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追放聖女のもふもふスローライフ
第4話 未踏の領域と少女の正体
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チュン、チュン
窓から差し込む朝の光と、小鳥のさえずりで目を覚ます。
――なんか、寝覚めが悪いな……何か、夢を見ていたような気がする……遠い、遠い、懐かしい夢。耳の奥に残る、夢の中の声。
『……また、一緒に遊ぼうね……』
……あれは、いつ、誰に向けた言葉だっけ?
「モキュ……」
ふわりと身を寄せてきたもふぞーが、心配そうに私の顔を覗き込む。
「おはよう、もふぞー」
「キュキュゥ!」
元気いっぱいに鳴くと、もふぞーは私の頬をぺろぺろと舐める。くすぐったいがなんだか安心する。
「よし、それじゃあ朝ごはんにしますか」
私は昨日の残りのポトフを温め、パンを添える。小鳥さん用のご飯も用意し窓辺に置いた。すぐに数羽が寄ってきてついばみ始める。
「今日も雑貨屋さんに行ってみようか」
「キュ♪」
朝ごはんを食べ終わると、ケイトさんの雑貨屋へと向かう。まあ、昨日の今日でそれほど売れていないと思うが念の為カバンに補充用のポーションを十本ほど入れて行こう。
「こんにちはー」
挨拶しつつ雑貨屋のドアを開けるとケイトさんが笑顔で出迎えてくれた。
なんと、ポーションはすでに完売していた。空いている棚を見ると「聖女様特製ポーション」と書かれた木でできた札が立ててあった。
「……え、もう売り切れ?」
嬉しい反面、少し不安になる。
――あとから効き目が薄いとか、クレーム来たりしないかな?
とりあえず代金を受け取り、補充のポーションを渡す。
よし、これで用事は済んだ。あとは……
帰り際に思い切ってケイトさんに聞いてみる。
「そうだ、ケイトさん。ロゼって名前の子、知ってます?」
ケイトさんは小瓶を棚に並べる手を止め、私の方を見た。
「いや、知らないねぇ」
即答だ。
「そうですか……」
「この村には外からの来客もないし、ここ数日は誰も見てない。……それに、この村の子供なら、私が知らないはずないさ。その子がどうかしたのかい?」
「いえ、知らないなら良いんです」
やっぱりあの子は……ロゼちゃんは人間じゃあ無いのかも……
初めてあった時、私のことを「リリアナ」って名前で呼んだ。こっちは名乗ってすらいなかったのに。
「キュゥ」
もふぞーが心配そうに鳴き声をあげた。
「うん、ひとまず家に帰ろうか、もふぞー」
「キュキュゥ♪」
――よし、家に帰ったらロゼちゃんの正体を確認しよう。
こうして私ともふぞーは帰路につくのだった。
屋敷に戻った私たちをロゼちゃんが出迎える。
「ただいま、ロゼちゃん」
「リリアナ、遊ぼう」
「うん、でも、もう少しだけ待っててくれるかな?」
そう言ってロゼちゃんの頭を撫でる。少し、ごわついていたけどその撫で心地には覚えがあった。
私の名前を知っていたこと。古ぼけた髪とドレス。そして、夢で見た懐かしさ。私は彼女の正体に心当たりがあった。
「さてと、ここからは戦場だ!」
ここから先は未踏の領域。
私は気合を入れるために、適当な紐でたすき掛けをしてダボダボのローブの袖をまとめ上げる。
「いざ尋常に!」
「キュキュゥ!」
気合を入れると私は二階への階段を登り始めた。
――あ、もふぞーは埃まみれにならないように大人しく待っててね。
「キュキュゥ……」
目指すは二階の一番奥の部屋。幼い頃、私が使っていた部屋だ。
二階の廊下にも埃や物が散乱していた。
私は慎重に廊下を進み、ドアの前までたどり着く。
扉を開けると、空気が流れ込み、ほこりが舞い上がった。窓からの光を浴びて、塵がキラキラと輝く。
その光の中に――ロゼちゃんが立っていた。
「ずいぶんと待たせちゃったね」
そう声をかけると、ロゼちゃんはふっと微笑んで……次の瞬間、淡い光に溶けるように消えてしまった。
彼女がいた場所には、子供用の椅子と、その上にちょこんと座った古びたお人形。
私は胸の奥がぎゅっと締めつけられるのを感じながら、その人形をそっと抱き上げる。
「……ただいま、ロゼ。また、一緒に遊ぼうね」
すると、不思議なことに人形の表情が、ほんの少しだけ柔らかくなったように見えた。
人形と一緒に一階へ降りると、そこにはもふぞーと……ロゼが待っていた。
……いや、普通にいるんかーい!
