43 / 199
第43話 姫は救世主がお嫌い!? 治癒魔法使いの頑張りでヤンデレでもツンデレにもなるかも!?
しおりを挟む
ユウタとフィナを狩り場に残し、私は姫の元へ向かった。
グリフォンと転移扉、そして徒歩で移動すること半日。
日が暮れる頃、ようやく姫がいる城に辿り着いた。
シンとした大広間。
入り口から姫が座っている玉座まで、真紅の絨毯が一直線に続く。
ここは姫の執務室。
そして、彼女との謁見の場所だ。
「久しぶりだな。ネスコ」
「姫、お目にかかれて光栄です」
シャンデリアの明りに照らされた彼女の黒髪。
頭頂部に出来たツヤはまるで、天使の輪の様だ。
姫はその大きな目で私を見つめる。
姫は人間から見たら美人だ。
亜人間の私から見たらブスだが。
「このほど見つかった救世主について、お話があります」
「ふむ。今度こそ、本物なんだな」
救世主に選ばれた者は、姫からの加護を受けることが出来る。
それは、金銭、武力、領地、など多岐に渡る。
加護欲しさに、自ら救世主を名乗る偽物もいた。
「はい。今度こそ間違いありません。左胸に聖痕がありました」
姫が頬杖をつく。
三白眼で私を見る。
見たことも無い救世主を値踏みするかの様にこう言った。
「あざなど、誰にでもあるだろう」
偽物を許さない姫は疑り深い。
「エルフの王女の愛に反応しました」
姫の目が大きく開かれた。
「ふむ……。どんな奴だ?」
「何とも、頼りのない男の子……治癒魔法使いです」
私はユウタについて知っていることを話した。
「ネスコ」
「はい」
「救世主は誰が選ばれるか分からない。つまり不規則。救世主を導くために生まれた我々でも、それはどうすることも出来ない。まさに神の領域。それにしても、そのユウタとかいうのは、ちと脆弱過ぎるな」
「確かに」
姫の言いたいことは良く分かる。
戦士、勇者、賢者が救世主に選ばれるならまだ分かる。
だが、ユウタは治癒魔法使いだ。
それも、ついこの間まで弱小だった。
レベルアップでどれくらいステータスが上がるかが勝負だ。
兎に角、余程、強力な守護者を見つけ出さなければ魔王討伐は厳しい。
「気になる点は沢山ある。だが、私はユウタを救世主とみなして支えて行くことにしよう。私の権限の範囲内で」
私は頭を下げた。
姫はユウタを、救世主の存在をあまり好ましく思っていないのだろうか。
「姫」
「何だ?」
「この前の世界更新で、この世界が大きく変わりました」
「分かっておる」
ゴブリンがらみのクエストの難易度が上がったのもその一例だ。
「これは私の肌感覚ですからもっと調査する必要はありますが……この世界の資源の状況が大きく変わりました」
資源とは、この世界に存在する素材、アイテム、狩り場、クエストなどの発生頻度のことだ。
これらは常に人間同士での奪い合いが続いている。
「うむ」
「これからは人間同士での争いも増えるでしょう。ただでさえ少ない資源が更に少なくなったのですから」
「分かっておる」
姫が気だるそうに頷く。
つづく
グリフォンと転移扉、そして徒歩で移動すること半日。
日が暮れる頃、ようやく姫がいる城に辿り着いた。
シンとした大広間。
入り口から姫が座っている玉座まで、真紅の絨毯が一直線に続く。
ここは姫の執務室。
そして、彼女との謁見の場所だ。
「久しぶりだな。ネスコ」
「姫、お目にかかれて光栄です」
シャンデリアの明りに照らされた彼女の黒髪。
頭頂部に出来たツヤはまるで、天使の輪の様だ。
姫はその大きな目で私を見つめる。
姫は人間から見たら美人だ。
亜人間の私から見たらブスだが。
「このほど見つかった救世主について、お話があります」
「ふむ。今度こそ、本物なんだな」
救世主に選ばれた者は、姫からの加護を受けることが出来る。
それは、金銭、武力、領地、など多岐に渡る。
加護欲しさに、自ら救世主を名乗る偽物もいた。
「はい。今度こそ間違いありません。左胸に聖痕がありました」
姫が頬杖をつく。
三白眼で私を見る。
見たことも無い救世主を値踏みするかの様にこう言った。
