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第67話 猫耳少女が仲間になった
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金貨1000枚を集めることに成功したクルスは、道具屋を後にした。
港に戻ると、タカと鎖の手錠をはめられたエスティアだけがいた。
「ゲロルグは?」
「ああ、あそこにいるよ」
タカが指差した先には、5階建ての建物があった。
黒く塗られた木の壁、宝飾を施した出窓など、豪華さと落ち着いた感じを醸し出している。
港に面したその建物は、海に沈む夕日に照らされ、美しいたたずまいだった。
ホーロー製の四角い看板には『INN エクセレント』と書かれている。
大きな両開きの扉からは、いかにも金持ちそうな男女が出入りしている。
「何階だ?」
「ああ、最上階で夫婦そろって楽しくやってるよ」
クルスは宿屋の両開きの扉を荒々しく、叩き開けた。
「お客様……」
黒いブラウスに白いエプロンを着用した女が、クルスに声を掛ける。
恐らく、ホテルの使用人だろう。
「ああ、ここの客に用があるんです」
「あの、お名前は?」
クルスは袋から銀貨を1枚取り出して、使用人の手に乗せた。
使用人は黙った。
クルスには遊んでいる時間は無かった。
ターン!
勢い良く引き戸を開けると、そこにはゲロルグ夫妻がいた。
腹立たしいことに、クルスが金をかき集めている間、ゲロルグ夫妻は高級宿屋の一室でマッサージを受けていた。
「持って来たぞ! 金!」
クルスが怒鳴ると、マッサージ師の男が近づいて来て、こう言った。
「あの……お客様、一体、何を……」
クルスがその男に銀貨を渡そうとすると、ゲロルグが伏せていた顔を上げた。
「下がっていいぞ」
「はい……」
マッサージ師の男二人は、銀貨を手にして去って行った。
「持って来たか?」
ゲロルグは上半身裸で腰にタオルだけを巻いている。
マッサージ台の上にあぐらをかき、醜く出っ張った毛むくじゃらの腹を指でかき始めた。
気持ち良いマッサージを中断させられて不機嫌そうだ。
横のマッサージ台では、妻のアビスは気持ちよさそうに寝ている。
「よし」
ゲロルグは、クルスが手渡した袋を広げ、金貨を数え始めた。
袋に手を突っ込み、1枚ずつ取り出す。
手にした金貨の裏表を素早く見て、偽物でないか確認している。
確認した金貨は側にある机に重ねて行った。
あっという間に机の上に金貨の塔が出来る。
さすが、商人だった。
確認作業が早い。
全ての作業を終えた時、ゲロルグはこう言った。
「じゃ、エスティアをお前にやろう」
~~~
手錠を外されたエスティアは、突然の出来事に目を丸くしていた。
そして、何度か瞬きをした後、自分のほっぺをつねった。
「痛いにゃっ!」
目の端から涙を流し、痛がっている。
その涙は嬉し涙の様でもあった。
「良かったな。エスティア」
目の前にゲロルグがいるから、タカは小さい声でエスティアにそう言った。
そのやり取りを見て、クルスはタカのことをちょっといい奴だと思った。
「じゃ、もう連れて行け。獣人など商売でなければ見たくも無い」
ゲロルグは不貞腐れた様な顔で、クルスとエスティアに向かってそう言った。
今更ながら、エスティアのことが惜しくて仕方がないのだろうか。
逃がした魚は大きいとも言う。
自分の手から離れたものは、途端に惜しいものに見えるのかもしれない。
ゲロルグはそんな気分なのだろうか。
「行こう。エスティア」
「にゃあっ!」
エスティアは元気な鳴き声を上げた。
「あれ?」
エスティアの前髪に隠れた小さなおでこが光っている。
クルスはエスティアの前髪に手を当てた。
「にゃあああ……?」
撫でられたと勘違いしたエスティアは気持ちよさそうな声を上げている。
クルスは、サラサラの前髪をかき上げた。
そこには、小さな★マークが浮かび上がっていた。
つづく
港に戻ると、タカと鎖の手錠をはめられたエスティアだけがいた。
「ゲロルグは?」
「ああ、あそこにいるよ」
タカが指差した先には、5階建ての建物があった。
黒く塗られた木の壁、宝飾を施した出窓など、豪華さと落ち着いた感じを醸し出している。
港に面したその建物は、海に沈む夕日に照らされ、美しいたたずまいだった。
ホーロー製の四角い看板には『INN エクセレント』と書かれている。
大きな両開きの扉からは、いかにも金持ちそうな男女が出入りしている。
「何階だ?」
「ああ、最上階で夫婦そろって楽しくやってるよ」
クルスは宿屋の両開きの扉を荒々しく、叩き開けた。
「お客様……」
黒いブラウスに白いエプロンを着用した女が、クルスに声を掛ける。
恐らく、ホテルの使用人だろう。
「ああ、ここの客に用があるんです」
「あの、お名前は?」
クルスは袋から銀貨を1枚取り出して、使用人の手に乗せた。
使用人は黙った。
クルスには遊んでいる時間は無かった。
ターン!
