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第134話 潜入

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実は、あのクリームパイに痺れ薬が混ぜられていた。
だが、混ぜられていたのは中央部分。
周りは大丈夫だった。

二人は毒を嗅ぎ分けるスキルを持っていた。

だから、周りだけ食べて、痺れたふりをしただけ。

つまり、演技。

「それでは、私はこれで」
「お疲れさま」

そう言うと、あばた面の少年と母親は去っていった。

「さて、お前さん達は、牢に入ってもらう」

老人はバルクとルミナスを見る。

バルクとルミナスは大人しく牢に入れられた。



「寝たようだ」

老人がウトウトしているのを、鉄格子ごしにバルクは確認した。

「まぬけな爺さんですね」

ルミナスがヒソヒソ言う。

「ああ、だが、俺達にとっては好都合。だが、密かに感じる魔力は強いな」

老人がどんなやつか分からない。
だが、居眠りとは……

「とりあえず、城に侵入できたのは予定通り」

バルクはニヤリと笑う。

そう。

まずは、ガーレット王国の城に入りたかった。

街で調査していても得られる情報はわずか。

ガーレット王国に潜入して図書館や王の部屋に忍び込み、機密情報を盗みたい。

そこにはきっと魔王に関する情報もあるから。
だが、城門は固く閉ざされている。
変装しても入れる訳も無い。
ましてやガーレットとは仲たがい状態。

ならば、敵の力を借りる。

敵の手に落ちたふりをして内部に潜入するのだ。
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