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イカれたあいつとヘタレのリーゼント
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日は沈み、辺りは闇に包まれている。 スライム・ザ・リッパーの起こした爆発で怪我を負ったクラリスは、誰にも言わずに村の外に出てきていた。
背後ではまだまだ騒ぐ村人達の声が聞こえる。
それもそのはず。 ディメンションモヒカンを倒したお陰で、村を脅かす存在が消えたのだ。 賞金首だった彼らの死体を星間カウボーイに引き渡すだけで、村が一年は遊んで暮らせるだけの金が手に入るだろう。
それだけの金を、あのスペーステンガロンハットの男がどうするかはクラリスにはわからない。 しかし、金に拘らず、下手をすれば村に全てを投げ出してしまいそうな雰囲気すらあった。
そんな事より、クラリスには考える事がある。
「どうして……皆、おじいちゃんが死んじゃったのに、楽しそうに出来るんだろう」
死ね、と言われた。 それは確かにクラリスの心へと、深く突き刺さる言葉になった。
しかし、それよりも村長として村を守らなければならない、という義務感だったからなのを、クラリスは知った。
最後に見た村長の顔は、優しかった頃のおじいちゃんの顔だったと、はっきり覚えている。 恨むには、思い出が有りすぎた。
そんな村長の死を忘れたように騒ぐ村人達との温度差を、クラリスははっきりと感じていた。
「もし私があの時、殺されてたら……」
少しの間だけは悲しんでくれるだろう。 しかし、こうやって、何もかも無かったように上書きされてしまうのだとしたら。
「寂しいなぁ……」
夜空には丸い丸いお月様。 クラリスは涙が零れないように、上を向いて歩いた。
今の今まで忘れていたような、村長との思い出が脳裏に流れる。
いつか自分もこうやって思い出にされる時が来るかと思えば、それもまた寂しい。
ぽっかりと胸に穴でも空いたような気分は、このままどこかに行ってしまおうか。 そんなやけっぱちの思考に流れる。
あの地平線の向こうには、何があるんだろう。 幼かったクラリスは考えた。
そして、何もない事を今のクラリスは知っている。
これから先のクラリスは、この赤い荒野に何を想うのだろうか。
「どうなんだろうね?」
「……何がだよ」
ただの自問に、ふてくされた子供のような声が返ってきた。
そちらを見てみれば、リーゼント。 まるで塩をかけたロンリーほうれん草のように、しおれたリーゼントが地面に足を放り出して座っていた。
「……どうかしたの、サブ……さん?」
「ア? 別にどうもしてねえよ。 つーか、さんはいらねえ。 ……ただのサブでいい」
恐る恐る声をかけてみれば、乱暴な言葉だが思っていたよりも優しげな声音が返ってくる。
「うん、じゃあサブって呼ぶね。 サブはこんな所でどうしたの?」
「……うるせえな、姉ちゃんには関係ないだろ」
まさに拗ねた子供だった。 少しムッとしたクラリスは、子供に言い聞かせるように言ってやる事にした。
「クラリス」
「あ?」
「ク・ラ・リ・ス。 姉ちゃんじゃなくて、クラリス」
「…………別に姉ちゃんでもいいだろ」
「ク! ラ! リ! ス!」
サブに詰め寄ると、一文字一文字をはっきりと理解出来るように、耳の穴に叩き込んでやった。
「わ、わかったよ、クラリスの姉ちゃんだな!」
「よろしい」
少し満足したクラリスは、サブの横に腰を下ろす。 サブは少し嫌そうな顔をしたが、気付かなかったふりをした。
しおれたサブとクラリスの温度差は遠くはない。
「あのさあ、サブ」
「んだよ」
「助けてくれて、ありがとうね」
モヒカンに襲われた時、村長に死ねと罵られて泣きそうだった時、スライム・ザ・リッパーが起こした爆発に巻き込まれた時。
たった一日で三度も助けられた。 命の恩人だ。
その想いを伝えるにはどうしたらいいかを考えた。 しかし、結局はシンプルな一言になってしまったが、その言葉にはしっかりと想いを乗せた。
「よしてくれ。 俺はクラリスの姉ちゃんに礼を言われるような事は、何一つしてねえよ」
しかし、クラリスの言葉をサブは蹴り飛ばした。 しっし、と手を振り、さも迷惑だと言わんばかり。
「俺は兄ィがいたから動けただけだ。 兄ィが助けてくれると思ってたから、クラリスの姉ちゃんを助けに行けたんだよ」
虚飾を剥いだ下には、深い自嘲。 自分自身をサブは鼻で笑った。
「情けねえだろ? ツッパってはいるけど、兄ィがいなきゃ足が震えて動けねえようなチキン野郎なんだぜ、俺って奴は。 あのスライムって外道以下だぜ」
情けない、とクラリスは思った。 自分を自分で貶めているサブは怒りを覚えるほど情けない。
「笑ってくれていいぜ、クラリスの姉ちゃんよ」
その横っ面にクラリスは思いっきり平手を叩き込んだ。
ぱしん、どころではなく、バチン!と派手な音を立てた平手はきっちり振り抜く。 辺境生まれの女の腕力は、気を抜いたガキ一人程度なら地面に転がせる。
「あのさ、サブ」
地面に倒れるサブを見下しながら、クラリスは言った。
「The Sun reached from the west sinks to the east」
「は?」
いきなりよくわからない言葉を発したクラリスを、ぽかんと口を開いて見上げるサブ。
「テラって知ってる?」
「バ、バカにすんなよ。 人類が生まれた場所の事だろ。 それがどうしたんだよ」
「今のはテラの言葉でね。 『それでいいんだ』って意味なんだって」
あ、とクラリスは思った。 あの言葉を教えてくれたのは、おじいちゃんだった。
「サブ、あんたは怖いの我慢して私を助けてくれたんでしょ?」
おじいちゃんは死んだ。 だけど、
「それでいいんだよ、サブは」
こうやって落ち込んだ誰かを助けてくれる言葉を、クラリスに残してくれた。 クラリスが死んでも、サブがいつかクラリスを思い出して、この言葉を使ってくれるかもしれない。
それはきっとおじいちゃんが生きた証拠で、クラリスが生きた証拠なのだろう。
ぽっかりと開いていたクラリスの胸に、何かがすとんと落ちた。
「……ありがとよ」
照れくさそうにそっぽを向いて、それでもサブの目には確かな光が蘇った。
感謝するのは自分の方だ、と思いながら、じめじめとした空気を吹き飛ばすようにクラリスは言ってやった。
「あ、でも、男が弱いのはちょっとね。 やっぱり女の子を守れる人じゃないと」
「ん、んだと!? 俺は弱くねえよ! あ、あれだ……実はさ、俺」
二人は同時にそこを見た。 夜より、なお暗き影がそこにいた。
スライム・ザ・リッパーを悪の陽とするのなら、この人の形をした影は悪の陰。
闇より深い黒装束。 ただ一つ外界に晒しているのは、稲妻のように鋭い目。 しかし、ただ荒れ狂う稲妻とは違い、凪の湖面のように静かな眼光。
その目がクラリスには何よりも恐ろしい。 影は何の感慨もなく、クラリスを殺すだろう。
クラリスは誰かに何かを残す事もなく、死ぬ。 人に殺されるなら、まだ救いがある。
だが、この影には何もない。
「……サブ」
冷たい殺気を受けて腰が抜けて立てぬクラリスの前に、サブが立った。
その足は無様に震え、しかし、それでもしっかりと立った。
「逃げろ、逃げて兄ィを連れて来てくれ」
「サブは!?」
「伊達に兄ィと旅してるわけじゃねえ、時間稼ぎくらいなら出来るさ」
だけど、とサブは言葉を切った。
「あれは……NINJAだ。 俺がどうこう出来る相手じゃねえよ」
NINJA。 最古の暗殺者と呼ばれる彼らは、一騎当千を体現する存在である。 惑星間を素早く駆け抜ける脚力、全てを見通す魔眼、摩訶不思議なNIN術。 その全ては敵対する全てを殺し尽くす。
「安心しろ、小僧」
その声を聞くだけで、クラリスの脳は死を覚悟した。 サブの背に隠れていなければ、それだけで死んでいたかもしれないほどの殺気。
