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第四十二話 群がる精霊たち
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「やっと着いたぁ~」
「ふむ…そんなに経っていないいないが、どこか懐かしい」
「そうだにぇ…今日はもう日が暮れるから、採取は明日だにぇ」
「あぁ、そうだな。ゆっくり休んで、明日に備えるのだ」
「うん」
ザザザッ!?
ザザァ~~!?
ザワザワッ!?
それにしても…風が吹いているわけでもないのに、森が騒がしい。木々が揺れ、葉が擦れ、ざわめく。なんだろうな?聖域には魔物はいないし、危険はないだろうけどね。
〘愛し子が来たよ〙
〘愛し子じゃないよ〙
〘違うよ、愛し子だよ〙
〘愛し子は、辞退したんだよ。でも、愛し子と同じくらい神々に愛されてる子だよ〙
〘とにかく、僕たちの出番だ!〙
〘明日だよ〙
〘夜が明ければ、僕たちの出番!〙
〘僕たちの~出番!!〙
(全くはしゃぎおって…おちおち寝も出来んわ)
傍らでぐぅすかと眠るミオを、恨めしげな目で見るジョウがいたのだった。
♢
―――次の日。
「さぁ、神酒の素材採取だよ!ミディアンナさんが待ってるし、頑張るぞ!」
私が薬の素材図鑑を抱え意気込んでいると、ジョウが傍らにやってきて口を開いた。
「やる気になっている所悪いがな。態々ミオが素材採取に向かう手間が省けそうだぞ?」
「え?…それどういう」
〘突撃~~!〙
〘行け~~!〙
〘おぉ~~!〙
〘そりゃ~~!?〙
「…うにょわ~~!?」
「…はぁ、全く」
突如視界に埋まるそれは、漫画で見たような精霊精霊精霊精霊精霊精霊精霊精霊精霊……が、〘〘〘うわぁ~~!?〙〙〙と弾け飛んだ。
「んぇ?」
顔を覆った手の間から見えた光景に、間の抜けた声が出た。数え切れないほどの精霊が、森から湧いて出たかと思えば、私の少し手前で、見えないなにかに弾かれた。
取り敢えず、こちらに辿り着かなかったことにホッとしつつも、私はジョウを見た。
「結界、ありがとう」
「礼にはおよばん。小奴らには、少し躾が必要か?」
「あわわっ!?私は、大丈夫だよ!それより、この子たちはにゃんにゃの?前に聖域にいた時は、姿さえ見たかったけど…」
怒りの青筋が見えそう…私は慌ててジョウを制し、先ほどから疑問だった質問をする。
「小奴らは、徳を得に来た奴らだ。愛し子(仮)の役に立てば、自らの糧になるからな」
「へぇ……もしかして、長い間そういう存在がいにゃかったの?」
私と同じくらいの姿をした精霊が、親指ぐらいの大きさをした精霊たちを遠巻きに見ていた。姿を成さず点滅する光の精霊《子》もいる。
「そうかもしれん。ミオと同じくらいの精霊は、中位精霊だな」
私の視線を辿ったジョウの言葉に、私は驚いた。
「あの大きさで?」
「そうだ。高位精霊になると、一気に大人の姿になる。親指の大きさをした精霊は、低位精霊だな。あの中位精霊は、低位精霊のお守りだろう」
「お守り…中間管理職は、世知辛い」
「だな。自分も手伝いたいだろうが、あ奴らには、お守りが徳を積む行為なんだろう」
所変われば品変わるというように、自身の立ち位置によって、求められることが変わるんだろうなぁ。
「ガイア様の加護の効果で創る仲間は、精霊もいいね?」
可愛い精霊たちを見ながら呟けば、ジョウがそれに賛同する。心なしか、表情が明るい。
「いいのではないか?我輩としては、時空間を操る精霊だな。時空精霊は、時を止めることは出来んが、スローモーションをかける事は出来る。対象制限付きだが、かなり有効な手札だ。空間については、万が一ミオが連れ去られた時に、その場所に空間を繋げてもらうことが可能だ」
まるで、事前に想定していたかのよう流暢に話すジョウ。もしかして、色々考えてたのかな?でも、とてもいい案である。取り敢えずは、魔法紙が必要だ。師匠に頼んで、手に入れなきゃね。
「それ、いいにぇ。ミディアンナさんの件が落ち着いたら、師匠に魔法紙を頼もうかにゃ?」
「それがいい」
やはり、前々から考えていたのだろう。私が前向きな返事をすれば、ジョウの満更でもない、大袈裟な頷きを頂いた。
〘その魔法紙、我々にご用意させて頂けませんか?〙
「え?」
私とジョウの会話に、ある声が響いた。
〘私は、木精霊のドリアンと申します〙
数多の精霊を静め、私は前にでてきたのは、若葉のように鮮やかな緑髪の男の子だった。瞳は、木々を表す茶色である。ショートボブの緑髪が、風に撫でられ、サラリと舞う。
左手を胸に当て、右手は後ろに回した礼をされて、背中がむず痒さに襲われる。見知らぬ人?に、出会い頭に敬意を表されたのは、未知の経験だった。
「ご丁寧にありがとうございます。私は、ミオと申します」
なんとか紡いだ私の言葉に、ドリアンは耐え難い事実を述べた。
〘ミオ様のことは、世界中に存在する神に連なる存在は、一重に存じておりますとも〙
「へ?神に連にゃる存在みんにゃが?」
まさしく、目が点になるとは、こういうことをいうのではないだろうか?
