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第15話 自己スキル他発動
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こうしてタルボとムネタカは無事、エピドナの街に潜入することが出来た。
「あうあう」
「なんだ? ムネタカ。どうして身分証明書を持ってたのかって?」
「あう」
「そりゃ、お前、前の雇い主のユメルが作ってくれたんだよ。俺たち盗賊は盗みに入る前に変装して 密偵として現場を調査するんだが、その時、身分を問われることがある。その時に、この身分証を見せる様にしてたんだ」
ユメル侯爵の実印付きの身分証明は、偽造されているものとはいえ信頼度が非常に高かった。
お陰で街にいともたやすく潜入できたわけだ。
だが、ユメルとの関係が切れた今、その身分証明書の効力がいつ無くなってもおかしくはないのだが……
「ま、利用できるものはとことんさせてもらうさ。……って、ところで、ムネタカ、何でお前と俺は会話で来てるんだ? お前、バブバブしか言わないのに? 何でお前の言ってることが俺、分かっちゃうの?」
タルボは不思議そうに首を傾げる。
「ま、いいか。親子なら目を見ただけで、伝わるって言うし。……ってか、親子じゃないけど。ここでは親子みたいなもんか」
タルボはあまり細かいことを気にしない性格だった。
(言語翻訳スキルを応用させることが出来たみたいだ。僕は赤ん坊だから言語機能が発達していない。つまり、言葉は喋れない。だが、心の中で何かを想う時や、脳みそで物を考える時、言葉使っている)
そして……
(タルボ達の言語を僕は耳に入れた瞬間、日本語に翻訳して理解している。それの逆をやれば通じる。要は、「あうあう」という言葉をタルボの耳に入れた瞬間、僕の言語翻訳スキルを彼に対して発動させて、彼に僕の言いたいことを彼の理解出来る言語に翻訳して伝えることが出来たんだ)
そして、副次的にあるスキルも身に付いていたことにムネタカは気付く。
(自分のスキルを相手にも一瞬とはいえ発動出来るなんて……何かに応用できそうだ)
自己スキル他発動……とでも名付けるべきか?
しかし、ムネタカは自身のスキルに戸惑うこと無く、むしろそれを新しい発見として歓迎していた。
「じゃ、まずはあの兵士達が言ってた冒険者ギルドに行って見るか」
「あう」
◆
エピドナの街には、沢山の大小様々な露店、商店、食堂、武器屋、道具屋、宿屋……など、街としての機能をしっかり保っていた。
中規模ながらも、品ぞろえは良い。
見たところ、観光にも適しているらしく、石像が並ぶ公園や、キラキラと輝く石で作られた塔、観客の目を惹きつけるサーカス、そして、血沸き肉躍る金を掛けることが出来る闘技場など。
「まったく……」
歩いていると、妖しい光を放つ店が続く。
パブや酒場が並ぶ通り。
ギルドはその奥にある。
「いい酒の匂いと女の匂いだぜ……」
つい、密偵の仕事をほったらかして、タルボは酒場で美女を物色したくなる。
「お兄さん、いい男ね」
胸元はだけた赤いドレスの女が声を掛けて来た。
「一緒にお酒どう? 安くしとくわ」
「おお! いいぜ!」
つい、職務を忘れてしまう。
「あーあー」
「分かってるよ。ギルドだろ!」
タルボはムネタカに叱られた。
ドレスの女を惜しいと思いながらギルドに向かうタルボだった。
「あうあう」
「なんだ? ムネタカ。どうして身分証明書を持ってたのかって?」
「あう」
「そりゃ、お前、前の雇い主のユメルが作ってくれたんだよ。俺たち盗賊は盗みに入る前に変装して 密偵として現場を調査するんだが、その時、身分を問われることがある。その時に、この身分証を見せる様にしてたんだ」
ユメル侯爵の実印付きの身分証明は、偽造されているものとはいえ信頼度が非常に高かった。
お陰で街にいともたやすく潜入できたわけだ。
だが、ユメルとの関係が切れた今、その身分証明書の効力がいつ無くなってもおかしくはないのだが……
「ま、利用できるものはとことんさせてもらうさ。……って、ところで、ムネタカ、何でお前と俺は会話で来てるんだ? お前、バブバブしか言わないのに? 何でお前の言ってることが俺、分かっちゃうの?」
タルボは不思議そうに首を傾げる。
「ま、いいか。親子なら目を見ただけで、伝わるって言うし。……ってか、親子じゃないけど。ここでは親子みたいなもんか」
タルボはあまり細かいことを気にしない性格だった。
(言語翻訳スキルを応用させることが出来たみたいだ。僕は赤ん坊だから言語機能が発達していない。つまり、言葉は喋れない。だが、心の中で何かを想う時や、脳みそで物を考える時、言葉使っている)
そして……
(タルボ達の言語を僕は耳に入れた瞬間、日本語に翻訳して理解している。それの逆をやれば通じる。要は、「あうあう」という言葉をタルボの耳に入れた瞬間、僕の言語翻訳スキルを彼に対して発動させて、彼に僕の言いたいことを彼の理解出来る言語に翻訳して伝えることが出来たんだ)
そして、副次的にあるスキルも身に付いていたことにムネタカは気付く。
(自分のスキルを相手にも一瞬とはいえ発動出来るなんて……何かに応用できそうだ)
自己スキル他発動……とでも名付けるべきか?
しかし、ムネタカは自身のスキルに戸惑うこと無く、むしろそれを新しい発見として歓迎していた。
「じゃ、まずはあの兵士達が言ってた冒険者ギルドに行って見るか」
「あう」
◆
エピドナの街には、沢山の大小様々な露店、商店、食堂、武器屋、道具屋、宿屋……など、街としての機能をしっかり保っていた。
中規模ながらも、品ぞろえは良い。
見たところ、観光にも適しているらしく、石像が並ぶ公園や、キラキラと輝く石で作られた塔、観客の目を惹きつけるサーカス、そして、血沸き肉躍る金を掛けることが出来る闘技場など。
「まったく……」
歩いていると、妖しい光を放つ店が続く。
パブや酒場が並ぶ通り。
ギルドはその奥にある。
「いい酒の匂いと女の匂いだぜ……」
つい、密偵の仕事をほったらかして、タルボは酒場で美女を物色したくなる。
「お兄さん、いい男ね」
胸元はだけた赤いドレスの女が声を掛けて来た。
「一緒にお酒どう? 安くしとくわ」
「おお! いいぜ!」
つい、職務を忘れてしまう。
「あーあー」
「分かってるよ。ギルドだろ!」
タルボはムネタカに叱られた。
ドレスの女を惜しいと思いながらギルドに向かうタルボだった。
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