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第26話 転移装置でエルフの故郷へ転移! 失敗すると空間のひずみに挟まるぞ!
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森を抜けると、一軒の武器工房があった。
ネスコがその扉をノックする。
「姫はブスか?」
扉の向こうから、掠れた低い声が問い掛ける。
「ブスだ」
ネスコが答える。
扉が開いた。
合言葉が成立したらしい。
「ネスコ。久しぶりだな」
中から白髭のドワーフが出て来た。
「ユメル。例の物は?」
「出来てる」
ユメルと呼ばれたドワーフが奥の部屋から鞘を持って来る。
黒い漆塗りで、天に竜が昇る様子が彫られ、そこに金が流し込まれている。
その鞘を手にしたネスコが、こう言う。
「流石、レベル90の鍛冶屋の腕前だ」
「いやいや、まだまだテルミンのオヤジには勝てないよ」
白髭を撫でながらユメルが謙遜する。
「ユウタ。このユメルはテルミンの弟子だ」
テルミンはトラ猫協同組合のメンバーで、レベル91の鍛冶屋だ。
ネスコはテルミンが火竜の牙で作った火竜の剣を、布袋から取り出した。
そして、ユメルの作った鞘に、チンと収める。
「わぉ! かっこいい」
フィナが鞘に触れようとする。
「火傷するぞ!」
「ひゃっ!」
フィナが両肩をビクつかせ、飛びのく。
床に尻餅をついた拍子に、ワンピースの裾がまくれ上がる。
僕は目のやり場に困る。
「ははは!」
「このー!」
フィナが肉球と戯れている。
「ところで、その男の子が救世主か」
「ああ。そうだよ。ユメル」
「姫には会わせたのか?」
「まだだ。伝えてはいるが」
姫?
合言葉にも出て来ていたな。
「姫って?」
「この世界の人間を統べる者だ」
「はぁ……」
凄すぎて、いまいちピンと来なかった。
「姫を見たことがある者は、ほとんどいない。亜人間の何人かと5大ギルドのギルドマスター、そして側近の者くらいだ。一目見ただけでそのオーラにひれ伏す」
「ブスなんですか?」
僕の質問に、ネスコとユメルが顔を見合わせ、笑い出した。
だって僕は姫のことを何も知らない。
質問しようにも、これ位のレベルのものしか思い付かない。
「ブスかどうかは主観によるが、我々、亜人間から見ると、姫はブスだ」
ネスコは姫の似顔絵を羊皮紙に鉛筆で描いた。
絵が上手い。
目が大きく、鼻が高く、口は桜の花びらを二枚重ねた様に小さい。
逆三角形の小さい顔を、ツヤツヤの黒髪が囲む。
人間から見たら美人だ。
◇
地下への階段を降りると、そこは大きな石造りのフロアだった。
奥に扉がある。
「ユウタ。転移扉は初めてか」
「うん。聞いたことはあるよ」
この世界において、移動する方法は三つある。
自ら時間を掛けて移動する。(徒歩、走る、船、飛行する生物に乗る、など)
転移扉を使う。
転移玉を使う。
転移扉とは、この世界にいくつか存在する。
神が用意したものと、魔法使いが素材を集めて作り出したものの二種類がある。
転移扉を抜ければ、ある地点からある地点へと、瞬間的に移動出来る。
転移魔法が開発されていないこの世界において、とても便利なものだ。
その一つが僕の目の前にある。
「武器工房はこの転移扉を、カムフラージュするためのものだ。この扉から、我ら亜人間がいる辺境へ向かう」
人間の住む場所と亜人間が済む場所を、行き来するために作った扉らしい。
「フィナの故郷だよ」
フィナが嬉しそうに扉を指差す。
一瞬、フィナの辺境での暮らし振りが脳裏をよぎる。
「何故? 辺境へ?」
「まだ、人間に踏み荒らされていない『狩り場』がある。ユウタ。お前はそこでレベルアップしてもらう」
僕は足がすくんだ。
転移扉が完璧でなければ、その身体は空間のひずみに挟まったまま死ぬことも出来ず、終わりのない虚無に晒されるということを聞いたことがある。
「大丈夫だ。我々、亜人間の作った転移扉に『バグ』は無い」
「ユウタ」
フィナが僕の手を握った。
彼女の柔らかい手の平は温かく、僕の心を安心させた。
そして、耳元でこう囁く。
「バグっても一緒だよ」
僕は扉に向かって歩き出した。
その時、
<ユウタ……>
脳内にリンネの言葉が響いた。
つづく
ネスコがその扉をノックする。
「姫はブスか?」
扉の向こうから、掠れた低い声が問い掛ける。
「ブスだ」
ネスコが答える。
扉が開いた。
合言葉が成立したらしい。
「ネスコ。久しぶりだな」
中から白髭のドワーフが出て来た。
「ユメル。例の物は?」
「出来てる」
ユメルと呼ばれたドワーフが奥の部屋から鞘を持って来る。
黒い漆塗りで、天に竜が昇る様子が彫られ、そこに金が流し込まれている。
その鞘を手にしたネスコが、こう言う。
「流石、レベル90の鍛冶屋の腕前だ」
「いやいや、まだまだテルミンのオヤジには勝てないよ」
白髭を撫でながらユメルが謙遜する。
「ユウタ。このユメルはテルミンの弟子だ」
テルミンはトラ猫協同組合のメンバーで、レベル91の鍛冶屋だ。
ネスコはテルミンが火竜の牙で作った火竜の剣を、布袋から取り出した。
そして、ユメルの作った鞘に、チンと収める。
「わぉ! かっこいい」
フィナが鞘に触れようとする。
「火傷するぞ!」
「ひゃっ!」
フィナが両肩をビクつかせ、飛びのく。
床に尻餅をついた拍子に、ワンピースの裾がまくれ上がる。
僕は目のやり場に困る。
「ははは!」
「このー!」
フィナが肉球と戯れている。
「ところで、その男の子が救世主か」
「ああ。そうだよ。ユメル」
「姫には会わせたのか?」
「まだだ。伝えてはいるが」
姫?
合言葉にも出て来ていたな。
「姫って?」
「この世界の人間を統べる者だ」
「はぁ……」
凄すぎて、いまいちピンと来なかった。
「姫を見たことがある者は、ほとんどいない。亜人間の何人かと5大ギルドのギルドマスター、そして側近の者くらいだ。一目見ただけでそのオーラにひれ伏す」
「ブスなんですか?」
僕の質問に、ネスコとユメルが顔を見合わせ、笑い出した。
だって僕は姫のことを何も知らない。
質問しようにも、これ位のレベルのものしか思い付かない。
「ブスかどうかは主観によるが、我々、亜人間から見ると、姫はブスだ」
ネスコは姫の似顔絵を羊皮紙に鉛筆で描いた。
絵が上手い。
目が大きく、鼻が高く、口は桜の花びらを二枚重ねた様に小さい。
逆三角形の小さい顔を、ツヤツヤの黒髪が囲む。
人間から見たら美人だ。
◇
地下への階段を降りると、そこは大きな石造りのフロアだった。
奥に扉がある。
「ユウタ。転移扉は初めてか」
「うん。聞いたことはあるよ」
この世界において、移動する方法は三つある。
自ら時間を掛けて移動する。(徒歩、走る、船、飛行する生物に乗る、など)
転移扉を使う。
転移玉を使う。
転移扉とは、この世界にいくつか存在する。
神が用意したものと、魔法使いが素材を集めて作り出したものの二種類がある。
転移扉を抜ければ、ある地点からある地点へと、瞬間的に移動出来る。
転移魔法が開発されていないこの世界において、とても便利なものだ。
その一つが僕の目の前にある。
「武器工房はこの転移扉を、カムフラージュするためのものだ。この扉から、我ら亜人間がいる辺境へ向かう」
人間の住む場所と亜人間が済む場所を、行き来するために作った扉らしい。
「フィナの故郷だよ」
フィナが嬉しそうに扉を指差す。
一瞬、フィナの辺境での暮らし振りが脳裏をよぎる。
「何故? 辺境へ?」
「まだ、人間に踏み荒らされていない『狩り場』がある。ユウタ。お前はそこでレベルアップしてもらう」
僕は足がすくんだ。
転移扉が完璧でなければ、その身体は空間のひずみに挟まったまま死ぬことも出来ず、終わりのない虚無に晒されるということを聞いたことがある。
「大丈夫だ。我々、亜人間の作った転移扉に『バグ』は無い」
「ユウタ」
フィナが僕の手を握った。
彼女の柔らかい手の平は温かく、僕の心を安心させた。
そして、耳元でこう囁く。
「バグっても一緒だよ」
僕は扉に向かって歩き出した。
その時、
<ユウタ……>
脳内にリンネの言葉が響いた。
つづく
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