〘さようにございます。神獣・聖獣・霊獣・精霊族全てが、ミオ様のことを存じております。此度、ミオ様に拝せましたこと、我が誉れにございます〙
「ちょっ…ちょっと大袈裟では?」
頬が引きつりながらも、紡いだ言葉は、あろうことか、ジョウに切って捨てられる。
「大袈裟ではない。謙遜は美徳だが、過ぎた謙遜は、自己卑下の始まりだ。しかも、相手の意見を拒否することにもなる。この世界では、あまり好まれたものではない。エイルは普通に接しているが、それは奴が賢者だからだ。ミオよ。加護持ちは、一国の王と変わらぬ権力を持つことを、よくよく理解しておくのだ」
「にゃっ!?今、それを言う必要ある?」
「今だがらこそ言えることだ。事実だと実感が出来る実物が、眼の前にいるだろうからな」
「くぅ!?私の日本人としての感性が!?」
〘ミオ様の培われてきた感性を捨てる必要はございません。ただ我々が、ミオ様をどのような存在として捉えているか。それを、覚えていただきたいのです〙
「まぁ、それぐらいなら…」
〘ありがとうございます。それで、魔法紙の代わりといってはなんですが、ミオ様にしか出来ない頼み事がございます。もし叶えて頂けるなら、ガイア様の加護に相応しい特別な魔法紙を用意致します〙
「頼み?…にゃんでしょう?」
私しか出来ない?に首を傾げながら、私はドリアンの言葉に耳を傾けた。
〘はい。今回、採取に関する全ての采配をお任せ頂けないでしょうか?〙
ドリアンの思わぬ申し出に、私とジョウはお互いに顔を見合わせた。
「採取にょ人員が増えるにょは、こちらからお願いしたいくらいだけど…本当にいいにょ?」
〘はい!我らにお任せ下さい!〙
「じゃあ、手伝ってもらおかにゃ?」
この時の私は、軽く考えていた。
軽々しく承諾したことを後悔するほどに。
いやね?精霊が湧き出た時から、なにかが起こるだろうとは思ったよ?
だけど…まさか、こんなことになるとはね。
「皆のもの!彼らが求めるのは、神酒の素材と高級ポーションの素材だ。神酒は5瓶、高級ポーションは制限なしだ!薬草一本につき、一ポイント!薬草に不備があれば、-5ポイントだ!急ぐあまり間違っては、意味がない!力の操作のミスと同義と知れ!制限時間は太陽が真上に昇る正午だ……スタート!」
〘〘〘〘〘〘急げ~!?〙〙〙〙〙〙(←得点稼ぎの挑戦者たち)
〘〘〘行け行け~!!〙〙〙(司会者以外の中位精霊たち=観戦者)
「「……」」
何故だろう。彼の申し出を受けたら、私の採取が、精霊たちの昇格得点稼ぎ大会に早変った件について。彼らの盛り上がる歓声を他所に、私たちはチベスナ顔になっても無理はないよね。
私にしか出来ないこと。
それは、精霊たちの徳を積む行為。日々の修行で得る糧も大切だが、貴人の役に立てることは、精霊にとって大きな糧になるそうだ。
そのお礼と言ってはなんだが、ドリアンからは、特別な魔法紙が貰えることになった。
「なんにしても、予定より早く集まりそうではないか!」
現実逃避をするように、無理にから元気に声高に告げるジョウ。
「そうだにぇ!ミディアンナさんを思えば、早いのはいいことだよにぇ!?」
どちらにしても、もう後戻りは出来ない。
私とジョウは、想定外の速さで集まる薬草を度外視しつつ、お互いを鼓舞し合うのだった。
「ふむ…そんなに経っていないいないが、どこか懐かしい」
「そうだにぇ…今日はもう日が暮れるから、採取は明日だにぇ」
「あぁ、そうだな。ゆっくり休んで、明日に備えるのだ」
「うん」
ザザザッ!?
