『向量操作』で世界を覆す

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ボス

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ボス部屋の扉を開け中に入る。

部屋の中は暗く広さが分からない。

だが入った瞬間、扉が閉まり急に明かりがついた。

明るくなった室内を改めて見回すと、奥には背に翼の生えた巨大なドラゴンがいた。

全長は20メートルほどありそうだ。

俺はすぐにドラゴンに対してスキル『鑑定』を使った。

カイザードラゴン 竜種
レベル58
ステータス値
HP     3900/3900
MP    3500/3500
STR   2100
DEF   2050
SPE   1520
DEX   500
スキル
爪撃6、飛行5、炎ブレス6、氷ブレス6、威圧6、再生5



(いやなんだよこれ!めっちゃ強いじゃん!勝てるの!?)

『問題ありません、想定の範囲内です。マスター、『向量操作』を使用してください』

(ああもう!わかったよナビ、頼むぞ!)

俺は心の中でそう思いながら『向量操作』を使う。

使った途端、急に空中に矢印が見えるようになった。

矢印は大量にあり、その向き、太さ、長さはバラバラだ。

(ナビ!これはなんだ!?)

『『向量操作』によって見えるようになった力やエネルギーです。反射リフレクションを使ってください。カイザードラゴンが突進してきます』

「はっ!?うおっ!?まじか!?」

「グァァァァァァァァ!!」

ナビか言った通りにカイザードラゴンが突進してきたので俺は反射リフレクションを咄嗟に使う。

すると範囲内に入ったカイザードラゴンは吹っ飛んだ。

「……何が起きた?」

『カイザードラゴンの突進のエネルギーが全て反射された結果、吹っ飛ばしダメージを負わせました』

そう言われて再度鑑定をしてみるとガイザードラゴンのHP  体力値が300ほど削られていた。

「すごいな、この『アナザースキル』」

『油断しないでください。今度はブレスがきます』

またナビの言う通りになり今度はブレスがきた。

「ナビ、今度はどうする?」

反射リフレクションを維持したまま誘導リードを使用してください。誘導リードの方が優先度を高く設定したので先に発動しますが失敗しても反射リフレクションがあるので大丈夫です』

「具体的にどう使うんだ?」

『マスターに向けられたブレスを集めて、一点に集中して放出してください』

「わかった」

俺はカイザードラゴンがいつブレスを吐くかタイミングを見計るため観察する。

一瞬の溜めの後、炎ブレスが放出され、俺はナビの言う通り誘導リードを使用しそのエネルギーを全て自分の掌の上に集めて圧縮し、一点に集中してカイザードラゴンに向けて放出した。

放出されたエネルギーはカイザードラゴンの胴体と左前足の付け根を抉って左前足を引きちぎった。

「グァァァァァァァァ!?」

「なんでこんなに威力が高いんだ?」

「本来拡散するはずのブレスが一点に集中された結果、威力が数倍になったからだと思われます』

だが千切れたカイザードラゴンの左前足の傷口から筋肉が盛り上がってきている。

「再生してる?」

『スキル『再生』によって前足を再生していると考えられます』

「ナビ、どうする?」

『何かエネルギーを集めて調節アドジャストを使用し、カイザードラゴンを一撃で倒せるまで増幅してください。どのくらい増幅するかは私が計算します』

「そんなエネルギーどこにあるんだ?」

『マスターは物に触れることができれば、触った物に内包しているエネルギーや働く力を一つのエネルギーとして捉え、最小限の魔力消費で操作することができます。それを利用してこのダンジョンのコアから全体に流れる魔力を誘導リードを使って集めてください』

「それを先に言ってくれ」

俺はナビの指示通りに地面に手をついてこのダンジョンに流れる魔力を、流れを維持したまま大量に集める。

「このくらい集めればいいか?」

『はい、その魔力を調節アドジャストを使って2倍にしてください』

「わかった」

ナビに言われた通りに調節アドジャストを使って魔力を2倍に増幅する。

元の魔力消費が最小の5なので倍にしてもたった10だ。

「ナビ、これをどうすればいい?」

『何か物を投げてその際に投げた物を飛ばしているエネルギーに魔力を乗せて高速で打ち出してください』

「そんなことできるのか?」

『私はあくまでマスターの『向量操作』が出来ることを指示しているだけです。ですので可能かと。あとはマスターのイメージ次第です』

「……わかったよ」

俺はナビにそう言われそこらへんに落ちてた石を拾う。

ナビは俺のイメージ次第でできると言っていた。

石を飛ばす際、推進力にする感じで魔力を乗せるイメージをする。

イメージを固めたあと石を投げ、その際に誘導リードを使って魔力を集中し、その流れを推進力にして打ち出す。

投げた石は高速で飛んでいき、パァンという破裂音を起こすと共にカイザードラゴンの頭を撃ち抜いた。

カイザードラゴンの死体はそのままダンジョンへと吸収され両手で抱えるぐらいの魔石が残った。

「はぁ、精神的に疲れたな」

『お疲れ様です、マスター』

俺は地面に落ちている大きな魔石を腰に下げていたアイテムボックスにしまう。

このアイテムボックスはキャマロッツ王国から支給された物で袋の形をしていて中は異空間になっており中の容量は5㎥くらいある。

『マスター、前方に魔法陣が出現しています。おそらく外に出れるかと』

「おっ本当だ。じゃあさっさとここから出ますか」

俺はそう言って魔法陣の上に立ち転移する。

「……え?」

転移するとそこは樹海だった。

「ナビ、どういうことだ?」

『どうやらダンジョンの外に出る魔法陣ではなく、違う場所に転移させる魔法陣だったようです』

「まじか!?」

(時間差のトラップといい、別の場所に転移させる魔法陣といい……あのダンジョンは性格が悪いな)

「これからどうすればいいんだ?」

『この樹海から脱出すべきだと考えます』

「人がどの方向にいるか分かるか?」

『集音出来る範囲では人の話し声や足音はしません』

「つまりこの辺りには人はいないってことか……。取り敢えず歩こう」

俺は方角もわからないまま歩き始めた。
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