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25 4階すげえ!

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 赤いゴブリンを倒し、もう3階に用は無いので次の階層へ進んだ。


「なんかすげージメジメしてんな」

 湿気がヤバイ。ダンジョンで不快になったのは初めてかもしれん。
 しかし進む他に道は無い。

 とっとと5階を目指そうと考えながら歩いていると、とんでもない魔物が現れた。


「な、んだと!?」

 瞬間ダッシュしていた。刀を一閃し瞬殺する。


「カニ、召し捕ったりィィィ!」


 来たよ!ご馳走が!!!・・・ああっ!だから湿気がすごいのか。

 倒してから気付いたけど、かなりデカいカニだ。
 やべえわ。今晩はご馳走っスわ。

 正直狼の肉にはもう完全に飽きてたので、こんなに嬉しいことはない。

「いや、まてよ?」

 この湿気具合、他にも色々いるんじゃね?


 先に進むとカニが3匹いたのでサクッと倒す。

 次は何が来るかとワクワクしながら進むと、黒くてまん丸のがいた。
 当然ダッシュで駆け寄り瞬殺する。

「ウニもキタコレ!」

 ん?ウニ?・・・ああああああああッ!?

『最後にウニだ。ウニには毒があるから絶対食うな』

 虎徹さんからの警告。
 くっそおおおおおおおおお!折角のウニなのに食えないとは・・・。

 涙を流しながら、その場で解体して魔石だけ取り出す。

「たしかにヤバそうな色の汁が出てるわ・・・」

 あの警告が無かったら、俺は間違いなくコレを食っていただろう。
 虎徹さんに感謝だ。

 気を取り直してどんどん先へ進むと、部屋の半分が水浸しの変な場所に出た。

「なんだこりゃ?水場ってことは魚系の魔物でもいるかな?」


 ―――出てきたのはドラゴンだった。



 名前 :ウォータードラゴン


「ちょ、ちょっと待て。それは聞いてない!」

 どうする!?
 いきなりの超大物で、まったく心構えが出来ていない。

 でも戦ってみたい気持ちもすごくある。
 行ってみるか?無理そうなら逃げればいいだけだ。

 緊張で心臓がバクバク鳴っている。
 落ち着け!大丈夫、今の俺にならやれる!

 攻撃を仕掛けようという時に、ドラゴンが口を開けた。
 どんどん魔力が膨らんでいくのがわかった。

「ブレスか!?」

 ブレスが発射されたと同時にダッシュで回避。

 ウォータードラゴンだから、水のブレスか!?
 アレは流石にくらうワケにゃいかん!

 そしてブレスが終わった時、ドラゴンに隙が出来たので攻撃を仕掛ける。

「シッ!」

 風神の一撃は竜の鱗を簡単に斬り裂いた。
 流石はミスリル製!これならやれる!


 ドラゴンの大きさに対して、武器が刀じゃ深い傷は与えられない。
 なので狙いを首に集中し、どんどんダメージを積み重ねていく。



 そしてとうとうウォータードラゴンの討伐に成功した。


【レベルが上がりました】



「ハアッ、ハアッ、ハアッ、ハアッ」

 少し長い戦いだったので、さすがに疲れた。


「ドラゴン、討ち取ったりーーー!!!」

 さて、倒したはいいが、こんなデカいのマジックバッグに入るのか?


 ―――入った。


 何なんだよこのバッグ!中は一体どんだけ広いんだ!?
 ・・・まあそれはいいか。とにかく、とんでもないモノを手に入れてしまった。
 今日はカニ三昧と思っていたのに、いきなりのドラゴン。

 よし、どっちも食おう!狩りはさすがにもういいや。

 今までに無いほどのホクホク顔で部屋に引き返した。


 ・・・・・


「このゴチャゴチャした部屋じゃ、ドラゴンの解体無理じゃん・・・」

 しかし泉が無いと解体で血まみれだ。
 ・・・あっ!もう一つの部屋でやりゃいいのか。

 最初は向こうを俺の部屋にしようと考えてたんだが、どう考えてもこっちの部屋の方が便利なんで、結局未だに引っ越しはしていない。

 なんかもう疲れたし、カニだけでもいいかな?って思わないでもないけど、ドラゴンはどうしても今すぐ食べてみたい。
 解体が地獄なのもわかってるが、俺はやらねばならぬのだ。

 気力を振り絞って、解体をしにもう一つの部屋へと向かった。



 ・・・・・



 やっと終わった・・・。
 ドラゴンさん、ちょっとデカすぎだよキミ。

 もう今回食う分だけ切り取ろうかとも思ったけど、どうせいつかやることだし、血抜きも早い方がいいのは確実なので頑張った。

 肉のブロックは、切り取り次第聖水にぶち込んで行ったので、処理はもう完璧だ。
 当然レバーやホルモンも確保。内臓はどれもホルモンって呼び方らしいけど、基本的には腸の事を指すんじゃないかと勝手に思っている。
 今回はドラゴンという大物なので、一応心臓とか他の内臓も捨ててはいないが、食ってみてイマイチだったらゴブリン行きでいいだろう。

 牙や爪、あと皮などの素材も綺麗に剥ぎ取って浄化中。
 これは丸1日ほど聖水で浄化したら、泉から取り出しに来なきゃいかんな。

 じゃあ部屋に帰って食うぞー!


・・・・・


 現在、カニの足を茹でながら、ドラゴンステーキを焼いている。
 タレも自作してみたが、ステーキはとりあえず塩胡椒で食おう。

 焼き上がったステーキをナイフで切り、ドキドキしながら口に入れる。


「うめええええええええええええ!!!」


 ドラゴンってこんな凄まじい美味さなのか!!!今まで食ってた狼肉が完全に霞んだぞ。桁違いなんてもんじゃねえわ。これから毎日これを食えると思うと、とにかくもう最高としか言えん!

 マジックバッグに入れた肉が超長持ちするのは、すでに判明している。
 たぶん中は時間の流れがゆっくりなのだろう。なので当分ドラゴンの肉が腐る事は無いハズ。

 ステーキをペロリと平らげた。次はカニの出番だ!

 ナイフで殻を斬り裂いて、身にかぶりつく。


「うんめええええええええええええ!!」


 俺はもうダメだ。超絶美味い料理の連発に堕落してしまう。
 こんなのに慣れたら、もう普通の食事じゃ満足出来なくなりそうだ。


 とは言え、ココにいるのも期限付きなので、今を目一杯楽しむぜ!
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