ザザァ~~!?
ザワザワッ!?
それにしても…風が吹いているわけでもないのに、森が騒がしい。木々が揺れ、葉が擦れ、ざわめく。なんだろうな?聖域には魔物はいないし、危険はないだろうけどね。
〘愛し子が来たよ〙
〘愛し子じゃないよ〙
〘違うよ、愛し子だよ〙
〘愛し子は、辞退したんだよ。でも、愛し子と同じくらい神々に愛されてる子だよ〙
〘とにかく、僕たちの出番だ!〙
〘明日だよ〙
〘夜が明ければ、僕たちの出番!〙
〘僕たちの~出番!!〙
(全くはしゃぎおって…おちおち寝も出来んわ)
傍らでぐぅすかと眠るミオを、恨めしげな目で見るジョウがいたのだった。
♢
―――次の日。
「さぁ、神酒の素材採取だよ!ミディアンナさんが待ってるし、頑張るぞ!」
私が薬の素材図鑑を抱え意気込んでいると、ジョウが傍らにやってきて口を開いた。
「やる気になっている所悪いがな。態々ミオが素材採取に向かう手間が省けそうだぞ?」
「え?…それどういう」
〘突撃~~!〙
〘行け~~!〙
〘おぉ~~!〙
〘そりゃ~~!?〙
「…うにょわ~~!?」
「…はぁ、全く」
突如視界に埋まるそれは、漫画で見たような精霊精霊精霊精霊精霊精霊精霊精霊精霊……が、〘〘〘うわぁ~~!?〙〙〙と弾け飛んだ。
「んぇ?」
顔を覆った手の間から見えた光景に、間の抜けた声が出た。数え切れないほどの精霊が、森から湧いて出たかと思えば、私の少し手前で、見えないなにかに弾かれた。
取り敢えず、こちらに辿り着かなかったことにホッとしつつも、私はジョウを見た。
「結界、ありがとう」
「礼にはおよばん。小奴らには、少し躾が必要か?」
「あわわっ!?私は、大丈夫だよ!それより、この子たちはにゃんにゃの?前に聖域にいた時は、姿さえ見たかったけど…」
怒りの青筋が見えそう…私は慌ててジョウを制し、先ほどから疑問だった質問をする。
「小奴らは、徳を得に来た奴らだ。愛し子(仮)の役に立てば、自らの糧になるからな」
「へぇ……もしかして、長い間そういう存在がいにゃかったの?」
私と同じくらいの姿をした精霊が、親指ぐらいの大きさをした精霊たちを遠巻きに見ていた。姿を成さず点滅する光の精霊《子》もいる。
「そうかもしれん。ミオと同じくらいの精霊は、中位精霊だな」
私の視線を辿ったジョウの言葉に、私は驚いた。
「あの大きさで?」
「そうだ。高位精霊になると、一気に大人の姿になる。親指の大きさをした精霊は、低位精霊だな。あの中位精霊は、低位精霊のお守りだろう」
「お守り…中間管理職は、世知辛い」
「だな。自分も手伝いたいだろうが、あ奴らには、お守りが徳を積む行為なんだろう」
所変われば品変わるというように、自身の立ち位置によって、求められることが変わるんだろうなぁ。
「ガイア様の加護の効果で創る仲間は、精霊もいいね?」
可愛い精霊たちを見ながら呟けば、ジョウがそれに賛同する。心なしか、表情が明るい。
「いいのではないか?我輩としては、時空間を操る精霊だな。時空精霊は、時を止めることは出来んが、スローモーションをかける事は出来る。対象制限付きだが、かなり有効な手札だ。空間については、万が一ミオが連れ去られた時に、その場所に空間を繋げてもらうことが可能だ」
まるで、事前に想定していたかのよう流暢に話すジョウ。もしかして、色々考えてたのかな?でも、とてもいい案である。取り敢えずは、魔法紙が必要だ。師匠に頼んで、手に入れなきゃね。
「それ、いいにぇ。ミディアンナさんの件が落ち着いたら、師匠に魔法紙を頼もうかにゃ?」
「それがいい」
やはり、前々から考えていたのだろう。私が前向きな返事をすれば、ジョウの満更でもない、大袈裟な頷きを頂いた。
〘その魔法紙、我々にご用意させて頂けませんか?〙
「え?」
私とジョウの会話に、ある声が響いた。
〘私は、木精霊のドリアンと申します〙
数多の精霊を静め、私は前にでてきたのは、若葉のように鮮やかな緑髪の男の子だった。瞳は、木々を表す茶色である。ショートボブの緑髪が、風に撫でられ、サラリと舞う。
左手を胸に当て、右手は後ろに回した礼をされて、背中がむず痒さに襲われる。見知らぬ人?に、出会い頭に敬意を表されたのは、未知の経験だった。
「ご丁寧にありがとうございます。私は、ミオと申します」
なんとか紡いだ私の言葉に、ドリアンは耐え難い事実を述べた。
〘ミオ様のことは、世界中に存在する神に連なる存在は、一重に存じておりますとも〙
「へ?神に連にゃる存在みんにゃが?」
まさしく、目が点になるとは、こういうことをいうのではないだろうか?
〘さようにございます。神獣・聖獣・霊獣・精霊族全てが、ミオ様のことを存じております。此度、ミオ様に拝せましたこと、我が誉れにございます〙
「ちょっ…ちょっと大袈裟では?」
頬が引きつりながらも、紡いだ言葉は、あろうことか、ジョウに切って捨てられる。
「大袈裟ではない。謙遜は美徳だが、過ぎた謙遜は、自己卑下の始まりだ。しかも、相手の意見を拒否することにもなる。この世界では、あまり好まれたものではない。エイルは普通に接しているが、それは奴が賢者だからだ。ミオよ。加護持ちは、一国の王と変わらぬ権力を持つことを、よくよく理解しておくのだ」
「にゃっ!?今、それを言う必要ある?」
「今だがらこそ言えることだ。事実だと実感が出来る実物が、眼の前にいるだろうからな」
「くぅ!?私の日本人としての感性が!?」
〘ミオ様の培われてきた感性を捨てる必要はございません。ただ我々が、ミオ様をどのような存在として捉えているか。それを、覚えていただきたいのです〙
「まぁ、それぐらいなら…」
〘ありがとうございます。それで、魔法紙の代わりといってはなんですが、ミオ様にしか出来ない頼み事がございます。もし叶えて頂けるなら、ガイア様の加護に相応しい特別な魔法紙を用意致します〙
「頼み?…にゃんでしょう?」
私しか出来ない?に首を傾げながら、私はドリアンの言葉に耳を傾けた。
〘はい。今回、採取に関する全ての采配をお任せ頂けないでしょうか?〙
ドリアンの思わぬ申し出に、私とジョウはお互いに顔を見合わせた。
「採取にょ人員が増えるにょは、こちらからお願いしたいくらいだけど…本当にいいにょ?」
〘はい!我らにお任せ下さい!〙
「じゃあ、手伝ってもらおかにゃ?」
この時の私は、軽く考えていた。
軽々しく承諾したことを後悔するほどに。
いやね?精霊が湧き出た時から、なにかが起こるだろうとは思ったよ?
だけど…まさか、こんなことになるとはね。
「皆のもの!彼らが求めるのは、神酒の素材と高級ポーションの素材だ。神酒は5瓶、高級ポーションは制限なしだ!薬草一本につき、一ポイント!薬草に不備があれば、-5ポイントだ!急ぐあまり間違っては、意味がない!力の操作のミスと同義と知れ!制限時間は太陽が真上に昇る正午だ……スタート!」
〘〘〘〘〘〘急げ~!?〙〙〙〙〙〙(←得点稼ぎの挑戦者たち)
〘〘〘行け行け~!!〙〙〙(司会者以外の中位精霊たち=観戦者)
「「……」」
何故だろう。彼の申し出を受けたら、私の採取が、精霊たちの昇格得点稼ぎ大会に早変った件について。彼らの盛り上がる歓声を他所に、私たちはチベスナ顔になっても無理はないよね。
私にしか出来ないこと。
それは、精霊たちの徳を積む行為。日々の修行で得る糧も大切だが、貴人の役に立てることは、精霊にとって大きな糧になるそうだ。
そのお礼と言ってはなんだが、ドリアンからは、特別な魔法紙が貰えることになった。
「なんにしても、予定より早く集まりそうではないか!」
現実逃避をするように、無理にから元気に声高に告げるジョウ。
「そうだにぇ!ミディアンナさんを思えば、早いのはいいことだよにぇ!?」
どちらにしても、もう後戻りは出来ない。
私とジョウは、想定外の速さで集まる薬草を度外視しつつ、お互いを鼓舞し合うのだった。
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