【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)

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第十六話 卵の誕生

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「ゆっくり休めましたか?」 
 長いテーブルの誕生席に座り、優雅に食す美エルフエイルさん

「はい、お風呂も昼寝もばっちりです!」
 あぁ…企みがある訳では無いのに。この疚しい気持ちは。必要のない張り切りがから回る。

「それは良かったです。さっ、食事も楽しんで下さいね。我が家一押しシェフのお手製ですからね」
「ありがとうございます」
「がぅ!」
 私は、エイルさんの斜め左隣に座っている。料理は肉に魚と野菜、全ての種類が一度に出されていた。

「ミオ様。食べたいお皿はどれでしょうか?お取り致します」
「あにょ、お肉をお願いします」
 ララさんが隣に来て、給仕してくれている。なんせ腕が短いから、机の上を汚しかねない。コップに当たっても危険だしね。ここは、甘んじて受ける所存。

「畏まりました。こちらのサラダはどうですか?」
「……おにぇがいします」

 本当に、ただの野菜盛りだね。嫌とは言えない、小心者の私。あぁ、ドレッシングやマヨネーズが欲しい!この場で出しちゃいたい!
(気持ちは分かるが、今日は我慢しろ)
 私が多少身動ぎすれば、ジョウに念話で止められる。

「他には、なにをお召し上がりになりますか?」
「果物をおにぇがいします」
 この世界の味付けは塩以外に、胡椒や砂糖だけらしい。料理法も、生か焼くか煮るかの三刀流。
 我儘を言うわけではないが、あまり食欲がない。果物で終わりにしよう。

「他には、なにかお召し上がりになりますか?」
 オウムのように、繰り返し問われるとちょっと怖いよね。
「もうおにゃか一杯です。ご馳走様です」
 椅子から降りようと机に手を付くが、やはり少々高い。
「降ろさせていただきますね」
「ありがとうございます」
 私はララさんに抱っこされ、椅子から無事に降り立った!



 夜も更けた丑三つ時。
 辺りは当然ながら、真っ暗くろすけ。
 そんな闇夜の一室で、動く物体が一つ。ゴソゴソ…ゴゾッ…。そしてそんな音に目覚め、動く影が更にもう一つ。 

「なんだ?なんの音だ?」

 キュ?……キュウ?

「鳴き声か?」

 キュ…。

「……まさか、今なのか?ミオは……寝ているか」

 ジョウは、雛の鳴き声に一つの心当たりを浮上させた。それは、ガイア様のお詫びの品である迷彩卵ロストカラーエッグ。明るければ魔力視も役に立つが、今は闇に紛れややこしい。

 キュウ!
 『当たり!』とでも言いたげに羽根を羽ばたかせている音が響くが、悲しいかな。羽根の辿々しさが、飛ぶのは先になることを知らせる。

「……にゃぁにぃ?」
 雛の甲高い鳴き声は、熟睡していたミオも叩き起こした。
「起きたか、ミオ」
「…ジョウ?」
 やだ、暗闇で目が光って怖いんですけど。食べられないと分かっているけど、捕食される側はこんな気分なのか。

「なにを考えているか知らんが、早く灯りを唱えろ。どうやら、卵が孵ったようだ」
 私とジョウが言葉を交わす間も、キュウキュウと留まるところを知らない雛。

「え?卵が?……『灯りよ』……マジ?」
 明るくなった室内で、ぴょこぴょこと可愛らしく歩く様は、正に雛!
 だがその風貌は、普通の雛とは一線を画したものだった。

『生まれてくる種類は、主人の魔力で決まると言われているわ』とのウルシア様の説明を思い出すが、この異世界にこんな生物が?
 驚きに固まる私は、閉口したまま固まった。ジョウも、発言どころか念話さえもなく。しばらくの間、ひなの鳴き声が室内を支配した。

「…は!?ミオ!「迷彩卵ロストカラーエッグの殻を鞄に仕舞っておけ!」
「分かった!」
 殻には栄養があるから、なにかに使えるかもしれないもんね。私は急いで全ての殻を鞄に収納した。
 これが、後にエイルさんを助けることになるとは知らずに。
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