【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)

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第十九話 聖国の現状

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「ではほんっとうに、ガイア様の加護を頂いていているんですね?」
 念押しをするように尋ねるエイルさんは、未だ混乱の極みにあるようだ。ガイア様以外にウルシア様の加護もあるって言ったら、エイルさんは卒倒するかな?
 遅かれ早かれ鑑定はするのだ。その時に、精々卒倒しないように祈ろうではないか。

「はい、そうです。加護を頂いてます。普段は特別にゃ隠蔽で分からにゃいようにしています」
「そうでしたか。隠蔽していないと、危ないですからね。それは正解です」
「はい」
ワフッ当たり前だ!」
「では、鑑定致します!」
 エイルさんのゴクリと唾を飲み込む音が、静かな室内に響く。

【名前 ミオ・テラオ
 魔力量 200000
 属性 火 水 風 土
   スキル 行儀作法4 事務処理5 商談4 体術4 剣技3 語学4 MAP1 鑑定1 
 ユニークスキル転生のお詫び 言語理解 インベントリ 調薬釜 特別隠蔽
 称号 魔従族の末裔(転生者) 創世神ガイアの加護 女神ウルシアの加護】

「これはっ!?ウルシア様の加護まであるのですか!?」
「はい。ガイア様が二神の加護持ちは世界初だから、聖国に十分注意するようにと仰せでした」
「それはそうでしょう!?何故か分かりませんが、今は聖域の立ち入り許可が降りなくなっていますから…猊下にバレれば担ぎ上げられるのは目に見えています」
「あ~…ウルシア様が要注意だって言ってたもんにぇ」
 誰がそんな人物を、大事な聖域に入れたがるだろうか。私なら、断固拒否である。ガイア様も注視してるくらいだ。当然ながら、下界でも評判は良くないんだな。

「要注意って…それは本当ですか?」
「はい。エイルさんは、快く思わない人物を私有地聖域に入れたいですか?」
「入れたくありませんね」
 即答だな、おい。まぁ、分かるけど。
「そういうことです」

「なるほど…しかし困りましたね。それでは、高級ポーションの数が圧倒的に不足してしまいます。今でもジリ貧なのに、この世界から消えるのも時間の問だ……」
「どうしましたか?」
 途中でなにか思いついたのか…考え込んでしまったエイルさんに、私は質問をする。

「いえ…確か魔従族の伝承によれば、加護持ちは聖域の出入りはフリーパスだったのを思い出しまして…」
「そうですよ?加護持ちは、無条件にフリーパスで出入り可能で、聖国所属にょ猊下は、申請書献上後、審議にょ上で許可にょ是非が問われます。ウルシア様は、これらを全て拒否ってますにぇ!」
「それは…」
「そこで!私の師匠になって頂けるなら、ガイア様の報酬で加護が付与されます。聖域に行き放題ですよ!エイルさんが心配する高級ポーションの問題もサクッと解決!」
 今が落とし時!私は特権を挙げて畳み掛けた。冒険者ギルドのサブマスもしているということだから、高級ポーションは喉から手が出るほど欲しいはず!

「それに伴う面倒事も多そうですねぇ。しかも人外スキルを誇る弟子も付いてくるとなると、尚更な気が…」
 私の腹のうちを読んだように難点を上げるエイルさん。その表情は、私がどう出るか楽しんでいる節があるニヨニヨ顔である。この時点で、師匠になるつもりでいるのは予測できる。

「そんなこともあるようなないような……では、これはどうでしょうか?」
 私のステータスを見ても、特に反応がなかった調薬釜。多分、加護に視線が言って気付いてない可能性が高い。

「ご覧ください!」
 私は鞄をゴソゴソと漁り取り出したのは、例の調薬釜。エイルさんに秘密を打ち明けることになった神具元凶である。

「これはなんです? 見た目は釜のようですが……」
「鑑定してみて下さい」
 さすが賢者。好奇心は人一倍だ…すぐに食いついてきた。

(ローハン隊長が、『馬に人参を見せれば』発言をした理由が分かった気がする)
(こいつは、知的好奇心が旺盛なんだろう。常人の目盛りを振り切り、遥か高みにいる)
(そんな常識外れみたいに言ったら失礼だよ)
(なにを言う。ミオが人外スキルと揶揄されたことを忘れたか?それに、我輩は褒めたのだぞ?ハイエルフの血を引く長命種のエルフだ。知的好奇心を満たす時間はたっぷりとある。これから、たっぷりと忙しなるぞ)
 ニヤァ…と口角を上げるジョウに、薄ら寒い思いに、身体がぷるっと震えた。
 
「…は?…は?」

 私とジョウが掛け合いをしている間も、絶賛混乱中のエイルさん。
 まぁ、そうだよね。私でもそうなるもん。
 調薬釜は、見た目炊飯器みたいだ。炊飯のボタンのように、色々な機能がある(遠い目)。

 皆様も、もう一度思い出していただこう。

鑑定〚調薬釜〛
 創造神ガイアの新神具。その名を調薬釜。薬の製作と知識を搭載した道具。
 ガイアが年甲斐もなく、神力全開で、自重なしで製作した神具。自動充魔の不壊が付与されている為、未来永劫可動が可能。素材の抽出・分解・合成・製薬ボタンがあり、所持者の負担なく製薬も出来る優れもの。
        
「これはっ!?…本当にガイア様が?」
 衝撃で声が掠れ、震える手で調薬釜を持つエイルさん。
「自身で鑑定した結果ですよ?」
「そうですが!嘘だと言われたほうがよっぽどっ!」
 そう言って顔を覆ってしまった。これから起こる様々な事象が思い浮かんだんだろう。現実逃避をしたくなる気持ちは分かるが……諦めて欲しい。ガイア様に使命された時点で、現実は詰んでいる。

「これは時短も出来る優れもにょ『そんな悠長な特徴を行っている場合ですか!?』…え?」
 エイルさんが爆発した。ついに、許容量を超えたらしい。 
「いいですか!?神具ですよ、神具!只でさえ、加護が二つあるなんて、神の使徒に間違えられてもおかしくないんですよ!?いや、ミオさんが違うと言っても、使徒だと信じる者は少なからず出ます!しかも、使徒は一国の王より偉いんですよ!そんな存在に、聖国が目を付けない訳がありません!」
「えっと…それまでに力をつけるとか?」

 ひぇえ~!?ズイズイ迫りくる美人の怒り顔は迫力あり過ぎる!エイルさんの綺麗な銀髪が、私の頰を撫ぜるぅ~!私は視線を泳がせ、冷や汗がダラダラと出るのだった。
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