思わず心の中でつっこんでしまった。
「あなたは、この子でいいんだよね?」
「うん。ずっと待ってたの。また遊ぼう」
その言葉に胸がじんわりと温かくなる。
――やっぱり、この子は“ロゼ”なんだ。人形であろうと、私の大切な友達。
「うん、それじゃあ遊ぼっか」
ロゼは少しぎこちない仕草で手を叩き、もふぞーは楽しそうに跳ね回る。
私は二人と一緒に、おままごとや手遊びをしながら、幼い頃のように笑い声を響かせた。
日が暮れ始め、私は水浴びをするために泉へと向かった。今日はロゼも一緒だ。
森を抜け泉にたどり着くと、私は服を脱ぎ水面に身体を沈める。ひんやりとした感触が肌を包み込んで気持ちがいい。
「……ふぅ、気持ちいい」
もふぞーも気持ちが良さそうに水の上にプカプカと浮かんでいる。
ロゼは靴を脱いで泉に素足をさらし、じっとこちらを見つめていた。……いや、見すぎじゃない?
そう言えば、誰かに見られてるのってめっちゃ恥ずかしいな……
「キュキュゥ」
何かを察したようにもふぞーが鳴いた。
そうだね、ずっともふぞーには見られてたんだっけ。今さら気にすることでもないか。
――明日も頑張ろうね、もふぞー。
私は小さくつぶやき、もふぞーの背をそっと撫でた。
窓から差し込む朝の光と、小鳥のさえずりで目を覚ます。
――なんか、寝覚めが悪いな……何か、夢を見ていたような気がする……遠い、遠い、懐かしい夢。耳の奥に残る、夢の中の声。
『……また、一緒に遊ぼうね……』
……あれは、いつ、誰に向けた言葉だっけ?
「モキュ……」
ふわりと身を寄せてきたもふぞーが、心配そうに私の顔を覗き込む。
「おはよう、もふぞー」
「キュキュゥ!」
元気いっぱいに鳴くと、もふぞーは私の頬をぺろぺろと舐める。くすぐったいがなんだか安心する。
「よし、それじゃあ朝ごはんにしますか」
私は昨日の残りのポトフを温め、パンを添える。小鳥さん用のご飯も用意し窓辺に置いた。すぐに数羽が寄ってきてついばみ始める。
「今日も雑貨屋さんに行ってみようか」
「キュ♪」
朝ごはんを食べ終わると、ケイトさんの雑貨屋へと向かう。まあ、昨日の今日でそれほど売れていないと思うが念の為カバンに補充用のポーションを十本ほど入れて行こう。
「こんにちはー」
挨拶しつつ雑貨屋のドアを開けるとケイトさんが笑顔で出迎えてくれた。
なんと、ポーションはすでに完売していた。空いている棚を見ると「聖女様特製ポーション」と書かれた木でできた札が立ててあった。
「……え、もう売り切れ?」
嬉しい反面、少し不安になる。
――あとから効き目が薄いとか、クレーム来たりしないかな?
とりあえず代金を受け取り、補充のポーションを渡す。
よし、これで用事は済んだ。あとは……
帰り際に思い切ってケイトさんに聞いてみる。
「そうだ、ケイトさん。ロゼって名前の子、知ってます?」
ケイトさんは小瓶を棚に並べる手を止め、私の方を見た。
「いや、知らないねぇ」
即答だ。
「そうですか……」
「この村には外からの来客もないし、ここ数日は誰も見てない。……それに、この村の子供なら、私が知らないはずないさ。その子がどうかしたのかい?」
「いえ、知らないなら良いんです」
やっぱりあの子は……ロゼちゃんは人間じゃあ無いのかも……
初めてあった時、私のことを「リリアナ」って名前で呼んだ。こっちは名乗ってすらいなかったのに。
「キュゥ」
もふぞーが心配そうに鳴き声をあげた。
「うん、ひとまず家に帰ろうか、もふぞー」
「キュキュゥ♪」
――よし、家に帰ったらロゼちゃんの正体を確認しよう。
こうして私ともふぞーは帰路につくのだった。
屋敷に戻った私たちをロゼちゃんが出迎える。
「ただいま、ロゼちゃん」
「リリアナ、遊ぼう」
「うん、でも、もう少しだけ待っててくれるかな?」
そう言ってロゼちゃんの頭を撫でる。少し、ごわついていたけどその撫で心地には覚えがあった。
私の名前を知っていたこと。古ぼけた髪とドレス。そして、夢で見た懐かしさ。私は彼女の正体に心当たりがあった。
「さてと、ここからは戦場だ!」
ここから先は未踏の領域。
私は気合を入れるために、適当な紐でたすき掛けをしてダボダボのローブの袖をまとめ上げる。
「いざ尋常に!」
「キュキュゥ!」
気合を入れると私は二階への階段を登り始めた。
――あ、もふぞーは埃まみれにならないように大人しく待っててね。
「キュキュゥ……」
目指すは二階の一番奥の部屋。幼い頃、私が使っていた部屋だ。
二階の廊下にも埃や物が散乱していた。
私は慎重に廊下を進み、ドアの前までたどり着く。
扉を開けると、空気が流れ込み、ほこりが舞い上がった。窓からの光を浴びて、塵がキラキラと輝く。
その光の中に――ロゼちゃんが立っていた。
「ずいぶんと待たせちゃったね」
そう声をかけると、ロゼちゃんはふっと微笑んで……次の瞬間、淡い光に溶けるように消えてしまった。
彼女がいた場所には、子供用の椅子と、その上にちょこんと座った古びたお人形。
私は胸の奥がぎゅっと締めつけられるのを感じながら、その人形をそっと抱き上げる。
「……ただいま、ロゼ。また、一緒に遊ぼうね」
すると、不思議なことに人形の表情が、ほんの少しだけ柔らかくなったように見えた。
人形と一緒に一階へ降りると、そこにはもふぞーと……ロゼが待っていた。
……いや、普通にいるんかーい!
思わず心の中でつっこんでしまった。
「あなたは、この子でいいんだよね?」
「うん。ずっと待ってたの。また遊ぼう」
その言葉に胸がじんわりと温かくなる。
――やっぱり、この子は“ロゼ”なんだ。人形であろうと、私の大切な友達。
「うん、それじゃあ遊ぼっか」
ロゼは少しぎこちない仕草で手を叩き、もふぞーは楽しそうに跳ね回る。
私は二人と一緒に、おままごとや手遊びをしながら、幼い頃のように笑い声を響かせた。
日が暮れ始め、私は水浴びをするために泉へと向かった。今日はロゼも一緒だ。
森を抜け泉にたどり着くと、私は服を脱ぎ水面に身体を沈める。ひんやりとした感触が肌を包み込んで気持ちがいい。
「……ふぅ、気持ちいい」
もふぞーも気持ちが良さそうに水の上にプカプカと浮かんでいる。
ロゼは靴を脱いで泉に素足をさらし、じっとこちらを見つめていた。……いや、見すぎじゃない?
そう言えば、誰かに見られてるのってめっちゃ恥ずかしいな……
「キュキュゥ」
何かを察したようにもふぞーが鳴いた。
そうだね、ずっともふぞーには見られてたんだっけ。今さら気にすることでもないか。
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私は小さくつぶやき、もふぞーの背をそっと撫でた。
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