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第1章 若きテロリストの脱走
第2話
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大学生。その甘美な言葉から、君は何を想像するだろうか。
キャンパスを友人や恋人と歩き、サークルに打ち込み、合コンに明け暮れる。同じゼミの学生と研究について、朝まで語り明かす。
きっと多くの中高生は、そんな華の大学生活を想像するだろう。
幻想を抱く後輩達に、旭は言いたい。
現実は全く違うのだと。
現在、旭は三限目、微積分の講義を受けていた。教壇では初老の男性教授が、白板に例題とその解法を書いている。最前列に座っている旭はノートを取る手を一旦止め、教室を見渡す。教室は学生が五十人ほど入るのだが、今は空席が目立つ。この講義は旭達一年生には必須科目であり、本来ならば学生は教室を埋めるほど。つまりサボっている学生がいるのだ。出席している学生からも、私語や寝息が聞こえてくる。昨今、日本の大学生の質が低下していると言われているが、どうやら本当だったらしい。
一体、何のために大学に来ているんだ。
旭が通っている大学には、飛び級制度というものがある。成績優秀な高校二年生が三年生に進級せず、大学に入学するというものだ。一刻も早く多くを学びたいと、旭はこの制度を利用した。そんな旭からすれば、学生達の不真面目な態度にイラつきを覚える。
しばらくしてチャイムが鳴る。男性教授はレポートを提出するようにと言い残し、教室を出ていった。旭も教科書と筆記用具をカバンにしまい、教室を後にする。
廊下は学生で大混雑しており、旭は人の波に乗り講義棟の外に出た。
今日の講義はもうないので、旭はアルバイト先に直行。
駅に向かう途中、お年寄りに道を尋ねられ説明に時間を要してしまい、急ぎ足で駅に着くと発車時間五分前。慌てて改札を抜け乗車。このローカル線は一時間に一本であり、乗り遅れると大変だ。旭は席に腰を下ろし、一息吐く。間も無く扉が閉まり、電車は発進。電車はカタンカタンと音を立てゆっくりと進んでいく。
目的地までの時間を潰そうと旭はスマートフォンを取り出し、最新のネットニュースを開く。内容は北欧で起きた、小学校を占拠したテロ事件。犯人は二十代の青年一人。テロの動機は税金が高すぎること。彼は政府に対し税金の引き下げを求め、応じなかった場合は子供達を殺すと脅迫。ガーディアンが当初交渉役を務めていたが、痺れを切らしたテロリストが生徒を屋上に連れて行き、見せしめに銃で頭を撃ち抜いた。これ以上の交渉は無意味だと判断し、パニッシャーが学校に突入。テロリストを射殺し、人質を救出した。この事件の被害者は教員が三名、生徒が四名である。
旭にはテロリストの身勝手な要求が理解できず、また関係ない子供を殺すことも理解できなかった。だが、このテロリストの中では辻褄が合っていたのだろう。自分の目的を達成するためなら、殺人を犯しても良いと。
このニュースを読み終えた時、ちょうど目的の駅に着いた。電車から降り、駅から十五分程歩いたところで、年季の入った雑居ビルに到着。ビルの階段を登り、三階で足を止める。扉には鳳エンジニア社という張り札。ここが旭のアルバイト先だ。
旭はお疲れ様ですと大きな声で挨拶し、扉を開けタイムカードを押す。部屋は二十坪ほどの大きさ。入り口近くに客用のテーブルとソファがあり、その奥に仕事用のパソコンが置かれた机がある。一番奥には豪華な机があり、社長という名札が置いてあった。
その社長の椅子に、若い女性が座っている。
女性は読んでいた書類から顔を上げ、旭に向かって手を上げる。
キャンパスを友人や恋人と歩き、サークルに打ち込み、合コンに明け暮れる。同じゼミの学生と研究について、朝まで語り明かす。
きっと多くの中高生は、そんな華の大学生活を想像するだろう。
幻想を抱く後輩達に、旭は言いたい。
現実は全く違うのだと。
現在、旭は三限目、微積分の講義を受けていた。教壇では初老の男性教授が、白板に例題とその解法を書いている。最前列に座っている旭はノートを取る手を一旦止め、教室を見渡す。教室は学生が五十人ほど入るのだが、今は空席が目立つ。この講義は旭達一年生には必須科目であり、本来ならば学生は教室を埋めるほど。つまりサボっている学生がいるのだ。出席している学生からも、私語や寝息が聞こえてくる。昨今、日本の大学生の質が低下していると言われているが、どうやら本当だったらしい。
一体、何のために大学に来ているんだ。
旭が通っている大学には、飛び級制度というものがある。成績優秀な高校二年生が三年生に進級せず、大学に入学するというものだ。一刻も早く多くを学びたいと、旭はこの制度を利用した。そんな旭からすれば、学生達の不真面目な態度にイラつきを覚える。
しばらくしてチャイムが鳴る。男性教授はレポートを提出するようにと言い残し、教室を出ていった。旭も教科書と筆記用具をカバンにしまい、教室を後にする。
廊下は学生で大混雑しており、旭は人の波に乗り講義棟の外に出た。
今日の講義はもうないので、旭はアルバイト先に直行。
駅に向かう途中、お年寄りに道を尋ねられ説明に時間を要してしまい、急ぎ足で駅に着くと発車時間五分前。慌てて改札を抜け乗車。このローカル線は一時間に一本であり、乗り遅れると大変だ。旭は席に腰を下ろし、一息吐く。間も無く扉が閉まり、電車は発進。電車はカタンカタンと音を立てゆっくりと進んでいく。
目的地までの時間を潰そうと旭はスマートフォンを取り出し、最新のネットニュースを開く。内容は北欧で起きた、小学校を占拠したテロ事件。犯人は二十代の青年一人。テロの動機は税金が高すぎること。彼は政府に対し税金の引き下げを求め、応じなかった場合は子供達を殺すと脅迫。ガーディアンが当初交渉役を務めていたが、痺れを切らしたテロリストが生徒を屋上に連れて行き、見せしめに銃で頭を撃ち抜いた。これ以上の交渉は無意味だと判断し、パニッシャーが学校に突入。テロリストを射殺し、人質を救出した。この事件の被害者は教員が三名、生徒が四名である。
旭にはテロリストの身勝手な要求が理解できず、また関係ない子供を殺すことも理解できなかった。だが、このテロリストの中では辻褄が合っていたのだろう。自分の目的を達成するためなら、殺人を犯しても良いと。
このニュースを読み終えた時、ちょうど目的の駅に着いた。電車から降り、駅から十五分程歩いたところで、年季の入った雑居ビルに到着。ビルの階段を登り、三階で足を止める。扉には鳳エンジニア社という張り札。ここが旭のアルバイト先だ。
旭はお疲れ様ですと大きな声で挨拶し、扉を開けタイムカードを押す。部屋は二十坪ほどの大きさ。入り口近くに客用のテーブルとソファがあり、その奥に仕事用のパソコンが置かれた机がある。一番奥には豪華な机があり、社長という名札が置いてあった。
その社長の椅子に、若い女性が座っている。
女性は読んでいた書類から顔を上げ、旭に向かって手を上げる。
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