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第32話 極

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「……って、なんで二人が結婚してるんですか!?」

アリシアが目を丸くする。

「えっ?だって夫婦だし」
「違いますよね?確か、恋人同士でしたよね?」
「うん。でも、結婚した」
「いつの間にですか?」
「ついさっき」
「急すぎませんかね?」
「いや、なんか成り行きで?」

ソウマはイリアスを見た。
彼女は顔を真っ赤にして俯いている。かわいいな。

「私は認めていませんからね?」
「別にお前の許可はいらないし」
「むぅ」

アリシアは、不機嫌そうな顔になった。

「牧師様連れて来たぞ」

ミコトが牧師を連れて来た。
ここは教会だ。

結婚式を挙げることにしたのだ。

「では、誓いの言葉を」

神父が言う。

「健やかなるときも病める時も……」
「ちょっと待ったぁー!!」

アリシアが叫ぶ。

「どうしました?」
「その言葉はおかしいです。だって、私達は永遠の愛を誓ったんですよ?」
「しかし、この世界では、これが普通ですから」
「そんなバカなことがあってたまるかぁ!」
「落ち着けよ。いいじゃん。結婚出来たんだから」
「そういう問題じゃないんです!」
「じゃあ、どういう問題だよ?」
「それは、つまり、もっとこうムードとかあるじゃないですか? なんかもうちょっとロマンチックな感じで。」

二人だけの思い出に残るような。
そうですね。例えば、夜景が見えるレストランとか? そこで指輪の交換をして、お互いの愛を確かめ合うっていうか?

「アリシア、何一人で興奮してる?」

ソウマが冷静に突っ込んだ。
「うわあああん!!ソウマさんのバカー!!」

泣きながら走り去るアリシア。

「おいっ!どこに行くんだよ?」
「知りませんよ!ばか!アホ!間抜け!ハゲろ!ロリコン野郎!死んじゃえば良いのに」

罵倒される。

「まあまあ、いいじゃないか。みんな祝福してくれているみたいだし」

周りを見ると、参列者が拍手をしていた。
中には涙を流している人もいる。
僕は、嬉しかった。

「これからよろしくお願いします」

イリアスが頭を下げた。

「こちらこそ、末永く宜しく」

僕も挨拶をする。
こうして、僕たちは結ばれたのであった。
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