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「醜い血の子めっ!ハップル公爵家の恥さらしが僕より偉そうにしやがってっ!卑しい奴お前何て死んでしまえぇ!」
唾を飛ばしてそう叫ぶように言った豚のような少年の短く太い足で腹を蹴り上げられ、高価な衣服を纏った少年、メイナード=ハップルは大きく咳き込み蹲る。間をあけず頭を踏みつけられ、顔は地面に叩きつき擦り付けられた。以前からあった彼の傷口を地面に落ちた小石が抉り、薄い皮から血が溢れ出す。ゲラゲラと品のない複数人の笑い声が少年に降り注ぐ。
つい先程までこの国の四大公爵家のうちの1つ、ハップル家の一族のみでのパーティーが行われていた会場の裏で少年は分家の彼等に暴力を振るわれていた。本家五男であるメイナードの元に多くの者が挨拶に来たのが気に入らなかったらしい。主役は当然本家であるハップル公爵家である。だからメイナードの元にはほとんど分家の者達が挨拶に訪れた。メイナードの友人と自称した彼等も近くに居たが、本家の人間を虐めているという話はかなり広がっているらしく絶対身分制の彼等は既に良く思われておらず無視や嫌味を言われる等扱いは冷たかった。本来ならば一家諸とも不敬罪で処刑されても文句は言えないが、それが無いのは少年がこの状況を甘んじて受け入れているから、そしてハップル家本家がそれを見逃しているからだ。
家族は、兄達は、メイナードを助けない。彼が救済を望まない限りは。心配も同情もせずただ見てみぬ振りか傍観をするのみだ。
「おいっ、聞いてるのかっ?!この僕が話してるんだぞぉっ!!」
唾を撒き散らすかのようなしゃべり方の声に感情を無くしていたメイナードの意識が浮上する。何やら彼等が話していたようだったが、俺が聞いていない事に対し怒りを露にしているようだ。
すると頭の上からずっとメイナードを押さえつけていた彼の足が退けられる。終わったのか、そう思って両手をつき顔を上げたのは失敗だった。
「不敬だっ!!お前なんて死ね、死んでしまえ!!!!」
不敬なんてどの口が言うのか。なんてメイナードは失笑した瞬間に、頭に強い衝撃がした。軽い少年の体は蹴り飛ばされすぐそこにあった建物の壁に頭がぶつかり、ピキ、と頭から嫌な音が耳に入る。メイナードは壁に沿い崩れるように倒れ、ズルズルと壁には赤い弧が描かれた。一拍置いてドクドクと地面に真っ赤な液体が広がっていき、ぼやける視界に映るそれにメイナードは起き上がろうとしても体に力が入らず指先から温度が引いていく。
「ぼっ、僕のせいじゃないぞっ!こいつが悪いんだっ、話を聞かないからっ!!」
醜い捨て台詞と共にバタバタと彼等は去っていった。それと入れ替わるようにこちらに近付いてくる足音が聞こえる。焦る様子のないそれは俺の前で止まり、その人物はその場にしゃがみこんだ。
体が動かず目線だけ上に向けると、一番上の兄が居た。見ていたのか、一体いつから。いや、何回目から見ていたのだろう。
「あぁ、こんなになって……。出血量をみるにもう死ぬんじゃないか。やはり我慢する物じゃなかっただろう?何故そこまでしてあれ等を処さなかったんだ」
「………」
何故、何故って。
彼等が■■■ている人間が見つからなかったからに決まってる。俺が彼等を殺す訳にはいかない。彼等を殺していいのは、彼等が■■■ている者だけ。
それを言う力さえもなく、そのままメイナードは目を伏せ意識を手放した。
唾を飛ばしてそう叫ぶように言った豚のような少年の短く太い足で腹を蹴り上げられ、高価な衣服を纏った少年、メイナード=ハップルは大きく咳き込み蹲る。間をあけず頭を踏みつけられ、顔は地面に叩きつき擦り付けられた。以前からあった彼の傷口を地面に落ちた小石が抉り、薄い皮から血が溢れ出す。ゲラゲラと品のない複数人の笑い声が少年に降り注ぐ。
つい先程までこの国の四大公爵家のうちの1つ、ハップル家の一族のみでのパーティーが行われていた会場の裏で少年は分家の彼等に暴力を振るわれていた。本家五男であるメイナードの元に多くの者が挨拶に来たのが気に入らなかったらしい。主役は当然本家であるハップル公爵家である。だからメイナードの元にはほとんど分家の者達が挨拶に訪れた。メイナードの友人と自称した彼等も近くに居たが、本家の人間を虐めているという話はかなり広がっているらしく絶対身分制の彼等は既に良く思われておらず無視や嫌味を言われる等扱いは冷たかった。本来ならば一家諸とも不敬罪で処刑されても文句は言えないが、それが無いのは少年がこの状況を甘んじて受け入れているから、そしてハップル家本家がそれを見逃しているからだ。
家族は、兄達は、メイナードを助けない。彼が救済を望まない限りは。心配も同情もせずただ見てみぬ振りか傍観をするのみだ。
「おいっ、聞いてるのかっ?!この僕が話してるんだぞぉっ!!」
唾を撒き散らすかのようなしゃべり方の声に感情を無くしていたメイナードの意識が浮上する。何やら彼等が話していたようだったが、俺が聞いていない事に対し怒りを露にしているようだ。
すると頭の上からずっとメイナードを押さえつけていた彼の足が退けられる。終わったのか、そう思って両手をつき顔を上げたのは失敗だった。
「不敬だっ!!お前なんて死ね、死んでしまえ!!!!」
不敬なんてどの口が言うのか。なんてメイナードは失笑した瞬間に、頭に強い衝撃がした。軽い少年の体は蹴り飛ばされすぐそこにあった建物の壁に頭がぶつかり、ピキ、と頭から嫌な音が耳に入る。メイナードは壁に沿い崩れるように倒れ、ズルズルと壁には赤い弧が描かれた。一拍置いてドクドクと地面に真っ赤な液体が広がっていき、ぼやける視界に映るそれにメイナードは起き上がろうとしても体に力が入らず指先から温度が引いていく。
「ぼっ、僕のせいじゃないぞっ!こいつが悪いんだっ、話を聞かないからっ!!」
醜い捨て台詞と共にバタバタと彼等は去っていった。それと入れ替わるようにこちらに近付いてくる足音が聞こえる。焦る様子のないそれは俺の前で止まり、その人物はその場にしゃがみこんだ。
体が動かず目線だけ上に向けると、一番上の兄が居た。見ていたのか、一体いつから。いや、何回目から見ていたのだろう。
「あぁ、こんなになって……。出血量をみるにもう死ぬんじゃないか。やはり我慢する物じゃなかっただろう?何故そこまでしてあれ等を処さなかったんだ」
「………」
何故、何故って。
彼等が■■■ている人間が見つからなかったからに決まってる。俺が彼等を殺す訳にはいかない。彼等を殺していいのは、彼等が■■■ている者だけ。
それを言う力さえもなく、そのままメイナードは目を伏せ意識を手放した。
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