「我は強者との死合のみを望む。 スライムを倒した者を連れてこい」
「はっ! そんな事を言ってもわかってるぜ。 てめえらNINJAは寄ってたかって一人をなぶり殺しにするんだろ」
NINJAはその力に驕る事なく、必ず複数のNINJAがターゲットを仕留めるのだ。 そこには僅かの情も存在しない。
そして、だからこそサブは気付いた。
「否」
当たり前の事を当たり前に言っているかのような、なんら気負いの無い声。
「我が最強は我のみで証明されねばならぬ」
しかし、その内容はクレイジー。 戦えば痛い。 訓練は辛い。 戦いは野生宇宙生物ですら、何かを得るためにする物だ。
それを戦うために戦うと言い切るこのNINJAは冷静にイカれているとしか言いようがない。
「くそっ……!」
そもそも仲間がいれば、こんな下らない問答などはない。 気付く間もなく、二人は殺されているだろう。
つまり、この影は一人。 その事実はサブに最悪の現実を教えてくれた。
「てめえ、抜けNINか……!」
「ああ」
SINOBIの技は門外不出。 もしも、NINJAが逃げ出せば必ず追っ手が差し向けられる。
単独行動をしているNINJAがいれば、それは下らぬ騙りか、一騎当千を返り討ちにし続ける一騎当万のみ。
この威圧感、間違いなく騙りではない。
「よくと考えれば強者を呼びに行くのは一人で充分だ。 片方は残り、我の玩具になれ」
そして、この気まぐれさは抜けNINでもなければ説明がつかない。 もし、こんな遊びが過ぎるNINJAがいれば、仲間から粛清されてしまうだろう。
「クラリス姉ちゃん、行け」
「む、無理……」
気付けばクラリスの下半身は生暖かい物に濡れていた。 尿である。
「早く!」
「無理ぃ!?」
モヒカンなどとは比べ物にならぬ圧力は、クラリスの身体から根こそぎ力を奪った。 死んだふりをして、猛獣から逃れようとするかのように。
「ふむ、飽きたな」
しかし、それは逆効果。 NINJAは一瞬にして言を翻した。
「どれ、少し遊んでやろう。 男、貴様が死んだら、女を殺すぞ」
「やるしかねえのか……!」
サブは、覚悟を決めた。
背後ではまだまだ騒ぐ村人達の声が聞こえる。
それもそのはず。 ディメンションモヒカンを倒したお陰で、村を脅かす存在が消えたのだ。 賞金首だった彼らの死体を星間カウボーイに引き渡すだけで、村が一年は遊んで暮らせるだけの金が手に入るだろう。
それだけの金を、あのスペーステンガロンハットの男がどうするかはクラリスにはわからない。 しかし、金に拘らず、下手をすれば村に全てを投げ出してしまいそうな雰囲気すらあった。
そんな事より、クラリスには考える事がある。
「どうして……皆、おじいちゃんが死んじゃったのに、楽しそうに出来るんだろう」
死ね、と言われた。 それは確かにクラリスの心へと、深く突き刺さる言葉になった。
しかし、それよりも村長として村を守らなければならない、という義務感だったからなのを、クラリスは知った。
最後に見た村長の顔は、優しかった頃のおじいちゃんの顔だったと、はっきり覚えている。 恨むには、思い出が有りすぎた。
そんな村長の死を忘れたように騒ぐ村人達との温度差を、クラリスははっきりと感じていた。
「もし私があの時、殺されてたら……」
少しの間だけは悲しんでくれるだろう。 しかし、こうやって、何もかも無かったように上書きされてしまうのだとしたら。
「寂しいなぁ……」
夜空には丸い丸いお月様。 クラリスは涙が零れないように、上を向いて歩いた。
今の今まで忘れていたような、村長との思い出が脳裏に流れる。
いつか自分もこうやって思い出にされる時が来るかと思えば、それもまた寂しい。
ぽっかりと胸に穴でも空いたような気分は、このままどこかに行ってしまおうか。 そんなやけっぱちの思考に流れる。
あの地平線の向こうには、何があるんだろう。 幼かったクラリスは考えた。
