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1話,乙女ゲーム
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てってれーという音と共にスマホの画面に写っているCONPLETEという文字がチカチカと点滅し光る。
それを見て俺は安堵をし、数時間ずっと吐き気を堪えて張り詰めていた息をうっぷ、と曖気と共に吐き出した。
あぁ気持ち悪い、胸糞悪い。
心の中でそうゲームを批評する。それほどまでにこのスマホで行って いたゲームはグロテスクな物だった。
そんな物を初めたきっかけはもう中学生となった可愛い妹が早生まれが故に、友人がやっている15歳以上がアップロードできる乙女ゲームができないという事で、妹が俺のスマホを使ってやり始めた事。初めは喜んでいた妹に仕方なくスマホを長時間貸していたが、キラキラしていた妹の顔色は段々悪くなった。
聞くとゲームがグロテスクすぎてプレイしたくない、けれども友達にやっていると言ってしまったし今更気まずくて止められないらしい。だからお願い、お兄ちゃんがやって、なんて可愛く言われたら有と言う他はなかった。
そうして愛を原動力に全てのルートをコンプリートした俺は、現在進行形で机に突っ伏し胃の中に重い岩が入っている事を疑うくらい、悪い気分になっている。初めは乙女ゲームというから甘酸っぱい女性向けの恋の話かと思ったが、恋というより執着に全振りしていて攻略対象がヒロインの事をまるで物のように扱う描写も多々存在した。更に何とこのゲーム、食人欲求や死体愛好家のような異常な性癖を持つキャラがゴロゴロ居るのだ、しかもそれらは脇役等では無く主要キャラ、つまり攻略対象。膨大な時間をかけてプレイしたが簡単に殺されて死ぬエンドばっかり、1つでも選択肢を間違えればあとは死を待つだけ、みたいなルートもあった。ゲームの内容を思い出して気持ち悪くなり口を両手で覆う。
というかさっきからずっと頭が痛い。
頭痛とかでは無く、怪我をした時のジクジクした痛み。無意識に手が動き痛む場所を押さえると、感じたのは髪では無く肌触りのいい布の感触だった。
あぁ、起きられた、メイナード様が御起床だ、医師を呼べ、御令兄様にお知らせせよ、新鮮なフルーツと飲みやすい白湯と甘い紅茶を用意しなさい。
バタバタと忙しなく周りを人々が歩く音がして俺はなんだ、と思いながら重い瞼を上けた。最初に目に映ったのは真っ白で無機質な天井、次にこちらを覗き込む、にこりと全く同じ笑顔を顔に張り付けたメイドやバトラーのような服装をした大人達。
「あぁ、良かった!起きられましたか、メイナード様」
「おはようございます、御加減は如何ですか。傷はまだ痛みますか、今医師が至急こちらに来ていますので御安心を」
「皆心配しておりました。兄君方もメイナード達も気遣っておいででしたよ。御無事で何よりでございます」
「貴方様に付いていた執事と護衛はメイナード様が御眠りになっている間に既に処刑致しました。当然ブタもです。メイナード様を守れない者はもう居りません!首は残っておりますが、見られますか」
早口で一度に話す大人達に俺は目を白黒させる。心配していた、無事で良かった、兄達もきっと同じ気持ち。あからさまにこちらの機嫌をとるように彼等は口々にそう言葉を発する。
子供である自分にペコペコと頭を下げる使用人達に気味悪く思っていると、扉が開き甲冑を身に付けた騎士らしき者達によってさっと何かが部屋の外から持ち込まれた。それは俺の視界にあったテーブルの上に何やら重々しい箱が乗せられる。そして前の方の蓋を上にスライドさせ開けられると、嫌な鉄の匂いがした。視界に白目を向いた血まみれの男の生首が映る。派手な金の髪は乱れ肉がたるんだ頬に張り付き、口は苦しげに開けられ舌がでろんと出ていた。
刹那、胃の底から吐き気が込み上げる。あぁ本物だ、これは本当の人間だ。
そうはっきり確信を持っても驚きから脳が働かず、横になる体勢でとっさに顔を動かし目を反らせられず閉じる事も思い付かない。気持ち悪い、目の前がチカチカする。眼球が震えた、生首から目を離す事もできず口元を冷たい手で覆うも虚しく。
