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第31話 もう一人の救世主が登場。本物か偽物か? 守護者認定された美少女は従うしかないのだった。
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たくましい狼の四肢に、これまた狼の頭が3つのっている。
尻尾の先端は毒蛇の頭。
背中にもびっしりと毒蛇が無数に絡みついている。
突然、チート級モンスターが召喚されたことで敵は輪を乱し、逃げ惑った。
ケルベロスが通った後には、踏み潰され食い散らかされた死体だけが残っていた。
戦いを要約するとこうだった。
「リンネ。何でガイアがお前に召喚玉をくれるんだ?」
「あちらから声を掛けて来た」
時はリサを殺した後、場所は街外れにある森の中。
泉の横で体に付いた血を洗い落としていた時だった。
真っ白で美しい少女がそこにいた。
「ガイアはどうしてお前がそこにいることが分かった?」
「分からん。だが、兄者、復讐のために二案あると言ったろう。覚えてるか」
「えっと……」
一つはユウタを呼び戻す。
これは失敗した。
「もう一つは、『地球』の傘下に付くこと」
◇
そして今、私の目の前に真っ白で美しい少女が座っている。
地球が入居するギルドホールは、この世界では珍しい木造の和風とか呼ばれる建物だった。
畳敷きの部屋。
蒼い部屋を照らすのは、障子からうっすら差し込む月光とロウソクの光のみ。
彼女は一段高いところから私を見下ろしている。
「私達、地球が目指しているもの……それは理解していますね」
「はい」
魔王を倒すこと。
私達の目的と同じだ。
ガイアは笑顔になった。
笑うと可愛らしい。
「何か質問はありますか?」
「何故、私の場所が分かった? あっ……」
私はガイアの笑顔に気が和んだのか、いつもの口調に戻っていた。
ガイアは笑顔のまま答えた。
「あなたからオーラが出ているのです」
「オーラ?」
「5大ギルド会議の直後からです。あなたからオーラが出始めました」
ガイアは神話を口にした。
『救世主』は『守護者』を引き連れ魔王を倒す。
ガイアは自分を救世主と名乗った。
救世主は身近にいる守護者が発するオーラを感じ取ることが出来るという。
だから、私を見つけ出すことが出来たという。
「これです」
私は一瞬目を背けた。
ガイアがローブをまくり、薄い胸を見せたからだ。
「見てください」
そう促され、ゆっくりと目を開ける。
白い胸板には、星形のあざがあった。
「これが救世主の証拠です」
神話に疎い私は、そう言われてもまだ半信半疑だった。
ただのあざの様にも見えるが……。
「リンネ」
「何だ?」
「大祖先様に会ってください」
◇
部屋を出て板敷の長い廊下を歩く。
ガイアが敬っている大祖先とはいったい何者なのか?
階段を一段一段上がるガイアの小さな背中が、私に語り掛ける。
「魔王を倒す。それは目指していることへの、過程でしかありません」
「どういうことだ?」
「私達の目指していること、それは魔王を倒し、この世界を終わらせて地球に戻ること」
地球。
ギルド名と目的が一致しているギルドはいくつかある。
大抵は嘘か虚勢だ。
その類かとも思った。
だが、神話とガイアの存在を絡めると、その地球が本当に存在している様にも思えた。
つづく
尻尾の先端は毒蛇の頭。
背中にもびっしりと毒蛇が無数に絡みついている。
突然、チート級モンスターが召喚されたことで敵は輪を乱し、逃げ惑った。
ケルベロスが通った後には、踏み潰され食い散らかされた死体だけが残っていた。
戦いを要約するとこうだった。
「リンネ。何でガイアがお前に召喚玉をくれるんだ?」
「あちらから声を掛けて来た」
時はリサを殺した後、場所は街外れにある森の中。
泉の横で体に付いた血を洗い落としていた時だった。
真っ白で美しい少女がそこにいた。
「ガイアはどうしてお前がそこにいることが分かった?」
「分からん。だが、兄者、復讐のために二案あると言ったろう。覚えてるか」
「えっと……」
一つはユウタを呼び戻す。
これは失敗した。
「もう一つは、『地球』の傘下に付くこと」
◇
そして今、私の目の前に真っ白で美しい少女が座っている。
地球が入居するギルドホールは、この世界では珍しい木造の和風とか呼ばれる建物だった。
畳敷きの部屋。
蒼い部屋を照らすのは、障子からうっすら差し込む月光とロウソクの光のみ。
彼女は一段高いところから私を見下ろしている。
「私達、地球が目指しているもの……それは理解していますね」
「はい」
魔王を倒すこと。
私達の目的と同じだ。
ガイアは笑顔になった。
笑うと可愛らしい。
「何か質問はありますか?」
「何故、私の場所が分かった? あっ……」
私はガイアの笑顔に気が和んだのか、いつもの口調に戻っていた。
ガイアは笑顔のまま答えた。
「あなたからオーラが出ているのです」
「オーラ?」
「5大ギルド会議の直後からです。あなたからオーラが出始めました」
ガイアは神話を口にした。
『救世主』は『守護者』を引き連れ魔王を倒す。
ガイアは自分を救世主と名乗った。
救世主は身近にいる守護者が発するオーラを感じ取ることが出来るという。
だから、私を見つけ出すことが出来たという。
「これです」
私は一瞬目を背けた。
ガイアがローブをまくり、薄い胸を見せたからだ。
「見てください」
そう促され、ゆっくりと目を開ける。
白い胸板には、星形のあざがあった。
「これが救世主の証拠です」
神話に疎い私は、そう言われてもまだ半信半疑だった。
ただのあざの様にも見えるが……。
「リンネ」
「何だ?」
「大祖先様に会ってください」
◇
部屋を出て板敷の長い廊下を歩く。
ガイアが敬っている大祖先とはいったい何者なのか?
階段を一段一段上がるガイアの小さな背中が、私に語り掛ける。
「魔王を倒す。それは目指していることへの、過程でしかありません」
「どういうことだ?」
「私達の目指していること、それは魔王を倒し、この世界を終わらせて地球に戻ること」
地球。
ギルド名と目的が一致しているギルドはいくつかある。
大抵は嘘か虚勢だ。
その類かとも思った。
だが、神話とガイアの存在を絡めると、その地球が本当に存在している様にも思えた。
つづく
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