そして、何もない事を今のクラリスは知っている。
これから先のクラリスは、この赤い荒野に何を想うのだろうか。
「どうなんだろうね?」
「……何がだよ」
ただの自問に、ふてくされた子供のような声が返ってきた。
そちらを見てみれば、リーゼント。 まるで塩をかけたロンリーほうれん草のように、しおれたリーゼントが地面に足を放り出して座っていた。
「……どうかしたの、サブ……さん?」
「ア? 別にどうもしてねえよ。 つーか、さんはいらねえ。 ……ただのサブでいい」
恐る恐る声をかけてみれば、乱暴な言葉だが思っていたよりも優しげな声音が返ってくる。
「うん、じゃあサブって呼ぶね。 サブはこんな所でどうしたの?」
「……うるせえな、姉ちゃんには関係ないだろ」
まさに拗ねた子供だった。 少しムッとしたクラリスは、子供に言い聞かせるように言ってやる事にした。
「クラリス」
「あ?」
「ク・ラ・リ・ス。 姉ちゃんじゃなくて、クラリス」
「…………別に姉ちゃんでもいいだろ」
「ク! ラ! リ! ス!」
サブに詰め寄ると、一文字一文字をはっきりと理解出来るように、耳の穴に叩き込んでやった。
「わ、わかったよ、クラリスの姉ちゃんだな!」
「よろしい」
少し満足したクラリスは、サブの横に腰を下ろす。 サブは少し嫌そうな顔をしたが、気付かなかったふりをした。
しおれたサブとクラリスの温度差は遠くはない。
「あのさあ、サブ」
「んだよ」
「助けてくれて、ありがとうね」
モヒカンに襲われた時、村長に死ねと罵られて泣きそうだった時、スライム・ザ・リッパーが起こした爆発に巻き込まれた時。
たった一日で三度も助けられた。 命の恩人だ。
その想いを伝えるにはどうしたらいいかを考えた。 しかし、結局はシンプルな一言になってしまったが、その言葉にはしっかりと想いを乗せた。
「よしてくれ。 俺はクラリスの姉ちゃんに礼を言われるような事は、何一つしてねえよ」
しかし、クラリスの言葉をサブは蹴り飛ばした。 しっし、と手を振り、さも迷惑だと言わんばかり。
「俺は兄ィがいたから動けただけだ。 兄ィが助けてくれると思ってたから、クラリスの姉ちゃんを助けに行けたんだよ」
虚飾を剥いだ下には、深い自嘲。 自分自身をサブは鼻で笑った。
「情けねえだろ? ツッパってはいるけど、兄ィがいなきゃ足が震えて動けねえようなチキン野郎なんだぜ、俺って奴は。 あのスライムって外道以下だぜ」
情けない、とクラリスは思った。 自分を自分で貶めているサブは怒りを覚えるほど情けない。
「笑ってくれていいぜ、クラリスの姉ちゃんよ」
その横っ面にクラリスは思いっきり平手を叩き込んだ。
ぱしん、どころではなく、バチン!と派手な音を立てた平手はきっちり振り抜く。 辺境生まれの女の腕力は、気を抜いたガキ一人程度なら地面に転がせる。
「あのさ、サブ」
地面に倒れるサブを見下しながら、クラリスは言った。
「The Sun reached from the west sinks to the east」
「は?」
いきなりよくわからない言葉を発したクラリスを、ぽかんと口を開いて見上げるサブ。
「テラって知ってる?」
「バ、バカにすんなよ。 人類が生まれた場所の事だろ。 それがどうしたんだよ」
「今のはテラの言葉でね。 『それでいいんだ』って意味なんだって」
あ、とクラリスは思った。 あの言葉を教えてくれたのは、おじいちゃんだった。
「サブ、あんたは怖いの我慢して私を助けてくれたんでしょ?」
おじいちゃんは死んだ。 だけど、
「それでいいんだよ、サブは」
こうやって落ち込んだ誰かを助けてくれる言葉を、クラリスに残してくれた。 クラリスが死んでも、サブがいつかクラリスを思い出して、この言葉を使ってくれるかもしれない。
それはきっとおじいちゃんが生きた証拠で、クラリスが生きた証拠なのだろう。
ぽっかりと開いていたクラリスの胸に、何かがすとんと落ちた。
「……ありがとよ」
照れくさそうにそっぽを向いて、それでもサブの目には確かな光が蘇った。
感謝するのは自分の方だ、と思いながら、じめじめとした空気を吹き飛ばすようにクラリスは言ってやった。
「あ、でも、男が弱いのはちょっとね。 やっぱり女の子を守れる人じゃないと」
「ん、んだと!? 俺は弱くねえよ! あ、あれだ……実はさ、俺」
二人は同時にそこを見た。 夜より、なお暗き影がそこにいた。
スライム・ザ・リッパーを悪の陽とするのなら、この人の形をした影は悪の陰。
闇より深い黒装束。 ただ一つ外界に晒しているのは、稲妻のように鋭い目。 しかし、ただ荒れ狂う稲妻とは違い、凪の湖面のように静かな眼光。
その目がクラリスには何よりも恐ろしい。 影は何の感慨もなく、クラリスを殺すだろう。
クラリスは誰かに何かを残す事もなく、死ぬ。 人に殺されるなら、まだ救いがある。
だが、この影には何もない。
「……サブ」
冷たい殺気を受けて腰が抜けて立てぬクラリスの前に、サブが立った。
その足は無様に震え、しかし、それでもしっかりと立った。
「逃げろ、逃げて兄ィを連れて来てくれ」
「サブは!?」
「伊達に兄ィと旅してるわけじゃねえ、時間稼ぎくらいなら出来るさ」
だけど、とサブは言葉を切った。
「あれは……NINJAだ。 俺がどうこう出来る相手じゃねえよ」
NINJA。 最古の暗殺者と呼ばれる彼らは、一騎当千を体現する存在である。 惑星間を素早く駆け抜ける脚力、全てを見通す魔眼、摩訶不思議なNIN術。 その全ては敵対する全てを殺し尽くす。
「安心しろ、小僧」
その声を聞くだけで、クラリスの脳は死を覚悟した。 サブの背に隠れていなければ、それだけで死んでいたかもしれないほどの殺気。
「我は強者との死合のみを望む。 スライムを倒した者を連れてこい」
「はっ! そんな事を言ってもわかってるぜ。 てめえらNINJAは寄ってたかって一人をなぶり殺しにするんだろ」
NINJAはその力に驕る事なく、必ず複数のNINJAがターゲットを仕留めるのだ。 そこには僅かの情も存在しない。
そして、だからこそサブは気付いた。
「否」
当たり前の事を当たり前に言っているかのような、なんら気負いの無い声。
「我が最強は我のみで証明されねばならぬ」
しかし、その内容はクレイジー。 戦えば痛い。 訓練は辛い。 戦いは野生宇宙生物ですら、何かを得るためにする物だ。
それを戦うために戦うと言い切るこのNINJAは冷静にイカれているとしか言いようがない。
「くそっ……!」
そもそも仲間がいれば、こんな下らない問答などはない。 気付く間もなく、二人は殺されているだろう。
つまり、この影は一人。 その事実はサブに最悪の現実を教えてくれた。
「てめえ、抜けNINか……!」
「ああ」
SINOBIの技は門外不出。 もしも、NINJAが逃げ出せば必ず追っ手が差し向けられる。
単独行動をしているNINJAがいれば、それは下らぬ騙りか、一騎当千を返り討ちにし続ける一騎当万のみ。
この威圧感、間違いなく騙りではない。
「よくと考えれば強者を呼びに行くのは一人で充分だ。 片方は残り、我の玩具になれ」
そして、この気まぐれさは抜けNINでもなければ説明がつかない。 もし、こんな遊びが過ぎるNINJAがいれば、仲間から粛清されてしまうだろう。
「クラリス姉ちゃん、行け」
「む、無理……」
気付けばクラリスの下半身は生暖かい物に濡れていた。 尿である。
「早く!」
「無理ぃ!?」
モヒカンなどとは比べ物にならぬ圧力は、クラリスの身体から根こそぎ力を奪った。 死んだふりをして、猛獣から逃れようとするかのように。
「ふむ、飽きたな」
しかし、それは逆効果。 NINJAは一瞬にして言を翻した。
「どれ、少し遊んでやろう。 男、貴様が死んだら、女を殺すぞ」
「やるしかねえのか……!」
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