「あざなど、誰にでもあるだろう」
偽物を許さない姫は疑り深い。
「エルフの王女の愛に反応しました」
姫の目が大きく開かれた。
「ふむ……。どんな奴だ?」
「何とも、頼りのない男の子……治癒魔法使いです」
私はユウタについて知っていることを話した。
「ネスコ」
「はい」
「救世主は誰が選ばれるか分からない。つまり不規則。救世主を導くために生まれた我々でも、それはどうすることも出来ない。まさに神の領域。それにしても、そのユウタとかいうのは、ちと脆弱過ぎるな」
「確かに」
姫の言いたいことは良く分かる。
戦士、勇者、賢者が救世主に選ばれるならまだ分かる。
だが、ユウタは治癒魔法使いだ。
それも、ついこの間まで弱小だった。
レベルアップでどれくらいステータスが上がるかが勝負だ。
兎に角、余程、強力な守護者を見つけ出さなければ魔王討伐は厳しい。
「気になる点は沢山ある。だが、私はユウタを救世主とみなして支えて行くことにしよう。私の権限の範囲内で」
私は頭を下げた。
姫はユウタを、救世主の存在をあまり好ましく思っていないのだろうか。
「姫」
「何だ?」
「この前の世界更新で、この世界が大きく変わりました」
「分かっておる」
ゴブリンがらみのクエストの難易度が上がったのもその一例だ。
「これは私の肌感覚ですからもっと調査する必要はありますが……この世界の資源の状況が大きく変わりました」
資源とは、この世界に存在する素材、アイテム、狩り場、クエストなどの発生頻度のことだ。
これらは常に人間同士での奪い合いが続いている。
「うむ」
「これからは人間同士での争いも増えるでしょう。ただでさえ少ない資源が更に少なくなったのですから」
「分かっておる」
姫が気だるそうに頷く。
つづく
1
あなたにおすすめの小説
ダンジョンでオーブを拾って『』を手に入れた。代償は体で払います
とみっしぇる
ファンタジー
スキルなし、魔力なし、1000人に1人の劣等人。
食っていくのがギリギリの冒険者ユリナは同じ境遇の友達3人と、先輩冒険者ジュリアから率のいい仕事に誘われる。それが罠と気づいたときには、絶対絶命のピンチに陥っていた。
もうあとがない。そのとき起死回生のスキルオーブを手に入れたはずなのにオーブは無反応。『』の中には何が入るのだ。
ギリギリの状況でユリアは瀕死の仲間のために叫ぶ。
ユリナはスキルを手に入れ、ささやかな幸せを手に入れられるのだろうか。
転生者は力を隠して荷役をしていたが、勇者パーティーに裏切られて生贄にされる。
克全
ファンタジー
第6回カクヨムWeb小説コンテスト中間選考通過作
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。
2020年11月4日「カクヨム」異世界ファンタジー部門日間ランキング51位
2020年11月4日「カクヨム」異世界ファンタジー部門週間ランキング52位
転生者のブルーノは絶大な力を持っていたが、その力を隠してダンジョンの荷役として暮らしていた。だが、教会の力で勇者を騙る卑怯下劣な連中に、レットドラゴンから逃げるための生贄として、ボス部屋に放置された。腐敗した教会と冒険者ギルドが結託て偽の勇者パーティーを作り、ぼろ儲けしているのだ。ブルーノは誰が何をしていても気にしないし、自分で狩った美味しいドラゴンを食べて暮らせればよかったのだが、殺されたブルーノの為に教会や冒険者ギルドのマスターを敵対した受付嬢が殺されるのを見過ごせなくて・・・・・・
パーティーを追放されるどころか殺されかけたので、俺はあらゆる物をスキルに変える能力でやり返す
名無し
ファンタジー
パーティー内で逆境に立たされていたセクトは、固有能力取得による逆転劇を信じていたが、信頼していた仲間に裏切られた上に崖から突き落とされてしまう。近隣で活動していたパーティーのおかげで奇跡的に一命をとりとめたセクトは、かつての仲間たちへの復讐とともに、助けてくれた者たちへの恩返しを誓うのだった。
俺が死んでから始まる物語
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていたポーター(荷物運び)のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもないことは自分でも解っていた。
だが、それでもセレスはパーティに残りたかったので土下座までしてリヒトに情けなくもしがみついた。
余りにしつこいセレスに頭に来たリヒトはつい剣の柄でセレスを殴った…そして、セレスは亡くなった。
そこからこの話は始まる。
セレスには誰にも言った事が無い『秘密』があり、その秘密のせいで、死ぬことは怖く無かった…死から始まるファンタジー此処に開幕
勇者パーティーにダンジョンで生贄にされました。これで上位神から押し付けられた、勇者の育成支援から解放される。
克全
ファンタジー
エドゥアルには大嫌いな役目、神与スキル『勇者の育成者』があった。力だけあって知能が低い下級神が、勇者にふさわしくない者に『勇者』スキルを与えてしまったせいで、上級神から与えられてしまったのだ。前世の知識と、それを利用して鍛えた絶大な魔力のあるエドゥアルだったが、神与スキル『勇者の育成者』には逆らえず、嫌々勇者を教育していた。だが、勇者ガブリエルは上級神の想像を絶する愚者だった。事もあろうに、エドゥアルを含む300人もの人間を生贄にして、ダンジョンの階層主を斃そうとした。流石にこのような下劣な行いをしては『勇者』スキルは消滅してしまう。対象となった勇者がいなくなれば『勇者の育成者』スキルも消滅する。自由を手に入れたエドゥアルは好き勝手に生きることにしたのだった。
神樹の里で暮らす創造魔法使い ~幻獣たちとののんびりライフ~
あきさけ
ファンタジー
貧乏な田舎村を追い出された少年〝シント〟は森の中をあてどなくさまよい一本の新木を発見する。
それは本当に小さな新木だったがかすかな光を帯びた不思議な木。
彼が不思議そうに新木を見つめているとそこから『私に魔法をかけてほしい』という声が聞こえた。
シントが唯一使えたのは〝創造魔法〟といういままでまともに使えた試しのないもの。
それでも森の中でこのまま死ぬよりはまだいいだろうと考え魔法をかける。
すると新木は一気に生長し、天をつくほどの巨木にまで変化しそこから新木に宿っていたという聖霊まで姿を現した。
〝この地はあなたが創造した聖地。あなたがこの地を去らない限りこの地を必要とするもの以外は誰も踏み入れませんよ〟
そんな言葉から始まるシントののんびりとした生活。
同じように行き場を失った少女や幻獣や精霊、妖精たちなど様々な面々が集まり織りなすスローライフの幕開けです。
※この小説はカクヨム様でも連載しています。アルファポリス様とカクヨム様以外の場所では公開しておりません。
【完】転職ばかりしていたらパーティーを追放された私〜実は88種の職業の全スキル極めて勇者以上にチートな存在になっていたけど、もうどうでもいい
冬月光輝
ファンタジー
【勇者】のパーティーの一員であったルシアは職業を極めては転職を繰り返していたが、ある日、勇者から追放(クビ)を宣告される。
何もかもに疲れたルシアは適当に隠居先でも見つけようと旅に出たが、【天界】から追放された元(もと)【守護天使】の【堕天使】ラミアを【悪魔】の手から救ったことで新たな物語が始まる。
「わたくし達、追放仲間ですね」、「一生お慕いします」とラミアからの熱烈なアプローチに折れて仕方なくルシアは共に旅をすることにした。
その後、隣国の王女エリスに力を認められ、仕えるようになり、2人は数奇な運命に巻き込まれることに……。
追放コンビは不運な運命を逆転できるのか?
(完結記念に澄石アラン様からラミアのイラストを頂きましたので、表紙に使用させてもらいました)
元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる