の形をして両側の建物と繋がります。
天井までを吹き抜けにしており、とても開放感がある造り。
「綺麗な所ですにぇ」
「ふふっ、ありがとうございます。元々は、誰も住まなくなって放置されていた邸宅なんですよ?頑張って、リフォームしたかいがありました」
「ほぉ~!ではこのお屋敷のセンスは、エイルさん好みにゃんですね!私は好きです」
「ふふっ。庭の花同様、屋敷も気に入っていただけてなによりです。後ほど、皆を紹介しますね」
「ありがとうございます!」
庭にある東屋とか、正に貴族って感じ。お茶会とか楽しそうだ。
「ミオ様の専属メイドを任されましたララと申します。お部屋の前に浴実へご案内致します」
玄関で出迎えてくれたメイドさんが一人前に出てきた。どうやら彼女が私のお世話役さんらしい。
「お願いします、ララさん」
「ララとお呼び下さい」
「歳上の方ですし、私はさん付けが安心です」
「畏まりました」
私は小心者の庶民ですからね。初対面の人を呼び捨ては無理。出来るだけ、ララさんの仕事を奪うことはしないように心掛けよう。
♢
「ふぅ、さっぱりした」
お風呂を終えた私は、ララさんに髪を乾かしてもらっている最中だ。
ララさんは、朱色の髪に茶色の瞳の女性だ。髪は腰まであると思う。
今は、ポニーテールにしているから、束の先は肩甲骨辺りだ。
それにしても、魔道具のドライヤーって素敵!電気代の変わりの魔石だけど、一度購入すれば、後は自分の魔力を補充すれば良いんだもんね。魔道具代はお高めだけど、維持費がかからないのは魅力的。初期投資だけでいい。
(我輩も洗われてしまった)
暗いオーラを漂わせて、力なく項垂れるジョウに、私はにしし…と手を口に翳す。
(ララさんが、ジョウの人化を見れば赤面ものだね)
(なにを言う。使用人というのは、それが仕事だ。裏で恥ずかることはあっても、仕事中にそれはない)
先ほどのオーラを一転し、真面目くさった顔で話すジョウ。まぁ確かに、人の仕事に茶々を入れては失礼か。
(あまり憶測で物を言うものではないぞ、ミオ。自身の評価が下がるだけでなく、場合によっては、信頼関係がこじれるぞ)
(分かったよ)
世界は広いようで狭い。縁とは不思議なもので、どう繋がっているか、予測がつかないんだ。口は災いの元。どこでどう転がり巡ってくるか、本当に分からない。
(全く……ふぅ)
私の返事を聞いたジョウは、呆れながら息を吐いた。
(ねぇ。そのクッションは、どうしたの?)
ジョウの腹の下にある大きなクッション。それに気付い私は、ジョウに尋ねた。
(これか?これは、エイルが用意してれた吾輩専用の寝床だ)
誇らしげに尻尾を揺らし、満更でもない様子で語るジョウ。
(ふぅん、良かったね。まぁ、私にはふかふかベッドが待ってるし!)
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