1 / 1
佐藤さんは構ってちゃん
しおりを挟む
クラスの人気者、佐藤さんはいつも友達の女子に囲まれている。
いわゆる陽キャグループだ。
明るい茶色の髪が背中まで伸びており、くっきりした二重のまぶた。
彼女はいつも笑顔が絶えず、愛想が良いことから人に好かれやすいと思う。
それに比べて僕、原田はチビで、地味な見た目だ。
友達ゼロ人、コミュ障な僕に喋る相手もおらず、一人席に座って本を読むのが当たり前。
なので、陰キャの僕と佐藤さんは真反対の人だ。
そんな佐藤さんと、たまたま目が合う。
そして、僕と佐藤さんにはちょっとした関係がある。
昼休み、図書室で椅子に座り、本を読んでいる。
「なんの本読んでるの?」
佐藤さんがさりげなく隣に座る。
「え、あ……これは、獣医治療学辞典っていうので……」
「う~ん、難しそうでよく分かんないや」
佐藤さんは親身になって腕を組み、頭を悩ませている。
話は続かず、僕は再び本に視線を向ける。
佐藤さんの方は恥ずかしくて向けないからだ。
話す時も顔を見るのがやっと、目を合わせるなんて、度胸も勇気も持ち合わせていない。
すると、何かいいたげに佐藤さんが、僕の顔を覗き込むように、じっ~と見つめてくる。
尚更、恥ずかしくて紛らわそうと、本に集中する。
今度は顔を近付けてきた。
まじまじと見てくる。
続けて、これでもかと寄りかかって、肩をくっつけてくる。
しまいには無言のまま、お腹周りをこちょこちょしてきた。
くすぐったくて我慢できずに笑ってしまう。
「あっ、笑った~」
満足そうに微笑む佐藤さん。
思惑通りに笑ってしまった事が少し悔しく、笑うのを堪えて平然を装う。
すると、佐藤さんは覆い被さるように、本の上に顔を出して、不満げそうに口を開ける。
「ねえ、私とそれ、どっちが大事なの?」
ムスッとした態度で、目を細めている。
本気のようだ。
こうして佐藤さんは、普段から僕に構っちゃんをしてくる。
さしずめ、飼い主が作業するパソコンに猫が嫉妬するように、佐藤さんもまた本に嫉妬しているのだろう。
「そ、そ……れは……佐藤さんの方が」
コミュ障というのと、口に出して言うのが恥ずかしくて小さな声になってしまう。
「え~、聞こえない。もう一回、言ってよ」
そういう佐藤さんの顔は笑っている。
聞こえていてわざと言っているのだろう。
「それで、どうしてさっきは見てくれなかったの?」
「それは恥ずかしかったから……」
「どう恥ずかしいの?」
佐藤さんはからかいつつも、僕の返事を楽しみにして待っている。
「そ、それは……佐藤さんの事、意識しちゃうから……」
「んっ!」
佐藤さんは瞬時に反応して、照れくさそうに赤面する。
互いに恥ずかしくなり、もじもじしていると、
「もお、女の子をからかっちゃダメだよ」
佐藤さんがほくそ笑んで、こちょこちょをしてきた。
僕は抵抗虚しく、佐藤さんの気が済むまで、くすぐられ尽くされてしまった。
けど、その後に佐藤さんがポツリと呟く。
「でも、嬉しかった」
照れて頬を掻くように人差し指でなぞるしぐさも相まって、キュンとしてしまった。
その後、佐藤さんは僕の肩に寄りかかると、そのまま寝てしまった。
いつとニコニコしている雰囲気とはうって変わって、凛として落ち着いた感じ。
つい見惚れてしまい、気付けば授業が始まる十分前になっていた。
「さ、佐藤さん、起きて。そろそろ時間になるんだけど」
佐藤さんはハッとして、慌てて体を起こす。
「見た? 寝顔……」
「え、あ……う、うん」
佐藤さんの顔がみるみる赤くなる。
寝顔を見られたのが嫌だったのかな?
気にする僕とは裏腹に、佐藤さんは頬を赤く染めたまま、ムスッとした顔で見てくる。
「原田のも見して」
「えっ、何で!?」
「私の寝顔だけ見られたのはズルい」
駄々をこねるように言い返す佐藤さん。
続けて、佐藤さんは膝をポンポン叩く。
膝枕を誘っているみたいだ。
けど、佐藤さんに膝枕してもらうなんて、恥ずかしくてできない。
渋っていると、佐藤さんが「あっ」という顔をする。
「もしかして枕がないと寝られない派?」
「いや、そういう訳じゃ……」
「なら、おいでよ。ほら」
佐藤さんがニコッと膝を叩く。
断るのも失礼はのではと、空気に流される形で佐藤さんの膝に頭を乗せる。
温かくて、柔らかい。
考えているだけで僕の心が持たない。
そう判断した僕は、母の顔をここぞとばかりに思い浮かべて、高揚する気持ちを押さえる。
そうこうしていると、そっと佐藤さんに頭を撫でられる。
何故だか、心が落ち着く。
こうして頭を撫でられたのは、小学生の頃以来だろう。
体の芯が温まり、眠気がやってきた時だった。
パシャっとシャッターの音が鳴る。
佐藤さんを見ると、僕にスマホを向けていた。
もしかして、撮られた?
佐藤さんは満足そうに微笑むと、スマホをポケットにしまった。
「佐藤さんは、いま……」
「えっ、なんのこと~?」
佐藤さんは笑って誤魔化した。
いわゆる陽キャグループだ。
明るい茶色の髪が背中まで伸びており、くっきりした二重のまぶた。
彼女はいつも笑顔が絶えず、愛想が良いことから人に好かれやすいと思う。
それに比べて僕、原田はチビで、地味な見た目だ。
友達ゼロ人、コミュ障な僕に喋る相手もおらず、一人席に座って本を読むのが当たり前。
なので、陰キャの僕と佐藤さんは真反対の人だ。
そんな佐藤さんと、たまたま目が合う。
そして、僕と佐藤さんにはちょっとした関係がある。
昼休み、図書室で椅子に座り、本を読んでいる。
「なんの本読んでるの?」
佐藤さんがさりげなく隣に座る。
「え、あ……これは、獣医治療学辞典っていうので……」
「う~ん、難しそうでよく分かんないや」
佐藤さんは親身になって腕を組み、頭を悩ませている。
話は続かず、僕は再び本に視線を向ける。
佐藤さんの方は恥ずかしくて向けないからだ。
話す時も顔を見るのがやっと、目を合わせるなんて、度胸も勇気も持ち合わせていない。
すると、何かいいたげに佐藤さんが、僕の顔を覗き込むように、じっ~と見つめてくる。
尚更、恥ずかしくて紛らわそうと、本に集中する。
今度は顔を近付けてきた。
まじまじと見てくる。
続けて、これでもかと寄りかかって、肩をくっつけてくる。
しまいには無言のまま、お腹周りをこちょこちょしてきた。
くすぐったくて我慢できずに笑ってしまう。
「あっ、笑った~」
満足そうに微笑む佐藤さん。
思惑通りに笑ってしまった事が少し悔しく、笑うのを堪えて平然を装う。
すると、佐藤さんは覆い被さるように、本の上に顔を出して、不満げそうに口を開ける。
「ねえ、私とそれ、どっちが大事なの?」
ムスッとした態度で、目を細めている。
本気のようだ。
こうして佐藤さんは、普段から僕に構っちゃんをしてくる。
さしずめ、飼い主が作業するパソコンに猫が嫉妬するように、佐藤さんもまた本に嫉妬しているのだろう。
「そ、そ……れは……佐藤さんの方が」
コミュ障というのと、口に出して言うのが恥ずかしくて小さな声になってしまう。
「え~、聞こえない。もう一回、言ってよ」
そういう佐藤さんの顔は笑っている。
聞こえていてわざと言っているのだろう。
「それで、どうしてさっきは見てくれなかったの?」
「それは恥ずかしかったから……」
「どう恥ずかしいの?」
佐藤さんはからかいつつも、僕の返事を楽しみにして待っている。
「そ、それは……佐藤さんの事、意識しちゃうから……」
「んっ!」
佐藤さんは瞬時に反応して、照れくさそうに赤面する。
互いに恥ずかしくなり、もじもじしていると、
「もお、女の子をからかっちゃダメだよ」
佐藤さんがほくそ笑んで、こちょこちょをしてきた。
僕は抵抗虚しく、佐藤さんの気が済むまで、くすぐられ尽くされてしまった。
けど、その後に佐藤さんがポツリと呟く。
「でも、嬉しかった」
照れて頬を掻くように人差し指でなぞるしぐさも相まって、キュンとしてしまった。
その後、佐藤さんは僕の肩に寄りかかると、そのまま寝てしまった。
いつとニコニコしている雰囲気とはうって変わって、凛として落ち着いた感じ。
つい見惚れてしまい、気付けば授業が始まる十分前になっていた。
「さ、佐藤さん、起きて。そろそろ時間になるんだけど」
佐藤さんはハッとして、慌てて体を起こす。
「見た? 寝顔……」
「え、あ……う、うん」
佐藤さんの顔がみるみる赤くなる。
寝顔を見られたのが嫌だったのかな?
気にする僕とは裏腹に、佐藤さんは頬を赤く染めたまま、ムスッとした顔で見てくる。
「原田のも見して」
「えっ、何で!?」
「私の寝顔だけ見られたのはズルい」
駄々をこねるように言い返す佐藤さん。
続けて、佐藤さんは膝をポンポン叩く。
膝枕を誘っているみたいだ。
けど、佐藤さんに膝枕してもらうなんて、恥ずかしくてできない。
渋っていると、佐藤さんが「あっ」という顔をする。
「もしかして枕がないと寝られない派?」
「いや、そういう訳じゃ……」
「なら、おいでよ。ほら」
佐藤さんがニコッと膝を叩く。
断るのも失礼はのではと、空気に流される形で佐藤さんの膝に頭を乗せる。
温かくて、柔らかい。
考えているだけで僕の心が持たない。
そう判断した僕は、母の顔をここぞとばかりに思い浮かべて、高揚する気持ちを押さえる。
そうこうしていると、そっと佐藤さんに頭を撫でられる。
何故だか、心が落ち着く。
こうして頭を撫でられたのは、小学生の頃以来だろう。
体の芯が温まり、眠気がやってきた時だった。
パシャっとシャッターの音が鳴る。
佐藤さんを見ると、僕にスマホを向けていた。
もしかして、撮られた?
佐藤さんは満足そうに微笑むと、スマホをポケットにしまった。
「佐藤さんは、いま……」
「えっ、なんのこと~?」
佐藤さんは笑って誤魔化した。
0
この作品は感想を受け付けておりません。
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
俺をフッた女子に拉致されて、逃げ場のない同棲生活が始まりました
ちくわ食べます
恋愛
大学のサークル飲み会。
意を決して想いを告げた相手は、学内でも有名な人気女子・一ノ瀬さくら。
しかし返ってきたのは――
「今はちょっと……」という、曖昧な言葉だった。
完全にフラれたと思い込んで落ち込む俺。
その3日後――なぜか自分のアパートに入れなくなっていた。
幼馴染みのメッセージに打ち間違い返信したらとんでもないことに
家紋武範
恋愛
となりに住む、幼馴染みの夕夏のことが好きだが、その思いを伝えられずにいた。
ある日、夕夏のメッセージに返信しようとしたら、間違ってとんでもない言葉を送ってしまったのだった。
手が届かないはずの高嶺の花が幼馴染の俺にだけベタベタしてきて、あと少しで我慢も限界かもしれない
みずがめ
恋愛
宮坂葵は可愛くて気立てが良くて社長令嬢で……あと俺の幼馴染だ。
葵は学内でも屈指の人気を誇る女子。けれど彼女に告白をする男子は数える程度しかいなかった。
なぜか? 彼女が高嶺の花すぎたからである。
その美貌と肩書に誰もが気後れしてしまう。葵に告白する数少ない勇者も、ことごとく散っていった。
そんな誰もが憧れる美少女は、今日も俺と二人きりで無防備な姿をさらしていた。
幼馴染だからって、とっくに体つきは大人へと成長しているのだ。彼女がいつまでも子供気分で困っているのは俺ばかりだった。いつかはわからせなければならないだろう。
……本当にわからせられるのは俺の方だということを、この時点ではまだわかっちゃいなかったのだ。
小さくなって寝ている先輩にキスをしようとしたら、バレて逆にキスをされてしまった話
穂鈴 えい
恋愛
ある日の放課後、部室に入ったわたしは、普段しっかりとした先輩が無防備な姿で眠っているのに気がついた。ひっそりと片思いを抱いている先輩にキスがしたくて縮小薬を飲んで100分の1サイズで近づくのだが、途中で気づかれてしまったわたしは、逆に先輩に弄ばれてしまい……。
俺を振ったはずの腐れ縁幼馴染が、俺に告白してきました。
true177
恋愛
一年前、伊藤 健介(いとう けんすけ)は幼馴染の多田 悠奈(ただ ゆうな)に振られた。それも、心無い手紙を下駄箱に入れられて。
それ以来悠奈を避けるようになっていた健介だが、二年生に進級した春になって悠奈がいきなり告白を仕掛けてきた。
これはハニートラップか、一年前の出来事を忘れてしまっているのか……。ともかく、健介は断った。
日常が一変したのは、それからである。やたらと悠奈が絡んでくるようになったのだ。
彼女の狙いは、いったい何なのだろうか……。
※小説家になろう、ハーメルンにも同一作品を投稿しています。
※内部進行完結済みです。毎日連載です。
最高魔導師の重すぎる愛の結末
甘寧
恋愛
私、ステフィ・フェルスターの仕事は街の中央にある魔術協会の事務員。
いつもの様に出勤すると、私の席がなかった。
呆然とする私に上司であるジンドルフに尋ねると私は昇進し自分の直属の部下になったと言う。
このジンドルフと言う男は、結婚したい男不動のNO.1。
銀色の長髪を後ろに縛り、黒のローブを纏ったその男は微笑むだけで女性を虜にするほど色気がある。
ジンドルフに会いたいが為に、用もないのに魔術協会に来る女性多数。
でも、皆は気づいて無いみたいだけど、あの男、なんか闇を秘めている気がする……
その感は残念ならが当たることになる。
何十年にも渡りストーカーしていた最高魔導師と捕まってしまった可哀想な部下のお話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる