ギルドから追放された実は究極の治癒魔法使い。それに気付いたギルドが崩壊仕掛かってるが、もう知らん。僕は美少女エルフと旅することにしたから。

yonechanish

文字の大きさ
58 / 199

第58話 心無き悪に染まった人間の理論。僕は再び、人間が信じられない。

しおりを挟む
「何だ? お前ら、さっきから気付いてたけどよ。外野は引っ込んでろ」

 ミチヤスはセレスから手を離し、僕を睨みつけた。
 僕は彼のステータスを確認した。
 戦士職、レベル72。
 僕より圧倒的に強い。

「ギルマス。その人は私達を助けてくれたんです」

 セレスは抜け落ちた髪を拾いながら、そう言った。

「ほぉ……」

 ミチヤスはフィナの方を見た。
 彼女の頭からつま先を、いやらしい目で舐めるように見た。
 フィナは怯え、僕の後ろに隠れた。
 そして、ミチヤスはこう言った。

「お前らも、ここで狩りをしてるのか?」
「そうだが」
「なら、こいつらが苦戦してたのも見えてたよな」

 ミチヤスは毛むくじゃらの手で、セレスとウエンディを指差した。

「そうだが……」

 何が言いたいんだ?
 こいつは。
 僕は困惑した。

「お前がもっと早く助けに来ねぇから、ルンデルとナオタロウとトウアが死んじまったじゃねぇかよ。どうしてくれんだよ!」

 ミチヤスの視線の先には、戦士、侍、武闘家の死体が転がっていた。

「え?」

 僕はあまりにひど過ぎる言いがかりに、何も言い返せないでいた。

「同じ人間なら、狩り場で困ってる人間を見つけたら、すぐに助けるのが普通ってもんだろうが!」
「ギルマス、この人は私達の命を……」

 セレスがミチヤスの足にすがり、叫ぶ。

「うるせぇ! こいつは俺ら人間にとって、裏切り者だ!」

 ミチヤスは鬱陶しそうに、セレスの腹を蹴飛ばした。

「やめろって言ってるだろ!」
「ふん」

 ミチヤスは僕の叫びを無視した。
 彼は僕のステータスを確認したのだろう。
 戦う前から優劣はついていた。
 彼は僕を恐れていない。

「そこのエルフの女を差し出せば、お前が裏切り者でないと認めてやるし、ここはそれに免じて許してやろう」

 何故だろう?
 何故、命を助けた僕が、いつの間にか悪者にされているのだろう。
 僕は再び、人間不信になりかけていた。

「ユウタ……」
「大丈夫だ」

 フィナは僕の背中に身を寄せた。
 彼女の震えが僕の身体中に伝わった。
 僕は彼女に言い聞かせる。

「大丈夫……大丈夫だよ」

 その時、森の奥で人影が動くのが見えた。
 その影は茂みをかき分け、こちらにやってくる。

「おい、ミチヤス。いい獲物が見つかったのか?」

 ミチヤスに負けず劣らず獰猛そうな男が二人も現れた。
 一人は武闘家職で、レベル58。
 もう一人は侍職で、レベル54。

「お疲れ様ですっ! ロデル様、クラス様!」

 セレスとウエンディが背筋をピンと伸ばし、敬礼のポーズをとる。
 彼らもまた、B.B.B倶楽部のメンバーだった。
 恐らく、ミチヤスが通信で呼び寄せたのだろう。
 僕は絶望した。
 ミチヤス一人なら、セレスやウエンディの力を借りれば何とかなるかもしれないと思っていたからだ。
 筋骨隆々で禿げ頭の武闘家、ロデルが僕とフィナを見てこう言った。

「お、人間のくせして亜人間なんかとデートか? これは人間にとって裏切り行為だな」

 人間と亜人間の仲は決して良くない。
 両者の間には、過去の確執と迫害がそこに横たわっているからだ。

「おい、ガキ。そのエルフを我らに渡すでござる。そうすればお前を人間として認めてやるでござる」

 着物に編み笠をかぶった侍、クラスが刀の柄に手を添えながら言う。

 絶望的だ。
 だが、僕は絶対、フィナを渡さない。

つづく
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

ダンジョンでオーブを拾って『』を手に入れた。代償は体で払います

とみっしぇる
ファンタジー
スキルなし、魔力なし、1000人に1人の劣等人。 食っていくのがギリギリの冒険者ユリナは同じ境遇の友達3人と、先輩冒険者ジュリアから率のいい仕事に誘われる。それが罠と気づいたときには、絶対絶命のピンチに陥っていた。 もうあとがない。そのとき起死回生のスキルオーブを手に入れたはずなのにオーブは無反応。『』の中には何が入るのだ。 ギリギリの状況でユリアは瀕死の仲間のために叫ぶ。 ユリナはスキルを手に入れ、ささやかな幸せを手に入れられるのだろうか。

転生者は力を隠して荷役をしていたが、勇者パーティーに裏切られて生贄にされる。

克全
ファンタジー
第6回カクヨムWeb小説コンテスト中間選考通過作 「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。 2020年11月4日「カクヨム」異世界ファンタジー部門日間ランキング51位 2020年11月4日「カクヨム」異世界ファンタジー部門週間ランキング52位 転生者のブルーノは絶大な力を持っていたが、その力を隠してダンジョンの荷役として暮らしていた。だが、教会の力で勇者を騙る卑怯下劣な連中に、レットドラゴンから逃げるための生贄として、ボス部屋に放置された。腐敗した教会と冒険者ギルドが結託て偽の勇者パーティーを作り、ぼろ儲けしているのだ。ブルーノは誰が何をしていても気にしないし、自分で狩った美味しいドラゴンを食べて暮らせればよかったのだが、殺されたブルーノの為に教会や冒険者ギルドのマスターを敵対した受付嬢が殺されるのを見過ごせなくて・・・・・・

パーティーを追放されるどころか殺されかけたので、俺はあらゆる物をスキルに変える能力でやり返す

名無し
ファンタジー
 パーティー内で逆境に立たされていたセクトは、固有能力取得による逆転劇を信じていたが、信頼していた仲間に裏切られた上に崖から突き落とされてしまう。近隣で活動していたパーティーのおかげで奇跡的に一命をとりとめたセクトは、かつての仲間たちへの復讐とともに、助けてくれた者たちへの恩返しを誓うのだった。

俺が死んでから始まる物語

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていたポーター(荷物運び)のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもないことは自分でも解っていた。 だが、それでもセレスはパーティに残りたかったので土下座までしてリヒトに情けなくもしがみついた。 余りにしつこいセレスに頭に来たリヒトはつい剣の柄でセレスを殴った…そして、セレスは亡くなった。 そこからこの話は始まる。 セレスには誰にも言った事が無い『秘密』があり、その秘密のせいで、死ぬことは怖く無かった…死から始まるファンタジー此処に開幕

勇者パーティーにダンジョンで生贄にされました。これで上位神から押し付けられた、勇者の育成支援から解放される。

克全
ファンタジー
エドゥアルには大嫌いな役目、神与スキル『勇者の育成者』があった。力だけあって知能が低い下級神が、勇者にふさわしくない者に『勇者』スキルを与えてしまったせいで、上級神から与えられてしまったのだ。前世の知識と、それを利用して鍛えた絶大な魔力のあるエドゥアルだったが、神与スキル『勇者の育成者』には逆らえず、嫌々勇者を教育していた。だが、勇者ガブリエルは上級神の想像を絶する愚者だった。事もあろうに、エドゥアルを含む300人もの人間を生贄にして、ダンジョンの階層主を斃そうとした。流石にこのような下劣な行いをしては『勇者』スキルは消滅してしまう。対象となった勇者がいなくなれば『勇者の育成者』スキルも消滅する。自由を手に入れたエドゥアルは好き勝手に生きることにしたのだった。

神樹の里で暮らす創造魔法使い ~幻獣たちとののんびりライフ~

あきさけ
ファンタジー
貧乏な田舎村を追い出された少年〝シント〟は森の中をあてどなくさまよい一本の新木を発見する。 それは本当に小さな新木だったがかすかな光を帯びた不思議な木。 彼が不思議そうに新木を見つめているとそこから『私に魔法をかけてほしい』という声が聞こえた。 シントが唯一使えたのは〝創造魔法〟といういままでまともに使えた試しのないもの。 それでも森の中でこのまま死ぬよりはまだいいだろうと考え魔法をかける。 すると新木は一気に生長し、天をつくほどの巨木にまで変化しそこから新木に宿っていたという聖霊まで姿を現した。 〝この地はあなたが創造した聖地。あなたがこの地を去らない限りこの地を必要とするもの以外は誰も踏み入れませんよ〟 そんな言葉から始まるシントののんびりとした生活。 同じように行き場を失った少女や幻獣や精霊、妖精たちなど様々な面々が集まり織りなすスローライフの幕開けです。 ※この小説はカクヨム様でも連載しています。アルファポリス様とカクヨム様以外の場所では公開しておりません。

【完】転職ばかりしていたらパーティーを追放された私〜実は88種の職業の全スキル極めて勇者以上にチートな存在になっていたけど、もうどうでもいい

冬月光輝
ファンタジー
【勇者】のパーティーの一員であったルシアは職業を極めては転職を繰り返していたが、ある日、勇者から追放(クビ)を宣告される。 何もかもに疲れたルシアは適当に隠居先でも見つけようと旅に出たが、【天界】から追放された元(もと)【守護天使】の【堕天使】ラミアを【悪魔】の手から救ったことで新たな物語が始まる。 「わたくし達、追放仲間ですね」、「一生お慕いします」とラミアからの熱烈なアプローチに折れて仕方なくルシアは共に旅をすることにした。 その後、隣国の王女エリスに力を認められ、仕えるようになり、2人は数奇な運命に巻き込まれることに……。 追放コンビは不運な運命を逆転できるのか? (完結記念に澄石アラン様からラミアのイラストを頂きましたので、表紙に使用させてもらいました)

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

処理中です...