「……う"っ……」
おえ、と盛大にその場で嘔吐し俺は意識を失った。
それを見て俺は安堵をし、数時間ずっと吐き気を堪えて張り詰めていた息をうっぷ、と曖気と共に吐き出した。
あぁ気持ち悪い、胸糞悪い。
心の中でそうゲームを批評する。それほどまでにこのスマホで行って いたゲームはグロテスクな物だった。
そんな物を初めたきっかけはもう中学生となった可愛い妹が早生まれが故に、友人がやっている15歳以上がアップロードできる乙女ゲームができないという事で、妹が俺のスマホを使ってやり始めた事。初めは喜んでいた妹に仕方なくスマホを長時間貸していたが、キラキラしていた妹の顔色は段々悪くなった。
聞くとゲームがグロテスクすぎてプレイしたくない、けれども友達にやっていると言ってしまったし今更気まずくて止められないらしい。だからお願い、お兄ちゃんがやって、なんて可愛く言われたら有と言う他はなかった。
そうして愛を原動力に全てのルートをコンプリートした俺は、現在進行形で机に突っ伏し胃の中に重い岩が入っている事を疑うくらい、悪い気分になっている。初めは乙女ゲームというから甘酸っぱい女性向けの恋の話かと思ったが、恋というより執着に全振りしていて攻略対象がヒロインの事をまるで物のように扱う描写も多々存在した。更に何とこのゲーム、食人欲求や死体愛好家のような異常な性癖を持つキャラがゴロゴロ居るのだ、しかもそれらは脇役等では無く主要キャラ、つまり攻略対象。膨大な時間をかけてプレイしたが簡単に殺されて死ぬエンドばっかり、1つでも選択肢を間違えればあとは死を待つだけ、みたいなルートもあった。ゲームの内容を思い出して気持ち悪くなり口を両手で覆う。
というかさっきからずっと頭が痛い。
頭痛とかでは無く、怪我をした時のジクジクした痛み。無意識に手が動き痛む場所を押さえると、感じたのは髪では無く肌触りのいい布の感触だった。
あぁ、起きられた、メイナード様が御起床だ、医師を呼べ、御令兄様にお知らせせよ、新鮮なフルーツと飲みやすい白湯と甘い紅茶を用意しなさい。
バタバタと忙しなく周りを人々が歩く音がして俺はなんだ、と思いながら重い瞼を上けた。最初に目に映ったのは真っ白で無機質な天井、次にこちらを覗き込む、にこりと全く同じ笑顔を顔に張り付けたメイドやバトラーのような服装をした大人達。
「あぁ、良かった!起きられましたか、メイナード様」
「おはようございます、御加減は如何ですか。傷はまだ痛みますか、今医師が至急こちらに来ていますので御安心を」
「皆心配しておりました。兄君方もメイナード達も気遣っておいででしたよ。御無事で何よりでございます」
「貴方様に付いていた執事と護衛はメイナード様が御眠りになっている間に既に処刑致しました。当然ブタもです。メイナード様を守れない者はもう居りません!首は残っておりますが、見られますか」
早口で一度に話す大人達に俺は目を白黒させる。心配していた、無事で良かった、兄達もきっと同じ気持ち。あからさまにこちらの機嫌をとるように彼等は口々にそう言葉を発する。
子供である自分にペコペコと頭を下げる使用人達に気味悪く思っていると、扉が開き甲冑を身に付けた騎士らしき者達によってさっと何かが部屋の外から持ち込まれた。それは俺の視界にあったテーブルの上に何やら重々しい箱が乗せられる。そして前の方の蓋を上にスライドさせ開けられると、嫌な鉄の匂いがした。視界に白目を向いた血まみれの男の生首が映る。派手な金の髪は乱れ肉がたるんだ頬に張り付き、口は苦しげに開けられ舌がでろんと出ていた。
刹那、胃の底から吐き気が込み上げる。あぁ本物だ、これは本当の人間だ。
そうはっきり確信を持っても驚きから脳が働かず、横になる体勢でとっさに顔を動かし目を反らせられず閉じる事も思い付かない。気持ち悪い、目の前がチカチカする。眼球が震えた、生首から目を離す事もできず口元を冷たい手で覆うも虚しく。
「……う"っ……」
おえ、と盛大にその場で嘔吐し俺は意識を失った。
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