勢い良く引き戸を開けると、そこにはゲロルグ夫妻がいた。
腹立たしいことに、クルスが金をかき集めている間、ゲロルグ夫妻は高級宿屋の一室でマッサージを受けていた。
「持って来たぞ! 金!」
クルスが怒鳴ると、マッサージ師の男が近づいて来て、こう言った。
「あの……お客様、一体、何を……」
クルスがその男に銀貨を渡そうとすると、ゲロルグが伏せていた顔を上げた。
「下がっていいぞ」
「はい……」
マッサージ師の男二人は、銀貨を手にして去って行った。
「持って来たか?」
ゲロルグは上半身裸で腰にタオルだけを巻いている。
マッサージ台の上にあぐらをかき、醜く出っ張った毛むくじゃらの腹を指でかき始めた。
気持ち良いマッサージを中断させられて不機嫌そうだ。
横のマッサージ台では、妻のアビスは気持ちよさそうに寝ている。
「よし」
ゲロルグは、クルスが手渡した袋を広げ、金貨を数え始めた。
袋に手を突っ込み、1枚ずつ取り出す。
手にした金貨の裏表を素早く見て、偽物でないか確認している。
確認した金貨は側にある机に重ねて行った。
あっという間に机の上に金貨の塔が出来る。
さすが、商人だった。
確認作業が早い。
全ての作業を終えた時、ゲロルグはこう言った。
「じゃ、エスティアをお前にやろう」
~~~
手錠を外されたエスティアは、突然の出来事に目を丸くしていた。
そして、何度か瞬きをした後、自分のほっぺをつねった。
「痛いにゃっ!」
目の端から涙を流し、痛がっている。
その涙は嬉し涙の様でもあった。
「良かったな。エスティア」
目の前にゲロルグがいるから、タカは小さい声でエスティアにそう言った。
そのやり取りを見て、クルスはタカのことをちょっといい奴だと思った。
「じゃ、もう連れて行け。獣人など商売でなければ見たくも無い」
ゲロルグは不貞腐れた様な顔で、クルスとエスティアに向かってそう言った。
今更ながら、エスティアのことが惜しくて仕方がないのだろうか。
逃がした魚は大きいとも言う。
自分の手から離れたものは、途端に惜しいものに見えるのかもしれない。
ゲロルグはそんな気分なのだろうか。
「行こう。エスティア」
「にゃあっ!」
エスティアは元気な鳴き声を上げた。
「あれ?」
エスティアの前髪に隠れた小さなおでこが光っている。
クルスはエスティアの前髪に手を当てた。
「にゃあああ……?」
撫でられたと勘違いしたエスティアは気持ちよさそうな声を上げている。
クルスは、サラサラの前髪をかき上げた。
そこには、小さな★マークが浮かび上がっていた。
つづく
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