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78 恩賞候補

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  論功行賞についての話し合いは、この先もずっと続く行事になりそうだな。
 とりあえずカーラを連れて来たけど、更に人数を増やして行くかどうかはまだ未定だ。

「ジャバルグとの決戦を見据えて、今回の恩賞で10名ほど強化したいと考えているのだが、2人はどう思う?」
「それで良いと思います。服もそうですが、刀を授けたい人が数人いますから」
「異議なーし!曼殊沙華は本当に強かった!強い刀を手にする人が増えれば、絶対に大活躍するよ!」

 今回は出し惜しみしない方がいいだろう。
 運良くミスリルが手に入ったので、風神、雷神の他にミスリル刀を3本作った。
 これらをばら撒くだけで、更に5人の英雄候補が誕生するのだ。


「じゃあ左陣から報告しましょう。目を見張るような活躍をしていたのはやはりチェリンですね。彼女の統率力は、もうすでに中隊を任せられるレベルだと思います。刀を授ければ確実に大活躍しますよ!」
「異論は無い。チェリンは上に立つ資質がある。次の戦いでも必ず期待に応えてくれるだろう」
「おー、なるほど!こんな感じで恩賞候補を決めてたのね」

「今日からはカーラも選ぶ方の立場だ。広い目で戦況を見て、兵1人1人の貢献度を細かく把握してくれ」
「わかったわ!じゃあ右陣の候補を言うわね。アタシの推薦はピピン隊かな?ピピンだけが凄いってんじゃなくて、5人の見事な連携で効率良く敵を倒してた!」
「ほう。でもその場合、恩賞の人数が増えてしまうな」
「隊を指揮してたのはピピンなので、とりあえず彼女だけに服を与えて、他の人は次回まで我慢してもらう感じで良いのでは?」
「そうするか。では本隊からも推薦するぞ」

 ピピン隊はルーサイア解放の時も良い働きをしてたな。恩賞を貰うのに十分な功績だろう。


「まずはルルだ。彼女の補助魔法は実に素晴らしかった。皆とても戦いやすかっただろう?」
「そうそう!補助魔法って凄いわね!!身体から力が漲って来てさ、もう負ける気がしないような高揚感だった!」
「大きな戦では彼女の存在は欠かせませんね。間違いなく恩賞に値します」

 ホント良いタイミングで軍に来てくれたもんだ。
 勝利の噂を聞いて、他のエルフも流れて来ないかなあ?

「次に良かったのはドワーフ達だ。全員鋼鉄の鎧を着てるのもあって、あの重圧感は凄まじいモノがあったな。彼らの後ろに抜けて来る敵は皆無だったぞ!」
「あーー、凄かったね!敵をちぎっては投げ、ちぎっては投げ」
「ドワーフ達を仲間に引き入れる時に俺が言い放った誘い文句なのですが、戦で活躍して戦功を積み重ねれば、ドワーフの街を作ることも可能だって説得したのです。そしたらみんな目をキラキラさせてましたね」
「なるほど・・・。それがドワーフ達の望みってことで良いのか?」

 他の望みって酒くらいじゃね?・・・あ、アレがあった!

「ルーサイアにドワーフの女性がいないのを嘆いてましたので、伴侶をなる女性を呼び寄せる為にもドワーフの街は絶対必要と考えているでしょうね。間違いなく彼らの夢だと思って良いと思います」
「フムフム・・・、考えておこう。しかし街ともなると、尾張を平定した後じゃないと無理だな」
「男物の服が無いんだし丁度良かったんじゃない?ドワーフの街とか、アタシも興味あるわ!」
「彼らにはすでに最強クラスの武器を与えてますからね。恩賞に渡せるモノがもう酒くらいしか思いつかないので、領地とか地位などの方向でいきましょう!」
「決定だな」

 ドワーフ達は今も刀を作り続けていて、本当に頭が下がる思いなんだよね。
 平和になったら、俺も彼らの街作りに全力で協力しよう。

「後はカトレアの働きも素晴らしかったな!彼女は与えられた任務を着実にこなすので、本当に頼りになる」
「カトレアすごいよねー。何をやっても隙が無いんだもの」
「俺も頼み事をするのに1番信頼出来るのはカトレアですね。どんな細かいことを頼んでも、一言一句全て覚えてますもん」
「よし、彼女も恩賞確定だ!えーと、今までに出た名前をまとめると、チェリン、ピピン、ルル、カトレアか。ドワーフは街だから保留するとして、残り6名だ」

 チェリンとカトレアは服を所持しているから今回は刀か。ルルとピピンは服だ。
 残りは戦闘部門で後4人、総合部門で2人といった感じかな?


「最近メキメキ強くなってる娘が1人いてさ」
「お嬢のことか?」
「そうそう、お嬢!!」

 誰だよ!?

「お嬢って誰ですか?」
「ベアトリーチェのことさ」
「ああ、クルクルツインテールの娘か!」
「正解!その娘のことよ。でね、刀の使い方がやっとわかったって最近言っててね、これがまた本当に強いのよ!」
「急に覚醒した感じだったな」

 刀がお肌に合った感じなんだろか?最初みんなが使ってたあの重い剣じゃ、本来の力が発揮されてなかったのかもしれんな。

「あ、思い出した!その娘は俺と同じ左陣にいたんですけど、『オーッホッホッホッホ!』って高らかに笑いながら敵軍に突っ込んで行くもんですから、慌てて追いかけたんですよ。そしたら正面にいた敵兵10人くらいを蹂躙してました!」
「アハハハハハハハッ!その光景が目に浮かぶわね!」
「ふふっ!そうか、よし!ベアトリーチェにも恩賞を与えよう」
「なんかもうね、彼女に着せたい服が一瞬で決まりましたよ」
「ほう?」

 ガサゴソと、マジックバッグから目当ての物を取り出す。

「これです!」

「うっひょ~!!」
「これは、なんというか凄いな」
「想像して下さい!これを着て、敵に特攻するベアトリーチェを!」

「ふふっ!」
「アーッハッハッハッハ!似合いすぎでしょ!」
「決定でいいですか?」

「「決定!」」


 よし!あまり考えることもなく、サクッと決まったな。
 この調子で全員分、すぐ決まると良いんだが・・・。
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